日版王宮 劇情活動-[復刻]Winter Wonder La
[復刻]Winter Wonder Land 2nd~クリスマスの奇跡~
(ロベール)

羅標.jpg
キャンドルに火が灯され、ツリーに飾られた星が輝くクリスマスイヴ。
けれど、あなたと彼は、おとぎ話のように不思議な街に迷い込んでしまい…?
…………
ロベールさんに願い事を訊ねると、ふんわりと包みこむように抱き寄せられ…―
ロベール 「それなら…君の時間をプレゼントとしてもらえないかな」
ロべール 「特別な日を、大切な人と過ごしたいから」
…………
触れ合う温もりに、降り続ける雪の冷たささえ忘れて、
クリスマスの奇跡が、彼とあなたに降り注ぐ…―

 

 

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>>>ロベールを選ぶ

 

日版王宮 劇情活動-[復刻]Winter Wonder La

 

第1話:


??? 「吉琳ちゃん!」
誰かに名前を呼ばれた瞬間、
目の前の扉がぐらりと歪んで、うさぎたちと共に吸い込まれて…―

***

そっと瞼を開くと、そこは雪の舞う広場だった。

(ここは…ウィスタリア城下の広場…?)

目の前に広がるそっくりな建物に、一瞬ウィスタリアだと思ったものの、
よく見ると通りに並ぶ店や人々の様子は、見慣れた場所と違うように感じる。

(ベンジャミンたちもいないみたい)
(あの光に包まれた時…一体、何が起きたんだろう)

疑問がさらに不安を大きくして、胸を埋め尽くしそうになった時…

(あっ)

少し離れた場所に、見覚えのある人が佇んでいるのが見えた。
吉琳 「ロベールさん!」
ロベール 「吉琳ちゃん」
驚いた表情を、ふんわりと穏やかな笑顔に変えたロベールさんは、
すぐに、こちらへ歩み寄ってくれた。

(ロベールさんも一緒に来ていたなんて)

ロベール 「よかった。すぐ近くにいたんだね」
吉琳 「…もしかして、ロベールさんもあの光に?」
ロベール 「うん。吉琳ちゃんを引きとめようとしたらね」
あの時、ちょうど城に到着したロベールさんは、
廊下で私の姿を見かけ、手を取ろうとして光に包まれたのだという。

(光の中で私を呼んでいたのは、ロベールさんだったんだ)

はっと思い出した時、
ロベールさんがあたりを見回しながら、ぽつりと呟いた。
ロベール 「ここは…ウィスタリアでもシュタインでもなさそうだね」


=====


ロベールさんがあたりを見回しながら、ぽつりと呟いた。
ロベール 「ここは…ウィスタリアでもシュタインでもなさそうだね」
ロベール 「一体どこなのか、まずは誰かに聞いてから、戻り方を考えようか」
吉琳 「はい」

(そうだよね。)
(街の人に聞いたら国の名前ぐらい分かるはずなのに、)
(たった今まで思いつかなかった)

焦りから、もやがかかっていた気持ちを切り替えて、一緒に歩き始める。
すると、隣からロベールさんの小さな笑い声が聞こえた。
吉琳 「ロベールさん…?」
ロベール 「ああ、ごめんね。
ロベール 「こんな風に二人きりになるのは、久しぶりだなと思ったから」
ロベール 「緊張感がないけど、少しデートをするのもいいかもしれないね」

(そっか…今日はイヴだから、クリスマスデートになるのかな)

ロベールさんの何気ない言葉が、
心に渦巻いていた不安を一気に溶かしていく。

(ロベールさんが一緒にいてくれてよかった)

吉琳 「そうですね」
にっこりと微笑んだ私の頭には、
数週間前、デートで訪れた海沿いの景色が浮かんだ。

(言われてみたら、一緒にゆっくりするのは、あのデート以来だよね)
(最近、ずっとアトリエにいて忙しそうだったけれど、)
(もう描き終わったからかな…ロベールさん、すごく優しい表情に見える)

ここ数日心配していた気持ちも、不安と一緒に洗い流されていく。
ふっと心が和らぐのを感じたその時、
冷たい風が、スカートから覗く足を撫でていった。
吉琳 「っ……」

(雪が降っているから、余計寒く感じるな…)

そう思っていると、ふいにロベールさんが手袋を外して…―


=====


(雪が降っているから、余計寒く感じるな…)

