日版王宮 劇情活動-[復刻]Winter Wonder La
[復刻]Winter Wonder Land 2nd~クリスマスの奇跡~
(アルバート)

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キャンドルに火が灯され、ツリーに飾られた星が輝くクリスマスイヴ。
けれど、あなたと彼は、おとぎ話のように不思議な街に迷い込んでしまい…?
…………
アルバートがわずかに掠れた声で囁いて…―
アルバート 「まだ、クリスマスイヴの夜を終わらせたくありません」
アルバート 「今夜はずっと、側にいてもらえますか?」
…………
触れ合う温もりに、降り続ける雪の冷たささえ忘れて、
クリスマスの奇跡が、彼とあなたに降り注ぐ…―

 

 

 

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日版王宮 劇情活動-[復刻]Winter Wonder La

 

第1話:


??? 「吉琳!」
誰かに名前を呼ばれた瞬間、
目の前の扉がぐらりと歪んで、
うさぎたちと共に吸い込まれて…―

***

光がおさまり目を開けると、私は何故か雪が舞う見慣れない森に出ていた。

(えっ……ここは一体…)

突然変わった状況に、ただ目の前の景色を見つめることしか出来ない。
その時、ぎしっと雪を踏む音が響いた。
吉琳 「っ……」
音のした方向を、恐るおそる見つめると…
アルバート 「よかった。無事だったんですね」
吉琳 「アルバート…!」
ほっとした表情でアルバートが歩み寄り、
私の無事を確かめるように、ぎゅっと抱きしめてくれる。

(…急なことで戸惑ってしまったけれど、)
(アルバートがいてくれると思うと、落ち着けるな)

不安を抱いていた気持ちが、包まれた温もりで癒やされていく。
吉琳 「ありがとうございます」
吉琳 「ですが、どうしてアルバートもここに…?」


=====


吉琳 「ですが、どうしてアルバートもここに…?」
顔を上げると、アルバートは抱きしめていた腕の力を緩めて答えた。
アルバート 「廊下を歩いていた時、あなたを見かけたんです」
アルバート 「少し焦っていたので、見逃しそうになりましたが…」

(焦っていたって…)

吉琳 「…もしかしてパーティーの準備で何か問題があったんじゃ…」
心配になってそう訊ねると、アルバートは慌てたように視線を逸らす。
アルバート 「い、いえ。そういうわけではありません。気にしないで下さい」
アルバート 「それよりも何故、扉に向かっていたんですか?」
吉琳 「実は、ベンジャミンとその彼女さんを見かけたんです」
吉琳 「扉にぶつかりそうだったので止めようとしたら、光に包まれて…」

(そういえば)

アルバートに説明しながら、はっと周囲を見回す。
吉琳 「ベンジャミンたちはどこに…」
そう思った瞬間、再び物音が響き、
明るい茶色の髪の男性と、真っ白な短い髪の女性が現れた。
深い茶色の上着を着た男性は、隣の女性と仲が良さそうに腕を組んでいる。

(えっ、この二人…一体どこから…)

アルバート 「…何者だ」
アルバートが、私をかばうように前に出て低く訊ねる。
しかし、鋭い視線を送られた男性は、怯んだ様子を見せず、
私たちへ交互に視線を向け、大きく瞳を見開いた。
??? 「プリンセス! アルまで一緒に」

(えっ)

吉琳 「…私たちを知っているんですか?」
見知らぬ男性から親しげに名前を呼ばれ、そっと問いかけると…―


=====


吉琳 「…私たちを知っているんですか?」
見知らぬ男性から親しげに名前を呼ばれ、そっと問いかけると…
??? 「あーこの格好じゃ分からないよな。でも、これなら分かるだろ!」
元気よくそう言った男性の頭から、
いきなり、ぴょんと長いうさぎの耳が飛び出た。
吉琳 「……!」
アルバート 「なっ……」
??? 「お前たちのこと、知らないわけないだろ」
??? 「俺は、ベンジャミンなんだからな」
吉琳 「ベンジャミン…?」

