標.jpg
日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020

(獎勵故事)

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)

【期間】2020/09/12~2020/09/26

 

 

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)

 

9/12(土)16:00より開催予定!
キャンペーン『イケメン王宮 人気投票2020』を開催するよ!
本編を進めたり、プリンセスレッスンを行うことで貰える投票券を集めて部門ごとに彼に投票しちゃおう♪ 投票券を使用した枚数に応じてご褒美GET★

 

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)

 

[プロローグを読む]


新月の夜、蝋燭の灯に彼の身体が浮かび上がる。
目を奪われているあなたに、彼の熱い体温が重なって…―
………
……
アラン 「お前って、そんな目で俺のこと見てんの?」
アラン 「お前の腕って、何でこんなに細くて柔らかいんだろうな」
………
ルイ 「さっきの食事の時……俺のこと、何度も見てたよね?」
ルイ 「本当は、すぐにでも触れたかった」
………
ジル 「……せっかく教えて差し上げているのに、よそ見ですか?」
ジル 「今から私が出す問題で不正解が続くようなら、
ジル 「貴女には休んでいただきましょう」
………
レオ 「ねえ。キスする場所には意味があるって知ってる?」
レオ 「俺がこうして触れることを許すのは、君だけ」
………
ゼノ 「……こう暗くては、美しいお前の姿がよく見えないな」
ゼノ 「お前が俺を見つめている間……
ゼノ 「お前の全てを、俺の目に焼き付けよう」
………
ユーリ 「どうしたの、顔が真っ赤だよ」
ユーリ 「そんな顔を見せられると、堪らなくなる」
………
ロベール 「これでも筆を持っている時は自分を抑えているんだ。
ロベール 「絵描きとしてね」
ロベール 「でも今は……抑えなくてもいいかな」
………
シド 「『脱いで』なんて、大胆だな」
シド 「自分の女にこんなに触られて、
シド 「我慢なんてできるわけねえだろ」
………
アルバート 「……まだ触るつもりですか?」
アルバート 「……俺を煽ったのは、あなたの方ですよ」
………
レイヴィス 「目を逸らさなくても、お前になら見せてあげるのに」
レイヴィス 「……そんなふうにされたら、俺も黙ってられないな」
………
……
ほの暗い部屋の中で響くのは、二人の甘い吐息だけ。
蝋燭の淡い光が、甘美な夜へと誘っていく…―

 

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)

 

部門.png

『キスが上手そうな彼部門』

『抱きしめたら離してくれなそうな彼部門』

『寝顔もイケメンな彼部門』

『ティータイムを一緒に過ごしたい彼部門』

 

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)


日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)

~ 公約情報 ~

今回の「人気投票2020」では4つの『公約』をご用意!
大好きな彼に投票してね♪
開催をお楽しみに♪

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)

 

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)

 

~ 特典情報 ~

特典ストーリー

 

[30枚特典]

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)
濃紺の絵具を垂らしたように、月のない暗い夜のこと…―
私は、ロベールさんのアトリエで肖像画を描いてもらっていた。
静かな部屋に、ロベールさんが木炭を滑らせる音だけが響く。

(絵を描くためだって分かっているけど)
(こんな風に見つめられると毎回ドキドキしてしまうな)

私の細部までを捉えるように、ロベールさんが私を見据えている。
顔を動かさないように、目だけでその瞳を見つめた。

(ロベールさんの瞳って、すごく綺麗……)

まるですべてを見透かすような眼差しに、鼓動が落ち着かない。
すると、ふと手を止めたロベールさんが、柔らかな微笑みをにじませた。
ロベール 「もっと肩の力を抜いていいんだよ」
吉琳 「はい……すみません、なんだか緊張しちゃって」
苦笑を返すと、ロベールさんが木炭を傍らの机に置く。
ロベール 「今日はもう終わりにしようか」
ロベール 「今夜は月も出ていないから、暗くて手元もよく見えないしね」
そう言われ、窓の外に目を向けると、空は雲に覆われ星影すら見えない。
ロベール 「部屋まで送っていくよ」
吉琳 「はい、ありがとうございます」
促すような眼差しを向けられ、私は立ち上がった。

***

月明かりの差し込まない室内は、いつもより薄暗い。
部屋まで送ってくれたロベールさんが、蝋燭を手に取った。
ロベール 「暗いと危ないから、蝋燭をつけてあげるよ」
慣れた手つきで明かりが灯され、部屋が仄明るくなる。
なんだかほっとしつつ、私はロベールさんに笑顔を向けた。
吉琳 「部屋まで送ってくれて、ありがとうございます」
ロベール 「お礼を言われるようなことじゃないよ」
ロベール 「じゃあ……おやすみ」
ロベールさんは私の頭を優しく撫でると、背中を向けてしまう。

(あっ……)
(アトリエでも、肖像画を描いていたからほとんど話せなかったのに)

吉琳 「もう行ってしまうんですか……?」
思わず声を掛けた私に、振り返ったロベールさんは瞳を瞬かせた。
ロベール 「え……?」
吉琳 「あ、いえ……もう少しお話できたらって」
吉琳 「……すみません、子供みたいなことを言って」
ロベール 「……」
短い沈黙の後、ロベールさんは唇の端をふわりと持ち上げる。
ロベール 「じゃあ、もう少し一緒にいようかな」
吉琳 「はい……!」
つい声が弾んでしまったことに照れ笑いを浮かべると、
ロベールさんは優しい微笑みを返してくれた。

***

ベッドに並んで腰かけながら、何気ない会話を楽しむ。
ふとロベールさんの瞳に蝋燭の灯が揺らめくのが見え、思わず見惚れてしまった。

(この綺麗な瞳が、デッサン中は私のことだけを見ているんだよね)

アトリエでのロベールさんの眼差しを思い出し、鼓動が速まっていく。
そんな私に気づいたのか、ロベールさんが小さく首を傾げた。
ロベール 「どうしたの? アトリエでも、どこか緊張していたよね」
ロベール 「俺と二人でいると落ち着かないかな……?」
吉琳 「ち、違うんです! ……ロベールさんが私を見ていると思うと、ドキドキしてしまって」
吉琳 「ロベールさんは真剣に絵を描いているのに……恥ずかしいです」
頬が熱を持つのを感じながら答えると
ロベールさんは小さく瞳を見開き、やがて笑うように吐息を漏らした。
ロベール 「本当に君は……どうしてそう可愛いことを言うのかな」
吉琳 「え……?」
ロベール 「君だけじゃない。俺だってドキドキしているんだよ」
思わぬ言葉に、今度は私が瞬く番だった。

(ロベールさんが……?)

吉琳 「本当ですか?」
ロベール 「ああ。これでも筆を持っている時は自分を抑えているんだ。絵描きとしてね」
笑みを深めると、ロベールさんが低く囁く。
ロベール 「でも今は……抑えなくてもいいかな」
おもむろに伸びた手が私の肩に添えられたかと思うと、そっとベッドに押し倒された。
私を見下ろすロベールさんの瞳は熱をはらんでいて……

(……っ絵を描いている時の、私を見る眼差しとは全然違う)
(男の人の目だ……)

見つめられるだけで、触れられたかのように肌が熱くなっていく。
吉琳 「あまり……見ないでください」
気恥ずかしさが込み上げ、隠すように身体をよじると
そんな私に、ロベールさんはふっと笑みを深めた。
ロベール 「隠さないで。綺麗な君をもっと見せてほしいな」
優しく掴まれた手の甲に、唇が添えられる。
吉琳 「あっ……ロベールさん……」
熱い吐息が甲を撫で、甘い眩暈に襲われた。
ロベール 「今からは……ひとりの男として、吉琳ちゃんをこの目に映させて」
微笑みを浮かべたロベールさんが、私の顔に影を落とす。
伏し目がちな瞳に、淡い蝋燭の灯が揺らめくのが見えた。

(絵を描いている時も、今も……)
(私はいつだってロベールさんにドキドキしてしまうんだな)

二人の息遣いだけが響く部屋で、私は注がれる熱い愛を全身で受け止めるのだった…―

 

[70枚特典]

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)
緩やかな風に、厚い雲が流されていくある休日の午後…―
アルバートに会うため、私はシュタインを訪れていた。

(アルバートと一緒に過ごせて本当に楽しかったな……)

湖を訪れた帰り道、馬を走らせるアルバートの後ろに乗り、思いを巡らしていると……
私の頬に冷たいものが触れた。

(雨……?)

