新版王宮 本篇轉蛋(本編プリンスガチャ):ルイ

本編プリンスガチャ

◆ 恋の予感
 『ガラスの靴とプリンセス』
◇ 恋の芽生え
 『恋に落ちて』
◆ 恋の行方 ~夢見るプリンセス~
 『君の笑顔』
◇ 恋の行方 ~恋するプリンセス~
 『初めての願いごと』
◆ 恋の秘密
 『幸せは一番近くに』

新版王宮 本篇轉蛋(本編プリンスガチャ):ルイ

 

 

新版王宮 本篇轉蛋(本編プリンスガチャ):ルイ

 

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◆ 恋の予感 
       『ガラスの靴とプリンセス』

 

――…夜が色を濃くして、賑やかな声がお城を包んでいく。
…………
ダンスホールに入ると、その場にはたくさんの来賓の姿がある。

(ガラスの靴が選んだプリンセスのお披露目パーティー…)

好奇の色と、純粋にプリンセスに逢うために来たわけではない、
そんな感情がその場にいる人の目から感じ取れる。

(…こんな場所で、君はやっていけるの?)
(嫌な目に合うのは、目に見えてる)

*****
ルイ 「…プリンセスになったら、良いことばっかり起こるとでも思ってるなら」
ルイ 「君は大馬鹿だよ
*****

橋の上で、自分が冷たく言い放った言葉がふっとよみがえる。

(…俺は、きっと自分と君を重ねてる)
(突然、慣れない地位に押し上げられて、……どれだけ傷つくか)
(どれだけ不安か)
(…君は知らなくていいんだ)

その時、入口からユーリにエスコートされて入って来る吉琳の姿が見えた。
目が眩むような光が慣れないのか、吉琳は微かに瞬きをする。
ガラスの靴が、遠くからでも光ってみえた。

(……でも、もう引き返せない)

議員 「これはこれは、プリンセス。初めてお目にかかりますな」
さっそく声をかけて来た議員に、吉琳はドレスを軽く持ち上げて頭を下げた。
吉琳 「初めてお目にかかります。足をお運びくださってありがとうございます」
吉琳のそばにいたユーリが、片目を閉じて笑って合図するのが見える。

(ユーリが、そばにいてくれてよかった)
(俺には君を守れない)
(余計に…嫌な目にあわせることしかできないから)

視線だけで遠くの吉琳を見つめていると、
まるでタイミングを見計らったかのように声が聞こえてくる。
令嬢 「…ルイ様!お久しぶりですわ」
その声に呼応するように、たくさんの令嬢が集まってくる。
ルイ 「…………」

(……いつもなら、上手くかわす)
(けど……)

自分がここで姿を消したら、吉琳に視線が向けられるかもしれない。
そう思うとせめてできることは、
この令嬢たちの目を引き留めておくことだけだった。
ルイ 「……ああ」
短く答えると、令嬢たちは色めき立つ。
こんなに周りは賑やかなのに、その瞳は自分を映してはいない。

(……俺を見ていない)

『公爵』、『第一王位継承者』…そんな肩書きだけがその瞳には映っていた。
令嬢 「ルイ様、今度ぜひ公爵邸にお邪魔させて頂けないかしら」
令嬢2 「いえ、私が先に」
ルイ 「…………」

(……いつかは誰かを選ばないといけない)
(けど……自分を見てくれないこの子たちを、俺はきっと愛せない)
(愛せる、自信なんて…ない)

そうやって成り立つ形もあるのだと思う。
けれど、愛してもいないのに選ばれる苦しさを体が覚えている。

(俺は……自分と同じような目に誰も合わせたくない)

息苦しさから逃れるように、視線を上げた瞬間……
ルイ 「…………」
吉琳 「…………」
ただ、自分を真っ直ぐに見つめる瞳と視線が重なった。

(……っ…)

その瞳は、ただ自分だけを見つめている。
まるで自分の心を確かめるような、触れるような瞳に胸が疼く。

(……君は)
(どうして、そんな瞳で俺を見るの?)