(そう言われてみると…)

威勢のいい様子や、明るい茶色の耳は、確かにベンジャミンを思わせる。

(でも、うさぎが人間になるなんて…あるのかな)

不思議な状況をまだ受け入れられずにいると、
男性はいたずらっぽい笑みでこう付け加えた。
??? 「どうしても信じられないなら、昨日のアルの様子も教えてやるぞ」
??? 「真剣な顔で手帳に予定を書きこんでて…」
アルバート 「っ…それ以上は言わなくていい」
アルバートは、どこか慌てた様子で男性の言葉を遮った。
吉琳 「あの、アルバート…?」
アルバート 「大丈夫です、何でもありません」
私の言葉に素早く返答したアルバートは、
小さく咳払いをして、目の前に立つ二人へ向き直って…―


=====


私の言葉に素早く返答したアルバートは、
小さく咳払いをして、目の前に立つ二人へ向き直って…
アルバート 「信じがたいが…」
アルバート 「その姿を見る限り、信じるしかないようだな」
くいっと眼鏡を上げ、真剣な眼差しで告げた。
ベンジャミン 「お! 頭の固いアルにしては、すぐに信じてくれたな」
耳をしまい、楽しげに笑うベンジャミンに、アルバートは眉を寄せる。
アルバート 「……お前とは初めて話すはずだが、そう思えないのも不思議だ」

(確かに…もしベンジャミンが人間だったら、)
(アルバートと、こんなやりとりをしていそう)

いつも元気いっぱいのベンジャミンの様子を思い浮かべると、
不思議とすんなり納得が出来た。
吉琳 「じゃあ、隣の方は…」
シュネー 「シュネーといいます」
ベンジャミン 「俺の恋人だ」

(あ…彼女の白うさぎさん。笑った顔が可愛い)

ベンジャミン 「とりあえず、ゆっくり話せる場所でここの説明してやるよ」
ベンジャミン 「この姿で外にいると寒いんだよな」
アルバート 「…ああ」
そうして、ベンジャミンたちと共に歩き始めようとすると…

(あれ)

降り積もった雪に足をとられ、上手く歩くことが出来ない。

(どうしよう…。この森の中じゃ、靴を履きかえることも出来ないし…)

そう思った瞬間、アルバートが身を屈めて、私の膝裏に腕を差し入れ…―


=====


(どうしよう…。この森の中じゃ、靴を履きかえることも出来ないし…)

そう思った瞬間、アルバートが身を屈めて、私の膝裏に腕を差し入れ…
アルバート 「失礼します」
吉琳 「っアルバート…?」
そのままふわりと横抱きにされ、慌てて首筋に腕を回す。
近づいた距離に小さく鼓動を跳ねさせていると、
アルバートが、わずかに目元を染めて告げた。
アルバート 「その靴では歩くのが難しいでしょう。しっかり掴まっていてください」

(申し訳ない気もするけれど、)
(アルバートがこう言ってくれるなら…少し甘えてもいいかな)

吉琳 「はい…」
アルバートの優しさに微笑むと、
少し前を歩いていたベンジャミンが、くすっと笑う。
ベンジャミン 「アルも、プリンセスの前だとかっこいいよな」
アルバート 「っ……」
アルバート 「ふざけたことを言っていないで、前を見て歩け」
アルバートを見上げると微かに頬を染めていて、
くすぐったいような気持ちが湧いた。
ベンジャミン 「照れなくてもいいのにな」
隣のシュネーにそう言って、ベンジャミンは前を向いて歩いていく。
アルバート 「まったく…」

(なんだか…兄弟のように見えるな)

二人の微笑ましい様子に、自然と笑みがこぼれた。

***

その後、酒場らしきお店を訪れた私たちは、
ベンジャミンから聞いたある内容に、目を丸くしていた。
吉琳 「ここは…動物たちが人間の姿で暮らす街…?」

 

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第2話:


吉琳 「ここは…動物たちが人間の姿で暮らす街…?」

(まさか、そんな場所だったなんて…)
(でも、そう言われると納得出来るかもしれない)

店内にいるお客さんたちも、一見普通に見えるものの、
先ほどから、聞こえてくる会話の内容に違和感を覚えていた。
アルバート 「お前が、最近姿を消していた理由もここに来ていたからか」
ベンジャミン 「まあな。ただ、人間はこっちに来ちゃいけないんだ」
吉琳 「そうなんだね…」
吉琳 「でも、さっきの場所へ行けばシュタインへ帰れるの?」
期待を込めて訊ねると、
目の前に座るベンジャミンとシュネーは、困ったように顔を見合わせる。
ベンジャミン 「…人間たちの帰り道は、教えられない決まりになってるんだ」
アルバート 「どういうことだ?」
ベンジャミン 「人間が自由に出入りできたら、こっちの世界が滅茶苦茶になるだろ」
ベンジャミン 「だから、簡単に道が開かないようにしなきゃいけないんだ」

(…それなら私たちは、どうしたら帰れるんだろう)

戸惑う気持ちに心が揺れた時、
シュネーに耳打ちされたベンジャミンが、ぽんと手を叩く。
ベンジャミン 「確かにそうだな!」
明るくシュネーに相づちを打ったベンジャミンは、私たちを見つめて…―
ベンジャミン 「帰り道のヒントなら、出してやれるぞ」


=====


ベンジャミン 「帰り道のヒントなら、出してやれるぞ」
ベンジャミン 「クリスマスにサンタクロースが配るものを考えてみろよ」

(あ、それなら…)

考えを巡らせ、あることに思い至る。
するとアルバートも同じように考えていたのか、一瞬早く口を開いた。
アルバート 「プレゼント…」
アルバートの言葉に、ベンジャミンはただ微笑んで続ける。
ベンジャミン 「それを大切な人に渡せば、帰れるはずだ」

(プレゼントを贈り合うなんて、クリスマスらしい方法だな)

ふんわりと温かい気持ちになりながら、ベンジャミンとシュネーに微笑んだ。
吉琳 「二人とも、ありがとう」
ベンジャミン 「ああ。それじゃあ、頑張れよ」
ベンジャミンはそう言うと、シュネーを促して立ち上がる。
吉琳 「っ…もう行ってしまうの?」
ベンジャミン 「今日はクリスマスイヴなんだぞ。恋人とデートして楽しまないとな」
にっこり笑ったベンジャミンは、シュネーと一緒に店を後にした。
吉琳 「行ってしまいましたね…」

(もう少し、話していたかったな…)

わずかに感じる寂しさから、ぽつりと呟くと、
アルバートは真面目な表情で、二人が出ていった扉を見つめる。
アルバート 「ええ。まったく勝手なやつです」
吉琳 「ですが楽しかったです。ちゃんと帰れるヒントもくれましたし」
すると、アルバートは思案するような表情を見せて…―
アルバート 「そうですが……準備が無駄になりそうです」


=====


吉琳 「ですが楽しかったです。ちゃんと帰れるヒントもくれましたし」
すると、アルバートは思案するような表情を見せて…
アルバート 「そうですが……準備が無駄になりそうです」
低い声でそう呟いた。

(準備…?)

気がかりな言葉に、ふとこちらの世界に来た時のことを思い出す。

*****
アルバート 「廊下を歩いていた時、あなたを見かけたんです」
アルバート 「少し焦っていたので、見逃しそうになりましたが…」

(焦っていたって…)

吉琳 「…もしかしてパーティーの準備で何か問題があったんじゃ…」
*****

(あの時、否定していたけれど…)
(…私が巻きこんでしまったから、何か準備していたものが無駄に…?)