アルバートも気づいたのか、馬を止めると、上着を私に掛けた。
アルバート 「空が暗いですね……雨足が強まるかもしれません」
アルバート 「飛ばしますよ。しっかり掴まっていてください」
吉琳 「は、はい」
アルバート 「もっとしっかり、腕を回してください。振り落とされますよ」
アルバートに促され、腰に腕を回す。
距離が近づき、大きな背中にどうしても頬が触れてしまった。

(硬い体……当たり前だけど、私とは全然違うんだな)

気恥ずかしさを感じたけれど、次第に慣れ、安心感を覚え始める。

(アルバートの温もりを感じていると、なんだかほっとする)

回した腕にそっと力を込め、私は馬を操るアルバートに身を任せた。

***

すっかり日が落ちた頃、無事シュタイン城に着き、
私はアルバートの部屋に足を踏み入れた。
窓から見える空は厚い雲に覆われ、室内は薄暗い。
アルバート 「少し濡れてしまいましたね」
アルバート 「寒くないですか?」
私にブランケットを掛けた後、アルバートがろうそくに火を灯す。
吉琳 「ありがとうございます、私は大丈夫です」
吉琳 「それよりアルバートがそんなに濡れてしまって……」
私に上着を渡したせいで、アルバートはシャツの中まで濡れてしまっていた。
吉琳 「よければ着替えてください」
アルバート 「……ああ、そうですね」
アルバートは自身の身体を見下ろすと、小さく息をつく。
ためらいなくシャツを脱ぐと、濡れたそれを傍らの椅子に掛けた。
ろうそくの明かりで、何もまとっていないアルバートの身体が浮かび上がる。

(こんなに鍛えていたんだ……)

普段は見ることのない、割れた腹筋に目を奪われてしまう。
吉琳 「すごいですね……」
思わず呟く私に、アルバートは怪訝そうに眉を寄せた。
アルバート 「何がですか?」
吉琳 「すごい腹筋だなって……あの、触ってもいいですか?」
アルバート 「なっ……!」
目元を赤くするアルバートに、はっと我に返る。

(私、つい……!)

吉琳 「すみません、違うんです! その、変な意味じゃなくて……」
吉琳 「つい触ってみたいなって……ごめんなさい」
赤くなった顔を隠すように、慌てて私は頭を下げる。
短い沈黙の後、アルバートは小さく息を吐いた。
アルバート 「い、いえ、急に言われたので驚いただけです」
アルバート 「別に構いませんよ」
上半身裸のまま、アルバートが顔を背ける。

(触ってもいいってことだよね……?)

吉琳 「で、では……失礼します」
アルバートの腹筋にそっと触れると、その硬さに驚く。
鍛え上げられた筋肉は、とてもしなやかで美しかった。
吉琳 「……アルバートが日々鍛錬をしているんだって、よく分かります」
そう伝えると、アルバートは平然と言葉を紡ぐ。
アルバート 「当然でしょう」
アルバート 「いざという時、あなたを守れないようでは困りますから」

(じゃあ、私を守るために……?)

淡々とした口調ながらも照れくさそうなアルバートに、胸が甘く締めつけられる。
その一方で、鍛え上げられた身体から手を離すことができなくて……
アルバート 「……まだ触るつもりですか?」
吉琳 「え?」
アルバート 「それ以上触れられると……抑えられなくなります」
眼鏡の奥の涼やかな瞳に、欲望の灯が宿る。
とっさに引っ込めようとした手を、アルバートが握った。
アルバート 「あなたも触ったんですから……俺もあなたに触れてもいいですよね?」
吉琳 「……っ」
吉琳 「そ、それは……」
優しく腕を引かれたかと思うと、視界が反転する。
背中にベッドのスプリングを感じた直後、視界いっぱいにアルバートが映った。
アルバート 「……俺を煽ったのは、あなたの方ですよ」
耳を少し赤くしたアルバートが、私の唇に触れるだけのキスを落とす。
直に伝わる熱は甘い夜の始まりを告げているようで……
私は熱くなった指先で、覆い被さるアルバートの背中を掴んだ…―


[110枚特典]

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)
星々の見えない濃紺の空に、雲だけが層となって重なり合う、とある日の夜…―
公務を終えた私は廊下を歩きながら、ふと窓の方を見た。

(今日は月が出ていないから、いつもより暗く感じるな……)

顔を前へと戻すと、向こうから恋人のユーリがやってくるのに気づく。
ユーリ 「吉琳様、お疲れさま」
吉琳 「ありがとう。ユーリも……」
笑顔を浮かべるユーリに言葉を返していた途中、強い風が吹き込んできた。
吉琳 「っ……!」
先ほどの風で、廊下に灯されていた蝋燭がすべて消え、周囲が暗闇に包まれる。

(何も見えない……っ)

突然のことに僅かな恐怖を感じ、身体を固くしていると……
ユーリ 「吉琳様、大丈夫?」
ユーリの声が近くで聞こえ、私はほっとして息をついた。
吉琳 「うん……びっくりしたけど、大丈夫だよ」
ユーリ 「締め忘れた窓があったのかもしれないね」
暗い中ユーリの声が聞こえた後、窓が揺れるような音がして思わず肩が跳ねる。
吉琳 「ずっとこのままでいるわけにもいかないし……誰か呼んでこないと……」
再び暗闇による恐怖が私の中で顔を出し始め、
声が少し上擦ってしまいながらも、一歩を踏み出そうとした。
ユーリ 「待って、吉琳様。方向も分からずに動くのは危ないよ」
吉琳 「あっ……そ、そうだよね……」
焦ってしまっていたことを反省して俯いていると、
少ししてユーリの指が私の肩に当たり、形を確かめるように触れられる。

(っ……ユーリ……?)

見えない恐怖とは違う理由で鼓動が速くなっていくのを感じていると、
その指は腕を滑っていき、手を握られた。
手のひら同士が触れ合う温かさが、ユーリの存在を強く感じさせてくれる。
ユーリ 「声、震えてたから……これで少しは怖くない?」

(私が落ち着けるように、気遣ってくれたんだ……それなのに、ドキドキするなんて)

少し恥ずかしくなりながらも、握られた手に僅かに力を込める。
吉琳 「……ありがとう、ユーリ。こうしてると安心する」
ユーリ 「良かった。これからどうするか、一緒に考えよう」
ユーリの顔は見えないけれど、その声音で微笑んでいることは分かる。
ユーリ 「本当は、誰かに明かりをつけてもらえるのが一番だけど……」
吉琳 「夜だから、灯が消えたことにすぐには気づいてもらえないかもしれないよね……」
先ほどから窓の動く音や風の音は聞こえても、足音など人の気配は全くしていない。
ユーリ 「そうだね……それなら、どこかの部屋に入るのが最善かも」
ユーリ 「ここから一番近いのは吉琳様の部屋だから……」
ユーリ 「壁を伝いながらなら行けそうかな。ついてきて」
吉琳 「うん、分かった」
重ねていた手は、指を絡めるように握り直される。

(さっきまではすごく怖かったのに、今はそれよりも……)

姿が見えない分、手に感じる温もりに鼓動が一層高鳴る。

(いつもお茶を淹れてくれる時は繊細な手だって思っていたのに……)
(こうして触れていると、男の人の手だってことを意識してしまう)

骨ばっている頼もしい手に誘導され、私はゆっくりと前へと進んでいった。

***

ユーリのおかげで、なんとか私の部屋に入ることができた。
ユーリ 「やっぱり蝋燭の灯があると安心するね」
吉琳 「そうだね……」
未だに手のひらから感じる熱が、繋がれたままの手を強く意識させる。
乱された鼓動は落ち着かず、ぎこちなく視線を彷徨わせてしまった。
ユーリ 「……吉琳様? どうしたの、顔が真っ赤だよ」
吉琳 「え……?」
ユーリの言葉に近くにあったドレッサーの鏡を覗き込むと、耳まで赤くなっている。
ユーリ 「大丈夫? もしかして体調悪い?」
吉琳 「ち、違うの、手を繋いでいるから……」
心配をかけないように慌てて否定する私に、ユーリがきょとんとした顔になった。