そう思っていると、ふいにロベールさんが手袋を外して…

(あっ)

優しく私の手を包むと、自分の手袋を私にはめてくれた。
ロベール 「まずは建物の中に入った方がいいね」
吉琳 「ロベールさん、これ…」
少し指先の余っている手袋をかざすと、
ロベールさんは、穏やかに微笑む。
ロベール 「つけていて。ほんの少しだけど寒さも和らぐと思うから」
そう言ったロベールさんに髪を梳くように撫でられて、鼓動が小さく跳ねた。

(温もりと一緒に、ロベールさんの優しさも伝わってくるように思えるな)

吉琳 「ありがとうございます」
はにかんでそう告げると…
??? 「ロベール、プリンセス……何でこの街に」
側を通りかかった濃いグレーの髪の毛の男性が、
大きく瞳を見開いて、私たちを見つめていた。
吉琳 「あなたは……」
私よりも若く見える男性を、まじまじと見つめる。

(…どうしてかな。初めて逢ったはずなのにそう思えない)

黒い上着をきっちりと着込んだ男性は、どこか覚えのある雰囲気をまとっていて、
不思議な感覚に、首を傾げてしまう。
すると、隣に立つロベールさんが柔らかい声で訊ねた。
ロベール 「もしかして、どこかで逢ったことがあるかな?」


=====


ロベール 「もしかして、どこかで逢ったことがあるかな?」
すると、男性は慌てた様子で自分の身体を見下ろしてから、
戸惑った表情で口を開く。
??? 「…この姿じゃ、君たちには分からないよね」
??? 「でも、ごめん。ここでは元の姿に戻ってはいけないんだ…」

(元の姿って…どういうことだろう)

吉琳 「あの、お名前を教えてもらえませんか」
私もロベールさんと同じように笑顔で問いかけると、
男性は照れたように頬を赤らめて、小さな声で告げた。
??? 「……アンバーだよ。ロベールと一緒に住んでるハリネズミの」
吉琳 「えっ」
ロべール 「……」
思いがけない返答に、ロべールさんと顔を見合わせてしまう。

(冗談を言っているようには見えないけれど、)
(あのアンバーが人間になっているということ…?)

??? 「驚くのも当然だと思う。動物が人間になっているなんて」
そう言った男性は、おずおずと言葉を続けた。
??? 「…でも、僕もびっくりしたんだよ」
??? 「最近ロベールが描いていた絵が、この街とそっくりだったから」
ロベール 「俺の絵?」


=====


??? 「…でも、僕もびっくりしたんだよ」
??? 「最近ロベールが描いていた絵が、この街とそっくりだったから」
ロベール 「俺の絵?」

(それって…)

吉琳 「これは…クリスマスの街並みですか?」
ロベール 「うん。でもただの街じゃないんだ」
ロベール 「テーマは、動物たちが人間の姿で暮らすクリスマスの街」
クリスマスパーティーのために、ロベールさんが描いていた絵がよぎる。
それと同時に、アトリエでロベールさんの側にいたアンバーの姿も思い出した。
吉琳 「あの絵を知っているということは…」
ロベール 「本当にアンバーなんだね」
アンバー 「うん」
アンバーは、私たちの言葉を聞いて嬉しそうに頷いた。

(だから、どこかで逢ったような気がしたんだ)

恥ずかしがり屋なところは、ハリネズミの時と変わらないようで、
アンバーは私たちの視線を受け、照れた様子で視線を伏せる。
そんなアンバーに、ロベールさんは真剣な瞳を向けて訊ねた。
ロベール 「…あの絵はただの空想の世界だったんだけど、そうじゃないということかな?」
アンバー 「うん。…ここは、ウィンターワンダーランド」
アンバー 「クリスマスを祝うために、動物たちが人間の姿で暮らす街だよ」

 

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第2話:


ロベール 「…あの絵はただの空想の世界だったんだけど、そうじゃないということかな?」
アンバー 「うん。…ここは、ウィンターワンダーランド」
アンバー 「クリスマスを祝うために、動物たちが人間の姿で暮らす街だよ」
ロベール 「動物たちの街…」

(だからアンバーも人間の姿なんだ。でも、そんな街があるなんて…)

言葉を詰まらせていると、ふとアンバーが私の手元を見つめているのに気づく。
その瞬間、はっとした顔をしたアンバーがくるりと背を向けた。
アンバー 「…ここじゃ寒いよね。来て」