*****
吉琳 「………私はお城に戻るよ」
吉琳 「このまま、全部無かったことにしたらきっと後悔する」
吉琳 「それに…きっとたくさんの人に迷惑がかかると思うから」
ルイ 「君は…っ…」
*****

出逢った瞬間から、揺るぎの無い瞳で自分を見つめて、
嘘も飾り気も無い言葉で話す。

(自分と重ねていただけじゃない)
(そんな君だから……こんな気持ちになるんだ)

気づかれないように、傷つかないように、
距離を取るように視線を逸らす。
令嬢 「ねえ、ルイ様…」

(…俺はこんな守り方しか)
(できない)

また暗闇に引きずられるように、令嬢の視線を戻そうとしたその瞬間……
吉琳 「初めてお目にかかります」
令嬢が目を見開き、ゆっくりルイが振り返ると……
ルイ 「……っ…」
真っ直ぐな瞳がすぐそばで、自分を守るように見つめていた…――

 

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◇ 恋の芽生え 
       『恋に落ちて』

 

――…通り雨が晴れた空の隙間から降り注ぐ。
会社を飛び出して、タクシーを捕まえようと橋の上で視線をさまよわせたその時……
ルイ 「…………吉琳」
橋の遠くで吉琳が目を見開いて立っている。
吉琳 「どうして…」
ルイ 「…君が、シュタインに向かったって聞いて」
ルイ 「今からシュタインに向かおうとしてた」
掠れた声しか出なくて、必死に伝えようとすると吉琳は頷いてくれる。

(早く……伝えないと)

吉琳 「ルイ、視察の結果は…?」
吉琳の問いかけに応えるように、
ただ伝えたくて、言葉より先に笑顔がこぼれた。

(吉琳…、君が走ってくれたから)

その瞬間、吉琳が嬉しそうに笑って駆けて来る。
通り雨が降る中、腕が何の迷いもなく伸ばされてきつく抱きしめられた。
ルイ 「……!」
吉琳 「あ…ごめん…っ…」
少しだけよろめくと吉琳が腕を慌てて離そうとする。

(……離れないで)

抱きしめてくれた以上の力で、抱きしめ返す。
ルイ 「…いい」
吉琳 「ルイ…」
ルイ 「このままで、いて…」

(……誰かを自分から抱きしめたのは)
(初めてだ)

胸を満たす想いに小さく息をついて、吉琳の顔を見つめる。
ルイ 「文書が届いたよ」
吉琳 「間に合わないかと思ったよ
ルイ 「…また走ってくれたの?」
肯定するように吉琳が笑う。
まるで何でもない、とでもいうような表情に胸が詰まった。
ルイ 「君にはいつも驚かされて…」
ルイ 「助けてもらってばかりだ」
抱きしめる体は、まだ微かに降っている雨で冷たい。

(けど……あったかい)
(…ちゃんと、この体温と向き合いたい)
(吉琳と、向き合いたい)

ルイ 「吉琳…」
吉琳 「ん…?」
ルイ 「俺は自分自身と君を重ねてた」
見上げる吉琳の瞳が、綺麗に雨を映している。
ルイ 「次期国王として、王宮に留まる契約を交わして」
ルイ 「ずっと俺は同じ場所で生きていくことを選んだ」
吉琳 「………うん」
ルイ 「だからいきなりプリンセスに選ばれた君を」
ルイ 「最初は…拒絶した」

(あんなに不器用な方法でしか…、守る術を知らなかったから)

傷つけたかもしれない、そう怯えながら告げる言葉を吉琳は受け止めて、
それでも変わらず、前を向いて背中を追いかけて……そばにいてくれた。
ルイ 「けど、君は…俺と違って」
ルイ 「あまりにも眩しかったから」
吉琳 「ルイ…?」
ルイ 「拒絶すればするほど、強く…惹かれていったんだ」
吉琳 「……っ…」

(遠ざけたいのに、……君に誰よりもそばにいてほしい)