(あっ、どうしよう……つい、言ってしまったけれど、)
(それだけでドキドキしたなんて、なんだか恥ずかしい……)

ユーリ 「……手を繋ぐと赤くなるの?」
どこか意地悪く見える笑みを浮かべたユーリは、もう一方の手も指を絡めて握った。
吉琳 「……っ」

(これ以上赤くなった顔をユーリに見られたくない……)

とっさに手を引っ込めようとすると、ユーリの瞳が悲しそうに揺れる。
ユーリ 「……俺と手を繋ぐの、嫌?」
吉琳 「ち、違うよ、そうじゃなくて……」
吉琳 「なんだか緊張してしまうから……」
ユーリの悲しい顔は見たくなくて、解きそうになった手を改めて繋ぎ直す。
するとユーリは、ふっと表情を和らげた。
ユーリ 「それなら安心した」
ユーリ 「だけど、いつもは手を繋いだくらいじゃここまで赤くならないのに不思議だね」
吉琳 「う、うん……」
ユーリの指先が、繋いだままの私の指の間を優しく撫でる。
戯れるような指の動きは、まるで誘っているようで……
つい目で追うと、ユーリの笑うような吐息が空気を揺らした。
ユーリ 「可愛いね、吉琳様」
ユーリ 「そんな顔を見せられると、堪らなくなる」
ユーリの手が離れた直後、急に視界が高くなり、横抱きにされたことが分かる。
吉琳 「ユ、ユーリ……!」
ユーリ 「良い子だから、じっとしてて」
そのままベッドまで運ばれると、優しく押し倒された。
視界いっぱいに微笑むユーリが映る。
ユーリ 「俺の手、安心するって言ってくれたよね」
ユーリの手が服の上から身体の線をなぞる。
恥ずかしいのに、蝋燭に照らされる指は綺麗で目が離せない。
吉琳 「っ、待って、ユーリ……」
ユーリ 「駄目」
ユーリ 「そんな可愛い顔をする、プリンセスがいけないんだよ?」
ユーリの指にそっと唇を撫でられ、甘い感覚に心が震えた。
ユーリ 「ほら、部屋もまだいつもよりは暗いから……」
ユーリ 「怖くなくなるまで、触れ合ってよっか」
耳元で囁かれた甘い声に抗うことはできず、私は小さく頷いた。

(もう恐怖なんて感じないのに……拒めないよ……)

ユーリの指が素肌をなぞるたび、呼吸が乱れていく。
部屋に甘やかな空気が満たされていく中、私は優しい感触に身を任せた…―


[160枚特典]

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)
澄んだ風が心地良い、月のない夜のこと…―
私はひとり、自室の窓から庭を眺めて溜息をついていた。

(シドは仕事が終わりそうだったら、逢いに来るって言ってたけど……)
(やっぱり忙しかったのかな)

恋人であるシドは、夜遅くまで情報屋の仕事をしていることが多い。
会えない寂しさが胸を微かに軋ませ、私はもう一度溜息をついて窓を閉めた。

(今日はもう来なさそうだし、そろそろ寝よう……)

そう思ってベッドに向かおうとした瞬間、ドアをノックする音が響いた。
返事をすると、ドアがゆっくりと開いていき……
シド 「よう」
吉琳 「シド……!」
ドアの向こうから姿を現したのは、私が待ち焦がれていたシドだった。
嬉しさで、すぐにシドに歩み寄っていく。
吉琳 「お仕事お疲れさま。随分遅かったけれど、何かあったの……?」
見上げると、シドは口端を上げて笑ってみせた。
シド 「いや……新月でいつもより視界が悪かったから、客と落ち合うのに苦労してな」
シド 「場所も入り組んでたせいで、思ったより時間がかかっちまった」
吉琳 「それは大変だったね……もう遅いし、家に戻って休んでくれて良かったのに」
心配から出た私の言葉を聞き、シドは笑みを深めながら顔を近付けてくる。
シド 「お前が寂しがってると思ったんだが……本当に来なくても良かったのか?」
吉琳 「それは……もちろん会いたかったよ。でも、仕事で疲れてるなら無理してほしくないから」
真っ直ぐに見つめながら真剣に返す私に、シドは一瞬目を見開いたあと、小さく笑った。
シド 「お前はそういう女だよな」
シド 「でも俺は仕事終わりに好きな女に逢いにきて倒れる程、柔じゃねえよ」
シドの大きな手が、私の頭をくしゃくしゃと撫でる。
その感触に胸が温かくなっていくのを感じながら、ベッドを指し示した。
吉琳 「ありがとう。でも、もし休みたくなったら私のベッドを使ってすぐに休んでね」
シド 「それは誘ってんのか?」
吉琳 「もう……すぐからかうんだから」
照れの混じった呟きは、思っているよりも拗ねたように響いた。
シドはそんな私を見て優しく目を細めた後、ふと思い出したかのように声を上げる。
シド 「そうだ、包帯をもらえるか?」
吉琳 「え……どこか怪我したの!?」
シド 「ああ、少しな」
シドは肩を竦めながら、平然として言った。
吉琳 「大丈夫……?」
尋ねると、安心させるように微笑まれる。
シド 「大したことねえからそんな顔すんな」
吉琳 「でも……心配だから、私に手当てさせて」
シド 「あのな……本当に少し掠ったぐらいだぞ」
大袈裟だと言いたげなシドは、それでも私の必死さに根負けしたのか、やがて頷いた。
シド 「……まあ、背中だしお前に頼むか」
吉琳 「うん、任せて。とりあえず、傷を見たいから脱いでもらってもいい?」
シド 「『脱いで』なんて、大胆だな」
再びからかうように笑われて、私はあえて眉を吊り上げてみせた。
吉琳 「もう、ふざけないで。ベッドに座って見せて」
シド 「分かったから、そう怒るなって」
にやりと笑ったシドがベッドに向かうのを確認し、私は再び包帯を探す作業に戻る。
包帯の他に薬なども手に取り、シドの方を振り返ると……
シド 「……」
シドは既に上の服を脱ぎ、こちらに背中を向けていた。
暗がりの中、蝋燭の灯りに背中が照らされ、滑らかな肌を陰影が彩っている。

(背中なんてあまり見たことがなかったけれど、こんなに大きくて逞しいんだ……)

自分のものとは違う、男の人の均整のとれた背中に、心臓の辺りがざわめいた。

(ちょっと、緊張するな……)

そんなことを考えながら、私はそっとシドの後ろに座る。
筋肉の浮き出た綺麗な背中には、一筋の赤い線が走っていた。
吉琳 「少し血が出てるけど、傷は浅いみたい」
シド 「だから大したことねえって言っただろ」
吉琳 「でも、手当てはしっかりしておかないと」
苦笑するシドにそう返しつつ、私は傷口に薬を塗り込んでいく。
そして無事に処置を終え、包帯を巻こうとして、
まるで後ろから抱き着くような体勢になっていることに気が付いた。

(こんな体勢……どうしよう、恥ずかしい)
(心臓の音が速くなってるの、シドに気づかれないかな……)

