日版王宮 收集活動-停更後的合集:2020年

 

嗯……因為之前小窩在2018年5月開始停止更新日版,

合集就是放自那之後沒更新到的,而現在手邊有的截圖和故事。

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Drink with Me~甘美な酔いに抱かれて~

日版王宮 收集活動-合集: 2020年

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Love Order~今日は一日彼のいいなり~

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Kiss of Memories~あの日のときめきをもう一度~

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Love Drop~水のイタズラで透ける肌~

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おあずけロマンス~お部屋で募るキミへの想い~

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Memory of Summer~胸の高鳴りは夏のせい?~

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覗き見トライアングル~あなたの知らない王子様たちの絆~

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One More Kiss~彼をもっと好きになる魔法~

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王子様と恋のおまじない~欲望のままに愛されて~

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Rose & Prince~呪いを超える究極の愛~

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日版王宮 收集活動-合集: 2020年

20200115~20200126

Drink with Me~甘美な酔いに抱かれて~

日版王宮 收集活動-合集: 2020年

透き通るような冬の冷たい空気に人恋しさが募る頃……
ひと雫のお酒がいつもと違う彼の素顔を引き出していく…―
アラン「あったまるからって、あんま飲みすぎんなよ」
アラン「俺の気持ち……もっとちゃんと伝えてやる」
ルイ「いつかここに泊まることがあったら使ってもらおうと思って、用意しておいた」
ルイ「もう、今夜は君を離せそうにない。……ダメ?」
レオ「……こうして美味しいものを好きな人と食べられるって、すごく幸せだね」
レオ「やっぱり酔うと、我慢が効かなくなる。……吉琳ちゃんがいると、特に」
ゼノ「共にこの城で過ごしてるのだから、片時も離れたくない」
ゼノ「……ワインのせいではない。俺を酔わせているのはお前だ」
レイヴィス「お前自身がプレゼントみたい」
レイヴィス「チーズも美味しかったけど……お前のほうがもっと美味しそう」
重なる吐息の先で、ほろ酔いの彼から与えられるのは……
甘やかな刺激……?
それとも、少し危険な刺激……?

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【80個特典】レイヴィスの特典ストーリー


冬の張り詰めた冷たい空気に、人恋しさが募る夜…―
私は恋人であるレイヴィスに逢いに、フレイ地区を訪れていた。
夕食後、のんびりした時を過ごそうと二人並んでソファに腰掛けると、
来た時に置いたままにしていたバッグに手が触れ、中に入れていた物の存在を思い出す。
吉琳 「あ、そういえばお土産を持ってきたの」
レイヴィス 「へえ、何?」
吉琳 「ウィスタリア産のチーズだよ」
丁寧に包まれたチーズを手渡すと、レイヴィスが微笑む。
レイヴィス 「俺の好物、覚えててくれたんだ」
レイヴィス 「ありがとう。
レイヴィス 「ちょうどチーズに合いそうな赤ワインをもらったから、一緒に飲まない?」
吉琳 「うん、ぜひ」
席を立ったレイヴィスが、金色のリボンがかけられた赤ワインのボトルを持ってくる。
レイヴィス 「吉琳の口に合うと良いけど」
(見るからに高級そうなワインだけれど……)
吉琳 「こんなに立派なワインを誰に頂いたの?」
ほんの好奇心で訊ねると、レイヴィスが何かを思い出すような仕草を見せて口を開く。
レイヴィス 「この前、挨拶に来た貴族から。
レイヴィス 「領地特産のワインを俺にぜひ味わってほしい、って」
吉琳 「レイヴィスが頂いた物なのに、私も飲んでしまっていいの?」
遠慮する私に、レイヴィスは柔らかく目を細めた。
レイヴィス 「当然でしょ。むしろ美味しいものは、誰よりお前と分け合いたい」
優しい言葉に胸が高鳴るのを感じていると、
レイヴィスがワインボトルから解いたリボンが、床の上に音もなく落ちる。
すると、すかさずペットの子オオカミであるルークが駆けてきてリボンを咥え、
どこか得意げに私に見せてくれた。
吉琳 「遊びたいの? それとも散歩のおねだりかな?」
ルークの頭を撫でながら話しかけていると、レイヴィスが苦笑する。
レイヴィス 「犬じゃないんだから」
吉琳 「そうだよね」
私たちが笑い合っていると、ルークはリボンを咥えたまま別の部屋へと駆けていく。
吉琳 「あ……」
レイヴィス 「たまに今みたいなこともするんだけどね」
走り去るルークの姿を優しい瞳で見送ると、レイヴィスはソファの前のローテーブルに、
カットしたチーズとグラスに注いだ赤ワインを並べてくれる。
レイヴィス 「それじゃ、乾杯」
吉琳 「乾杯」
レイヴィスはワインを一口飲んだ後、早速チーズを口にして……
レイヴィス 「ん……美味しい。これはワインが進むな」
レイヴィス 「最高のお土産、ありがとう」
吉琳 「どういたしまして」
(こんなに喜んでくれているし、今度はまた別の種類のチーズを持ってこようかな)
そんなことを思いながら私もグラスに口をつけると、芳醇な香りが広がり、思わず目を見開く。
吉琳 「すごく美味しい……!」
吉琳 「こんなに素敵な赤ワインをプレゼントしてもらえるなんて、良かったね」
何気なく言うと、チーズを楽しみながらワインを飲み進めていたレイヴィスが、
ふっと息をこぼす。
レイヴィス 「貴族からの贈答品なんて、何か思惑があることがほとんどだから、」
レイヴィス 「素直に喜んでばかりもいられないけどね」
吉琳 「それじゃあレイヴィスが貰って嬉しい物ってあるの?」
私が質問すると、レイヴィスの甘い眼差しが注がれた。
レイヴィス 「お前から貰ったものなら何でも」
そう言って、レイヴィスは長い指先についたチーズを舐めとってみせる。
吉琳 「え……」
思いがけない嬉しい言葉と、色気のあるその仕草に頬が火照った。
レイヴィス 「それから……」
レイヴィスが何かを言いかけたところで、リボンを咥えたルークが気まぐれに戻って来る。
レイヴィスが差し出した手にリボンを乗せると、私たちをちらりと見てから部屋を出て行った。
吉琳 「リボンを返しに来たみたい。本当にルークは賢いね」
レイヴィス 「まあ……飼い主の気持ちが分かる気の利く奴かもね」
吉琳 「レイヴィスの気持ち……?」
レイヴィス 「そう」
いたずらっぽい表情をしたレイヴィスが私の両手首をとり、
丁寧に金色のリボンを巻き付けていく。
吉琳 「レイヴィス……?」
呆然とされるがままになっていると、まるでプレゼントのラッピングかのように
私の両手首はリボン結びで縛られていた。
されるがままになってしまった私の耳元に、レイヴィスが唇を近づけ甘く囁く。
レイヴィス 「それから……お前をもらえると嬉しい、って気持ち」
途端に、鼓動の音が大きくなる。
レイヴィス 「お前自身がプレゼントみたい」
レイヴィスは私の手首を縛ったリボンにそっと触れた。
吉琳 「こんなことをするなんて、もしかして酔っているの……?」
レイヴィス 「どうかな」
口の端を上げて、私を見つめる瞳がいつもより熱っぽく見える。
レイヴィスが私のリボンをかけられた手を持ち上げ、指先に口づけ……
レイヴィス 「チーズも美味しかったけど……お前のほうがもっと美味しそう」
レイヴィス 「今度はお前を食べたいんだけど。いいだろ?」
(っ、私を食べるって……)
私が答える前にレイヴィスが私の自由にならない腕を、自分の首にかけさせた。
まるで私がレイヴィスを抱き寄せるような体勢になり、全身の熱が上がる。
そのまま唇を奪われると、甘い声と熱い吐息が勝手にこぼれてしまう。
吉琳 「ん……ぁ」
自分の発した声が恥ずかしくて逃れようとしても、
両腕はレイヴィスの首に引っかけられていて上手くいかない。
そんな私を見てレイヴィスは目を細め…―
レイヴィス 「そんな甘い声出しといて、逃げるのは反則。
レイヴィス 「……キスだけじゃ、もう足りないくせに」
わざと熱を煽るような言い方をして首筋に唇を寄せていく。
さらにその手が私の胸元を包むように触れ、肩が跳ねた。
吉琳 「あ……」
レイヴィス 「ほら、また出した」
吉琳 「っ……!」
私は声がこぼれてしまわないようレイヴィスの肩に顔を押し付け……
(この上なく恥ずかしいけれど、レイヴィスが望むなら何でもあげたいって思うのは、)
(誰よりも好きだから……)
いつもより少し大胆な、レイヴィスの指先と唇のいたずらに耐え続けたのだった…―

日版王宮 收集活動-合集: 2020年

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日版王宮 收集活動-合集: 2020年

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日版王宮 收集活動-合集: 2020年

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20200213~20200224

Love Order~今日は一日彼のいいなり~

日版王宮 收集活動-合集: 2020年

ある日、あなたはひょんなことから彼の“お願い”を聞くことに……
その要求は、次第にエスカレートしていき…―
ルイ「この先に、吉琳と一緒に行きたかった場所があるんだ。来て?」
ルイ「全部、俺が取ってあげる」
ジル「せっかく一緒に入っているのですから、もっとこちらに来てください」
ジル「やはり、困った顔も可愛らしいですね」
ゼノ「ならば……お前に手料理を振舞ってもらおう」
ゼノ「真っ赤だな。だがこれぐらいの口づけでは、まだ足りない」
シド「他の誰にも見せたくねえ」
シド「俺からはしねえから、お前からキスしてくれよ」
レイヴィス「じゃあ、少し手伝ってほしいことがあるんだけど」
レイヴィス「何でも言うこと聞いてくれるんでしょ?食べて」
彼のからのお願いは甘く、そしてちょっぴり刺激的……
今日は一日、愛しの彼に翻弄されて…―

日版王宮 收集活動-合集: 2020年

【80個特典】シドの特典ストーリー


冬の淡い陽射しが路面に反射する、とある日の午後…―
私はシドと共にハンブリー地区の服屋に来ていた。
店内の服を一通り見て回ると、シドは1枚のドレスを手に取る。
シド 「こいつを着ろ」
吉琳 「え……」
それは胸元が開き、スリットが入ったかなり露出度の高いドレスだった。
いつもなら断っているところだけれど、今日は“ある理由”でそうはいかない。
(どうしてこんなことに……)
なかば悔しさを滲ませて顔を上げると、シドは楽しげに唇の端を持ち上げる。
シド 「約束、だからな?」
吉琳 「わかってるよ……!」
シドから受け取ったドレスを手に、私は試着室のカーテンを開けた。
……
試着室でドレスに着替えようとしたものの、なかなかうまくいかず…―。
シド 「おい、まだかよ」
吉琳 「えっ」
痺れを切らしたのか、シドが強引に試着室の中へ入ってくる。
シド 「……ったく、しょうがねえな。そのまま、立っとけ」
少し気怠げに微笑を浮かべるシドは、私の着替えを手伝おうとする。
吉琳 「い、いいよ! 自分で……」
シド 「できねえくせに」
吉琳 「う……」
着るのに手こずっていたのは事実なので、返す言葉もなく言い淀んでしまう。
シド 「いいから大人しくしてろ。別に何もしねえから」
背後からシドの腕が伸びてきて、ドレスの布越しに私の身体へ触れる。
(何もしないって言うけど……)
触れた手から感じる温もりに、鼓動が落ち着きを失くす。
すぐ後ろに彼の息遣いを感じながら、私はようやくドレスへと着替えを済ませた。
吉琳 「あの……どうかな?」
ためらいがちに振り返り、シドと向かい合う。
シドは表情を変えることなく、無言のままで私をじっと見つめて…―。
(もしかして似合ってないのかな?)
狭い試着室での沈黙に耐え切れず、先に口を開く。
吉琳 「何か言ってよ」
気恥ずかしさから声が上ずってしまった。
そんな私にシドがくすりと笑みを漏らす。
シド 「他の誰にも見せたくねえ」
吉琳 「……え?」
にわかに伸びた彼の手が後ろの鏡につく。
シドは意地悪な笑みを浮かべたまま、私の耳元に口を寄せた。
シド 「すげえ似合ってる」
シド 「お前からは目が離せねえな」
吉琳 「……っ!」
ためらいのない彼の言葉に、頬に熱が集まる。
距離を縮められ、キスを予感した私はシドの胸をそっと押し返した。
(試着室だし、ここでキスをするのは……)
吉琳 「……何もしないんでしょ?」
シド 「そんなこと言ったか?」
とぼけたように言うシドだが、私は先程の言葉を思い出す。
吉琳 「さっき言ったよ」
シド 「ふうん……なら」
顎を引き、わずかに距離を開いた彼の瞳に悪戯な光が宿る。
シド 「俺からはしねえから、お前からキスしてくれよ」
吉琳 「え、こんなところで……」
シド 「今日はなんでも言うことを聞くんだよな? 勝ったのは俺だからな」
吉琳 「それは……」
言葉に詰まる私に、彼がふっと笑みを深める。
甘やかな吐息が、からかうように私の唇を掠めた。
シド 「俺に賭け事で勝とうなんて100年早えんだよ」
吉琳 「……それはもう、痛いくらいわかったよ」
……昨夜、私とシドはポーカーで勝負をした。
負けた方が相手の言うことをなんでも聞くという提案に安易に乗ってしまい…―
私は見事、大敗北を喫したのだった。
(こんなことになるなら、シドに勝負なんて挑むんじゃなかった……)
今更ながらに後悔が襲うけれど、約束を破るわけにはいかない。
私は大きく息をひとつつき、意を決してシドの目を真っ直ぐ見据える。
吉琳 「……目を閉じてて」
シド 「ん? ああ……」
軽く背伸びして目を閉じた彼の唇に、触れるだけのキスを落とす。
シドはゆっくりと目を開けると、笑うように息を吐いた。
シド 「へたくそ」
吉琳 「だって……」
シド 「……でもまあ、お前にしては上出来だ」
鏡についていた手が離れ、抗う間もなく、シドに抱きすくめられる。
彼の手に首の後ろを引き寄せられ、呼吸を奪われた。
吉琳 「……っ!」
離れた唇は一瞬の隙さえ惜しむように、またすぐに重なる。
場所を変える度に深くなるキスに、頭の奥が甘く痺れた。
(シド……)
2人の息遣いが、狭い試着室を支配する。
彼のキスに溺れそうになりながら、カーテンの向こうの騒めきに意識を引き戻された。
吉琳 「こ、これ以上はダメ……!」
自制の意味もこめて、強くシドの胸を押した。
シドは少し不満そうにした後、何かを思いついたように優しく私の肩に触れる。
シド 「じゃあ、あと少しだけ大人しくしてろ」
吉琳 「え?」
開いた胸元に彼の唇が添えられ、肌を食む。
吉琳 「ちょっと!」
直後、甘い痛みを素肌に感じた。
視線を落とすと、胸元には赤い愛の花が咲いている。
吉琳 「これじゃ、他の人に見えちゃうじゃない……!」
付けられた痕を手で隠しながら抗議をすれば、シドはニヤリと口角を上げる。
シド 「普段の服なら見えねえだろ。……そのドレスなら、別だけどな」
吉琳 「そうだけど……」
ふと先程、シドが口にした言葉を思い出す。
(シド、このドレス姿を誰にも見せたくないって言ってた……)
(もしかして、シドの前以外では着させないように……?)
私の気付きを察したように、シドが軽く顎を引く。
シド 「それ、買って帰るぞ」
吉琳 「あ、シド……!」
楽しげな笑みを残すと、シドは試着室の向こうに消え、私は一人取り残される。
(もう、いつも私を振り回すんだから……)
視線を落とすと、胸の愛の痕が目に入る。
(でも、これはシドに愛されている証なんだ…―)
視覚化されたシドの独占欲に喜ぶ自分がいて、ひとり苦い笑みを浮かべる。
くすぐったい気持ちを覚えながら、私はドレスに手を掛けた。