(あっ…もしかして手袋を見ていたのかな)
(こういう優しいところ、ロベールさんと似ているな)

吉琳 「ありがとう」
ほんわかと温かい気持ちに包まれながら、アンバーの後に続いた。

***

そうして案内されたのは、人が少ない落ち着いた雰囲気の喫茶店だった。
アンバーと向かい合って座ると、
隣に腰かけるロベールさんが、ふっと笑みをこぼす。
ロベール 「いいお店だね」
アンバー 「うん。人が少ないから…気に入ってるんだ」
ロベール 「そう。君のお気に入りの場所に来られて嬉しいよ」
ロベールさんの優しい言葉に、アンバーは、はにかんで頷く。

(可愛い。見た目は青年に見えるけれど…やっぱりアンバーなんだ)

和やかな空気につい笑みをこぼすと、おずおずとアンバーが続けた。
アンバー 「続き…話すね」
アンバー 「さっきも言った通り、ここは君たちが知ってる世界じゃない」
アンバー 「……人間が来ちゃいけない場所なんだ」


=====


アンバー 「さっきも言った通り、ここは君たちが知ってる世界じゃない」
アンバー 「……人間が来ちゃいけない場所なんだ」

(…初めて聞く国の名前だったし、やっぱり間違えて迷い込んでしまったんだ)

ロベール 「そう。…君は、よくこの街に来ているの?」
ロベール 「この喫茶店はお気に入りって言っていたよね」
アンバー 「…実は、あんまり来ないんだけど、」
アンバー 「今日は…友だちのパーティーに呼ばれたんだ。クリスマスイヴだから」
吉琳 「そっか。動物たちがクリスマスを祝うって言っていたっけ」

(本当に、ロベールさんの絵の中に入ってしまったみたい)

大変な状況だと分かっていても、
見ているだけで楽しくなるあの絵を思い出すと、心が少し浮き立ってしまう。
すると、アンバーが真っ直ぐに私たちを見つめて…―
アンバー 「人間の出入り口は自分で探さないといけないから、教えられないけど、」
アンバー 「…ロベールなら、もう帰り道を知ってると思う」
ロベール 「え?」


=====


すると、アンバーが真っ直ぐに私たちを見つめて…
アンバー 「人間の出入り口は自分で探さないといけないから、教えられないけど、」
アンバー 「…ロベールなら、もう帰り道を知ってると思う」
ロベール 「え?」

(どうしてロベールさんが…)

アンバー 「この世界は、本当にあの絵とそっくりなんだ」
アンバー 「街並みも、暮らしている人も…道も」
アンバーは、何かを伝えるように、意味ありげにそう告げた。
その言葉を受け止めたロベールさんは、
少しの間、視線を巡らせてから、はっと顔を上げる。
ロベール 「そうなんだね」

(ロベールさんには帰り道が分かったのかな)

その表情は、何かに気づいた様子に見えた。
期待を込めた眼差しで見つめると、ロベールさんは、にっこりと笑みを浮かべる。
ロべール 「ヒントをありがとう。君とこうして話せてよかったよ」
ロベール 「素敵なクリスマスイヴを過ごしてね」
アンバー 「うん。…二人もね」
アンバーは、照れながらもロベールさんへ嬉しそうに微笑んだ。

***

その後、友人の家へ向かったアンバーを見送り、
私は、一人でロベールさんが戻るのを待っていた。

*****
吉琳 「アンバーが言っていた『もう知っている』って…どういう意味なんですか?」
ロベール 「実はあの絵には、出入り口を描いていてね」
吉琳 「えっ」

(少し見ただけだったから、気づかなかった)

ロベール 「すぐ近くの路地なんだけど、本当にあるか確かめに行ってくるよ」
ロベール 「雪、まだ降っているみたいだから、吉琳ちゃんはここで待っていて」
*****

(…これで、シュタインに帰れるよね)

希望を持ってロベールさんの帰りを待っていた、その時…―
??? 「お姉さん一人?」


=====


(…これで、シュタインに帰れるよね)

希望を持ってロベールさんの帰りを待っていた、その時…
??? 「お姉さん一人?」
吉琳 「えっ」
見知らぬ男性が二人、向かいの席に腰かけた。
男性1 「クリスマスイヴに一人じゃ寂しいよね」
男性2 「俺たちと一緒に来ない?」
吉琳 「い、いえ人を待っているので…」

(どうしよう)