緊張しながらも、集中して包帯を巻き終える。
ふっと息を吐いて、私はシドの背中の怪我をしていない部分を労わるように撫でた。
吉琳 「終わったよ、早く治るといいね」
シド 「……吉琳」
シドがゆっくりと振り返ると、熱のこもった瞳と視線が絡み合う。
想像もしていなかった表情に、大きく鼓動が跳ね、そのまま早鐘を打ち出した。
急激に濃密さを増していく空気に、私は慌てて立ち上がる。
吉琳 「わ……私、手当ての道具を片付けてくるね」
シド 「待てよ」
逃げようとする私を、シドが後ろから抱きしめて引き留めた。
シド 「自分の女にこんなに触られて、我慢なんてできるわけねえだろ」
シドは私の耳元で囁きながら、ゆるゆると背中を撫でてくる。
吉琳 「っ、シド……?」
その手つきはどこか甘く、熱の灯った指先が何度も滑っていった。
鼓動がうるさくなるのを感じていると、触れていた手が胸元に滑る。
シド 「なんだ、お前も同じじゃねえか……服越しでも、我慢できてねえ音が伝わってくる」
シドは小さく笑うと、そのままゆっくりと私をベッドへと押し倒す。
鼓動の速さを悟られた恥ずかしさに、私は赤くなった頬を逸らした。
シド 「隠すなよ」
シド 「全部見せろ。お前は……俺のものだろ?」
余裕たっぷりに目を細めるシドに、敵うはずがないと思いながらも
シーツを爪先で引っ掻き、小さな声でせめてもの抗議をする。
吉琳 「シドが意地悪なこと、言うから……」
シド 「なら、もっと意地悪してやろうか?」
シド 「お前がどうされたいか言うまで……お預けだ」
降ってきたシドの唇は、私の唇ではなく頬の辺りに押し当てられた。
柔らかい感触は何度も何度も落ちてくるものの、それは絶対唇には触れてくれなかった。

(唇にしてほしい。でも、そうしたらきっとお互い止まれなくなるから……)

シド 「ほら、素直に言わなくていいのか?」
耳元で囁いたシドが、そのまま耳朶を甘く食んだ。
彼から与えられる刺激に翻弄されながらも、私は首を横に振る。
吉琳 「怪我してるシドに、無理してほしくない、から……」
シド 「……本当にお前ってやつは」
シド 「心配いらねえって言ってるのにな」
柔らかい声にふっと視線を上げると、こちらを見下ろすシドは、ひどく優しい顔をしていた。
愛でるような視線が私に降り注ぎ、彼の親指がそっと唇をなぞる。
それはまるで望む未来の予告のようで、甘い疼きが胸に広がっていく。
シド 「今日は特別だ……素直じゃないお前にも、望むこと全部してやるよ」
下りてきた唇は、知らせ通りに優しく、私に口づけを贈ってくれたのだった…―


[200枚特典]

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)
木炭で厚く塗りこめたような月のない空が広がる、とある日の夜…―
隣国との会合を控えていた私は、自室でも国の歴史について勉強していた。
理解が難しい内容に行き詰まっていると、ドアをノックする音が聞こえてくる。
吉琳 「はい、どうぞ」
振り向いてした返事の後、ドアがゆっくりと開き、
蝋燭を立てた燭台を手に持ったジルが入ってくる。
直後、ふわりと良い香りが鼻をかすめた。

(何の匂いだろう……)

気になりながらも、近づいてくるジルを見る。
吉琳 「こんな時間にどうしたんですか?」
ジル 「貴女の方こそ、こんな夜遅くまで机と向き合って……勉強ですか?」
ジル 「熱心に頑張っているところは感心しますが……」
ジルが傍まで来ると、燭台を持つ手が淡く蝋燭に照らされているのに目がいった。
ジル 「今日は月も出ていなくて暗いですから」
ジル 「部屋だけでなく近くにも蝋燭を置かなければ、目が疲れてしまいますよ」
言われて見回した室内は、いつの間にかすっかり夜の色が濃くなっている。
吉琳 「こんなに暗くなっていたんですね……」
吉琳 「もう少しで会合なので、あちらの国の歴史を覚えようと必死で気づきませんでした」
照れ笑いを浮かべる私に、ジルもふっと笑みを浮かべる。
ジル 「レオの座学の時に、夜も勉強すると言っていたと聞きました」
ジル 「貴女なら蝋燭をつけるのも忘れて集中しているかもしれないと思いましたが……」
ジル 「来てみて正解でしたね」
まるでジルの優しさを反映するように、その瞳には蝋燭の灯りが反射していた。

(そうだったんだ……まるでジルには、すべて見透かされているみたいだな)

吉琳 「……ありがとうございます」
ジル 「いえ、お礼などいりません。貴女のことを心配するのは当然でしょう?」
ジル 「教育係としても……貴女の恋人としても」
そう言って、ジルが笑みを深める。
吉琳 「……そう言っていただけて、嬉しいです」
はにかむと、ジルがそっと机の上に燭台を置く。

(あ、また良い香りがする……)

ジルが入ってきた時と同じ匂いを、先ほどよりも強く感じた。
吉琳 「もしかして……ジル、香水をつけてますか?」
私が問いかけると、ジルがこちらに目を向ける。
ジル 「ええ。輸入を検討してほしいと言われているものを、試してみまして」
ジル 「ちょうど女性の意見も聞きたいと思っていたんです。どうでしょうか?」
ジルが不意に私の鼻先へ腕を近づける。
男らしく骨ばった手首にどきりとしながらも、そっと匂いをかいだ。
吉琳 「ほっとする匂いですね……良い香りだと思います」
ジル 「そうですか……」
ジル 「この香水は、疲れているとより落ち着く匂いに感じるそうですよ」
ジル 「そろそろ休まれてはいかがですか?」
ジルの瞳には、僅かに心配の色がにじんでいる。

(ジルには申し訳ないけれど、決めたところまでは頭に入れたい……)

吉琳 「……だけど、もう少しで終わりますから」
大丈夫だと伝えるように微笑むと、ジルは机の上に視線を落とす。
羊皮紙には、勉強して出てきた疑問点を記した文が連なっており、
私はさり気なく手で隠した。

(苦戦してるって、気づかれちゃったかな)

視線を泳がせていると、そっと手を重ねられて思わずジルを見る。
ジル 「よろしければ、手伝いますよ」
吉琳 「え……そんな、申し訳ないです」
ジル 「遠慮することはありません」
ジル 「私たちは恋人同士なんですから、もう少し頼るということも覚えてください」

(恋人……)

改めて言葉にされると、気恥ずかしさを覚えてしまう。

(ジルがせっかく言ってくれたんだから、頼っても良いのかな……)

吉琳 「それじゃあ……お願いします」

***

私の後ろに立ったジルが、本を指さしながら教えてくれる。
蝋燭に照らされた指が動く度、良い香りが漂い、鼓動が落ち着きを失くした。

(なんだか集中できない……)

歴史書を見なければいけないのに、つい目で追うのはジルの手ばかりになっている。
ジル 「……せっかく教えて差し上げているのに、よそ見ですか?」
吉琳 「す、すみません……」
ジルの呆れたような声音に慌てて謝るけれど、短く溜め息をつかれてしまう。
ジル 「集中力が切れてきたようですね」
ジル 「そういう時に無理をしても頭には入ってきません」
本の文字を示していた指がゆっくりと持ち上がり、私のネグリジェのリボンに触れた。
吉琳 「……っ」
ジル 「今から私が出す問題で不正解が続くようなら、貴女には休んでいただきましょう」
ジル 「分からなかった部分は明日、私が教えますから」
吉琳 「は、はい……」

(だけど、どうしてリボンに手を……?)

問うことができないまま、ただ出された質問に答えていく。
最初の数問は正解できたものの、どうしてもリボンにかかったジルの指が気になり、
段々と間違った答えばかりになってしまう。
ジル 「また不正解、ですね」
呟いたジルが突然私のリボンを解いて、驚きに小さく身を跳ねさせる。
吉琳 「ジ、ジル……? いったい何を……」
ジル 「次にいきますよ」
私の問いかけには答えずに、ジルが再び問題を出す。
けれどまた間違えてしまい……
吉琳 「あの、ジル……あっ!?」
今度はネグリジェの肩ひもを下ろされてしまった。
恥ずかしいと思う間もなく、ジルが私の肩先に唇を添える。
柔らかな唇の感触に、鼓動が甘く乱された。
ジル 「あと一問間違えたら終わりです」
ジル 「次は休む準備だけでなく、本当に休んでいただきますよ」
ジル 「こんな風に……」
ジルは少し意地悪く聞こえる声音で言った後、何度も私の首筋に口づけを落とす。

(休むって……『眠る』ってことだけじゃなくて、もしかしてジルと……)

甘い夜の予感に鼓動がうるさくなるのを感じていると、ジルの口が耳元へと寄せられる。
ジル 「最後の問題です」
ジル 「……私にこうして休まされるのは、嫌ですか?」

(それは問題じゃなくて質問じゃ……)