 

【190個特典】ジルの特典ストーリー


星影さやかな、とある日の夜…―
休暇をもらった私はジルと二人、ウィスタリア郊外にある温泉地を訪れていた。
星空の下、宿泊先の貸し切り露天風呂に、ジルと共に身を浸す。
(一緒にお風呂に入るのは初めてではないけど……やっぱり恥ずかしい)
少し距離をあける私に、ジルがくすりと笑みを漏らした。
ジル 「せっかく一緒に入っているのですから、もっとこちらに来てください」
吉琳 「でも……」
ジル 「今日は私の望みをなんでも聞いてくださるのでは?」
悪戯な光を瞳に宿すジルに、私は先日のことを思い出していた…―

*****
それは一週間前の夜…―
その日の仕事を終え、私はほっと息を吐く。
吉琳 「今日はジルのおかげで本当に助かりました」
ジル 「いえ、貴女の力になるのは当然のことです」
ジル 「どうぞお気になさらないでください」
公務で助けてもらったお礼を伝えると、ジルは静かに首を横に振った。
(ジルはそう言ってくれるけど、今日はすごく助けてもらったし、)
(それにいつもお世話になっているから、せっかくなら何かきちんとお礼がしたいな……)
最近はずっと私のために休みなく動いてくれているジルを思い、
私はある提案をすることにした。
吉琳 「今度の休暇ですが、ジルがしたいことをしませんか?」
ジル 「私がしたいこと……?」
吉琳 「はい。ずっと働き詰めのジルの疲れが癒される、ジルの望むことをしましょう」
吉琳 「私、いつもお世話になっているから、その日はジルの望みをなんでも叶えます」
笑顔でそう告げると、ジルの瞳が微かに揺れる。
直後、ジルは柔らかな微笑みを口元に浮かべた。
ジル 「ではお言葉に甘えて……」
ジル 「今度の休暇は、温泉に行きましょう」
ジルは、以前二人で温泉に行こうとした時、
途中嵐に遭い、引き返して結局行けなかったため、改めて行きたいとのことだった。
ジル 「もちろん、温泉に入る際は貴女にもお付き合いいただきますよ」
微笑みに潜ませたジルの思惑に気づき、頬がにわかに熱を持つ。
ジルは優雅な仕草で熱くなった私の頬に触れた。
ジル 「楽しみですね」
*****

今、目の前にいるジルはあの時と同じ、悪戯な笑顔を浮かべている。
(なんでも望みを叶えると言ったのは私なんだから……)
気恥ずかしさを覚えながら、ジルにそっと近づく。
すると、お湯がわずかにさざ波立つ中、ジルが私を抱き寄せた。
吉琳 「……っ!」
ジル 「そんなに顔を赤くして、どうされたんですか?」
夜とはいえ、ランプや建物からこぼれる灯りではっきりとジルの顔が見える。
私は恥ずかしさで、咄嗟に手で身体を隠すと、思わず目を伏せた。
ジル 「やはり、困った顔も可愛らしいですね」
ジル 「恥ずかしがらず、すべて私に見せてください。これも私の望み、なのですから」
『望み』を強調するかのようなジルの言葉に、鼓動がトクンと音を立てて跳ねた。
吉琳 「はい……」
頷き返すものの、緊張で動くことができない。
すると、ジルは体をずらし、後ろからそっと私を抱きしめた。
ジル 「顔が見えなければ、少しは恥ずかしさも和らぐでしょうか」
(こんなに密着されてたら、無理だよ……)
耳元で囁かれ、私はますます鼓動が騒ぐのを感じた。
ジルはくすりと笑みをこぼすと、手で私の素肌を優しくなぞる。
吉琳 「……っ!」
(顔が熱い……このままお湯に浸かっていたら、のぼせちゃいそう)
そんな私に気付いたのか、ジルが私の顔を覗き込んだ。
ジル 「顔の赤みが強いですね……」
ジル 「申し訳ありません。調子に乗って無理をさせてしまいました」
吉琳 「いえ……でも、少し風に当たりたいです」
そう伝えると、ジルはどこか申し訳なさそうに頷く。
ジル 「わかりました。では、少し湯船を出て休憩してから、身体を洗いましょう」
……
風呂場にあった椅子に座り、涼やかな風を感じながら少し休憩を取った後、
私は洗い場でジルの体を洗う。
泡のついた体をお湯で流すと、ジルは私に向き直った。
ジル 「次は私が貴女を洗います」
吉琳 「え……で、でも……」
ジル 「これもそうしたい、という私の望みですよ?」
ふっと笑みを深めるジルが、泡のついた手で私の首筋を撫でる。
首筋から指先まで洗った手が今度は鎖骨に触れた。
素肌に注がれる艶めいたまなざしに、体がじわりと熱くなっていく。
(恥ずかしい……でも、頑張らなきゃ)
(いつも助けてくれるジルに、少しでも応えたいから)
気恥ずかしさを堪えていると、ジルが笑う気配がした。
顔を上げると、愛しげに瞳を細めたジルと視線が交わる。
ジル 「貴女は本当に可愛い人ですね」
ジル 「そのいじらしさが愛しくてたまらない……」
ジルはお湯をすくうと、私の身体にそっと掛けてくれた。
……
身体を洗い終え、再びお湯に浸かる。
ジル 「今日は本当にありがとうございました。貴女のお陰で楽しい一日を過ごせました」
吉琳 「本当ですか? それならよかったです」
くつろいだジルの声音が嬉しくて、声が弾んでしまう。
ジルはそんな私の横髪を優しく撫でてくれた。
ジル 「貴女と共に過ごすこの時間は私にとって何よりの癒しです。ですが……」
ジル 「それ以上に、私のために何かしたいという貴女の気持ちが私を幸せにしてくれる」
想いが込められたジルの言葉に、胸が幸せで満たされていく。
吉琳 「私もジルの喜ぶ顔を見るだけで癒されます」
ジル 「……吉琳」
愛しげに名前が呼ばれた直後、滑り落ちたジルの指が私の顎を掬う。
何を思う間もなく、呼吸が奪われ、頭の奥に甘い痺れが走る。
わずかに開かされた唇から、熱い吐息が注ぎこまれた。
(……ジル)
互いの息遣いと揺れるお湯の音が鼓膜を揺らす。
キスは身を浸すお湯以上に熱くて、ジルのことしか考えられなくなってしまう。
(もうこれ以上は……)
なんとか自制を働かせて、私はジルの胸を押し返した。
吉琳 「そろそろ部屋に戻った方が……」
ジル 「……そうですね。ここでのぼせて倒れさせるわけにはいきませんし」
手首を掴まれ、再びジルの胸に吸い込まれると、そのまま優しく抱き上げられた。
ジル 「今日はまだ終わっていないのですから、ベッドでもたっぷり望みを聞いてもらいますよ」
ジルはにっこりと微笑むと、そのままキスを落とした。
唇を食むようなキスは、重なるたびに深いものに変わっていく。
蕩けるような甘いキスに思考さえ溶かされ、
私は熱くなった指先でジルの背中を掴む。
ジルの逞しい腕が私をしっかりと抱き上げたまま、ゆっくりと露天風呂を後にした…―

日版王宮 收集活動-合集: 2020年

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20200309~20200320

Kiss of Memories~あの日のときめきをもう一度~

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ふとした瞬間に彼と交わした、優しくて甘いキス。
その柔らかな温もりに、彼との思い出が色鮮やかに蘇り…―
アラン「いつも言ってるだろ。必ずお前の元へ帰ってくるって」
アラン「バーカ、なんて顔してんだよ」
レオ「俺はもう少し吉琳ちゃんにくっついていたいけど」
レオ「どうしたの? そんなに見つめられると、キスしたくなっちゃうな」
ゼノ「今日は二人で、話でもしよう」
ゼノ「お前と二人の時間は、何をしていても、不思議と悪くない」
シド「たまにゃこういうのも良いだろ、昔みたいに」
シド「お前が俺の女だって見せつけてえって、そう思ってる」
レイヴィス「お前は変わらないね。あの頃からずっと」
レイヴィス「そんな顔されると、離したくなくなる」
ふたりで積み重ねてきた時間と想いが、
彼とのキスをより幸せなものにする…―

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【80個特典】シドの特典ストーリー


城内を行き交う人達のざわめきが耳に流れ込んでくる、とある日の午後…―
(あ……)
城内を歩いていると、向こうからシドがやってくるのを見つけ、私は笑みを浮かべた。
吉琳 「シド、来てたんだね」
シド 「ああ、野暮用でちょっとな」
吉琳 「そっか。お茶でもできれば良いんだけど……まだ公務が残ってるんだ」
吉琳 「また今度、ゆっくり会おうね」
名残惜しい気持ちを抑え、その場を立ち去ろうとしたら、不意に腕を掴まれる。
そのまま腕を軽く引かれ、私は抗う間もなく、柱の陰に引き込まれた。
吉琳 「ちょ、ちょっと……! いきなりどうしたの?」
柱に背中をつけ、小声で問いかける私に、シドは口角をわずかに持ち上げた。
シド 「たまにゃこういうのも良いだろ、昔みたいに」
吉琳 「昔みたいって……」
言葉を奪うように、彼の唇が私の唇を塞ぐ。
その強引なキスに、恋人になって間もない頃のことが脳裏に蘇ってきた…―

*****
それはまだシドと恋人になったばかりの頃…―
座学のため執務室に向かっていると、こちらに歩いてくるシドの姿を見つける。
(シド……!)
思いがけない偶然に、鼓動が甘く跳ねる。
シドも私に気づき、軽く手を挙げた。
シド 「よお」
吉琳 「ひ、久しぶりだね…今日はどうしたの?」
シド 「ジルに仕事の依頼で呼ばれてな」
吉琳 「そうなんだ……」
平静を装って返事をするけれど、
恋人になったばかりのシドを目の前にすると、否応なく頬が熱を持つ。
(シドが恋人なんて、慣れないな……)
(でも、まだ関係を公にはしていないから普通にしなきゃ)
シド 「お前は、この後も公務か?」
吉琳 「う、うん。私はこれから座学を……」
普通を意識すればするほど、視線が宙を彷徨ってしまう。
昼間の城内に人の姿は多く、そのことが余計に私を不自然にさせた。
(こんな態度だと、誰かに見られたら関係を気づかれちゃいそう)
そう思った私は、まだ一緒に居たい気持ちを抑え、足を踏み出す。
吉琳 「そ、それじゃあまた……」
(付き合ってることを隠さなきゃいけないのは寂しいけど……仕方ないよね)
小さく頭を下げ、彼のすぐ傍らを通り過ぎようとした時…―
シドが私の手首を掴んだ。
シド 「随分つれねえじゃねえか」
吉琳 「え……」
シド 「せっかく会えたってのに、もう行っちまうのかよ」
廊下の死角になった柱に手首を縫い付けられ、身動きが取れなくなってしまう。
吉琳 「シ、シド……!」
にわかに顔を寄せた彼の唇が、からかうように緩い弧を描いた。
シド 「俺たち、恋人だろ?」
吉琳 「! 恋人って……誰かに聞かれたらどうするの?」
慌てて小声で諫めても、シドはどこ吹く風といった様子で笑みを深める。
シド 「俺が黙ってようが、お前の顔見りゃ誰だって気づく」
シド 「俺に惚れてるって顔してるからな」
口の端を持ち上げた彼の指が、私の顎を軽くすくった。
余裕のある瞳に見下ろされ、鼓動が早鐘を打ち始める。
吉琳 「そんなこと……」
図星を指され、言い訳もできないまま目を伏せる。
その時、柱のすぐ脇を誰かが通り過ぎる足音が聞こえた。
(もしこんなところを誰かに見られたら……)
逃げようと体をたじろがせても、シドは私を離そうとせずに…―
シド 「俺は別にバレたって構わねえよ」
シド 「お前が俺の女だって見せつけてえって、そう思ってる」
吉琳 「……っ!」
私を見据える彼の眼差しが、熱をはらんだ。
艶めいた色香をまとうシドから、目が離せなくなってしまう。
シド 「お前は違うのかよ?」
吉琳 「それは……」
(シドは相変わらず強引だけど……)
(そんな風に言ってもらえると、やっぱりすごく嬉しい)
嫌というほど胸の高鳴りを覚えながら、彼をまっすぐに見つめ返した。
吉琳 「……違わない。私も、シドは私のものだって言いたいから」
その言葉に、くっとシドが喉を鳴らす。
シド 「言うじゃねえか」
シド 「なら、問題ねえよな?」
おもむろに距離が縮まり、吐息ごと呼吸が奪われる。
思いがけず熱い唇に、胸の奥に甘い痺れが走った…―
*****