慌てて首を横に振り、立ち上がった瞬間、
後ろから、ふわりと肩を引き寄せられた。
吉琳 「あっ」
ロベール 「この子に何か用事かな」
吉琳 「ロベールさん」

(よかったすぐに戻ってきてくれて)

恋人の姿に、ざわめいていた胸が落ち着いていく。
ロベール 「どんな話か、俺にも聞かせてもらえる?」
ロベールさんが、笑顔のまま、けれど声を低めて告げると、
男性たちは、焦った様子ですぐにその場を立ち去っていった。
吉琳 「ありがとうございます」
ロベール 「ううん。一人にしてしまってごめんね」
穏やかにそう言ったロベールさんは、
去っていった男性たちの背中を見ながら、小さく笑みをこぼして…―
ロベール 「クリスマスを誰かと過ごしたいって思うのは、人間も動物も一緒なのかもね」


=====


ロベール 「クリスマスを誰かと過ごしたいって思うのは、人間も動物も一緒なのかもね」
穏やかに告げられたその言葉に、小さく瞳を瞬かせてしまった。

(そっか…あの人たちも本当は動物なんだよね)

そう思うと、怖さよりも不思議な気持ちが大きくなり、
ロベールさんにつられて、笑みをこぼす。
吉琳 「私たちの世界とそっくりなのに、本当に不思議な街…」
ロベール 「そうだね。面白い世界だから名残惜しいけど、」
ロベール 「そろそろ戻った方がいいかな」

(それって…)

吉琳 「帰り道、見つかったんですか?」
ぱっと見上げると、ロベールさんは大きく頷いた。
ロベール 「うん。きっとあの場所から帰れると思う」
ロベール 「行こうか」
吉琳 「はい!」
私は、差し出された手にそっと手を重ねた。

***

そうして、雪がまだちらつく街を歩き、
私たちは、絵の中で出入り口として描かれていた路地を訪れていた。
早速、ロベールさんと共に足を進めていくと…
吉琳 「あ……」
その瞬間、辺りを柔らかな光が包み始める。

(来た時と、同じ光)

ロベール 「吉琳ちゃん、掴まって」
吉琳 「はい」
私は、ロベールさんの腕をきゅっと掴んで、瞳を閉じて…―

 

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第3話-プレミア(Premier)END:


ロベール 「吉琳ちゃん、掴まって」
吉琳 「はい」
私は、ロベールさんの腕をきゅっと掴んで、瞳を閉じて…―

***

肌から感じる空気が変わったように思えて、そっと瞼を開く。
すると、顔を覗きこむようにして見つめていたロベールさんと、
間近で視線が交わった。
吉琳 「……!」
ロベール 「よかった。どこも怪我してなさそうだね」
吉琳 「は、はい…」
ふいに近づいた距離に、胸の奥が甘く乱れるのを感じていると、
ロベールさんの瞳がさらに近づいた。
吉琳 「っ……」
ロベール 「顔が赤いね。もしかして…熱があるのかな」
そう問いかけるロベールさんは、からかうような眼差しを向けている。
吉琳 「もう、ロベールさん…」
ロベール 「ごめんね。冗談だよ」
ロベールさんは、かがめていた背をすっと伸ばして、にっこり微笑んだ。

(意地悪だって分かっていても、ドキドキしてしまう…)

私は、高鳴りがおさまらない鼓動を誤魔化すように、室内を見回す。
吉琳 「ここは客室でしたよね。ちゃんと戻れてよかった」
ロベール 「うん。外もまだ明るいみたいだし、パーティーにも十分間に合うね」

(そうだ、パーティーということは……)


=====


(そうだ、パーティーということは……)
(完成した絵が見られるんだよね)

吉琳 「今夜が楽しみです。パーティーも…ロベールさんの絵も」
ロベール 「……」
ロベール 「ありがとう。吉琳ちゃんが気に入ってくれると嬉しいな」
私は、ロベールさんへにっこりと笑みを返した。

***

その夜…―
予定通りクリスマスパーティーに参加していた私は、
多くの人々と共に、目の前に飾られたロベールさんの絵を見つめていた。

(あの街の空気や、香りや、街並みがすぐに思い出せる)
(…本当に素敵。ロベールさんに感想を伝えたいけれど…)

周囲の輝くような笑顔の中に、愛しい人の姿はない。
もう一度、会場内を見回すと…

(あっ)