ジル 「貴女は勉強を続けたがっていましたから、『嫌』と答えるのが正解になりますね」
突然のことにどう答えるべきか迷っていると、顎を掬われ、吐息ごと唇を奪われる。
吉琳 「んっ……」
短いキスの後、唇が離れて甘やかな呼吸が頬を撫でた。
ジル 「私は貴女と休みたい……ですから、『嫌でない』と答えてこの問題を間違えてほしい」
ジル 「……さあ、どうしますか?」

(キスなんてされて、そんなことを言われたら……)

瞳を細めるジルを見つめ返し、私は小さな頷きを返す。
吉琳 「……嫌じゃ、ないです」
ジル 「では……お休みの時間ですね」
ジルが机の上の蝋燭を吹き消し、部屋が仄暗くなる。
ジル 「こうして素直なところも、公務のため懸命に励むところも、」
ジル 「私は、心から貴方の全てを……」
ジル 「愛していますよ」
薄い闇に包まれる中、ジルが先ほどよりも深く口づけてくる。
そのままジルに導かれ、ベッドに体を横たえると香水の匂いが甘く香った。
吉琳 「私も、ジルを愛しています……」
ジルとの長い夜を予感して、私は落とされるキスに精一杯応えるのだった…―


[250枚特典]

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)
雲の多い空にまばらな星だけが浮かぶ、とある日の夜…―
レオの部屋で会う約束をしていた私は、人気のない廊下を歩いていた。
窓に目を向けると、外にはいつもより深い闇が広がっている。

(今日は月が見えないから、廊下もいつもより暗いな……)

突然、後ろからカタンと音が聞こえて反射的に振り返るが、誰もいない。

(……風で窓が揺れただけだよね)

そうは思っても一度感じた恐怖を拭うことはできず、
つい後ろばかりを気にして見てしまう。
その時、誰かとぶつかったような柔らかな衝撃を感じる。

(っ……!)

私は慌てて前を向いた。
吉琳 「ごめんなさい……!」
レオ 「吉琳ちゃんこそ、大丈夫?」
心配そうに顔を覗き込まれ、ぶつかったのがレオだったと気づく。
私はいつの間にか、レオの部屋の前まで来ていたようだった。
吉琳 「う、うん、平気」
レオ 「今日は暗いから、いつもより周りに注意しなきゃダメだよ?」
レオ 「そうじゃないと、こんなふうにされちゃうかも」
不意に抱き寄せられたかと思うと、レオがぐっと顔を近づける。
吉琳 「……っ」
吐息が唇を撫でるほど縮まった距離に、思わず息を詰めた。

(こんなに近いとドキドキする……あれ……?)

ふと目がいった唇に、違和感を覚える。
吉琳 「上唇のあたり少し赤くなってるけど……どうしたの?」
レオ 「……もう少しでキスするかもって状況で聞いちゃうんだ?」
レオ 「優しい吉琳ちゃんらしいけど」
動きを止めたレオがくすりと笑みを漏らした。
レオ 「さっき温かい飲み物を飲んだ時、火傷しちゃったんだ」
レオ 「でも、使用人が薬をくれたから大丈夫。気が利く人で、すぐに気づいてくれたから」
吉琳 「そっか、それなら良かった」
ほっと息を吐きながらも、ある思いが胸をよぎった。

(でも、そんなに直ぐに手当てできたなんて、)
(その使用人の方は、よくレオを見ている人なんだろうな……)
(……その方って、もしかしてレオのこと……)

胸の中に渦巻くもやもやとした感情のせいで、赤いレオの唇を見つめてしまう。
レオ 「立ち話もなんだし、中に入ろうか」
吉琳 「うん……」
レオに促され、私は部屋に足を踏み入れた。
部屋の中の蝋燭は、ベッド付近に一本置かれているだけだった。
すぐには目が慣れなかったものの、何度か瞬きを繰り返すうちにぼんやりと見えてくる。
レオ 「今ちょうど蝋燭が一本しかなくて……暗くてごめんね」
吉琳 「大丈夫。まったく見えないわけじゃないし、気にしないで」
微笑んだレオが、気遣うようにそっと私の肩に手を置いた。
レオ 「そういえば今日の公務、大変そうだったけど疲れてない?」
吉琳 「平気だよ。プリンセスとしては、まだまだ頑張らないといけないくらいだし」
首を横に振るが、レオは眉を下げて私を覗き込む。
レオ 「本当に? 無理してないか心配だな……あっ」
レオ 「そういえば、火傷の薬をくれた使用人が薬草に詳しいらしいんだ」
レオ 「何かリラックスできるものがあるか聞いてみようか?」
笑顔のレオの口から使用人という言葉が出て、先ほどのもやもやが蘇ってくる。

(レオがせっかく言ってくれているのに、こんな気持ちになるなんて……)
(だけど……)

なかなか返事ができずにいると、レオが私の手を取った。
レオ 「吉琳ちゃん、ちょっとこっちに来て」
吉琳 「え? う、うん」
連れていかれたベッドに腰を下ろすと、レオも隣に座る。
そして、心配そうな眼差しが私に向けられた。
レオ 「……元気がないようだけど、何かあった?」
レオ 「それとも、俺が何かしちゃったかな……?」
レオの瞳が不安げに揺らぐのが分かり、申し訳ない気持ちに襲われる。

(レオと一緒にいるのに、私がこんな気持ちじゃいけないよね……)
(それに、素直に話した方が気持ちもすっきりするかもしれない)

吉琳 「違うの、そうじゃなくて……」
吉琳 「レオは人気があるから、さっき話してくれた使用人の方みたいに……」
吉琳 「王宮でもレオのことを見ている人は多いのかなって、気になって」
レオは少しの間黙った後、首を傾げる。
レオ 「……もしかして、嫉妬?」

(……確かに、レオの言う通りかもしれない……)

自分の中にすとんと落ちてきた言葉に俯きがちに頷くと、レオは口元を緩めた。
レオ 「嫉妬する必要なんてないのに。さっき話した使用人って、男の人だよ」
吉琳 「え……?」
顔を上げた直後、レオが私の耳にかすめるようなキスを落とす。
突然のキスと勘違いの気恥ずかしさから、頬に熱が集まっていった。
レオ 「吉琳ちゃん、可愛い」
微笑みを浮かべたレオの唇が、部屋の中に唯一ある蝋燭に妖しく照らされる。
甘いキスの雨が、順々に首筋や喉に降らされていく。
乱れた鼓動をどうすることもできず、私は逃げるように体をよじらせた。
吉琳 「ま、待って……レオ……」
体をよじらせた勢いでベッドに倒れ込んでしまうと、
レオが覆いかぶさるような体勢になる。
そして、手を取られたかと思うと、腕にキスをされた。
レオ 「待てないよ」
レオ 「ねえ、吉琳ちゃん。キスする場所には意味があるって知ってる?」
吉琳 「意味……?」
レオ 「そう、耳は誘惑、腕は恋慕、首筋は執着……」
まるで誘うように言葉を発する唇に、目が奪われる。
レオは私を見つめたまま腕に触れていた口を滑らせて、
まるでこちらからキスしているかのように、自分の唇に私の指先を触れさせる。
レオ 「俺がこうして触れることを許すのは、吉琳ちゃんだけ」
レオ 「もちろん同じように……」
レオ 「こうして君に触れられるのは、俺だけだよ?」
吉琳 「……っ」
レオの唇が蝋燭の灯に浮かび上がり淡い赤色に揺らめく。
その情景に、心が絡め取られていくような感覚に陥っていく。
レオ 「吉琳ちゃん……」
私を呼んで身を寄せたレオに耳へとキスされ、誘われていることを自覚した。
レオ 「大好きだよ。俺のプリンセス」
甘い吐息を漏らした唇が、私の口を塞ぐようにキスをする。

(レオ……)

ベッドが軋んだ音を立てる中、私は愛するレオの首にそっと腕を回した…―

 

[300枚特典]

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)
月が完全に隠れてしまった、静かなある日のこと…―
私は恋人であるレイヴィスに会うために、フレイ地区を訪れていた。

(一日中デートをしてたら、もうこんな時間になっちゃった……)