唇が離れる音と共に、目の前のシドに意識が引き戻される。
(あの時も、こんな風に少し強引なキスをされたんだっけ……)
シド 「……こういうのも悪くねえだろ?」
吉琳 「でも……近くに人がいるのに」
小声で抗議するけれど、シドは不敵な笑みを崩さない。
シド 「昔と違って余裕があるみてえだから、からかってやろうと思ったんだが……」
シド 「そうでもないみたいだな」
伸ばされた指先が、あの時のように私の顎を持ち上げた。
シド 「顔が赤いぜ」
(もう……)
(結局いつもシドのペースに巻き込まれて……なんだか悔しいけど)
悔しい気持ち以上に、シドは私に新鮮なときめきを与えてくれる。
まるで秘薬のような彼に、惹きつけられる自分がいた。
吉琳 「……そりゃドキドキするよ。シドが好きなんだもの」
一瞬目を見開いた彼が、おかしそうに笑った。
シド 「可愛いこと言うじゃねえか」
シド 「飽きる間もねえくらい、刺激的な毎日を約束してやるよ」
シド 「これからも、どうしようもねえくらい俺に惚れさせてやる」
吉琳 「……!」
低い声に鼓動を乱され、思わず息を詰める。
シドはそんな私の耳元に顔を寄せた。
シド 「お前もこんなんで満足してねえだろ。そのまま大人しくしてろ」
囁きが鼓膜を揺らした直後、彼が私の唇を奪った。
強引な言葉とは裏腹に、唇に落とされたキスはとびきり優しくて…―
(シドが好き)
(強引なところも、優しいところも……大好き)
啄みのようなキスは重ねるたびに深いものに変わっていく。
廊下を過ぎる幾つもの足音を聞きながら、
私は束の間、愛する彼からのキスに溺れた…―


【190個特典】レオの特典ストーリー


優しい日差しの下、勉強の息抜きにレオと庭を散歩している途中…―
(あ、もうこの花が咲く季節なんだ……)
吉琳 「ねえ見て、レオ……んっ……」
振り返ったのと同時に、レオと唇が重なる。
レオ 「……ごめん、なんだか無性にキスしたくなって」
レオ 「本当、吉琳ちゃんは可愛いね」
いたずらっぽい笑みと共に告げられたその言葉が、
まだレオと出会って間もない頃、この場所で起きたある出来事を思い出させる。
その夜、私は庭で一人、夜風に当たりながらレオのことを考えていた。
(レオのことをもっと知りたくて、色々と話を聞こうとしても……すぐはぐらかされてしまう)
(人当たりはいいのに、心の奥には踏み込ませない……というか)
その時、突然の強い風に羽織っていたストールが攫われ、
近くの高い木の枝に引っかかってしまう。
吉琳 「……どうしよう」
背伸びをして手を伸ばしても、あともう少し、手が届かない。
(何か、台になりそうなものはないかな……)
そうして周囲を見回していると、レオが近づいてきた。
レオ 「吉琳ちゃん」
吉琳 「あ、レオ……どうしたの?」
(もしかして、私がレオのことを考えていたから?)
(……そんなわけ、ないよね)
レオ 「吉琳ちゃんが一生懸命、背伸びをしている姿が見えたからね」
レオ 「あのストール、吉琳ちゃんの?」
笑顔のレオに訊ねられて、私は頷いた。
吉琳 「うん、風で飛ばされてしまって」
レオは木に引っ掛かったストールを見上げ……
レオ 「よし。ちょっとごめんね」
いきなり私の膝裏のあたりに腕を回して、そのまま抱き上げる。
吉琳 「わ……」
急に高くなった視界に思わず声をあげた。
けれどレオは、にっこりと微笑んだままで言う。
レオ 「ほら、これなら届くでしょ」
吉琳 「あ……本当だ」
私はレオに抱えられていることに少し気恥ずかしさを覚えつつも、
手を伸ばしてストールを取った。
吉琳 「レオ、ありがとう。もう降ろしてもらって大丈夫だよ」
すると、レオはわざとらしく考えるような素振りを見せる。
レオ 「うーん、どうしようかな?」
吉琳 「え?」
レオ 「俺はもう少し吉琳ちゃんにくっついていたいけど」
私を見上げるレオの瞳が微かに熱を帯びていて、
顔が熱くなるのを感じながら目を逸らす。
吉琳 「もう……そうやってすぐにからかうんだから」
少しむくれた私を見てレオが吹き出す。
レオ 「ごめんごめん」
それから、ふっと優しく目を細めて…―
レオ 「本当、君って可愛いね」
(っ……いつも、気が付けばレオのペースに呑まれてしまう……)
さらに顔を火照らせた私を、レオは笑顔で降ろしてくれる。
そうして地面に足がついた時、柔らかな土にヒールが埋まって身体がよろめいた。
吉琳 「あ……」
レオ 「おっと」
とっさにレオが支えてくれたものの、足がもつれてしまった私はバランスを失い、
レオを押し倒すような形で転んでしまう。
吉琳 「きゃっ……」
思わず目を閉じた私の唇に一瞬、何か柔らかいものが当たって、すぐに離れた。
(え……? 今のって……)
はっとしてまぶたを開けたすぐ目の前には、レオの少し驚いた顔があって……
レオ 「ごめんね、大丈夫?」
そう言うと、心配そうにこちらの表情を伺ってくる。
吉琳 「う、うん。大丈夫……私こそ、ごめんなさい」
平静を装って返事をしたけれど、頭の中は先程、唇に触れたもののことでいっぱいだった。
(今のって、もしかして……キス?)
鼓動が速くなるのを感じていると、顔を覗き込んできていたレオが目を細める。
レオ 「どうしたの? そんなに見つめられると、キスしたくなっちゃうな」
いつもの調子でさらに顔を近づけてきて、私は慌ててレオの上からどいた。
吉琳 「……な、なんでもない!」
吉琳 「もう部屋に戻るね。助けてくれてありがとう!」
早口で言って、急いでその場を離れると、背後からレオの声がする。
レオ 「おやすみ、吉琳ちゃん」
どこか楽しそうなレオの声を受けながら、その日は悶々と眠れない夜を過ごしたのだった……
忘れられない記憶を辿っていた私はふと意識を目の前のレオに戻した。
(あの時は、レオがあまりにもいつも通りだったから、気のせいだと思うことにしたけど……)
考えていると、レオが私の唇に指を滑らせながら囁く。
レオ 「まだ出会ったばかりの頃にも、吉琳ちゃんとここでキスしたよね」
レオ 「事故みたいなものだったけど」
吉琳 「え?」
一瞬、心の中を読まれたのかと思ってドキッとする。
レオ 「ほら、あの木にストールが引っかかって……」
(……私と同じことを思い出していたんだ。それに……)
吉琳 「あれってやっぱりキスだったんだね……」
ぽつりと呟いて、今さら恥ずかしさが込み上げてくる。
その呟きを聞いたレオが、くすりと笑みをこぼした。
レオ 「ああ、やっぱりわかっていなかったんだ」
レオ 「……俺は結構嬉しかったのにな」
不意打ちの甘い言葉に、鼓動が速くなる。
吉琳 「あの時……突然のことで何が起きたのかわからなくて……」
レオはそんな私を優しく見つめると何かを思いついたような顔をする。
レオ 「そうだ。……吉琳ちゃん、こっち来て」
吉琳 「レオ?」
レオは私の手を引き、あの日の木の下へと歩いていくと、私に向き直る。
レオ 「……今からするキスは、あの日のやり直しだよ」
レオ 「今度はちゃんと、俺からの想いも受け取ってね」
吉琳 「……うん」
(あの頃は、レオの気持ちが全く読めなかったけど……)
(今は……私を心から大事に想ってくれているってわかる)
私を見つめる愛おしげな瞳に答えるように、そっと目を閉じる。
レオからのとびきり優しいキスで、幸せな気持ちが胸に広がっていった…―

日版王宮 收集活動-合集: 2020年

日版王宮 收集活動-合集: 2020年

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日版王宮 收集活動-合集: 2020年

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日版王宮 收集活動-合集: 2020年

20200513~20200524
Love Drop~水のイタズラで透ける肌~

日版王宮 收集活動-合集: 2020年

暖かくなってきたとある日に、戯れで水に濡れてしまった彼。
透けたシャツから伝わる熱が、二人の距離をより一層近づけて…―
アラン 「気にすんな、そのうち乾くだろ」
アラン 「俺のこういう姿、珍しいんだろ?」
ルイ 「……昔は、よく泣いてた」
ルイ 「こうして一緒に、雨が降るのを眺めている時間も……好き」
ゼノ 「お前の言葉は、いつも心を軽くしてくれるな」
ゼノ 「隠すことはない。俺しか見ていないのだから」
シド 「お前、濡れた俺に見惚れてただろ」
シド 「そっちから煽られちゃ、何もしないわけにはいかねえよな」
アルバート 「そんな格好を俺以外の男に見せてほしくないので……」
アルバート 「……今日、誘っていただいたお礼です」
いつもと違う、水の滴る彼の姿にときめいて、
目が離せない…―

日版王宮 收集活動-合集: 2020年

 

【80個特典】アルバートの特典ストーリー

 

柔らかい日差しの降り注ぐ、ある休日の暖かな昼下がり…-
公務でウィスタリアを訪れたアルバートと共に、とある祭りが開かれている街を歩いていた。
(アルバートとこうして過ごすのも、すごく久しぶりで……ドキドキするな)
(公務も無事に終わったし、アルバートもこのお祭りを楽しんでくれるといいのだけれど……)
そんなことを考えていると、街の子供たちが突然水をかけてきた。
吉琳 「わっ……」
アルバート 「なっ……大丈夫ですか?!」
慌てたような声を上げるアルバートを安心させるように、微笑みを返す。
吉琳 「大丈夫ですよ、これはこういうお祭りなんです」
(そういえば……お祭りがあるからって誘ったけれど、どんなお祭りかは説明してなかったかも)
吉琳 「このお祭りは『水祭り』と言って、三日間、人々が互いに水を掛け合って楽しむんです」
アルバート 「なるほど……なぜ水を掛け合うのかは分かりませんが、理解はしました」
(もしかして、あんまり乗り気じゃない……?)
アルバートのどことなく硬い口調に、かすかな不安が胸をよぎる。
様子を窺っていると、ふとアルバートが視線を下げ、はっとしたように頬を赤く染めた。
アルバート 「……これを着てください」
何かをこらえるような声音と共に、ふわりと肩にかけられたのは、
アルバートの着ていた上着だった。
吉琳 「心配されなくても大丈夫ですよ。今日は暖かいですし……」
アルバート 「あなたの体が冷えてしまうのも、もちろん心配なのですが」
アルバート 「それ以上に、そんな格好を俺以外の男に見せてほしくないので……」
ふいと視線を逸らしながら、まだほのかに赤い顔をしたアルバートが呟く。
(そんな格好って……)
不思議に思いながら自分の体を見下ろすと、
濡れた服が肌に張り付き、素肌がうっすらと透けていた。
アルバートが照れていた理由が分かり、途端に恥ずかしさが湧き上がってくる。
吉琳 「じゃ、じゃあ……お言葉に甘えさせてもらいます……」
アルバート 「是非、そうしてください」
アルバートに促されるまま、彼の上着をきゅっと胸の前まで引っ張った。
(アルバートの優しさに包まれてるみたい……)
そんなことを考えながら、上着の首元に顔を埋めていると、突然ばしゃりという水音がして……
アルバート 「な……」
隣に立っていたアルバートが、あっという間にずぶ濡れになってしまった。
私たちは驚きに目を丸くしたまま見つめ合うと、二人揃って水がかかってきた方向へと振り返る。
そこでは先ほど私に水をかけてきた子供たちが、こちらを見て無邪気な笑顔を見せていた。
子供1 「お兄ちゃんもびしょ濡れだね」
子供2 「男ならやり返してみなよ!」
アルバート 「……」
吉琳 「……大丈夫ですか?」
アルバート 「ええ……ですが、シュタインの騎士たるもの、子供に笑われて終わるようでは国の恥です」
メガネをくいと上げ真面目に言うアルバートに、私はつい笑みをにじませてしまう。
吉琳 「……では、二人でお互いの敵討ちでもしましょうか」
アルバート 「それは……俄然やる気が出てきました」
冗談めかした私の言葉に、アルバートはどこか楽しそうに言うのだった。
……
童心に返ったように、たっぷりと祭りを楽しんだ後…―
私たちは街を見下ろせる高台に移動し、一息をついていた。
(街はまだ賑やかだけど、ここは静かだな……)
穏やかな空気が、二人きりだということを意識させ、つい視線をアルバートに向けてしまう。
濡れたせいでいつもと雰囲気が違う姿に胸の奥が甘くくすぐられつつ、私は彼に問いかけた。
吉琳 「今日は楽しんでくれましたか?」
アルバート 「ええ。あなたはいつも、俺の知らない世界や感情を教えてくれますね」
吉琳 「それなら、良かったです」
そう微笑んだ私の顔に、すっと柔らかい影が落ちる。
その影がアルバートだと気付いた時には、唇には優しい温もりが触れていた。
吉琳 「ん……」
突然訪れた甘い感触にじわりと顔が熱くなり、
つられるように赤面したアルバートが私から目をそらす。
アルバート 「……今日、誘っていただいたお礼です」
アルバートが私から一歩分の距離を取ると、二人の間を涼しい風が吹き抜けていく。
その寂しさに思わずアルバートを見つめると、彼はこらえるように睫毛を伏せた。
アルバート 「これ以上、今のあなたに何かしてしまえば……俺はどうなるか分からない」
吉琳 「それは……」
アルバートの気遣いが嬉しい一方で、
胸にはまだ甘い疼きが残っていて、鼓動を緩やかに速めていく。
(やっぱり、もう少しアルバートに触れたい……)
勇気を出して、離れてしまった一歩を詰めると、私はアルバートにそっと唇を重ねた。
吉琳 「私は、構いませんよ」
吉琳 「……今日は、ずっと会いたかったアルバートに、ようやく会えたんですから」
照れ混じりにそう伝えると、驚きに目を瞬いたアルバートが、ふっと柔らかく微笑んでみせる。
アルバート 「あなたといると、どうしようもない気持ちになります。……この感覚は、何なのでしょうね」
アルバートが優しく私を抱きしめ、耳元で甘く囁いた。
アルバート 「俺もずっと、あなたに会いたかった。……煽ったのは、あなたですよ」
再び顔に影がかかり、アルバートの唇がそっと下りてくる。
私たちは抱き合ったまま、優しく、溶けるような甘いキスに酔いしれるのだった…―

 

【190個特典】シドの特典ストーリー

 