雨で濡れた頬に、そっと手を伸ばして触れる。
ルイ 「…君を手放すのが怖くて」
ルイ 「だけど君の自由を奪うのも怖くて」
ルイ 「俺は…弱虫だね」
晴れた空から降る雨が頬を濡らしていく。
吉琳 「違うよ、ルイは強い」
ルイ 「……?」
吉琳は、抱えている気持ちを全て差し出すように必死に言葉を紡いでくれる。
吉琳 「出逢った時から、…本当は私を守ってくれてた」
吉琳 「色んなもの、全部守ってる
ルイ 「……っ…」
ルイ 「吉琳」

(本当は、ずっとずっと…君に惹かれてた)

*****
吉琳 「私がルイを絶対に好きにならなければいい」
吉琳 「100日間、私は全力でルイを…守りたい」
*****

(どうしようもなく、君が……)
(好きなんだ)

吉琳が口にした言葉も、自分の矛盾も全て飛び越えて、
この気持ちを伝えようと口を開きかけたその瞬間……
吉琳 「ルイ…」
ルイ 「ん…?」
吉琳が濡れた瞳を揺らしながら、眉を下げて笑う。
吉琳 「ごめん、私…ルイが好きだよ」
ルイ 「……っ」
吉琳 「好きにならないって決めてたけど、無理みたい」
目の前の表情があまりに綺麗で、自分の全てを奪われる感覚を覚えた。
吉琳 「ルイ、私は自分の自由は自分で決めるよ」
ルイ 「………っ」
吉琳 「もっともっと強くなる」

(……それは俺が君に伝えたい言葉だよ)
(君のために、もっともっと強くなりたい)

吉琳の大きな瞳から、雨じゃない大粒の涙がこぼれ落ちていく。

(……俺は君を、好きでいてもいい?)

吉琳 「だから……、好きでいてもいい?」
絞り出すような声に、抗えない衝動が込み上げる。
ルイ 「…君は大馬鹿だよ」

(……こんな俺を)
(好きだと思うなんて)

濡れた髪を手で掻き乱して、小さな手を、愛しいと思う手を、
そっと持ち上げた。
吉琳 「ルイ…?」

(遠回りばかりする馬鹿な俺だから)
(これから、……俺の全てをかけて)
(君を守って、幸せにしたい)

ルイ 「君を求めることを」
ルイ 「許してほしい」
吉琳 「ル…っ」
自分の心、それと吉琳に誓うように手の甲にキスをした。
ルイ 「俺は君が好きだよ」
ルイ 「…君が想うより強く」
もうすぐ雨が上がって、もっと吉琳の表情を綺麗に照らしてくれる。
その笑顔を見るのは、いつだって自分でありたい、そう願う。

(……もう君を、離せない)

目の前で、吉琳がまた優しく微笑んでくれた…――

 

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◆ 恋の行方 ~夢見るプリンセス~ 
       『君の笑顔』

 

――…吉琳がこの城を出て行く日
なるべくいつもみたいに過ごそう、
そう言い聞かせるように書類を抱えて、まだ朝日が登ったばかり廊下を歩いて行く。

(……っ…)

その瞬間、もう反射のように覚えている足音が目の前から聞こえてくる。
ルイ 「…吉琳」
吉琳は、目を見開くと片手に持ったボストンバックをぎゅっと握った。
ルイ 「…早いね」
吉琳 「うん、朝一の便だから」
ルイ 「そう」
吉琳 「ルイも早いね、公務?」
ルイ 「宣言式まで…色々準備があるから」
吉琳 「そっか」

(……これで、吉琳にしばらく会えなくなるかもしれないのに)
(こういう時、何一つ)
(上手く言葉が出てこない)

表面を撫でるような会話を交わしていると、
吉琳がふっと視線を上げる。
吉琳 「ウィスタリアに来て、今日の空が一番綺麗」
吉琳 「旅立ちの門出にはぴったりじゃない?」
朝日が差し込む窓に視線を映して、柔らかく笑う横顔に引き寄せられた。
ルイ 「…………」

(ここに来て…いいことばかりではなかった)
(それに、……こんな形でしか君を守れない)
(それなのに、君の笑顔はいつだって変わらない)