胸に広がる申し訳なさに、きゅっとワンピースの裾を握る。
吉琳 「…ごめんなさい」
アルバート 「吉琳?」
吉琳 「巻き込んで、パーティーの準備を無駄にしてしまって…」
真っ直ぐに見つめて謝ると、
アルバートは驚いたように瞳を見開き、すぐに首を横に振った。
アルバート 「あなたは何か勘違いをしています」
吉琳 「え?」
首を傾げると、アルバートは小さく咳払いして、ポケットの中を探る。
そして…―
アルバート 「俺が言った準備とは……これのことです」


=====


アルバート 「俺が言った準備とは……これのことです」
そう言って、綺麗にラッピングされた小さな箱を取り出した。
アルバートはその箱を私の前に差し出し、優しい笑みを浮かべる。
吉琳 「これは…」
アルバート 「あなたへのクリスマスプレゼントです」
吉琳 「……!」

(プレゼントを用意してくれていたなんて思わなかった)

アルバートは、プレゼントを贈る場所や時間のことを考えていたと話す。

(だから『準備が無駄に』って…)

アルバート 「…こういったことは、物だけでなく贈るタイミングも大事ですから」
吉琳 「それでは、焦っていたというのは…」
アルバート 「このプレゼントをあなたに見つからないように、と思っていただけです」

(そこまでして、渡そうとしてくれていたんだ)

アルバートの気持ちを嬉しく感じると同時に、
本当に勘違いだったと分かり、ほっと息をついた。
吉琳 「よかった…」
思わず心の声がこぼれると、アルバートは穏やかに瞳を細める。
アルバート 「計画通りにいきませんでしたが…あなたに喜んでもらえれば構いません」
アルバート 「今、開けてみて下さい」


=====


アルバート 「今、開けてみて下さい」

(何が入ってるのかな)

アルバートに促されてリボンを解き、箱を開けてみると…
吉琳 「わあ…」
夜空に瞬く星のような宝石があしらわれた、豪華なブローチが入っていた。
アルバート 「気に入って頂けましたか?」
吉琳 「はい、とても可愛いです。ありがとうございます」
お礼を伝えて、微笑んだその時…
吉琳 「わっ…」
あたりが真っ白な光に包まれた。
吉琳 「これって…」

(この世界に来たときと同じだ)

アルバート 「帰る道が開いたようです」
吉琳 「ですが、私はまだプレゼントを渡せていないのに」
アルバート 「では…」
アルバートは私の手をきゅっと握って、優しく微笑んだ。
アルバート 「プレゼントは、戻ってから頂けませんか」

(そっか…まだクリスマスイヴは終わっていないもんね)

吉琳 「はい」
大きく頷いて瞳を閉じると、徐々に周りの賑やかな声が遠のいて…―

 

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第3話-プレミア(Premier)END:


アルバート 「プレゼントは、戻ってから頂けませんか」

(そっか…まだクリスマスイヴは終わっていないもんね)

吉琳 「はい」
大きく頷いて瞳を閉じると、徐々に周りの賑やかな声が遠のいて…―

***

目を開けると、あの街へ行った時と同じように城の廊下に立っていた。
アルバート 「これは…戻ってこられたようですね」
吉琳 「はい。ですが…」
吉琳 「もう少しだけ、あの街でベンジャミンたちと話せたらと思ってしまいます」

(あんな体験、もう二度と出来ないと思うから)

すると、アルバートが真面目な表情で答える。
アルバート 「…それは困ります」
吉琳 「えっ」
アルバート 「もし、あの街に残ってしまったら…」
アルバート 「今夜のパーティーを、あなたと楽しめないので」
その言葉に、はっと小さく息をのんだ。

(私も、今日をずっと楽しみにしていたけれど、)
(アルバートも同じ気持ちだったんだ…)

吉琳 「今夜、楽しみにしています」
微笑みながらそう伝えると、アルバートの表情も柔らかいものに変わる。

(夜になるのが待ちきれないな)

これから始まるクリスマスイヴの夜に心を弾ませた。

***

その夜、ちらちらと雪が舞い始める中、
クリスマスパーティーが開かれて…―


=====


その夜、ちらちらと雪が舞い始める中、
クリスマスパーティーが開かれて…―
優雅なメロディに合わせて、私はアルバートとダンスをしていた。

(クリスマスイヴの夜に、アルバートと踊れるなんて嬉しいな)
(私もゼノ様にお礼を言わないと)