礼服姿のロベールさんが、会場から出ていくのが見える。
私は、急いでその姿を追いかけて…―

***

吉琳 「ロベールさん!」


=====


吉琳 「ロベールさん!」
ロベール 「吉琳ちゃん」
恋人の元へ駆け寄ると、わずかに驚いた様子で問いかけられた。
ロベール 「どうしたの?」
吉琳 「絵の感想を伝えたかったのですが、会場にいなかったので…」
そう告げると、申し訳なさそうに小さく微笑んだロべールさんは、
ゆっくりと話すためか、柱の陰に導いてくれる。
ロベール 「探させてしまったみたいだね。ごめん」
ロベール 「風にあたりたくて、庭に行こうと思っていたんだよ」
吉琳 「そうだったんですね…」

(よく考えたら、後で部屋に伺って伝えることも出来たのに、)
(少し慌て過ぎてしまったみたい)

あの絵から受けた感動を、いち早く伝えたいという想いから、
気持ちが先走ってしまったことに、わずかな恥ずかしさが湧く。
吉琳 「すみません、引きとめてしまって」
ロベール 「ううん。もしよかったら、一緒にどうかな」
吉琳 「はい…!」
私は、ロベールさんと一緒に庭へと足を向けた。

***

ロベール 「それで…感想、聞かせてもらえるんだよね」
吉琳 「…はい」

(改めて言うのは、少し緊張するな)

胸の奥が小さく波打つのを感じながら、私は言葉を紡いだ。
吉琳 「とても、楽しい絵だなと思いました」
吉琳 「ずっと欲しかったプレゼントをもらった時のような、」
吉琳 「ドキドキして自然と笑顔になれる絵でした」
想いを声に乗せて、全て伝えると…―


=====


吉琳 「ずっと欲しかったプレゼントをもらった時のような、」
吉琳 「ドキドキして自然と笑顔になれる絵でした」
想いを声に乗せて、全て伝えると…―
ロベール 「気に入ってもらえたみたいでよかった」
ロベールさんが、柔らかく笑みを返してくれる。
ロべール 「まさか、動物たちの街が本当にあるなんて思わなかったけどね」
吉琳 「はい。ですが…とても楽しかったです」

*****
ロベール 「緊張感がないけど、少しデートをするのもいいかもしれないね」
*****

*****
ロベール 「クリスマスを誰かと過ごしたいって思うのは、人間も動物も一緒なのかもね」
*****

(最初は、不安でいっぱいだったけれど…)

ロベールさんの何気ない一言が、沈みかけた心をすくい上げてくれた。
吉琳 「ロベールさんが側にいてくれたので」
ロベール 「そう」

(ロベールさんとなら、どんな場所でも、楽しく幸せでいられる気がするな)

そう思った時、ロベールさんがふとポケットから何かを取り出す。
ロベール 「そうだ。渡したいものがあったんだけど、いいかな」
吉琳 「……? はい」
突然の申し出に首を傾げていると…
ロベール 「これ、クリスマスプレゼント」
吉琳 「……!」
目の前に差し出されたのは、貝殻のモチーフとパールがついたイヤリングだった。

(あの絵が見られただけで、十分嬉しかったけれど、)
(プレゼントを用意してくれていたなんて…)

受け取ったイヤリングを、まじまじと見つめる。
吉琳 「すごく可愛いです」
ぱっと顔を上げてロベールさんに笑顔を向けると…―
ロベール 「それなら、作った甲斐もあったかな」
吉琳 「えっ」


=====


ロベール 「それなら、作った甲斐もあったかな」
吉琳 「えっ」

(作ったって…)

吉琳 「ロベールさんの手作りなんですか?」
ロベール 「うん」
驚きから思わず瞳を丸くして、改めてイヤリングに視線を落とした。
ロべール 「前に海辺へデートに行った時、」
ロベール 「吉琳ちゃん、どちらか迷って買っていなかったよね」

(そういえば…)

パールの上品なイヤリングと、
貝殻のモチーフがついた可愛いイヤリングで、迷ったことを思い出す。

(お土産に一つあればいいなと思ったけど、)
(結局決めきれなかったこと、)
(ロベールさんは覚えていて、これを…)

ロベール 「だから、両方ついた物を作ろうと思ったんだよ」

(それじゃあ、忙しそうに見えたのは、)
(絵を描いていただけじゃなく、これを作っていたからなんだ)