その横顔がひどく眩しくて、時間が止まったように見つめていると、
吉琳の視線が自分に向けられた。
吉琳 「どうか…した?」
ルイ 「君の笑顔に憧れてたよ」
吉琳 「え…」
考えるより先に、感情が言葉を吐き出していく。
ルイ 「見てると、まるで自分まで温かくなって」
ルイ 「こんな風に笑えたらってずっと思ってた」

(君の表情一つ一つに、どうしようもなく憧れて)
(惹かれてた)

胸を満たす感情に息をつくと、吉琳がまた笑みを深めた。
吉琳 「ルイ…知ってた?」
ルイ 「……?」
吉琳 「もう、笑えてるよ」
ルイ 「…………」

(…どういう…こと?)

吉琳 「ルイとここで過ごした毎日を思い出すと」
吉琳 「拗ねた顔とか、少しだけ怒った顔とか、最初の冷たい顔を思い出すけど」
吉琳はそこで言葉を切ると、ただ……真っ直ぐに告げてくれる。
吉琳 「一番心に浮かぶのは、ルイの笑った顔だよ」
ルイ 「……そっ…か」

(吉琳、俺は)
(……君と出逢うまで、笑い方さえ忘れていたんだよ)

吉琳 「ルイ、笑って」
ルイ 「………うん」

(君が笑ってくれるなら)
(君が笑ってほしいと望んでくれるなら)
(いくらだって、笑うよ)

ルイ 「吉琳も」
自分の出来る限りで笑うと、吉琳が嬉しそうに顔を綻ばせてくれる。
ルイ 「吉琳」
吉琳 「ん…?」
ルイ 「君の歩く道が明るく照らされるように」

(君の笑顔が、消えないように)

ルイ 「…心から願ってる」

(誰よりも、祈ってる)

吉琳 「ありがとう、ルイも…」
吉琳 「世界で一番、幸せになって」

(君のそばで、……幸せになりたい)
(…っ…君を、一番幸せにしたい)

その言葉が口を突いて出そうになったけれど、一度だけ頷く。
吉琳の一瞬の表情を記憶に刻んで、背を向けて歩き出す。

(…何度も、何度も君は背中を追いかけてくれた)

*****
吉琳 「私が、決めたことだから」
ルイ 「……好きにすればいい」
*****

*****
ルイ 「…待たないから、追いついて」
吉琳 「…!うん」
*****

(本当は、背を向けながらその足音にすがっていたのは…)
(自分なんだ)

だから、今度こそ本当に守れる力を手に入れて、
この足で吉琳を追いかける。

(…必ず迎えに行く)

それまで、自分の言葉が吉琳の足かせになってはいけない。
だけど、自分の気持ちが変わることは生涯ないのだろう。

(吉琳……、君にまた逢いたい)

お互いが離れていく足音だけが、静かに朝日に包まれて響いていった…――

 

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◇ 恋の行方 ~恋するプリンセス~ 
       『初めての願いごと』

 

――…公爵邸に向かう間、吉琳に初めて過去のことを話していく

(……こうして、誰かに話したのは初めてだ)

言葉を切って、真剣な表情で話を聞いてくれている吉琳に笑みを向けた。
ルイ 「でも安心して」
ゆっくり車が停まり扉が開く。

***

(自分の過去と、向き合おうと思ったのも初めてだけど)
(……避けたままじゃ駄目だから)

車から下りると、懐かしいと思うほどに帰っていなかった自分の邸が、
視界に飛び込んできた。
ルイ 「…君に不自由な思いはさせない」
ルイ 「行こう」

***

広いエントランスを抜けて、廊下を歩いて行くと……
使用人 「…ルイ様!」
ルイ 「…今、戻った」
仰々しい態度で、使用人は自分、そして吉琳を見つめて姿勢を正す。
『公爵』としての自分への畏怖すら感じさせる表情に過去がよみがえる。
ルイ 「何の連絡もなしに、すまなかった」
使用人 「いえ…」

(ずっと『公爵』として存在することを、夫妻に求められてきた)

きっと今でもそれは変わらない。

(けど……もう、公爵として威厳がある自分を作る必要なんてない)