白い陽射しの下、花々が咲き誇るある日の午後…―
私はその日、シドの部屋を訪れていた。
(シドの部屋、久々に来たかも)
シド 「少し待ってろ」
吉琳 「うん」
シドが、ジャスを連れて浴室へと入っていく。
しばらくして、どこか楽しげなシドの声が聞こえてきた。
シド 「大人しくしろって!」
(シド、すっかりジャスに振り回されてる。なんだか新鮮)
今日は久しぶりの快晴で、私はシドと一緒にジャスの散歩に出ていた。
昨夜までの雨で地面がぬかるんでいたこともあり、
泥だらけになってしまったジャスを、今シドがお風呂に入れている。
(二人だけで過ごすのもいいけど、たまにはこういう休日もいいな)
水の音に紛れて聞こえるジャスの鳴き声が、なんだか微笑ましい。
シド 「おい、ジャス……!」
シドの声が耳に届いた直後、浴室から大きな水しぶきの音が聞こえた。
(なんだか、すごい音がしたけど……)
吉琳 「シド……?」
心配になり浴室を覗くと、シドが服を着たままバスタブに入っていた。
上にのしかかったジャスが、嬉しそうにシドの頬を舐めている。
吉琳 「だ、大丈夫!?」
シド 「ああ」
涼しげな眼差しのまま、シドが濡れた髪を掻き上げた。
シド 「ジャスが少し、興奮しちまったみてえだ」
シドはそう言うと、困ったような笑みをジャスに向けた。
当のジャスはバスタブを飛び越えると、全身を震わせて水を払う。
そのまま、元気よく浴室の外へ駆け出して行った。
吉琳 「あ、ジャス……!」
(……でも、今はシドのことも心配)
バスタブに身を浸したままのシドに歩み寄る。
(なんだかシドが、いつもより色っぽく感じるのは気のせい……?)
全身を濡らしたシドは濃厚な色香を漂わせていて、思わず息を呑んだ。
シド 「おい、どうした?」
低い声に意識を引き戻され、熱くなる頬をごまかすようにシドから目を逸らす。
吉琳 「なんでもない……ほら、掴まって」
目を合わせないまま差し出した手が、一瞬の間を置いた後に握り返された。
シド 「……ありがとよ」
直後シドに手を引かれ、私は抗う間もなくバスタブに引っ張り込まれた。
着ていたワンピースがびしょ濡れになってしまう。
吉琳 「ちょっと、何するの……!」
シド 「お前、濡れた俺に見惚れてただろ」
吉琳 「それは……」
(……否定できないけど)
シド 「俺も濡れたお前を見たかったからな、仕返しだ」
吉琳 「仕返しって、もう……」
からかうように笑うシドはいつもより艶めいていて、鼓動が落ち着きを失くす。
(結局、いつもシドのペースに巻き込まれちゃう)
(でも……私もジャスみたいに、たまにはシドのこと振り回してみたいな)
シド 「さて、と……出るか。着替えねえとな」
シドが軽い身のこなしで立ち上がる。
口元に笑みを残したシドは、私に手を差し出した。
シド 「ほら」
(今がチャンスかも……よし!)
吉琳 「うん」
手を握りし返した直後、シドの手を強く引き寄せる。
シド 「お前……!」
驚いた声を上げ、体のバランスを崩したシドが、再びバスタブに身を浸した。
(シドに仕返しできちゃった……)
少し得意げな気持ちになっていると、真剣な眼差しに捉えられる。
無言でこちらを見つめるシドに、一抹の不安が胸をよぎった。
(もしかしてシド、怒った……?)
わずかな沈黙の後、喉を鳴らすような笑い声が空気を揺らす。
シド 「……やってくれるじゃねえか」
吉琳 「え……」
シド 「そんな格好で、もう一度俺を引っ張り込むってことは……」
妖艶な光を瞳に宿らせたシドが、私をバスタブの中で追い詰めた。
シド 「お前、誘ってんのか?」
シド 「そっちから煽られちゃ、何もしないわけにはいかねえよな」
吉琳 「……あっ」
体を密着させたまま、シドが私の首筋を甘く食む。
吐息に素肌を撫でられ、身体が灯をともしたように熱くなった。
シド 「俺を煽ったわりには、顔が真っ赤じゃねえか」
吉琳 「煽ったわけじゃ……」
シド 「じゃなかったら、なんだよ?」
低い囁きと共に、彼の濡れた手が胸元のリボンに掛かる。
許しを乞うように、シドのシャツの裾をきゅっと引っ張った。
吉琳 「……ごめんなさい。シドを、ちょっとだけ振り回してみたかったの」
シド 「……そういうことか」
シド 「ならひとつ、いいことを教えてやるよ」
シドはそう言って楽しげに目を細めると、唐突に噛み付くようなキスをしてくる。
吉琳 「んっ……」
シド 「……お前のそういう可愛い言動ひとつに、俺は振り回されてんだよ」
吉琳 「え……」
思いもしなかった言葉に、照れくささで頬に熱を感じつつ、目を瞬かせる。
シドはそんな私の顔を愛おしげに見つめると、今度は甘く優しいキスをしてきた。
吉琳 「ちょっと、シド……」
シド 「……このまま風呂場でってのも、たまにはいいかもしれねえ」
そう囁くシドにリボンが解かれそうになった時、浴室にジャスの鳴き声が響いた。
シドと一緒に目を向けると、タオルを咥えたジャスがお座りしている。
シド 「……ったく、仕方ねえな」
シド 「出るか。ほら、今度は引っ張るんじゃねえぞ」
笑みを漏らしながら立ち上がったシドが、私に手を差し伸べる。
(さっき私に振り回されてるって言ってたけど……)
(やっぱり、シドには勝てないなって思う)
シド 「どうしたんだよ」
吉琳 「ううん、なんでもない」
(でも、シドになら振り回されっぱなしもいいかも)
そんな思いは胸に秘めつつ大きな手を握ると、シドが私を引っ張り上げてくれる。
シドの艶やかな髪から、滴が一つ足元に滴り落ちた…―

日版王宮 收集活動-合集: 2020年

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日版王宮 收集活動-合集: 2020年

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20200612~20200623
おあずけロマンス~お部屋で募るキミへの想い~

日版王宮 收集活動-合集: 2020年

外に出るのも億劫になるようなじっとりとした日が続く、梅雨のある日…―
公務を終わらせた私は、馬車の中でこれから会いに行く彼の顔を思い浮かべる。
(早く会いたい……彼は、元気にしているかな)
とある理由で彼が三日の休暇をとっている間、
私にも外せない公務が重なってしまい、二人で会う時間が取れずにいた。
(彼の休暇は今日で三日目。しっかり休めているといいけど……)
(彼は、どんな気持ちでこの三日間を過ごしていたんだろう)
(私と同じように、寂しく思っていたりしたのかな)
彼がどのような休暇を過ごしたのか想像しながら
私の乗る馬車は、愛する彼の元へと駆けていき……
ユーリ 「吉琳様、着いたよ!」
開いた馬車のドアから聞こえるユーリの声で意識は戻された。
吉琳 「ありがとう、ユーリ」
お礼を言って馬車から降りると、ユーリは私に笑顔で手を降った。
ユーリ 「あの方と会えなかった分も、素敵な時間を過ごせるといいね」
吉琳 「うん……!」
ユーリの言葉に笑顔で頷きながら、彼に会える喜びで心が浮足立っていく。
そうしてはやる気持ちを抑えながら、彼の元へと向かうのだった…―

日版王宮 收集活動-合集: 2020年

 

【80個特典】ジルの特典ストーリー

 

優しい日差しが窓辺からさしこむ、あたたかな昼下がり…―
ジルは内容が半分も頭に入らないままだった本をそっと閉じると、小さく呟いた。
ジル 「落ち着きませんね……」
吉琳から半ば強引に休暇を取らされていたジルは、
休暇の最終日である三日目に、すっかり暇を持て余していた。
(しばらく休みが取れなかったとはいえ、それほど疲れを感じてはいなかったのですが……)
(プリンセスに心配されてしまうようでは、私もまだ未熟ですね)
ため息をひとつついて、今は他国へ視察に行っている吉琳の顔を思い浮かべる。
今日は、吉琳が視察から帰ってくる日でもあった。
(……彼女に会えるというだけで、こうも一日落ち着かないとは)
そんな自分自身に、思わず苦笑を漏らす。
吉琳に会えない間、ジルは美味しいものや興味深い本に触れたりする度、
吉琳と共有したいという想いが強く湧き上がった。
(『プリンセスらしく、常に余裕を持って優雅に振る舞うべき』と)
(先日吉琳に教えたばかりだというのに……)
(私がこの様子では、教育係として彼女に顔向けできませんね)
閉じた本の装丁をそっと撫でて、気持ちを落ち着けるように深呼吸する。
しかし、早く吉琳に会いたいという気持ちは強くなるばかりだった。
どれほどの時間そうしていたかわからなくなった頃、不意に部屋にノックの音が響く。
(……吉琳でしょうか)
淡い期待を抱いてドアを開くと、そこには吉琳が立っていた。
吉琳 「……ただいま、ジル」
吉琳を前にして、ジルは今にも抱きしめてしまいたくなる気持ちをぐっと堪える。
吉琳は何かを窺うような目線を向け、そこに立っていた。
そんな彼女を少し不思議に思いつつ、ジルはやわらかく微笑む。
ジル 「おかえりなさい、吉琳。中へどうぞ」
吉琳 「あ……ありがとうございます」
微笑みつつもどこか歯切れの悪い様子の吉琳を、ジルは部屋へと招き入れる。
ジル 「お疲れさまでした、視察はどうでしたか?」
吉琳 「滞りなく進められました。ジルの日頃の指導のおかげです」
ジル 「それは良かったです、プリンセスとしてしっかり成長されていますね」
吉琳はジルの誉め言葉に一瞬嬉しそうに微笑んだものの、すぐに俯いてしまう。
吉琳 「ですが……私は、まだまだプリンセスとして未熟だと思い知りました」
ジル 「どうしてですか?」
尋ねると、吉琳はほんのり頬を染め、言いづらそうにゆっくり口を開いた。
吉琳 「一人の時間になるとついジルのことばかり考えてしまって……」
吉琳 「気がつくと、一秒でも早くジルに会いたいと思っていました」
吉琳 「……プリンセスとして持つべき余裕なんて、ありませんでした」
そこでジルは、吉琳が先日した教えの話をしていることに気がつく。
(貴女という人は……本当に可愛らしい人だ)
口元に笑みを浮かべて、吉琳の首筋に触れ、ゆっくりと距離を詰めていく。
ジル 「……それは、いけませんね」
ジルが近付くのに合わせて後ずさりをした吉琳の足が、
ベッドの端にぶつかって止まり、吉琳は困ったようにジルを見上げた。
吉琳 「ごめんなさい……」
謝る吉琳の唇に、言葉の代わりにそっと口づけを落とす。
ゆっくり唇を離すと、吉琳は微かに潤んだ瞳のまま、
この部屋に来た時の、何かを窺うような視線をジルに向けた。
吉琳 「ジルは、この三日間きちんと休めましたか?」
吉琳 「……今日はお休み中に、押しかけてしまってすみません」
(……ああ、私の身体を気遣ってくれていたのですね)
(本来ならば教育係として、こんなことは言わないほうが良いのでしょうが……)
そう思いながらも、愛しい人を前につい本音が口からこぼれてゆく。
ジル 「この三日間、気がつけばずっと貴女のことを考えて、会いたくて堪りませんでした」
ジル 「どうして、こうも貴女が気になってしまうのでしょうか」
ジル 「私も、まだまだ教育係として未熟ですね」
鼻先が触れあいそうな距離でそっと囁くジルに、吉琳は顔をほころばせる。
その顔を見て、ジルの胸は吉琳への愛しさで満たされていく。
(あなたを教育する立場として、正しい振る舞いをしなくてはならないのですが……)
(この想いは、どれだけ経っても変えられそうにありません)
会えなかった分の時間を埋めるように、ジルは吉琳を抱き寄せ腕の中に閉じ込めた…―


【190個特典】レオの特典ストーリー

 

庭に咲く色とりどりの花々を、心地良い風が優しく揺らす午後…―
窓からさしこむ優しい陽の光で、レオは目を覚ました。
(今日で、三日目か……)
いつになく清々しい気分で、ひとつ大きく伸びをする。
(こんなにすっきり目覚めたのは久しぶりかも)
(……吉琳ちゃんがくれたハーブティーのおかげかな)
ちらりと、机に置いてある昨晩使ったティーカップに目を向ける。
レオ 「やっぱり俺は、吉琳ちゃんがいないと駄目みたいだ」
自嘲気味にふっと笑い、昨日のことを思い返した。
それは、昨日の昼過ぎのこと。
レオの部屋を訪れたアランは、どことなく気遣うような視線を向ける。
アラン 「体調、大丈夫かよ」
レオ 「まあ、そこまで心配されるほどじゃないよ」
レオはそんなアランに、笑顔で言葉を返す。
(徹夜が続いていたとはいえ、今は本当に元気なんだけど……)
(でも、吉琳ちゃんに心配をかけちゃったのは失敗だったな)
この頃、執務が立て込んでいたレオは、
先日、吉琳の目の前で軽い立ちくらみを起こしてしまった。
その結果、プリンセスの教師としての仕事を三日間休むこととなったのだった。
レオ 「吉琳ちゃんに勉強を教える時間が、俺にとっての癒やしだったのにな」
笑顔で軽口を叩くレオに、アランは小さく息をつく。
アラン 「……案外元気そうだな」
レオ 「うん。丁度執務も一段落ついた所だったから、ゆっくりさせてもらってるよ」
レオ 「吉琳ちゃんに会えないのは、少し寂しいけどね」
朗らかな笑みから覗く本音に、アランは小さく口角を上げる。
アラン 「アイツに会うまでのお前だったら、そういう時はその辺の女と遊んでそうなもんだけどな」
そのアランの言葉に、レオは思わず目を丸くする。
それは、自身の変化に対する驚きだった。
(確かに吉琳ちゃんと会う前の俺だったら、こういう時は他の女の子と遊んでいたかも)
(……でも今は、そんなこと考えもしなかった)
レオ 「吉琳ちゃんが悲しむことはしたくないし、何より……」
レオ 「吉琳ちゃん以外の子となんて、もう考えられないよ」
吉琳のことを思い浮かべながら、レオは愛おしげな笑みを浮かべて言った。
アラン 「そうかよ」
アランは呆れたように笑いながら、綺麗にラッピングされた袋を手渡す。
アラン 「これ、吉琳が今公務で忙しいから代わりに届けてくれって」
レオ 「ありがとう」
アラン 「……じゃあな、たまにはちゃんと休めよ」
アランが去って行った後、袋の中身を確認する。
中にはハーブティーの茶葉と、可愛らしいメッセージが添えられていた。
『よかったら寝る前に飲んでみてね』
(吉琳ちゃんの字だ……)
その晩、レオは早速そのハーブティーを淹れて飲んでみた。
(優しい香り……まるで吉琳ちゃんみたいだな)
心地良い香りと、口いっぱいに広がるほのかな甘さが、心をやさしくほどいていく。
ゆっくりハーブティーを楽しみながらメッセージを眺め、
レオは吉琳に想いを馳せるのだった。
そうして気持ちよく目覚めてから、時間が過ぎたお昼頃。
(明日には吉琳ちゃんとも会えるし……今から楽しみだな)
そんなことを考えながら、やることもなくぼんやりと過ごしていると……
??? 「レオ、いる?」
ノックの音と共に聞こえてきたのは、紛れもなく愛しい吉琳の声だった。
レオは驚きながらも、急いでドアを開ける。
レオ 「どうして……」
吉琳 「急にごめんね、公務が早く片付いたから来ちゃった。……迷惑だった?」
驚いたレオの顔を見て、吉琳は遠慮がちに尋ねる。
レオは嬉しさのあまり吉琳を引き寄せ、強く腕の中に抱きしめた。
レオ 「迷惑なわけないよ。だって俺も君に会いたかったから。来てくれてありがとう」
レオが腕の中に閉じ込めた吉琳は、困ったように笑みを漏らした。
吉琳 「レオ、苦しいよ」
レオ 「ああ、ごめんね」
少し名残惜しさを感じつつも、レオは頬を緩めたまま腕を離す。
吉琳 「もう、体調は大丈夫?」
首をかしげる吉琳を見て、レオの心に少し悪戯めいた気持ちが生まれた。
レオ 「あとちょっとだけ、元気が足りないんだ」
(本当はもう、元気だけど……)
吉琳 「え……」
眉を下げ心配そうな顔をする吉琳の唇に、不意をついて口づけをする。
そして、ゆっくりと唇を離してから、耳元でそっと甘く囁いた。
レオ 「……これでもう大丈夫」
吉琳 「もう……」
目の前で頬を赤らめて笑う吉琳に、愛しさが募る。
(ああ……やっぱり俺は、君がいないと駄目みたいだ)
やわらかな髪をそっと撫でながら、再び唇を寄せる。
そうしてレオは改めて、自身の吉琳へ抱く想いを自覚したのだった…―