吉琳 「ありがとうございます」
ロベールさんの優しさがこもったプレゼントを受け取り、大切に胸に抱く。

(ロベールさんとなら、)
(どんな場所でも楽しく幸せでいられるって思ったけれど、)
(恋人として側にいるんだから…ロベールさんにもそう思ってもらいたい)
(もらった優しさを…私も返したい)

吉琳 「…形に残る物は、ウィスタリアに戻ってからと思っていたので、」
吉琳 「クリスマスプレゼントは、今すぐ渡せないのですが…」
吉琳 「その代わり、ロベールさんのクリスマスの願い事を教えてもらえませんか?」
ロベール 「え?」
吉琳 「何でも叶えたいんです。クリスマスプレゼントとして」
すると、瞳を丸くしていたロベールさんがくすっと笑う。
そうして、ふんわりと包みこむように私を抱き寄せて…―
ロベール 「それなら…君の時間をプレゼントとしてもらえないかな」
ロべール 「特別な日を、大切な人と過ごしたいから」


fin.

 

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第3話-スウィート(Sweet)END:


ロベール 「吉琳ちゃん、掴まって」
吉琳 「はい」
私は、ロベールさんの腕をきゅっと掴んで、瞳を閉じて…―

***

ゆっくりと瞼を開けると、沢山の本に囲まれた部屋の中で、
ロベールさんと二人、扉の横に佇んでいた。
吉琳 「ここは…シュタイン城、ですよね」
ロべール 「うん。書庫かな」
部屋を見回しながら告げるロベールさんに、安堵のため息をつく。

(帰って来られてよかった)
(でも…ロべールさんの言っていたように、少し名残惜しいかもしれない)

アンバーとの、他愛ないものの心が和む会話や、
ウィスタリアと似ているようで全く違う街並みを思い浮かべる。

(もう少しだけ、あの街を楽しんでみたかったかも)

ふっと笑って口元を手で押さえようとした時、
まだ、ロベールさんの手袋をしていたことに気づいた。

(そういえば…あの街に着いた時から、はめたままだった)

吉琳 「すみません。これ、ずっと借りたままで…」
両手から外してロベールさんに手袋を差し出すと…―


=====


吉琳 「すみません。これ、ずっと借りたままで…」
両手から外してロベールさんに手袋を差し出すと…
ロベール 「ああ、俺も忘れていたよ」
ロベールさんは、ふっと微笑んだ。
ロベール 「少しは役に立ったかな?」
吉琳 「はい。寒さもすぐに忘れられました。ありがとうございます」
ロべール 「そう。よかった」
にこやかにそう言うものの、ロベールさんは手袋を受け取ろうとはしない。

(あれ)

吉琳 「ロベールさん…?」
ロベール 「せっかくだから、今度は吉琳ちゃんがつけてくれるかな」
ロベール 「俺が貸した時のようにね」

(貸してくれた時…)

*****
吉琳 「ロベールさん、これ…」
ロベール 「つけていて。ほんの少しだけど寒さも和らぐと思うから」
*****

優しい言葉と共に、手袋をはめてくれた場面がよみがえる。

(あの時、ドキドキしたけれど、同じくらい嬉しかったから、)
(…ロベールさんにも、そう思ってもらえたらいいな)

吉琳 「はい」
私は高鳴る鼓動を聞きながらロベールさんの手を取って、はめていく。
そうして、ロベールさんの両手を手袋が包むと、
ぽん、と頭に指先が触れて…―


=====


そうして、ロベールさんの両手を手袋が包むと、
ぽん、と頭に指先が触れて…
ロベール 「ありがとう。すごく嬉しいよ」
あの街でしてくれたように、そっと頭を撫でてくれた。
その仕草と言葉に、自然と笑みがこぼれる。

(そう言ってもらえてよかった)

すると、ロベールさんが壁の時計を見てはっと表情を変える。
ロベール 「あまり時間が経っていないと思ったけど、そうでもないみたいだ」
吉琳 「えっ」
つられて時計を見ると、ゼノ様へ挨拶を終えてから数時間が経過していた。

(もうこんな時間。そろそろパーティーの準備をしないと)

ロベール 「絵を会場に運んでくるよ」
吉琳 「完成した絵、楽しみにしています」
ロベールさんは、柔らかな眼差しで頷いた。

***

その夜、開かれたクリスマスパーティーでは、
ロベールさんの絵の話題で持ち切りのまま、幕を閉じ…―
私は、ロベールさんが滞在する部屋を訪れ、
パーティーで伝えきれなかった絵の感想を告げていた。
吉琳 「シュタインに来る前に見せてもらったものと、少し雰囲気が変わっていて…」
吉琳 「本当に素敵でした」
隣に座るロベールさんへ、あの絵から感じた想いを一気に伝えると…―