街を目的もなく散歩するというデートを楽しんだ私たちは、
完全に日が沈んだところで、ようやくレイヴィスの部屋に戻ってきた。
レイヴィス 「待ってて。今、蝋燭をつけるから」
上着を脱いでシャツ姿になったレイヴィスが、火を灯してくれる。
月明かりもなく、薄暗かった部屋が微かに照らされ、レイヴィスの姿がぼんやりと浮かび上がった。
レイヴィス 「おいで、吉琳」
吉琳 「うん。……お邪魔します」
私はソファに座るレイヴィスの隣に腰を下ろすと、
先ほどまでのデートに思いを馳せながら、彼へのお礼の言葉を口にした。
吉琳 「……今日はすごく楽しかった。ありがとう」
レイヴィス 「良い買い物もできたしね」
微笑むレイヴィスが、その綺麗なラインを描く首元に手をやる。
そこには先ほどのデートで買った、私とお揃いのロケットペンダントがあった。

(店の人が『カップルがお揃いでよく買う』って言ってたから買っちゃったけど……)
(レイヴィスは本当に良かったのかな)

レイヴィスがネックレスをしているところは、今まで見たことがない。

(付けてみたらやっぱり煩わしいとか、あったりして)

そんなことを思っていると、
ペンダントトップを弄んでいたレイヴィスが、私を見つめてふっと目を細めた。
レイヴィス 「不安そうな顔しなくて良いよ」
レイヴィス 「ひとつくらい持ってても良いかと思った気持ちに、嘘はないから」
私の心を読んだかのように言うと、微笑んでくれる。
吉琳 「……本当?」
レイヴィス 「ああ」
レイヴィス 「まあ……お前が『お揃い』をしたそうだったっていうのもあるけどね」
吉琳 「えっ」

(気づいてたんだ……!)

店頭で、私が口に出せずにいた想いをレイヴィスは察してくれていたらしい。
恥ずかしさや嬉しさが入り交じり、顔が熱くなるものの、レイヴィスはそれ以上私を追求しなかった。
レイヴィス 「……あれ、取れないな」
ペンダントを外してデザインを直接見るつもりなのか、レイヴィスは自身の首の後ろに手を回している。
レイヴィス 「やっぱりこういうのは、普段から付けてないと駄目だな。慣れなくて……」
吉琳 「あ、私がやるよ」
手伝おうとレイヴィスの背後に回る。
金具を外すために顔を寄せると、蝋燭に照らされた首筋に目が惹かれた。

(なんだか、レイヴィスの首筋って綺麗だな……)
(色っぽいというか……)

ペンダントがあるせいで、今日一日何かと意識してしまっていた首筋を間近で見て、
心臓が早鐘を打ち始めてしまう。
吉琳 「……はい、取れたよ」
赤くなっているであろう顔を背けるように、ペンダントを手渡す。
けれど、レイヴィスは笑みを浮かべながら私の顔を覗き込んだ。
レイヴィス 「顔が赤いけど、どうしたの?」
吉琳 「え、えっと……」
ちらりと視線を上げれば、楽しげに目元を緩めるレイヴィスが瞳に映る。

(もう気づかれてるのかも……)

レイヴィスを誤魔化せるはずもなく、私は素直に白状する羽目になってしまった。
吉琳 「レイヴィスの首筋って綺麗だなって……」
レイヴィス 「へえ?」
私の返答に、余裕そうに笑ったレイヴィスは、
自分の首元を覆っていたスカーフを緩慢に緩め始めた。
レイヴィス 「目を逸らさなくても、お前になら見せてあげるのに」
しゅる、という衣擦れの音と、骨ばった指の妖艶な仕草に、心臓がさらにうるさく騒ぎ立てる。
先ほどよりもはだけられた首元が、蝋燭に照らされて白く浮かび上がっていった。
吉琳 「やっぱり、綺麗……」
見惚れる私に、レイヴィスは目を細めると喉奥だけで笑う。
レイヴィス 「俺はお前の首筋の方が好きだけどね」
吉琳 「え?」
レイヴィス 「こことか、特に」
すっと顔を寄せてきたレイヴィスが、私の首筋を甘く食んだ。
ちり、という微かな痛みと甘い刺激に、鼓動と呼吸が乱れる。
慌てて近くにあった鏡に視線を向けると、彼の唇が触れていた場所には赤い跡が残されていた。
吉琳 「レイヴィス……!」
レイヴィス 「お前も、俺につけてみたら?」
レイヴィス 「お前になら、許してあげるから……」
跡を指先でなぞって、レイヴィスは余裕を口の端ににじませる。
その様子に、拗ねたような気持ちが湧き上がってきて、私はつい呟いてしまう。
吉琳 「私はドキドキしてるのに、レイヴィスは余裕って感じで、ずるい……」
私の言葉に、レイヴィスは薄く微笑んだ。
レイヴィス 「俺の余裕崩したいなら、もっと大胆に迫ってみたら? ほら好きなだけしてみなよ」

(……そこまで言われたら、このまま引き下がるのも……)

私はスカートの端を一度握りしめて、覚悟を決めると、
思い切ってレイヴィスの首筋に口づけ、甘く吸いついた。
ゆっくりと唇を離すと、うっすらと色づく跡が私の目に映る。
レイヴィス 「……そんなふうにされたら、俺も黙ってられないな」
笑みを深めたレイヴィスが、付いたばかりの跡をさらしながら私をベッドへと押し倒した。
背中にベッドのスプリングを感じながら、彼の微かに熱の灯る視線を受け止める。
伸びてきたレイヴィスの指先が、私の首筋にそっと触れた。
レイヴィス 「ロケットペンダントがなくても、お揃いだな」
吉琳 「え……?」

(お揃いって、何が……)

そこまで考えて、彼の視線が私の首筋に注がれている意味に思い至る。

(この『赤い跡』がお揃い、っていう意味……?)

理解と同時に、じわじわと頬が火照っていく。
そんな私の反応に満足したのか、甘く笑んだレイヴィスがゆっくりと私の唇をキスで塞いだ。
その感触と、首筋に残る微かな疼きに、私は今夜が甘く熱い夜になることを予感するのだった…―


[350枚特典]

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)
月の上に雲のかかる、穏やかで静かなある晩のこと…―
私は恋人であるルイと共に、別荘で過ごしていた。
目の前の食卓には、私が作った夕食が並んでいる。

(ルイが私の手料理が食べたいって言ってくれたから作ったけれど……)
(上手に出来て良かった)

吉琳 「それじゃあ……」
私の声を合図に互いに目線の高さまでワイングラスを上げて視線を合わせる。
ルイ 「うん、乾杯」
微笑み合って、ワインを一口飲んでからグラスをテーブルに置いた。
ルイ 「いただきます」
吉琳 「はい、召し上がれ」
料理に手を付け始めたルイを、緊張しながら見つめる。

(喜んでもらえるといいな……)

薄い唇にスプーンが吸い込まれていくのを待って、そっと声をかけた。
吉琳 「どうかな?」
ルイ 「……すごく美味しい」
私に向かって顔をほころばせたルイが、すぐにもう一度料理を口に運ぶのを見て、
じんわりと心が温かくなっていく。
吉琳 「良かった……好きなだけ食べてね」
微笑み返し、私も自分の分に手を付け始めたものの……

(ルイって、やっぱり食事をする仕草も上品だな……)

視界に入ったルイに見惚れ、思わず手が止まってしまった。
暖かいスープを口に運ぶ所作、一つ一つが丁寧で、洗練されている。

(私も作法は学んでるけど……あんな風に美しく見えるのはどうしてだろう)

学ぼうとじっとルイを見つめていると、ふと食べるルイの口元に目が留まった。

(あの唇が、いつも優しく私に触れてくれて……)

自分のものよりも少し温度の低い、薄くとも柔らかな感触をつい思い出してしまう。
ルイ 「手が止まってるけど、どうかした?」
吉琳 「えっ」
我に返ると、首を傾げたルイがこちらを見つめていた。
吉琳 「う、ううん、なんでもないよ」

(ルイとのキスを思い出してたなんて気づかれたら、恥ずかしい……)

慌てて誤魔化し、私は何事もなかったかのように食事を再開したのだった。

***

食事を終えた私たちは部屋へと戻り、寝る準備を整えてベッドに入っていた。
月のない今夜は、室内に蝋燭を灯していても、いつもより薄暗い。
ルイ 「夕食、作ってくれて嬉しかった……ありがとう」
私の隣に寝そべっているルイの方を見ると、こちらを向いて薄く微笑んでいた。
吉琳 「どういたしまして。ルイが美味しそうに食べてくれて、幸せだったよ」
ルイ 「……また作ってくれる? 吉琳の手料理なら、何度だって食べたい」
吉琳 「もちろんだよ」
笑顔で返事をした後、僅かに頭がぼんやりとする。

(少し飲みすぎたかな……)

私は自分の火照った頬に手を当てると、目を閉じてそっと熱い息を吐き出した。
ルイ 「ねえ、吉琳」
吉琳 「何? ルイ……」
声に反応して目を開けると、ルイの顔が互いの吐息を感じられるほどの距離にあって、
驚きのあまり言葉が続かなくなる。

(ち、近い……!)