日版王宮 收集活動-合集: 2020年

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20200711~20200722
Memory of Summer~胸の高鳴りは夏のせい?~

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彼と過ごす、特別な夏のひととき……
火照る身体と心は、眩しいほどの日差しのせい? それとも…―
アラン 「俺が見てない間に、勝手に抜け出して祭りに行ってねえかってな」
アラン 「お前が声を出さなきゃ、誰にも気づかれない」
ルイ 「今年は公務で忙しいけど……少しでも夏を感じられたらと思って」
ルイ 「俺だけのプリンセスになってほしいって……ちょっと思ったりする」
ジル 「午後の公務の前にリフレッシュされてはどうかと思い、用意いたしました」
ジル 「あれだけでは、まだ貴女を癒すことはできませんか?」
ゼノ 「今日のお前があまりに美しいものだから、つい、見惚れてしまった」
ゼノ 「……あと少し、お前を困らせても良いだろうか」
シド 「こいつを飲んだら、軽く散歩でもするか」
シド 「お前のこと、もっと欲しくなっちまった」
いつもより少し大胆な彼の言葉や仕草に、ドキドキが止まらない。
彼との時間が、この夏を忘れられないものにする…―

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【80個特典】シドの特典ストーリー

 

白波が青い空の下で踊る、夏の日の午後…―
公務の合間を縫って、私はシドと日帰りでプライベートビーチに来ていた。
(綺麗……)
潮風に吹かれながらきらめく海に目を細めていると、首筋に冷たいものが当たる。
吉琳 「ひゃっ……」
振り返ると、冷えたシードルの瓶とグラスを二つ手にしたシドが立っていた。
少し意地悪な笑みを浮かべたシドが、私にグラスを差し出す。
シド 「飲むだろ?」
吉琳 「あ、うん……ありがとう」
ふたり並んで、浜辺にそっと腰掛ける。
グラスに注がれたシードルの泡が、白い陽射しの下で弾けた。
(今年も、シドと夏の思い出をたくさん作れたらって、思うけど……)
隣に座るシドの横顔を窺うように、目を向ける。
私はプリンセスという立場上、思うように自由な時間を取ることはあまりできない。
今日は、久々に互いの休みが被った日だった。
(……せめて今日だけでも、素敵な思い出を作れるといいな)
グラスを傾けていたシドが、不意に私を見る。
シド 「こいつを飲んだら、軽く散歩でもするか」
吉琳 「うん……!」

……
シードルを飲み終え、シドと二人で人気のない浜辺を散歩する。
浅瀬で足先だけを濡らすと、火照った体を心地よく冷やしてくれた。
吉琳 「冷たい……でも、気持ちいいね」
シド 「ああ、そうだな」
シドと笑い合い、一歩足を踏み出すと……
シド 「おい、吉琳」
吉琳 「え?」
不意に名前を呼ばれて振り向けば、突然シドに水を掛けられる。
吉琳 「わっ……!」
吉琳 「もう、シド……!」
余裕の笑みを浮かべるシドに少し対抗心が芽生えて、私は水を掛け返した。
シド 「……やったな」
吉琳 「先にしたのはシドじゃない」
またシドがすくった水を私に向かって掛ける。
夏のまばゆい輝きを放つ海で私とシドは、
童心に返ったように水を掛け合うのだった…―

海を染めるオレンジ色の夕焼けに、ふと手を止める。
夢中で水を掛け合う内、いつの間にか陽が沈みかけていた。
シド 「……そろそろ帰るか」
(そっか、もうこんな時間……)
(楽しい時間はあっという間に終わっちゃうな)
軽く後ろ髪を引かれつつも、笑顔でシドへと向き直る。
吉琳 「……うん」
(もう少し、こうしていたいけど……仕方ないよね)
鮮やかな夕陽が、余計に寂しい気持ちにさせる。
名残惜しさを振り切るように歩き出した直後、シドが私を後ろから抱きすくめた。
吉琳 「シド……? どうしたの?」
シド 「……何か、言いたいことがあるんじゃねえのか」
シドの吐息が戯れるようにうなじをくすぐる。
濡れたシャツ越しにシドの熱を感じて、鼓動が加速していく。
吉琳 「なんで……」
シド 「どんだけお前の事、見てると思ってんだ」
シド 「お前のことなら大抵わかる」
(私の気持ち、シドにはお見通しだったんだ……)
シドの言葉で紐解かれた想いが、少しずつ口から溢れていく。
吉琳 「……本当は、まだ帰りたくなくて」
吉琳 「シドと、夏の思い出をもっとたくさん作りたいって思ってた」
シド 「……俺もだ」
吉琳 「え……」
(シドも?)
首を巡らせると、視線が交わるよりも早く唇が奪われた。
けれど唇はすぐに離れ、寂しさからその温もりをつい目で追ってしまう。
シド 「どうした?」
笑みをにじませた声に顔を上げると、シドが唇の端を持ち上げる。
吉琳 「う、ううん、別に……」
シド 「別に、じゃねえだろ」
意地悪な光を瞳に宿らせたまま、シドは私の耳元に口を寄せた。
シド 「こんなんじゃまだ足りねえだろ? してほしいこと、ちゃんと言えよ」
吉琳 「……!」
気恥ずかしさを覚えながらも、色めいた瞳から目を逸らすことができない。
早まる鼓動にかき立てられるように、私は小さく頷き返した。
吉琳 「……もっとキスしてほしい」
シド 「いい子だ」
ふっと笑みを深めたシドが、さっきよりも深いキスを落とす。
開かされた唇に切ない吐息が注がれて、頭の奥が甘く痺れた。
シド 「……こんなもんじゃ足りねえな」
吉琳 「え?」
シド 「お前のこと、もっと欲しくなっちまった」
低い声に耳朶をくすぐられた直後、ふわりと体が横抱きに抱き上げられた。
吉琳 「シ、シド……!?」
シド 「なんだよ」
シド 「夏の思い出、たくさん作りたいんだろ?」
涼やかな眼差しに至近距離で捉えられ、頷き返すことしかできない。
吉琳 「うん……」
(少し、気恥ずかしいけれど……)
(シドが同じ気持ちでいてくれると思うと……すごく嬉しい)
抱かれた肩越しに見る夕陽が眩しくて、そっとシドの胸に額を寄せる。
高鳴る鼓動を全身で感じながら、
夕陽に染まるシドの首に、私はそっと腕を回した…―


【190個特典】ジルの特典ストーリー

 

真っ白な入道雲がわき立つ、とある日の午後…―
(もうすっかり夏だな……)
城下の視察から戻った私は、自室でほっと息を吐いた。
夏を思わせる陽射しに焼かれ、まだ肌は熱を持っているようで……。
(汗かいちゃった)
ハンカチでそっと汗を拭っていると、部屋のドアがノックされる。
吉琳 「はい、どうぞ」
返事の後、ゆっくりとドアが開き、ジルが顔を覗かせた。
ジル 「失礼します。少しお時間を頂いてもよろしいですか?」
吉琳 「はい、大丈夫です」
柔らかな微笑みを瞳ににじませたジルに、私は頷き返した。
ジルに連れて来られたのは、バスルームだった。
浴槽には色鮮やかなバラが浮かべられている。
(どうしてここに……?)
瞳を瞬かせる私に、ジルがふっと笑みを深める。
ジル 「ただのお風呂ではありませんよ」
吉琳 「え……?」
ジル 「手を浸けてみてください」
指先を浴槽に浸すジルにならい、手を入れるとひやりと冷たい感覚に包まれる。
吉琳 「冷たい……!」
思わず手を引っ込めた私を見て、ジルはおかしそうに瞳を細めた。
ジル 「城下での視察は暑かったでしょう」
ジル 「午後の公務の前にリフレッシュされてはどうかと思い、用意いたしました」
吉琳 「そうだったんですね……」
視察に同行してくれたジルの心遣いに、胸がふわりと温かくなる。
吉琳 「ありがとうございます」
ジル 「いえ。では、私はメイドに着替えを用意するよう言づけてきますので……ごゆっくり」
にこりと笑ったジルが、背中を向ける。
ジルの額には汗ひとつにじんではいなかったけれど……
(ジルも一緒に視察をしていたんだし、きっと暑かったはず)
そう思った私は、思わずジルの後ろ姿に声をかけていた。
吉琳 「待ってください」
吉琳 「ジルは……入らないんですか?」
足を止めたジルが私を振り返ると、どこか意味深な笑みを浮かべる。
ジル 「私もご一緒してよろしいのですか?」
吉琳 「……っ!」
自分が発した言葉の意味に気づき、私は慌てて首を横に振った。
吉琳 「ち、違うんです。その……ジルも暑かったんじゃないかと思って……」
吉琳 「一緒に涼んだらどうかと、つい……」
ジル 「そうですね、確かに今日の陽射しは強かったですから」
歩み寄るジルの指先が、私の頬に触れた。
鼓動を甘く乱されながら見つめ返すと、ジルの瞳に艶めいた光が宿る。
ジル 「おひとりの方が、リラックスできるかと思ったのですが……」
ジル 「貴女から誘われたのですから、断るわけにはいきませんね」

……
冷たい水に身体を浸すと、剥き出しの肩が小さく震えた。
ジル 「大丈夫ですか?」
冷水に一瞬身体をこわばらせた私を、ジルが気遣ってくれる。
吉琳 「はい、すごく気持ちがいいです」
(冷たいけど……心地いい)
ジル 「良かった。喜んでもらえて、安心しました」
柔らかいけれど、どこか妖艶に微笑むジルを前に、視線が行き場を失くす。
私は浮かんだバラでそっと自分の体を隠した。
(どうしよう、すごく恥ずかしい……)
自分が掛けた言葉が招いたこととはいえ、さっきから心臓が落ち着かない。
冷たい水に浸かっているというのに、頬に熱が集まるのを感じた。
不意にジルが距離を詰め、浴槽に張った水が波紋を描いた。
ジル 「せっかくリラックスできる時間をとっているのです」
ジル 「もっと、身体の力を抜かれてはいかがですか?」
視界にジルの手が映った直後、軽く顎が掬われる。
次の瞬間、唇を奪われ、その甘い感触に思考が溶かされていった。
吉琳 「んっ……」
やがて唇が離れると、ジルが悪戯に私の顔を覗き込む。
ジル 「そんなに顔を赤くして、どうされたんですか?」
ジル 「水風呂なのに、おかしいですね」
笑みを含んだ声に鼓膜を揺らされ、思わず目を伏せる。
吉琳 「……ジルのせいです」
小さく呟く私に、ジルがくすりと笑みを漏らした。
ジル 「それはすみません」
ジル 「吉琳を癒して差し上げなければと思ったのですが……」
微笑むジルの親指が、私の唇をそっとなぞる。
ジル 「あれだけでは、まだ貴女を癒すことはできませんか?」
綺麗な手が輪郭を辿り、私の横髪を優しく撫でた。
髪を掛けられ、露わになった耳をジルが甘く食む。
吉琳 「ジ、ジル……」
胸を押し返そうとしても、ジルの体は動かない。
耳を食んでいた唇が不意に離れ、再び私の口を塞いだ。
場所を変えるたびに深くなるキスに、身体から力が抜けていく。
ジル 「良いですね、リラックスできているようです」
力の入らない身体を抱き寄せて、ジルが悪戯に囁いた。
吉琳 「ジル……意地悪です」
息を乱しながら、潤んだ瞳で見上げるとジルが唇に綺麗な弧を描く。
ジル 「そんな可愛い顔をして、また私を虜にして……」
ジル 「貴女のその表情……私にだけしか見せてはいけませんよ?」
低い囁きがまた私の熱を上げる。
(ジルと一緒にいると……涼むどころじゃなくなっちゃうよ)
浴槽に浮かぶバラの甘い匂いに包まれながら、
私はジルからの優しいキスを全身で受け止めるのだった…―

日版王宮 收集活動-合集: 2020年

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20200812~20200823
覗き見トライアングル~あなたの知らない王子様たちの絆~

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日々、働いて疲れた心と身体を休める“休日”。
そんな休日が偶然重なった時、彼らは行動を共にすることもあって……
…………
……
『~幼馴染の賑やかな休日編~』
ゼノ 「……今日は二人とも休暇を取っていたように思うが」
アルバート 「いえ、その……」
ユーリ 「ゼノ様も、今日は急ぎのお仕事はありませんよね?」
ユーリ 「今日は俺達と一緒に城下の視察に行きませんか?」
…………
『~騎士団長と不器用な幼馴染達編~』
アラン 「……何だよ。今から訓練場だ。構ってる時間はないぞ」
シド 「訓練場に行くなら好都合だな。俺たちも連れてってくれ」
シド 「ルイと手合わせする場所として、少しの間借りようと思ってな」
ルイ 「ちょっと、何勝手なこと言ってるの……?」
…………
『~王様と大公と画家のスピネル探し編~』
レイヴィス 「どこかへ行かれるのですか?」
ゼノ 「スピネルを探しにな」
レイヴィス 「スピネル……?」
ロベール 「ゼノが飼っている白フクロウだよ。一昨日の晩から姿が見えないらしいんだ」
ロベール 「だから、俺たちで探しに行こうと思ってね」
…………
『~教育係と素直になれない兄弟編~』
ジル 「こんにちは、アラン殿。今日は非番だったはずでは?」
アラン 「部下たちの様子だけ見に来た」
アラン 「つーか……その子ども、どうしたんだよ?」
レオ 「この子、お兄さんとはぐれちゃったみたいで、ジルと探してたんだ」
…………
……
あなたの知らない、休日の彼らの姿。
いつもは見ることのできないその素顔を、少しだけ覗いてみませんか……?