=====


吉琳 「シュタインに来る前に見せてもらったものと、少し雰囲気が変わっていて…」
吉琳 「本当に素敵でした」
隣に座るロベールさんへ、あの絵から感じた想いを一気に伝えると…
ロベール 「吉琳ちゃんにそう言ってもらえてよかった」
上着を脱いだロベールさんが、目元を和らげる。

(あの街で感じた不思議な気持ちや、楽しさも思い出せて、)
(幸せな気分に浸れる絵だったな)

絵と共にウィンターワンダーランドでの出来事を思い出していると、
ロベールさんの、ある言葉が頭をよぎった。

*****
ロベール 「こんな風に二人きりになるのは、久しぶりだなと思ったから」
*****

吉琳 「実は…ロベールさんのこと、少し心配していたので、」
吉琳 「無事に絵が完成して本当によかったです」
ロベール 「心配?」
アトリエでずっと作業をしていた様子を告げると、
ロベールさんは小さく苦笑をこぼす。
ロベール 「そう。…吉琳ちゃんは本当に優しいね。ありがとう」
ロベール 「でも、ずっとアトリエにいたのは、この絵のためだけじゃないんだよ」
吉琳 「え?」

(他にも絵を依頼されていたのかな…?)

瞳を瞬かせる私に微笑んで、ロベールさんは立ち上がり、
奥の壁に立てかけてあった、小さなキャンバスを手に戻ってきた。
そして…―
ロベール 「これを描いていたんだ。クリスマスプレゼントとして吉琳ちゃんに」


=====


ロベール 「これを描いていたんだ。クリスマスプレゼントとして吉琳ちゃんに」
そっとこちらに向けられたのは、海沿いの景色が描かれた絵だった。

(この景色、前にデートで行った場所…)

はっと顔を上げると、ロベールさんの優しい色の瞳と視線が交わる。
ロベール 「デートの時、『この景色をずっと心に残せたらいいな』って言っていたから」

(クリスマスの絵もあったのに、私のためにこの絵も完成させてくれたんだ)

ロベールさんの想いに、胸がぎゅっと締めつけられる。
吉琳 「ありがとうございます…大切にします」
私はキャンバスを受け取り、間近で青と白が特徴的に交ざり合う絵を見つめた。

(心だけじゃなく、形にも残せるなんて思ってもいなかった)

もらったプレゼントに心を踊らせていると、
私を覗きこむようにして、ロベールさんが問いかける。
ロベール 「もしかして、吉琳ちゃんも用意してくれたのかな」

(あっ)

隣に置いていた、手のひらより大きな箱を示され、
私は、キャンバスをテーブルに置いてから差し出した。
吉琳 「この絵には敵わないかもしれないのですが…私からもクリスマスプレゼントです」
ロベール 「ありがとう」
ロベールさんが箱を開け、中から手作りの絵筆入れを取り出す。
吉琳 「『筆が沢山入るものが見つからない』と、前に言っていたので」
ロべール 「……」
ロベール 「覚えていてくれたんだね」
頷くと、ロベールさんにふわりと引き寄せられた。
シャツ越しに伝わる温もりが、心までじんわりと沁み渡っていく。

(お互いの言葉を大事にしているって分かって…)
(今までで一番、素敵なクリスマスを過ごせたな)

次々と溢れだす幸福な気持ちを、一つも逃がさないように、
ロベールさんの広い背中へ、ぎゅっと腕を回した…―


fin.

 

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エピローグEpilogue:

鑼後.jpg
ウィンターワンダーランドから戻ってきたあなたを待っているのは、
ブッシュドノエルよりも甘いイヴの夜と、彼との幸せなクリスマス…―
ロベール 「些細な言葉で乱されるほど、君が愛しい」
ロベール 「恋人として、吉琳ちゃんとクリスマスを過ごせて本当に幸せだよ」
ロべールさんは穏やかな声色で告げると、あらわになった肩に口づけ…
ロベール 「もらったプレゼントを手放したりしないよ」
彼の愛に酔いしれて、身も心も溶かされていく。
奇跡のようなクリスマスは、まだ終わらない…―

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