普段、騎士や側近という立場から一歩引いて参加しているアルバートも、
今夜は立場を気にせず参加するように、とゼノ様から言われたのだという。
アルバート 「早速つけてくれたんですね」
正装をしているアルバートは、私の胸元に飾られたブローチを見つめた。

(気がついてくれたんだ)

吉琳 「はい。似合っていますか…?」
アルバート 「…とても、綺麗です」
ブローチから私へ視線を移したアルバートは、
照れたように、それでもはっきりと伝えてくれた。

(こんなに真っ直ぐな言葉で誉められると、照れてしまう)

吉琳 「ありがとうございます…」
真っ赤になりながらそう返した時、ドレスの裾を踏んでバランスを崩してしまう。
吉琳 「あ…っ」
すると、アルバートが転びそうな私の腰をぐっと引き寄せて…―


=====


真っ赤になりながらそう返した時、ドレスの裾を踏んでバランスを崩してしまう。
吉琳 「あ…っ」
すると、アルバートが転びそうな私の腰をぐっと引き寄せて、
そのまま、何事もなかったようにステップを踏んでいく。
アルバート 「大丈夫ですか?」
吉琳 「はい。すみません…」

(何だか今日は、アルバートに助けてもらってばかりだな)

今のことだけでなく、あの街へ迷い込んだばかりの時も、
ぎゅっと抱きしめてもらった温もりも思い出す。

(そのお礼も込めて、プレゼントを贈りたい)

そう思いながら、目の前の頼もしい恋人を見つめた。

***

そうして、無事にクリスマスパーティーを終え…―
アルバートの部屋を訪れた私は、
昼間、シュタインのキッチンを借りて作ったケーキを渡していた。

(チョコレートでベンジャミンに似せたうさぎも作ってみたけれど…)
(アルバート、喜んでくれるかな)

吉琳 「…どうでしょうか」
ソファで隣り合って腰かけたアルバートへ訊ねると…―


=====


ソファで隣り合って腰かけたアルバートへ訊ねると…
吉琳 「…どうでしょうか」
アルバート 「美味しいです。ありがとうございます」
フォークを置いたアルバートは、にこやかに微笑んだ。

(よかった…喜んでもらえたみたい)

アルバート 「このチョコレートはベンジャミンですよね?」
吉琳 「はい」
気づいてもらえた嬉しさから弾んだ声で返すと、
アルバートは、まじまじとお皿に乗ったケーキを見つめる。
アルバート 「まさか、あの短時間で作っていたとは思いませんでした」
吉琳 「せっかくのクリスマスプレゼントなので、どうしても手作りしたくて」
吉琳 「それに…今日はアルバートに沢山助けてもらったので、」
吉琳 「そのお礼も兼ねているんです」
今日巻きこんでしまった不思議な出来事や、先ほどのダンスのことを話すと、
アルバートはふと真剣な眼差しになり、首を横に振った。
アルバート 「お礼はいりません」
吉琳 「え?」
アルバート 「結果的に、扉にぶつからずにすみましたが、」
アルバート 「もしあの時、あなたを追いかけず大きな怪我を負わせていたら…」
アルバート 「きっと一生後悔をするでしょう。それはダンスの時も同じです」
吉琳 「アルバート…」

(そんな風に考えてくれてたんだ)

優しさに胸が熱くなったとき、指先が温もりに包まれて…―


=====


吉琳 「アルバート…」

(そんな風に考えてくれてたんだ)

優しさに胸が熱くなったとき、指先が温もりに包まれて…
アルバート 「どんな時でも、俺は必ずあなたを守ります」
真摯な眼差しで告げられた言葉が、心の奥まで沁み渡っていく。

(向けられる優しさが嬉しい。…でも、もらうばかりじゃなくて、)
(アルバートにも、同じように幸せな気持ちになってほしい)