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拿到四個故事卻忘記存!!!!!!! QAQ

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20201013~2020

One More Kiss~彼をもっと好きになる魔法~

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彼の恋人になって時間が経っても、色あせない胸のときめき。
何気ない日々を積み重ねるほど、愛しさは募っていき…―
アラン 「惚れてる相手ひとりも守れなきゃ、民を守る騎士なんて名乗れねえだろ」
アラン 「……眠れるまで、こうしててやるよ」
ルイ 「どうしたのって……ご褒美のキス、だよ」
ルイ 「あの頃の俺の分まで、君のことを甘やかそうと思って」
ジル 「まさか私の想いが貴女に伝わっていないわけではないですよね?」
ジル 「もしそのようなことがあるなら……お仕置きしなくてはいけません」
ゼノ 「眠る前に少しお前との時間が欲しい」
ゼノ 「こうしたいかと思ったが、違ったか?」
ユーリ 「君の優しさに、俺はいつも助けられてるよ」
ユーリ 「あともう一回だけしたいな……駄目?」
互いの想いを唇に乗せ、惹かれ合う二人。
交わされる甘いキスで、もう一度彼と恋に落ちる…―

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【80個特典】ユーリの特典ストーリー
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穏やかな日が差し込む、秋のとある日の午後…―
連日公務が続いていた私は、この日も執務室で書類に目を通していた。
ユーリ 「吉琳様、大丈夫?」
近くで補佐してくれているユーリに声を掛けられ、顔を上げる。
ユーリ 「ここ最近ずっと忙しくしてるし……ちょっとだけでも休んだら?」
心配そうな眼差しを向けてくるユーリに、私は疲れを悟られないよう微笑みかけた。
吉琳 「今の仕事が終われば、少し落ち着くから大丈夫だよ」
ユーリ 「もう、またそうやって笑顔で誤魔化すんだから」
ユーリ 「俺の前では『大丈夫』なんて強がらなくて良いんだよ」

(ユーリはちゃんと私のことを見てくれているんだな……)

ユーリの優しさに、胸が甘くくすぐられる。
吉琳 「うん、ありがとう」
吉琳 「でも、本当に大丈夫。あとちょっとで終わりそうだし、もう少し頑張るね」
ユーリ 「……分かった。俺は用があるから少し離れるけど、その間も無理しすぎないでね?」
気遣ってくれるユーリに私は頷きを返し、公務を再開した。

***

しばらくして、今日中に目を通すべき書類は一通り片づいた。

(やっと一息つける……)

その時ノックの音がして、返事をするとユーリが入ってくる。
ユーリ 「吉琳様、ちょっと良い?」
吉琳 「うん、どうしたの?」
ユーリ 「少しだけ、吉琳様の時間を俺にちょうだい」
ユーリ 「一緒に来て欲しい場所があるんだ」

***

ユーリと向かった庭園には、テーブルと椅子が置かれていた。
テーブルの上には、お茶菓子とティーセットが並んでいる。
吉琳 「これ、もしかしてユーリが……?」
ユーリ 「うん。次の公務まで、少しでもリラックスしてもらえたらと思って」
ユーリ 「座って、吉琳様」
促されて椅子に腰を下ろすと、ユーリが紅茶を淹れてくれる。
芳しい紅茶の香りに、公務で張り詰めていた気持ちがほぐれていくのを感じた。

(ユーリは本当に気遣い上手だな。おかげでゆっくり休憩できそう)
(だけど……私が忙しかった分、執事のユーリだって、きっと疲れているはずよね)

全く疲れを見せずに側で佇むユーリに、真っ直ぐ視線を向ける。
吉琳 「ねえ、ユーリも一緒にお茶しよう?」
吉琳 「私についていてくれた上に、執事の仕事もしていて……」
吉琳 「ユーリの方が休めてないでしょ?」
ユーリ 「大丈夫。吉琳様に仕えるのは俺の楽しみでもあるから」
ユーリはいつも通り明るい笑みを返してくれるが、働きぶりを知っている分心配になる。
吉琳 「……ユーリが一緒にお茶してくれた方が、私はリラックスできるんだけどな」
じっと見つめると、ユーリは僅かに驚いたように目を瞬いた後、小さく笑う。
ユーリ 「……ほんと、吉琳様には敵わないな」
少し困ったように眉尻を下げたユーリが、2つ目のカップに紅茶を注いだ。

***

二人でお茶を楽しんだ後は、ユーリと庭園の花を見て回る。
色とりどりの花に、より穏やかな気持ちになりながら、隣に居るユーリに顔を向けた。
吉琳 「おかげで、今日はゆっくり休めた気がする。ありがとう」
吉琳 「私のことを考えて用意してくれて……ユーリはやっぱり優しいね」
ユーリ 「優しいのは吉琳様の方でしょ。俺のことも気遣ってくれて……」
ユーリ 「吉琳様の優しさに、俺はいつも助けられてるよ」
私を見つめるユーリの瞳が、愛しげに細められる。
二人を包む空気が甘い恋人のものに変わり、見つめ合う眼差しは熱を帯びる。
ユーリ 「ねえ、プリンセス。このままキスして良い?」
吉琳 「……うん」
気恥ずかしさを覚えながら頷きを返すと、ユーリがおもむろに顔を寄せる。
熱い吐息を感じた次の瞬間には、唇が重なっていた。

(ユーリの気持ちが伝わってくるみたい……心がとても温かい)
(やっぱり、私はユーリが好きだな……)

ゆっくりと離れていった熱に、名残惜しさを感じながら見つめ合う。
ユーリ 「吉琳様……」
再び近づいてきた唇を受け入れようと、自分からも顔を寄せた直後、
私の名前を呼ぶジルの声が聞こえた。

(えっ、ジル……?)

とっさにユーリの胸を押し返す。
慌てて辺りを見回すと、庭園内の少し離れた場所にジルの姿が見えた。
吉琳 「あの、ジルが……そろそろ次の公務の時間だって、呼びに来たのかも」
ユーリ 「……大丈夫だよ。公務まではもう少し時間があるから」
吉琳 「だけど……」
ためらう私の腕を引いたユーリが生垣の間に身を潜ませる。
吉琳 「えっ、ユーリ……?」
何も言わないままユーリが顔を近づけてきて、そのまま唇に再びキスが落とされた。
ユーリ 「……ごめんね。吉琳様のことが好きな気持ちが、溢れて止められなくて」
ユーリ 「あともう一回だけしたいな……駄目?」

(ジルが呼んでるから駄目だって、言わなきゃいけないのに……)

申し訳なさそうに瞳を揺らすユーリに、つい言葉が詰まってしまう。
一方で、私を探すジルの声はだんだんと近づいてきていた。
ユーリ 「お願い、吉琳様」

(ユーリにこんな顔してお願いされたら、断れない……)
(それに……)

先ほど軽く触れた唇の熱が思い出されて、鼓動が速くなる。

(私も……ユーリとキスしたいって、思ってる)

吉琳 「……あと一回だけなら」
ユーリ 「ありがとう、吉琳様」
頷いたユーリが、もう一度私の唇にキスを落とす。
名残惜しむように離された唇に、胸が甘く震えた。

***

ひとときの甘い時間を終えて、ユーリと一緒に生垣から出る。
そっと片手で胸を押さえると、速くなっている心臓の音が感じられた。

(まだ、ドキドキしてる……)

少しして、近くまで来ていたジルが私たちに気づき、小さく息を吐く。
ジル 「お二人共、探しましたよ」
ユーリ 「申し訳ありません。吉琳様を少し外で休ませたかったんです」
ユーリ 「一応、使用人の方には伝えておいたんですが……」
隠れて交わしたキスに私の鼓動はまだ落ち着かないのに、
ユーリはジルを前にしても表情ひとつ変えない。
ジル 「ええ、この場所は使用人から聞きました」
ジル 「ですが、それでは把握するのが遅くなります。次からは直接私に伝えてください」
ユーリ 「分かりました」
頷くユーリにジルが背中を向けて歩き出す。
後に続く私の手を、ユーリがそっと握った。
吉琳 「ユ、ユーリ……!」
小声で名前を呼ぶ私に、ユーリが悪戯な笑顔を浮かべる。
ユーリ 「さっきはドキドキしたね」
ユーリ 「だけど……吉琳様と二人きりで過ごせて嬉しかった」
耳元で囁かれた言葉に、愛しさが溢れると共に先程のキスを思い出す。
初めてユーリと恋に落ちた時と同じように高鳴る胸を感じながら、小さく頷きを返すと、
ユーリは繋いだ手にぎゅっと力を込めてくれた…―

 

【190個特典】ジルの特典ストーリー
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城下の街に秋風が立ち始めた、とある日の夜…―
食堂で夕食をとる私の側に、ジルは他の使用人たちと一緒に控えてくれていた。

(この前、間違えてしまったテーブルマナーだけど……これで大丈夫かな?)

ちらりと目を向けると、ジルの瞳が柔らかな弧を描く。
ジル 「合っていますよ。きちんと覚えてくださっていたようですね」
吉琳 「はい……」
ジル 「ではご褒美にこれを。本日城に届いたばかりのシードルです」
ジルがテーブルの上の空いたグラスにシードルを注ぐと、
林檎の爽やかな香りが鼻先をくすぐった。
吉琳 「良い匂い」
思わず呟くと、ジルが優しい微笑みを浮かべる。

(ジルは指導するだけじゃなく、優しく気遣ってくれる)
(プリンセスになったばかりの頃も今も、何ひとつ変わらない……)

吉琳 「ありがとうございます」
笑みを返したその時、食器の割れる音が食堂に響く。
目を向けると女性の使用人がお皿を落としたらしく、
破片が周囲に飛び散っていた。
使用人 「申し訳ございません……!」
女性は慌ててそう言うと、その場に屈んで破片へと手を伸ばす。
ジル 「触らないで下さい。危ないですよ」
凛とした声で告げたジルが、足早に女性の元へと歩み寄った。
ジル 「慌てなくて大丈夫です」
ジル 「素手では触れないように。誰かグローブを持ってきて下さい。それから……」
ジルの的確な指示に、割れたお皿はあっという間に片づけられていく。
お皿を落とした女性は、ジルに丁寧に頭を下げていた。

(きっとジルは、使用人の方たちからもすごく頼られているんだろうな)

何もかもが完璧なジルを誇らしく思いつつも、ある思いが胸をよぎった。

(こんなに素敵なんだから……私みたいにジルを慕う女性も沢山いるはずだよね)

ジル 「どうかしましたか?」
影が差し頭を上げると、ジルが私の顔を覗き込んでいた。
とっさに笑みを浮かべて、首を横に振る。
吉琳 「い、いえ! なんでもありません」

(ジルが素敵だから不安になったなんて……言えない)

濁すように言うと、私は再び食事をとるためにカトラリーへと手を伸ばした……

***

夕食を終えて、その夜…―
自室でベッドに腰掛けた私に、ジルが明日の予定を読み上げてくれる。
ジル 「以上になりますが……何か質問はございますか?」
吉琳 「いえ、ありません」
そう答えると、手元の書類に目を落としていたジルが顔を上げた。
ジル 「……では、こちらから質問してもよろしいですか?」
静かに言うと、ジルは微笑を浮かべる。
ジル 「貴女の、その浮かない表情の理由を伺っても?」
全てを見通すような深紅の瞳が、私を見つめていた。
吉琳 「……っ」
ジルに気づかれていたことが恥ずかしく、言葉に詰まるけれど……
ジル 「プリンセス?」
注がれる涼やかな眼差しは、心の内まで見透かしているようで、私は重い口を開いた。
吉琳 「その……ジルはとても素敵なので……」
吉琳 「私のようにジルを慕う人は沢山いるんだろうなって、思ってしまって」
私は、夕食の時のことを持ち出して、抱えていた僅かな不安を吐露する。

(こんなことを言って、呆れられちゃったかな……)

情けなくて俯くと、やがてジルが小さく笑う気配がした。
ジル 「さあ、どうでしょうね」
ジル 「貴女以外の女性を気に掛けたことがないので、分かりませんが……」
言葉を切ったジルが、目を伏せる私の顎を軽く掬い上げる。
ジルはどこか妖艶な笑みを滲ませると、私の耳元にそっと口を寄せた。
ジル 「たとえ何人私を慕って下さる方がいたとしても、関係のないことです」
ジル 「私には、貴女しか見えていないのですから」
吉琳 「……っ」
ジルの低い囁きが甘く響いて、鼓動が跳ねる。
ジル 「まさか私の想いが貴女に伝わっていないわけではないですよね?」
ふっと笑みを深めたジルが、ゆっくりと私をヘッドボードに追い詰める。
木板を背中に感じた直後、おもむろに伸ばされた手が私の頬に触れた。
ジル 「もしそのようなことがあるなら……お仕置きしなくてはいけません」
吉琳 「お仕置きって……」
ジル 「私の想いの深さを、貴女の胸に刻み込んでもらうのですよ」
ジルの瞳に熱がはらむと、唇に触れるだけのキスが落とされた。
唇を甘く食むキスは重なるたびに深くなり、呼吸が乱れていく。

(これ以上はもう……)

甘い吐息に溺れそうになり、胸を押し返すけれど、
うなじに手を当てられ離れることができない。
ジル 「動かないでください。こんな口づけでは、貴女への想いは伝わり切っていないので」
吉琳 「ジル……んっ」
妖艶な笑みを浮かべたジルに、吐息ごと呼吸を奪われる。
今まで幾度も交わしてきたはずなのに、ジルのキスは一瞬で私の思考を甘く溶かしてしまう。