自分の全てを認めてくれた吉琳が隣にいる。
その事実が、優しく背中を押した。
ルイ 「今回、この邸に戻ってきたのは」
ルイ 「お前たちに頼みがあるからだ」
使用人 「……はい」
ルイ 「俺は次期国王になる」
使用人 「……っ…!」
ルイ 「そのために、必要な人をお前たちに守ってもらいたい」
吉琳に視線を向けると、心配そうな表情で見つめられる。

(大丈夫、君がそばにいるから)

ルイ 「…期間限定プリンセス」
ルイ 「…そして、これから俺のプリンセスになる人だ」
一息に告げると、無意識に自分の手は吉琳の手を求めて、
後ろ手にきゅっと掴んでいた。
吉琳 「少しの間、お世話になります」
吉琳 「よろしくお願いします」

(……っ…!)

吉琳が明るい声で言って、勢い良く頭を下げる。

(……君は)

深く下げた姿を追うように、自分も同じように頭を下げた。
使用人 「おやめください…ルイ様、プリンセス」
ルイ 「…?」
使用人 「頭を下げるなど…」
ゆっくり視線を上げると、複雑そうな表情が見えた。

(……こんな表情、初めて…見た)

真っ直ぐに瞳を見つめると、使用人と視線が重なっていく。
使用人 「ルイ様にお願いごとをされるのは…初めてですね」
使用人は自分の姿と、吉琳を交互に見つめて言い切った。
使用人 「お守り致します」

***

ずっと使っていた自室に入ると、詰めていた息がこぼれる。
吉琳 「ルイ…っ…」
緊張が解けて、吉琳の肩に顔を埋めた。
ルイ 「……少しだけ」
ルイ 「こうさせて」

(……ありがとう、吉琳)

お礼を伝えようとすると、吉琳の柔らかい声が響く。
吉琳 「ルイ…ありがとう」
ルイ 「…?」
吉琳 「一緒に頭を下げてくれて、この場所に連れてきてくれて」

(…いつも、先に言うのはずるいよ)

ルイ 「お礼を言うのは、俺の方」
ルイ 「……初めて、ちゃんと目を見られたよ」

(初めて、自分の気持ちを伝えられた)
(君を守ろうとして)
(君に守ってもらってるみたいだ)

きっと守りたいものがあると、人はいくらだって強くなれる。
そんなことに、今さら気がついた。
吉琳 「でも、少し嫉妬するな」
ルイ 「…ん?」
吉琳 「ルイの良い所をどんどん知ったら、みんな、私みたいに好きになるでしょ?」
無邪気で、それでいて幸せな言葉に首筋が熱くなっていく。
ルイ 「…あんまり、可愛いこと言わないで」
肩から額を離して柔らかい髪をすくって腰を抱き寄せる。

(……どんどん、君を好きになるのは)
(きっと、俺なんだよ)

深く、求めるままに唇を重ねて行くと、甘い声がこぼれていく。
吉琳 「…ん…、ルイ…っ」
ルイ 「…もう少し、だけ」

(もう少しだけ…)
(君に触れさせて)
(この瞬間を現実だって、思わせて)

次に逢える日までを埋めるように、幾度も唇を重ねていった…――

 

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◆ 恋の秘密 
       『幸せは一番近くに』

 

――…穏やかな風がカーテンを揺らす日

(……これで、今日の分は終わり)

書類の全てに目を通して、息をついた瞬間、
聞き慣れた足音が廊下から聞こえてくる。
もう誰のものか一瞬でわかる足音が近づいて来て、ペンをそっと置く。

(……?いつもより、騒がしいけど)

駆けて来る足音が扉の前で止まり、ノックも無しに扉が開いた。
ルイ 「……っ…」
吉琳 「ルイ……」
ルイ 「どうしたの…?泣きそうな顔してる」
吉琳は視線を伏せると、
ひどく慌てた様子で手にした鳥かごを持ち上げた。
吉琳 「シャルが……逃げちゃったの」
ルイ 「……シャルが?」