ルイ 「吉琳の顔、よく見たいのに暗いから……駄目?」
眉を下げながら聞かれて、その姿に胸が甘く締め付けられた。
吉琳 「……ううん、駄目じゃないよ」
安心させるようにはにかんでみせると、ルイは表情を緩めた。
ルイ 「良かった。……吉琳に聞きたいことがあるんだけど、いい?」
吉琳 「うん、何?」
続く言葉を促すように見つめると、暗闇の中、灯に照らされた唇がゆっくりと開かれる。
ルイ 「さっきの食事の時……俺のこと、何度も見てたよね?」
吉琳 「え……」
言い当てられ、どきりとする。

(キスを思い出してたことまでは気づかれてないだろうけど、何だか恥ずかしい……)

吉琳 「ルイは食べる姿も綺麗だなって思わず見てしまって……嫌だった?」
私が照れのにじんだ声音で窺うように問うと、ルイの端正な顔が寄せられた。
ルイ 「ううん、吉琳にならもっと見てほしい」
薄暗い中浮かぶ、弧を描いた淡い赤に自然と目がいってしまう。
ルイは、互いの唇に吐息が掠めるほど近付いて……
ルイ 「それに、俺も君を見てたから」
温度を持つ言葉と共に、柔らかな感触が唇に押し当てられる。
そのまま何度もついばむように口づけが落とされ、甘い空気に体温が上がっていく。
ただでさえお酒で火照っていた体が、とろりと溶けてしまいそうだった。
吉琳 「っん、ルイ……っ」
吐息混じりに名前を呼ぶと、目元を緩めたルイが私をしっかりと抱き寄せた。
ルイ 「何か……ちょっと熱いかも。……それに、もっと君に触れたい」
ルイは甘えるように首元に頭をすり寄せ、そこにも唇を落としてくる。

(可愛いけど、もしかして……)

吉琳 「ルイも結構酔ってる……?」
ルイ 「……少し」
ルイはこちらを濡れた瞳で見上げると、私の頬を両手で包んで耳元に口を寄せる。
ルイ 「もっとキス、したい」
熱っぽく、懇願するような声音で囁かれて、鼓動が跳ねた。
ルイ 「食事してる間、吉琳を見た時に食べる口元に目がいって……」
ルイ 「でも今は……って我慢してたから」
ルイ 「本当は、すぐにでも触れたかった」
どこか陶然とした、微かに欲のこもる瞳が私をとらえる。

(こんなふうにお願いされたら……)

ルイの言葉に、胸が愛おしさでいっぱいになって、気付けば私は頷いていた。
ルイ 「吉琳……」
堪らないというように、ルイが再び私に熱い唇を重ねた。
何度も、何度も落とされるキスに、互いの呼吸が甘く乱れていく。
頭に酸素が回らなくなったところで、酔いが私の口を滑らせた。
吉琳 「食べるルイの姿は綺麗だなって思って見てたって言ったけど……」
吉琳 「本当は私も、ルイとのキスを思い出してたよ」
私の言葉に驚いたように小さく目を見張ったルイは、すぐに幸せそうに口元を緩める。
ルイ 「それなら、しちゃえば良かったかな」
冗談めかして笑い、私の首筋を撫でるルイに微笑みを返す。
吉琳 「食事の時にしなかった分もしよう?」
ルイ 「それなら、沢山しよう」
ルイの手が私のうなじを引き寄せ、先ほどまでよりも深く口づけてくる。
反対の手は、私の体の輪郭を確かめるように下へと向かっていって……
ルイ 「もういいって言いたくなるぐらい……ね」
その言葉に甘いときめきが胸を満たして、私の体温をさらに上げていく。
そして宣言通り、唇がとろけそうなほどたくさんのキスが、私へと降り注ぐのだった…―


[390枚特典]

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)
星すらも見えないほどに、厚い雲が垂れこめる、ある夜のこと…―
ゼノ 「せっかくお前がいるというのに……どこにも連れていけず、すまない」
目の前のゼノ様が、申し訳なさそうに口を開く。
その言葉を聞いて、私は慌てて首を横に振った。
吉琳 「そんな……ゼノ様のせいではありません」
ゼノ様とのデートのため、久々に訪れたシュタインは、生憎の天気だった。
元々二人で星を見に行く予定だったのだけれど、この天候では中止にせざるを得ない。

(天気のことだから仕方ないのに……やっぱり、ゼノ様は優しいな)

吉琳 「星は、また天気の良い日に見に行けますし」
吉琳 「私は、こうしてゼノ様の側にいられるだけで幸せです」
そう言って微笑むと、ゼノ様は微かに目を見開き、やがて柔らかく表情を緩める。
そして、ゆっくりと私との距離を縮めたかと思うと……
ゼノ 「お前は……相変わらず、愛らしいことを言うな」
吉琳 「っ、ん……!」
低い囁きと共に、唇に柔い感触が触れ、微かに熱のこもった吐息が肌を撫でた。
それが口づけだと理解するより早く、ゼノ様の手によって、私の身体はベッドへと押し倒される。
手つきこそ優しいものの、いつにない性急さに私は思わず目を瞬いた。
吉琳 「ゼノ様……?」
こちらを見下ろすゼノ様の隻眼には、欲が灯っているように見える。
彼は私の唇をそっと指先でなぞったあと、もう一度そこに唇を重ねた。
そっとそれが離れると、低い囁きが落ちてくる。
ゼノ 「……こうした逢瀬は、久しぶりだろう」
ゼノ 「それなのに、あんなに愛らしいことを言われては……理性もきかなくなる」
ゆるりと目を細めたゼノ様の言葉に、鼓動が跳ね、わずかな羞恥が胸を満たしていく。

(それぐらい、私のことを求めてくれていたんだ……)

私の考えを肯定するように、ゼノ様の唇は、ゆっくりと下へと向かっていった。
ドレスを丁寧に脱がされていき、喉に首筋、鎖骨、肩……
そして、露わになった肌にも甘くキスを落とされる。
熱を持つ、微かに濡れた唇の感触に、私の肌がじんと火照るのが分かった。
ゼノ 「……こう暗くては、美しいお前の姿がよく見えないな」
私の首筋から顔を上げたゼノ様が、こちらを見つめて低く囁く。
月明かりがなく、少ないろうそくの灯りだけが照らす室内は、確かに薄暗い。
吉琳 「私は……これくらいでも構わないです」
吉琳 「その……恥ずかしいので」
羞恥のにじむ声音で返すけれど、ゼノ様は小さく口角を上げた。
ゼノ 「こうして、久々にお前が腕の中にいる」
ゼノ 「悪いが、何一つ見逃したくはない」
吉琳 「あ……」
ゼノ様の手が眼帯に伸び、緩慢な手つきでそれが外される。
はらりと眼帯が落ちて、その下に隠されていた瞳が私を真っ直ぐに見下ろした。
ゼノ 「……この姿をお前に見せるのも、久々だな」
吉琳 「そう、ですね……」
頷きながらも、私の視線はその対になった両の瞳に釘付けになっていた。
二つ並んだ紺青の瞳は、ろうそくの炎を映し出し、ゆらゆらと揺らめいていて……

(何だか……すごく、惹き付けられるというか……)