(やっぱりジルには敵わない……)

蕩けるような口づけに、胸が幸せで満たされていく。

(こんなにジルに想ってもらえるなんて、幸せ)

唇から伝わる想いの深さに、私は再びジルに恋に落ちていくのを感じるのだった…―

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20201111~20201122

王子様と恋のおまじない~欲望のままに愛されて~

日版王宮 收集活動-合集: 2020年

彼の疲れを癒してあげたいと勧めた異国のアロマ。
実は稀に、『心の内に秘めた想いを解放する』という不思議な効果が現れるらしく……?
アラン 「……お前もアロマ焚いてたけど、なんか変わったことはないのか?」
アラン 「もっと言えよ。俺のことが好きだって」
ルイ 「アロマを焚いてもらった後……無性に君に逢いたくてしかたなかった」
ルイ 「今日は沢山、君に触れたい……良いよね?」
レオ 「何でだろう……君と、少しだって離れたくないと思っちゃって……」
レオ 「……まだ足りない。もっと君に触れたい。近付きたい」
ユーリ 「なんか不思議な気分なんだよね」
ユーリ 「可愛い君を見てると、我慢できなくなるんだ」
レイヴィス 「悪いけど、止められない」
レイヴィス 「……もしかしたら、さっき言ってたアロマの効果が出てきたのかもな」
彼の心の奥に潜む、素直な欲望に触れて……
全てを受け入れたその時、溢れる程の愛に溶かされていく…―

日版王宮 收集活動-合集: 2020年

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落ち葉を運ぶ木枯らしが吹き始めた、初冬のとある日…―
私はアロマの焚かれた温かな部屋で、ベッドに横になり目を閉じていた。

(リラックス効果が期待出来るものだって聞いていたけれど……)
(本当に、とても落ち着く香りだな)
(同じように彼も、別室でゆっくり休めていると良いけれど……)

先日サロンで、『忙しそうな恋人の疲れを癒したい』と懇意にしている貴婦人に話したところ、
異国で評判のアロマオイルを扱っている商人達を知っていると、紹介をしてもらえた。
そのため、恋人と休日が重なった今日、アロマを試すため城に商人を呼んだのだった。

(『宜しければ、プリンセスも』、
(と商人に勧められてお願いしたけれど……頼んで正解だったな)

商人 「ご気分はいかがですか?」
吉琳 「ありがとうございます。とても身体が軽くなったように感じます」
上体を起こしながらアロマを焚いてくれていた商人に笑みを向ける。
商人 「それは何よりです。それでは私は失礼いたします」
商人は一礼してから、部屋を出て行った。

(彼の方はどうだったかな……)

少しして彼の様子を確かめに行くため、ベッドから降りようとする。
その時、ノックの音が聞こえてきて返事を返すと、入れ替わるようにジルが入ってきた。
ジル 「プリンセス、失礼いたします」
吉琳 「ジル? どうかしましたか……?」
ゆっくりと立ち上がると、ジルが近づいてくる。
ジル 「アロマを焚いた後の心身の状態について、少しお尋ねしたいのですが……」
ジル 「貴女は疲れが取れた以外に、気持ちの変化などは特にありませんか?」
吉琳 「気持ち……? 気分が良い感じはしますが……」
ジル 「そうですか……どうやらプリンセスには、そちらの面での効果は無かったようですね」
吉琳 「何の話ですか……?」
ジルの言葉の意味が分からず見つめると、僅かに微笑まれた。
ジル 「先程商人の方々が帰り際に、伝え忘れていたと仰っていたのですが……」
ジル 「稀に心の方にも効果が現れて、己の気持ちに素直になりすぎてしまう人が居らっしゃるそうです」
ジル 「ですがそのおかげで、アロマを焚いた後に恋人と過ごしたら……」
ジル 「内に秘めていた感情を曝け出せてより仲が深まった……そんな話が何件かあったそうですよ」
吉琳 「え……」
初めて聞く内容に、驚くと同時に興味が沸いてくる。

(私は何とも無いけれど、彼はどうだったんだろう……)

考えていると、ジルにそっと肩を叩かれた。
ジル 「私はそろそろ失礼しますね」
ジル 「先程の件は彼はまだ知らないと思うので、貴女から教えてあげてください」
吉琳 「はい、分かりました。伝えに来てくださってありがとうございます」

(もし、彼にも秘めている感情があるとしたら、それは一体どんなものなのかな……)

私は少し気になりながら、彼の元へと向かうのだった…―


【80個特典】ユーリの特典ストーリー
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冬の足音が聞こえ始めた、とある日の午後…―

(心にも効果が現れて、己の気持ちに素直になりすぎてしまう、か……)
(ユーリは大丈夫かな?)

ジルから聞いたアロマの効能が心配になり、私はユーリの元を訪れることにした。
ノックの後、ゆっくり開いたドアからユーリが顔を覗かせる。
ユーリ 「吉琳様……どうしたの?」
出迎えてくれたユーリはどこか艶めいて見えて……
まとう色香に胸の鼓動が乱されるのを感じながら、ユーリを見つめ返す。
吉琳 「アロマを勧めたけど、効果はあったか気になって……」
ユーリ 「それで来てくれたんだ? ありがとう、中に入って」
部屋に入り、ユーリと並んでベッドに腰かける。
吉琳 「体調の方は大丈夫?」
ユーリ 「うーん……実は少し頭が重い気がしてた」
吉琳 「えっ……そうなの?」
心配して覗き込めば、ユーリの瞳に悪戯な光が宿る。
ユーリは私の肩に手を置くと、優しくベッドに押し倒した。
ユーリ 「なんてね。嘘だよ」
私を見下ろしながら、ユーリが口角を上げる。
妖しい光を宿す瞳に、心臓が跳ねた。
ユーリ 「身体が軽くなったし、体調はすごく良いよ」
ユーリ 「でも、なんか不思議な気分なんだよね」
吉琳 「不思議な気分って……?」
そう尋ねると、ユーリは含んだような声で囁いた。
ユーリ 「なんだか……吉琳様に意地悪したくなっちゃうというか」
ユーリ 「吉琳様の困った顔が見たくなる」
色っぽく笑うユーリに、身体の奥がじわりと熱くなる。
そんな自分が気恥ずかしくて、ユーリの視線から逃げるように身をよじらせた。
吉琳 「もう、ひどいよ。具合が悪くなったのかと思って、心配し……」
言い終わるより先に、ユーリの唇が私の言葉を奪う。
短い口づけの後、ゆっくりと離れたユーリが私の唇に自分の指を静かに添えた。
ユーリ 「ごめんね。でも、可愛い吉琳様を見てると、我慢できなくなるんだ」
ユーリ 「どうしてかな……?」
潤んだ瞳に見つめられ、言葉を紡ぐことができない。
ベッドに寝かされたまま、私はユーリを見つめた。

(なんだかいつものユーリじゃないみたい)
(もしかして、これがジルの言っていたアロマの効果なの……?)

ユーリ 「吉琳様……」
囁きが鼓膜を揺らした直後、鎖骨を軽く吸い上げられる。
甘い疼きに身体が震える私に、ユーリが笑うように吐息を漏らした。

(っまだこんなに明るいのに……)

ベッドのすぐ傍にある窓からは、午後の陽光が差し込んでいる。
明るい陽の下で落とされる口づけは恥ずかしくて……
吉琳 「ユ、ユーリ……もう……」
私はユーリの胸にそっと手を当てて、軽く押し戻した。
ユーリ 「……」
ユーリは身体を離すと、私の腕を引いて優しく起こしてくれる。
向かい合うと、ユーリの長いまつ毛が申し訳なさそうに揺れた。
ユーリ 「ごめんね。もう、意地悪しないから。抱きしめていい?」
上目づかいのユーリの大きな瞳に、私が映っているのが見える。

(……私、ユーリのこの顔に弱いんだよね)

私は小さく苦笑すると、肩を落とすユーリに頷きを返した。
吉琳 「……うん、いいよ」
ほっとした笑顔を浮かべたユーリが、ためらいがちに私を抱き締める。
ユーリ 「ごめんね、吉琳様」

(……なんだかユーリがかわいそうになってきちゃった)
(あれはアロマのせいなんだから、仕方ないよね)

しゅんとするユーリをこれ以上見たくなくて、笑顔で頭を振った。
吉琳 「謝らなくていいよ。それに……私も嫌じゃなかったから」
気恥ずかしさを感じながらも、素直な気持ちを伝える。
すると、ふっと笑うようなユーリの吐息が空気を揺らした直後、
私の耳元に、ユーリが唇を寄せた。
ユーリ 「ありがとう。俺、優しい吉琳様が大好きだよ」
吉琳 「……っ」
艶を帯びた囁きに顔を上げると、綺麗な笑みを浮かべたユーリと視線が交わる。
そこに、さっきまでのしょんぼりしていたユーリの面影はなかった。

(アロマの効果だったんだよね……?)
(それともユーリはわざと……?)

問いたい気もしたけれど、熱をはらんだユーリの瞳に胸の鼓動は加速する一方で……
真偽が分からないまま、私はユーリからの甘いキスを受け止めるのだった…―

 

【190個特典】レオの特典ストーリー
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少し冷たい風が木の葉を揺らす、昼下がり…―
私はあることを伝えるため、レオの部屋を訪れていた。
ベッドに隣り合って座るレオは、相槌を打ちながら私の話を聞いている。
レオ 「……つまり、さっきのアロマには『内に秘めていた感情をさらけ出す』っていう」
レオ 「不思議な効果が出ることがあるんだね」
吉琳 「うん、そうみたい……」
問いに頷き、レオの様子をさりげなく確認した。

(見た感じいつも通りだし、この様子なら効果は出ていないと考えても大丈夫そうかな)
(……でも、レオの『秘めた感情』、少しだけ知りたかったかも……)

その時、レオの熱い息を吐く音が微かに聞こえてくる。
吉琳 「どうかした?」
レオ 「ちょっと暑いなと思って……」
額を拭うようにしながら、レオが小さく微笑んだ。
その首筋には確かにうっすらと汗がにじんでいる。
吉琳 「大丈夫? 横になる……?」
レオ 「具合が悪いわけじゃないから、平気だよ」
レオ 「ただ……アロマを焚いてもらってから、だんだん体が熱くなってきてる気がして……」
吐息混じりに呟いたレオは、少しだけ辛そうに眉を寄せた。
暑さのせいか潤んだ瞳と微かに上気した頬を見て、鼓動が騒ぐ。

(レオ、何だか色っぽいような……)

頬が熱くなっていくのを誤魔化すように、私は慌てて声を上げた。
吉琳 「私も、焚いてもらってから体温が上がっている感じがするから……」
吉琳 「これもアロマの効能なのかも。冷たい水でも、もらってくるね」
そう言って立ち上がろうとすると、レオが私の手を掴んで引き止める。
振り返った先には、熱っぽい瞳でじっとこちらを見つめるレオが居た。
吉琳 「どうしたの……?」
尋ねると、はっとしたようにレオが手を離す。
レオ 「あれ? ごめんね……」
レオ 「何でだろう……吉琳ちゃんと、少しだって離れたくないと思っちゃって……」
レオ自身も意図しない行動だったのか、困惑したように首を傾げている。

(何だかレオの様子がおかしい……もしかして……)
(アロマの『内に秘めていた感情をさらけ出す』っていう効果が出ているのかな……?)

レオ 「とにかく、暑さは大丈夫だから……吉琳ちゃんは、ここに居てくれる?」
私の顔を覗き込んだレオが、どこか強請るような声音で尋ねてくる。

(レオがこんな風にお願いしてくるなんて……)
(甘えられているようで、少し嬉しいかも)

吉琳 「……うん、分かったよ」
部屋から出るのをやめると、レオの隣に座り直した。
レオのことを見ていると、心の奥からある感情が湧き上がってくる。

(もし本当にアロマの効果が出ているのなら、レオの気持ちを知りたいな……)
(レオの『秘めた感情』を、私が全部満たしてあげたい)

そんな想いに引っ張られるように、私は思わずレオの手を握っていた。
吉琳 「ねえ、レオ……アロマで疲れは癒えたかもしれないけど、私にも何か出来ることはない?」
レオ 「え?」
驚いたようにこちらを見るレオを、真っ直ぐ見つめ返す。
吉琳 「もしあるのなら、レオのために何でもするよ」
吉琳 「だから、したいことや言いたいことがあったら、聞かせて欲しいの」
あえて気持ちを引き出すような言葉をかけると、レオは少し困ったように笑った。
そして、私の方へと甘えるように寄りかかってきて……
レオ 「何でもしてくれるなんて……吉琳ちゃんって、本当に健気で、可愛いよね」
レオ 「隙間がなくなるぐらいくっついて、抱き締めたい……」
吐息と共に囁きをこぼしたレオが、言葉通りに私をきつく抱き締めてくる。
レオの火照った体が押し当てられて、胸が甘い音を立てた。

(耳からも、触れ合ったところからも、感情が伝わってきて……)
(まるで、レオの気持ちに包まれているみたい)

レオは私を抱き締めたまま、耳元へ唇を寄せる。
レオ 「……まだ足りない。もっと君に触れたい。近付きたい」
レオ 「キスして、吉琳ちゃんを感じたい……」
甘えるように鼻先をすり合わせたレオが、そっと唇を重ねてくる。
真っ直ぐな想いと、ついばむような口づけを受け入れていると、
唇を離したレオが、ふと思い出したように呟く。
レオ 「……これ、もしかしたら吉琳ちゃんが部屋に来た時に言ってたアロマの効果かも」
レオ 「でも、そうかもしれないと思っても駄目だ……止められない……」
原因が分かっても衝動を抑えるのは難しいのか、先程よりも深く唇を重ねられる。
レオ 「っ……ごめん。こんなの、かっこ悪いよね……」
キスの合間に聞こえたレオの囁きが何だか少し苦しそうで、胸が締め付けられた。
吉琳 「そんなことない。どんなレオも大好きだよ」
吉琳 「だから、気持ちを全部聞かせて欲しい」
本心を伝えると、レオの瞳が微かに揺れる。
間近にある顔を見つめると、レオはゆっくりと目を細めた。
レオ 「そんなこと言われたら、もっと気持ちが溢れてきちゃうってば……」
レオは私を抱きしめたまま、ベッドの上へと組み敷く。
首筋に熱い唇が這わされ、私の口から甘い吐息がこぼれた。
レオ 「抱きしめて、キスして、それでもまだ触れたいって思うよ。今日は俺だけのものでいて」
吉琳 「うん……今日はレオの好きなようにして欲しい」
頷くと、レオは満足そうに笑みを深めて唇を重ねてくる。
キスの甘さに酔いしれながら、レオともっと深く触れ合うために、
私は、伸ばした腕を首筋へと回した…―
日版王宮 收集活動-合集: 2020年