そんな想いで、絡められた指先に力を込める。
吉琳 「では、アルバートも何かあったら私を頼ってください」
アルバート 「え?」
吉琳 「助けてもらうだけじゃなく、支えになりたいんです」
吉琳 「…アルバートの恋人として」
揺るぎない想いを込めて見上げると、眼鏡の奥の瞳が揺れた。
アルバート 「……」
アルバート 「どうしてあなたは、嬉しいことばかり…」
言いかけたアルバートは、ぎゅっと私を抱きしめた。
その腕の力強さに、愛されているという実感で胸がいっぱいになる。
そうして、耳元に少し掠れた声が落ちた…―
アルバート 「まだ、クリスマスイヴの夜を終わらせたくありません」
アルバート 「今夜はずっと、側にいてもらえますか?」


fin.

 

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第3話-スウィート(Sweet)END:


アルバート 「プレゼントは、戻ってから頂けませんか」

(そっか…まだクリスマスイヴは終わっていないもんね)

吉琳 「はい」
大きく頷いて瞳を閉じると、徐々に周りの賑やかな声が遠のいて…―

***

目を開けると、そこはアルバートの部屋だった。
吉琳 「ベンジャミンの言った通り、ちゃんと戻れましたね」
アルバート 「ええ。入り口と出口が違うとは、随分といい加減ですが…」
アルバート 「悪くはありませんでした」
アルバートは部屋を見回しながら、穏やかな表情を浮かべる。

(本当に不思議で…楽しい街だったな)
(今年のクリスマスは、きっと一生思い出に残ると思う)

思い返しながら、もらったばかりのブローチの箱をきゅっと握る。

(でも…まだ、一番大切なことが残ってるよね)
(この素敵なプレゼントと同じくらい、喜んでもらえるものを贈りたい)

小さく笑みをこぼしたその時、あることが頭をよぎった。

*****
ベンジャミン 「今日はクリスマスイヴなんだぞ。恋人とデートして楽しまないとな」
アルバート 「こういったことは、物だけでなく贈るタイミングも大事ですから」
*****

(それなら…)

そっとアルバートの袖を引き、内緒話をするように耳元で囁く。
吉琳 「…アルバートに、お願いしたいことがあるんです」


=====


吉琳 「…アルバートに、お願いしたいことがあるんです」
アルバート 「なんでしょうか」
吉琳 「それは…」
私は思いついたある内容を、アルバートに伝えた。

***

そうして、シュタイン城でのクリスマスパーティーが終わり…―
私はアルバートと一緒に、昼間提案したデートに出かけていた。
アルバート 「今夜は一段と明るく見えますね」
吉琳 「はい、とても綺麗です」
キャンドルの灯りに照らし出された街並みは、幻想的に輝いていて、
瞳を細めるアルバートと同じ景色を眺めながら、私も頷く。
吉琳 「みんな、家族や友だち…恋人と過ごしているんだと思います」
アルバート 「ええ。…それは、あの街でも同じかもしれません」
アルバートの言葉に、あの街の不思議な出来事に想いをめぐらせた。

(ベンジャミンやシュネーも、きっと私たちのようにイヴを楽しんでいるよね)

そう思った時、冷たい風が襟元からのぞく首筋を撫でる。
吉琳 「…っ」
アルバート 「吉琳」
小さく肩をすくめると、アルバートが距離を近づけて…―


=====


(ベンジャミンやシュネーも、きっと私たちのようにイヴを楽しんでいるよね)

そう思った時、冷たい風が襟元からのぞく首筋を撫でる。
吉琳 「…っ」
アルバート 「吉琳」
小さく肩をすくめると、アルバートが距離を近づけて…
アルバート 「こちらへ」
優しく肩を抱き寄せてくれる。
吉琳 「あ、ありがとうございます…」
じわりと頬が熱くなるのを感じながら見上げると、
アルバートも、ほんのりと目元を染めていた。
アルバート 「そんなに照れないで下さい」
アルバート 「…この方が暖かいと思っただけです」
吉琳 「はい」
そう答えながらも、見つめあうだけで胸の音が甘く揺れてしまう。