目を奪われ、そこから視線を逸らせなくなるほどの、魅惑的な輝き。
そこに、ドレスを大きくはだけさせた自分の姿が映り込んでいるのが見えて、
私ははっと我に返り、両腕で自分の体を隠した。
ゼノ 「何故隠す」
ゼノ様の手が、やんわりと私の腕を押さえ込む。
男の人の力でそうされてしまえば、私はなすすべもなく、
彼の前に、全てをさらけ出すことしかできなくなってしまう。
吉琳 「恥ずかしくて……」
小さな声で呟けば、私を見下ろすゼノ様が、愛おしげに目を細める。
ゼノ 「先ほども言っただろう。お前は美しい。何も恥ずかしがることはない」

(そう言われてしまうと、余計に恥ずかしくなってしまう……)

じわりと火照る頬だけでも隠すように、ゼノ様の視線から顔を逸らす。
すると喉だけで笑ったような声音が降ってきて、ゼノ様の気配がぐっと近くなった。
ゼノ 「視線を逸らすな。今夜は俺だけを見ていろ」
吉琳 「っ、あ……ゼノ、様……」
ゼノ様の言葉に従うように、自然とそちらを向いてしまう。
目が合えば、真っ直ぐな彼の視線にあっという間に絡め取られた。

(どうしてだろう……恥ずかしくてたまらないのに、目が逸らせない)

まるで、ゼノ様の瞳の持つ力に吸い寄せられているかのようだった。
そんな私を見て、ゼノ様は満足そうに口角をゆるりと上げてみせる。
ゼノ 「……良い子だ」
ゼノ 「こう素直にされては、俺もお前の望みを叶えてやらなくてはな」
吉琳 「……っあ」
ゼノ様は私の肌を甘く食んだ後、頬を優しく包み込んだ。
ゼノ 「時間はいくらでもある」
ゼノ 「お前が俺を見つめている間……お前の全てを、俺の目に焼き付けよう」
その言葉と一緒に、ゆっくりと下りてきた唇が重なる。
それは、先ほどまでの触れるだけのキスとは違う、私を味わい尽くすような深い口づけだった。
互いの熱を分け合うようなキスの中、ゼノ様の瞳が欲を灯してこちらを見つめているのを、
私はいつまでも感じていたのだった…―


[430枚特典]

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)
静寂に支配された、月さえも浮かばない闇夜のこと…―
私は一人で厩舎を訪れ、その中で繋がれている馬に寄り添っていた。
蝋燭の灯りがゆらゆらと揺れ、厩舎の壁に私と馬の影を映し出す。

(この子、真っ暗だと落ち着きがなくなっちゃうんだよね……)

安心させるように、そのたてがみや背中を丁寧に撫でていると、背後から声をかけられた。
アラン 「おい」
反射的に振り返った先には、呆れたような顔をしたアランが立っている。
吉琳 「アラン……! どうしたの、こんなところで」
アラン 「それはこっちの台詞だろ」
溜息混じりに言ったアランは、しっかりとした足取りで近付いてくると、腕を組み直した。
アラン 「お前のことだから、こいつを気にしてうろうろしてるんじゃねーかと思って」
アラン 「様子を見に来たんだよ」

(そうだったんだ……)

口では面倒そうに言いながらも、こちらを見るアランの眼差しはどこか甘く、優しい。
その優しさに胸が温かくなって、私は思わず微笑んでしまった。
アラン 「何にやにやしてんだ」
吉琳 「ううん、別に」
片眉を上げたアランは、それ以上私を追求することなく、馬の鼻先を撫で始める。
すっと持ち上げられた腕が袖口から覗いて、引き締まった逞しいラインが私の目に焼き付いた。
(アランの腕って、綺麗だな……やっぱり鍛えてるからかな)
そんな考えが頭に浮かび、ぼんやりとその腕を見つめ続けてしまう。

(私の腕と全然違う。男の人の……)

アラン 「……吉琳? 聞いてるか?」
はっと我に返ると、目の前のアランの顔に焦点が合う。
吉琳 「あ……ごめん、聞いてなかった」
アラン 「そろそろ戻るぞって言ったんだよ。もう遅いし、部屋まで送ってく」
アラン 「……その前に、俺の部屋に寄って新しい蝋燭に変えたほうが良さそうだな」
アランの言葉に瞬きをして手元を見ると、持ってきた蝋燭は随分と短くなっていた。

(確かに、これじゃ部屋に戻るまでに消えちゃいそう……)

吉琳 「ありがとう、アラン」
アラン 「ああ。……ほら、早く行くぞ」
アランが私の手から蝋燭を優しく取り上げる。
最後に馬の首筋を一撫でした私も、歩き出したアランの背を追って、厩舎を後にした。

***

足を踏み入れたアランの部屋は、月明かりが差し込まない分、薄暗かった。
アランは机に歩み寄ると、手にしていた蝋燭をその上に置き、おもむろに腕まくりをする。
アラン 「蝋燭か……どこに置いたっけな」
吉琳 「手伝おうか?」
アラン 「大丈夫だ。そこで待ってろよ」
ずっと蝋燭を持っていたアランの手が、熱を冷ますように、ひらひらと振られた。
蝋燭の灯りに照らされた、その剥き出しの腕に、思わず目が吸い寄せられてしまう。

(やっぱり、アランの腕って……)

アラン 「……何見てんだよ?」
視線に気付いたのか、アランがふとこちらを振り返って不思議そうな顔をする。
吉琳 「あ、その……アランの腕って、男の人って感じで素敵だなって」
吉琳 「筋も浮いて、硬そうで。綺麗に筋肉がついてるし……」
アラン 「……へえ」
ぼんやりと彼の腕を見つめたまま、思ったことを口に出すと、
妙に楽しげなアランの声が耳朶を掠めた。
アラン 「お前って、そんな目で俺のこと見てんの?」
吉琳 「……あっ」
意地悪く口角を上げるアランの言葉で、はっとするものの、もう遅かった。
自分の発言を思い出し、頬がじわじわと赤く染まる。
そんな私を追い詰めるように、アランがぐっと近付いてきて……
アラン 「お前って意外とそういうコト考えてるんだな」
吉琳 「ち、ちが……そんなことない!」
落とされた囁きを掻き消すように声を張り上げる私に、アランが笑う。
アラン 「別に悪いことじゃねーだろ」
アラン 「それに……俺はお前のことそういう目で見てるけど?」
熱のこもった瞳と言葉に射抜かれ、私の心臓がとくんと甘い音を立てる。
すると、アランの腕がするりと伸びてきて、私の腕を優しく取った。
アラン 「お前の腕って、何でこんなに細くて柔らかいんだろうな」
硬い指先が、ゆったりと私の腕をなぞっていく。
その後を追うように、彼の唇がそっと腕に押し当てられた。
何度も落とされる柔いキスの感触に、体がじわりと温度を上げてしまう。
アラン 「腕だけじゃなくて、ここも……」
腕から肩へ、そして首筋へと這い上がっていくアランの唇。
キスをするたびに甘い音を立てるそれに押され、私はいつの間にかベッドに押し倒されていた。
熱い吐息が鎖骨を掠める感触に、今更のように羞恥がこみ上げ、私は慌てて声を上げる。
吉琳 「ちょ、ちょっとアラン……! 蝋燭は?」
せめてもの私の抗議に、アランの低い声が響く。
アラン 「もういらねえだろ」
アラン 「……お前のこと、帰せそうにないし」
ふっと笑みを浮かべたアランが、緩慢な手つきで私の襟元を乱した。
露わになった肌に軽く吸いつかれ、私の体を甘い予感が満たしていく。
アラン 「言っておくけど、煽ったお前が悪いからな」
吉琳 「……っ」
耳元で囁いたアランが、逞しい腕で閉じ込めるように私を抱き締めた。
その間も、熱い唇に翻弄されてなすすべもない。
アランが求めるまま、蝋燭の灯りの元に全てをさらけ出すような……
そんな甘く熱い夜が、私を包み込んでいくのだった…―
 

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)

 

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)

 

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)

 

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)

 

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2020(獎勵故事)

 

arrow
arrow
    全站熱搜

    小澤亞緣(吉琳) 發表在 痞客邦 留言(0) 人氣()