***

吉琳の話をゆっくり聞くと、うたた寝をしている間にゲージが開いていて、
もうシャルの姿は消えていたと、まだ泣きそうな顔で吉琳は呟く。
ルイ 「きっと近くにいる。それに、吉琳に預かってもらってたのは俺だよ」
吉琳 「…けど」
不安を取り除くように手をきゅっと握ると、吉琳と視線が重なる。
ルイ 「大丈夫…、きっと見つかるから」
頷く吉琳に微笑んで、いつもシャルを連れていく温室に足を踏み入れた。

(……ここ、かな)

温かい空気が頬に触れて、視線をさまよわせると……
クロード 「お前らどうしたんだ、そんな空っぽの鳥かごなんか持って」
ルイ 「クロード」
ドレスに使うのか、花を使って布を染色していたクロードが首を傾げる。
吉琳 「クロード、青い鳥を見てない?いなくなっちゃって…」
クロード 「ルイの飼ってる鳥だろ。見てないな、けど……」

(……?)

クロード 「吉琳、『青い鳥』っておとぎ話を知ってるか?」
吉琳 「確か…、二人の兄妹が青い鳥を探しに行くけど、本当は一番近くにいたって話だっけ?」
クロード 「そうだ、…幸福の青い鳥はいつだって近くにいるものだ」

(一番…近くに)

クロードの視線は、吉琳の髪に向けられている。

(……ああ、そう言うことか)

ルイ 「ありがとう、クロード」
吉琳 「え…ル…ルイ?」
吉琳の手を引いて歩き出すと、クロードは片手を上げて笑みを深めた。

(きっと……)

***

腕を引いて、シャルがいなくなった吉琳の部屋に入る。
ルイ 「吉琳、…髪飾りをしまっている箱ってどこにある?」
吉琳 「……?あれだけど」
ルイ 「そこ、覗いてみて」
吉琳が指で示した箱を見つめると、顔が綻んだ。
吉琳 「…っ…いた!どうしてここにいるってわかったの?」
ルイ 「君の髪飾り、片方だけ取れてるから」
吉琳は目を見開くと、納得した表情で笑う。

(……よかった、この顔が見られて)

吉琳がシャルを捕まえようとして腕を伸ばすと……
吉琳 「……あ!」
シャルが飛んで自分の胸に飛び込んで来ると、
吉琳が腕を伸ばしてシャルと自分を思い切り抱きしめた。

(……っ……)

吉琳 「捕まえた!」
目の前の表情があまりに無邪気で、
その瞬間、前に吉琳が言ってくれた言葉を思い出していく。

*****
吉琳 「言ったでしょ?」
ルイ 「……?」
吉琳 「自分の自由は自分で決めるって」
吉琳 「ルイがここを鳥かごだって言うなら」
吉琳 「私がもっと大きな鳥かごになってあげる」
ルイ 「……どういうこと」
吉琳 「…ずっとそばにいるってこと」
*****

自分を抱える腕は、まるで本当に大きな鳥かごのようだ。
なんだかこんな普通の1日が、穏やかな時間が、途方もなく幸せだと思った。

(吉琳、俺は)
(君といて随分と自由になったよ)

吉琳の細い腰に腕を回して、笑いながら告げた。
ルイ 「捕まった」
吉琳 「あ…その、ルイも捕まえるつもりは無くて…」
ルイ 「捕まえてて」
覆いかぶさったままの吉琳の髪を撫でて、額にキスをする。
吉琳 「……ルイ…」
ルイ 「俺も、君を離さないから」
今度は唇にキスをしようとすると、吉琳が慌てて口を開く。
吉琳 「……っ…また、シャルが逃げちゃう」
ルイ 「大丈夫」
吉琳 「……?」

(いつだって、幸せは近くにあるから)

――…幸福の青い鳥はいつだって近くにいるものだ」
ルイ 「逃げたら、何度だって探せばいい」
きっと幸せも、似たようなものなのだと思う。
シャルがじっと見つめる中、幸せを噛みしめて、
吉琳の唇におとぎ話の終わりのように甘いキスをした…――

 

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    小澤亞緣(吉琳) 發表在 痞客邦 留言(0) 人氣()