(プレゼントは贈るタイミングも大事だって、アルバートは言っていたよね)
(それなら、今…かな)

私は、手にしていた鞄から小さな箱を取り出した。
吉琳 「アルバート。改めて…メリークリスマス」
吉琳 「それで…私からも、プレゼントです」

(喜んでもらえるといいな)

そっと差し出すと、アルバートは嬉しそうに微笑んで箱を受け取る。
アルバート 「ありがとうございます。今、開けてもいいですか?」
吉琳 「はい、ぜひ」
頷くと、アルバートは茶色のリボンを解いていき、
箱に入っている懐中時計を手にした。
そして時計の蓋を見つめて、何かに気づいた様子で瞳を見開く。
アルバート 「これは、もしかして…」


=====


アルバート 「これは、もしかして…」
吉琳 「はい、うさぎです」
吉琳 「ベンジャミンに見えたらいいなと思って選びました」
夜のパーティーが始まるまでの間に街へ出た私は、
アルバートへのプレゼントに、うさぎのシルエット入りの時計を見つけていた。
吉琳 「今日の、夢のような時間の思い出として」

(あの街での時間を、アルバートも楽しんでいたと思う)
(あんな風に言っていたから)

*****
アルバート 「入り口と出口が違うとは、随分といい加減ですが…」
アルバート 「悪くはありませんでした」
*****

アルバートは懐中時計を優しい手つきで箱に戻し、
蓋に描かれたうさぎを撫でる。
アルバート 「そうですね。不思議なことばかりでしたが…いい思い出です」
アルバート 「ありがとうございます。吉琳」
呼ばれた名前が、甘く心地良く胸まで響いて、再び鼓動が速くなる。

(変だな…今夜はいつもより欲ばりになってしまう)

愛しい想いがさらに大きくなった時、アルバートと視線が重なり…―
吉琳 「あ、あの…アルバート」


=====


(変だな…今夜はいつもより欲ばりになってしまう)

愛しい想いがさらに大きくなった時、アルバートと視線が重なり…
吉琳 「あ、あの…アルバート」
アルバート 「はい」
吉琳 「もう一つだけ、頂きたいプレゼントがあるのですが……」

(もっと、アルバートの温もりを分けて欲しい)

気持ちを抑えられず、想いのまま言葉にすると、
アルバートも目元を赤らめながら、真っ直ぐに私を見つめ返した。
アルバート 「…俺も、もう一つ贈りたいものがあります」
低い囁きが耳元に落ち、見つめ合う私たちに隙間がなくなっていく。
大きな手の平が、そっと私の頬を包み込んで…
アルバート 「目を閉じてもらえますか」
吉琳 「はい…」
甘い予感に瞳を伏せると、唇が柔らかく重なった。

(これから先もずっと一緒に、色々な思い出を積み重ねていきたい)
(アルバートも同じように思ってくれていたらいいな…)

唇から伝わる温もりに促されるように、背中へ回した腕に力を込める。
きらめく街の明かりを受けながら、想いが繋がる喜びに満たされていった…―


fin.

 

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エピローグEpilogue:

艾後.jpg
ウィンターワンダーランドから戻ってきたあなたを待っているのは、
ブッシュドノエルよりも甘いイヴの夜と、彼との幸せなクリスマス…―
アルバート 「吉琳」
甘く名前を囁かれ、どちらからともなく唇を重ねて…
アルバート 「一晩中、あなたを感じ続けていたい」
アルバート 「そう願うのは、わがままでしょうか」
彼の愛に酔いしれて、身も心も溶かされていく。
奇跡のようなクリスマスは、まだ終わらない…―

 

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    創作者介紹
    創作者 小澤亞緣(吉琳) 的頭像
    小澤亞緣(吉琳)

    ♔亞緣腐宅窩♔

    小澤亞緣(吉琳) 發表在 痞客邦 留言(0) 人氣()