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20201212~20201223

Rose & Prince~呪いを超える究極の愛~

日版王宮 收集活動-合集: 2020年

行商人から献上された、淡く光る美しいバラ。
それは、触れた者の身体を蝕む呪いのバラだった……
知らずに手にした彼は、
『他者と触れ合うと苦痛を感じる』という呪いに侵されてしまい…―
アラン 「誰が何と言おうと、こいつは俺が守る」
アラン 「お前に触れられない方がよっぽど辛い」
ジル 「貴女にそのような悲しい顔をさせてしまって、すみません」
ジル 「この呪いが解けるまで……今はこうして、貴女を感じさせてください」
レオ 「どうしても君と過ごしたいんだ……わがままでごめんね?」
レオ 「呪いの痛みよりも君に触れられない方が、よっぽど心が痛かったから」
ゼノ 「騒ぐほどのことでもない。気にするな」
ゼノ 「手の届くうちは、お前に触れていたい」
レイヴィス 「俺のことが心配?」
レイヴィス 「……それなら、お前がこの痛みを慣らしてよ」
苦痛を伴うと分かっていても、互いの温もりを求め、強く惹かれ合う二人の心。
ただ純粋な愛だけが、美しいバラの呪いを超える…―

日版王宮 收集活動-合集: 2020年

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どこか神秘的な輝きを放つ月が、辺りを青白く照らすある夜のこと…―
商人 「今回も世界各地から集めた、素敵な品々をお持ちしましたからね」
商人 「きっとプリンセスのお気に召すものもあるかと思いますよ」
吉琳 「それは楽しみですね」
公務を終えた私は、顔なじみの商人と談笑を楽しんでいた。
彼は各地を巡る行商人で、数か月に一度、こうして城を訪れては
集めた珍しい品を取引してくれているのだった。
旅の土産話も興味深く、いつものようにお茶を飲みながら耳を傾けていると
彼が朗らかな笑みを浮かべて口を開いた。
商人 「とても珍しいバラを手に入れたので、先程プリンセスの恋人に献上したのです」
吉琳 「珍しいバラ……?」
商人 「ええ、淡く光るような美しいバラで……」
商人 「プリンセスによくお似合いでしたので、後で彼からプレゼントされるかもしれませんね」
柔らかくそう言って、商人は微笑む。
愛する人のことを話題に出され、自然と頬が火照った。
気恥ずかしさを隠すように笑みを返そうとしたところで、大きなノックの音が響く。
驚きつつも入室を許可すると、勢いよく衛兵が足を踏み入れてきた。
後に続くように、どこか青白い顔をしたユーリも入ってくる。
衛兵 「プリンセス、その商人の身柄を拘束させていただきます!」
衛兵はあっという間に商人を取り押さえた。
その荒い手つきを制したユーリが、硬い表情で商人を見つめる。
ユーリ 「あのバラは一体何なんですか……?」
商人 「ど、どういうことでしょうか……? 私は、何も……」
突然のことに、商人は怯えた表情で答える。
訳も分からぬまま、私は慌ててユーリに問いかけた。
吉琳 「待って……! 一体、何があったの?」
ユーリ 「……バラに触れた後から、様子がおかしいんだ」
ユーリ自身も戸惑っているのか、返ってきた答えは短い。
その言葉を聞いて、私はバラの花を受け取ったという恋人のことを思い出した。

(もしかして、彼に何か……?)

嫌な予感が胸を掠めるのを抑えるように、口を開く。
吉琳 「様子がおかしいって、どういうこと……?」
ユーリ 「バラを受け取った後、人に触れられると、酷く苦しまれて……」
ユーリがそう言うと、商人の顔がさっと青ざめていく。
商人 「……昔、聞いたことがあります」
商人 「触れた者を呪う、美しいバラがあると……」
商人 「そのバラに触れた者は、他者と触れ合った時に苦痛を感じるという……」
商人 「でもまさか、現実にそんなものが存在しているだなんて……私は何てことを……!」
床に膝をつき、首を垂れる商人に、衛兵が怒りをあらわにした。
衛兵 「お前……言い逃れはやめろ!」
商人に掴みかかる衛兵を、慌てて止める。
吉琳 「やめて。悪気があったわけではないんだから……」
そう言いながらも、心臓はどくどくと嫌な音を立て続けた。

(彼が呪いにかかってしまった……)
(一体、どうしたら良いの……)

愛する人の姿が思い浮かび、胸を突き刺す。
冷たい月の光に照らされながら、私はその場に立ち尽くすのだった…―

 

【80個特典】ジルの特典ストーリー

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厚い雲が煌めく星々を覆い隠す、冬のある夜…―
ジルがバラの呪いにかかってしまったと知り、私は城の廊下を駆けていた。
吉琳 「ジル……!」
ノックも忘れてジルの部屋に飛び込む。
ベッドでは、硬く目を閉じたジルが微かに胸を上下させていた。
その傍らには、城の医師が控えている。
吉琳 「あの、ジルは……!?」
縋るような思いで詰め寄ると、医師は難しい顔のまま、ジルに目を向けた。
医師 「命に別状はありません」
医師 「ですが、人に触れてしまった際の負担が大きかったようで……今は眠っておられます」
吉琳 「そんな……」

(ジルは身体が弱いのに……)

青白い顔をしたジルに不安が募る。
ベッドの脇で膝をつくと、やがてジルがうっすらと瞼を持ち上げた。
ジル 「……プリンセス」
ジルの瞳が、ゆっくりと私を捕らえる。
吉琳 「ジル……!」
胸に安堵が広がり、視界が涙で滲んだ。
ジル 「貴女にそのような悲しい顔をさせてしまって、すみません」
ジル 「……ですが、私は大丈夫ですよ」
弱々しい微笑み浮かべたジルが、私に向かって手を伸ばす。
医師 「いけません、ジル様」
私が身体を引くよりも早く、医師の言葉がジルを制した。
頬に触れる直前、ジルの手が宙で止まる。
医師は表情を曇らせたまま、再び口を開いた。
医師 「呪いによる苦痛は人によって異なるようですが、ジル様は元々身体がお強くはない」
医師 「先程も意識を失くされるほど苦しんだはず……」
医師 「辛いでしょうが、人との接触は絶対に避けてください」
医者の言葉に、ジルは力なく目を逸らす。
ジル 「呪いなど、大したことでは……」
抵抗を見せるジルに、私は頭を振った。

(ジルに何かあったら、耐えられない)
(触れられなくても、ジルが側にいてくれるだけで私は充分だから……)

その想いを胸に、私はジルを見つめた。
吉琳 「大丈夫です、ジル」
吉琳 「触れることはできなくても、私はずっと側にいますから」
ジル 「吉琳……」
切ない吐息を漏らすジルに、微笑みを浮かべてみせる。
吉琳 「もう少し眠ってください。今は身体を休めないと」
ジル 「……申し訳ありません」
長いまつ毛を揺らしたジルがゆっくりと目を閉じる。
やはり身体が辛かったのか、ジルはすぐに眠りに落ちた。
私は、一晩中その側に付き添い、眠るジルの横顔を見つめていた……

***

それから数日が過ぎ……
ジルの身体は回復し公務をこなすようになったものの、
誰とも触れることのできない日々を送っていた。
もちろん私とも触れることはなく…―
ジル 「明日の舞踏会に付き添う予定でしたが、私は城に残ることになりました」
書類に目を通す私の傍らで、報告をしてくれるジルに、頷きを返す。
吉琳 「私もその方が安心です。」
吉琳 「どれだけ注意しても人に触れてしまうことがありますから」
ジル 「……ええ」
私を見つめるジルの瞳が、微かに揺らぐ。
視線を交わらせることができても、触れ合うことは許されない。

(ジルに触れられないことが、こんなに辛いなんて……)
(でもジルはもっと苦しんでいるはず……)

呪いにかかったままのジルのことを想うと、胸が痛いほど軋むのだった……

***

その翌日……
招待されていた舞踏会に向かうため、
私は正門に止まった馬車に腰を下ろし、出発を待っていた。
少し離れた場所で準備する御者をぼんやりと眺める。

(早くジルの呪いが解けてほしい……)

過去の文献を調べていた医師から、
呪いを解く手がかりを見つけたかもしれないと、先ほど伝え聞いたばかりだった。

(ジルの身体への負担も心配だし……)

思わずため息がこぼれ落ちそうになったその時、
コンコンと馬車の窓ガラスが叩かれる。
顔を上げると、見送るために控えていたジルが窓の向こうに立っていた。
吉琳 「ジル……」
瞳に柔らかな笑みを滲ませたジルが、ガラス窓にそっと手を当てる。
ジル 「同じようにしてくださいませんか」
吉琳 「……はい」

(ガラス窓越しなら、大丈夫だよね……)

躊躇いつつも、ジルの手に自分の手のひらをそっと重ねる。

(不思議……ジルの温かさが伝わってくるみたい……)

視線が交わると、ジルは自嘲的な笑みを浮かべた。
ジル 「生まれてから何度も、自分の身体を疎ましく思ってきましたが……」
ジル 「こんなにも自身を呪ったことはありません」
ジル 「すぐ側に貴女がいるのに……こんな形でしか触れることができない」
吉琳 「ジル……」
ジルの言葉に滲んだやるせなさに、唇を噛む。
切なさに胸が締め付けられるのを感じていると、ジルが深紅の瞳を和らげた。
ジル 「ですが、耐えるのは慣れていますから」
ジル 「この呪いが解けるまで……今はこうして、貴女を感じさせてください」
そう囁いて、ジルが微笑む。

(私も……窓越しでも良いからジルを感じていたい)

互いを見つめ合う眼差しに熱が帯び、惹き合うようにゆっくりと顔を寄せる。
愛しげに細められた瞳が、私だけを映した。
ジル 「吉琳……」
ジル 「愛していますよ」
吉琳 「私もです……ジル」
どちらからともなく、想いを託した唇を重ねる。
冷たい窓ガラス越しに、ジルの熱を感じた。

(今はただ、こうしてジルが側にいてくれるだけで幸せ……)

愛する人が側にいてくれる幸せを噛みしめながら、
私とジルは切ない口づけを交わした…―

 

【190個特典】レオの特典ストーリー

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木枯らしに吹かれた落ち葉が乾いた音を立てる、冬の日の午後…―
私は次の公務に向かうために廊下を歩きながら、気がかりなことを考える。

(レオがバラの呪いにかかってしまってから、もう一週間か)
(まだ解く方法が見つからないなんて……レオ、大丈夫かな)

レオがかかってしまったのは、『他者に触れると、
身体に苦痛を感じる』という呪いだ。
そのため万が一触れてしまっては大変だからと、
恋人であるレオとは個人的な時間にも、しばらく逢わない約束をしていた。

(一緒に居たら、きっと触れたくなってしまうから、仕方ないけれど……)
(やっぱり、逢えないのは寂しいな)

レオとはこの一週間、公務で一緒になることもなかった。
ジルから聞いた話によると、レオは人と距離を取りながら生活を送っているらしい。
呪いに苦しむレオを想うだけで、胸が締めつけられる。

(明日は付き合って一年なのに、こんなことになるなんて……)

その時、廊下の向こうからレオが歩いてくるのが見えた。
レオもすぐ私に気づき、手を伸ばせば触れることが出来そうな距離で、互いに足を止める。
吉琳 「レオ……その、久しぶり」
一週間ぶりだったこともあり、どんな言葉をかけるべきか迷ってしまい、
上手く言葉が出てこない。
しかしレオは、いつも通りの優しい眼差しを私に向けてくれる。
レオ 「こんなところで吉琳ちゃんに逢えるなんて、今日の俺はついてるね」
明るい声を聞き、無意識のうちに緊張してしまった心が解けていく。
吉琳 「……身体は大丈夫? 無理してない?」
レオ 「うん、気を付けて生活すれば問題ないから。心配かけてごめん」
私を安心させようとしているのか、レオは穏やかな微笑みを浮かべた。
吉琳 「レオが謝るようなことじゃないよ。……早く、呪いを解く方法を見つけようね」
あまり話していると離れがたくなってしまいそうで、
そんな気持ちを隠すように、足下に視線を落とす。
吉琳 「じゃあ、また……」
レオ 「待って」
力強く掛けられた言葉に思わず顔を上げると、
柔らかな表情で見つめてくるレオと目が合う。
レオ 「久しぶりに逢えたし、もう少し話がしたいな……あと少しで良いから」

(そっか……レオも同じ気持ちでいてくれたんだ)

温かな気持ちで頷きを返す私に、レオが嬉しそうに口元をほころばせる。
レオ 「今日は一日、吉琳ちゃんはどんなことをしてたの?」
吉琳 「うーん……ほとんど書類の確認かな。今日は量が多かったから大変で……」
吉琳 「あとは夕食の時に、ジルからテーブルマナーのレッスンを受けたよ。レオは?」
レオ 「俺も書類の確認で、ほとんど一日使っちゃったかな。お同じだね」
小さくウィンクされ、私の口元にも笑みが浮かぶ。

(……やっぱり、レオとこうして話せるのは嬉しいな)

他愛のない会話を続けるうちに、付き合って一年目の記念日である明日は、
一緒に居たいという気持ちが込み上げてきてしまう。

(今みたいにこうやって、少しだけなら……)

吉琳 「レオ、明日なんだけど……」
私が言いかけた時、慌てたような足音が近づいてくる。
使用人 「レオ様……!」
廊下に響く声に振り向くと、明るい表情をした使用人が立っていた。
使用人 「バラの呪いを解ける呪術師が見つかったそうです!」
使用人の報告に、私とレオは驚きに目を見開く。
レオ 「やっと見つかったんだ……」
吉琳 「良かったね、レオ……!」
自分のことのように込み上げる喜びにレオを見ると、視線が合って笑みを交わす。
その時、使用人が申し訳なさそうに眉を下げた。
使用人 「ただ異国の者のため、到着は明後日になるそうです」
レオ 「……そっか。わざわざ来てもらうんだし、仕方ないよ。報告、ありがとね」
レオと使用人のやり取りを聞きながら、明日の記念日のことを考える。

(呪術師の方が来てくださるのは、明後日か……)
(それなら、明日レオに無理をさせるわけにはいかないよね)
(残念だけど……記念日よりレオの身体の方が大切だから)

使用人が去ると、レオが私に視線を戻した。
レオ 「話してる途中だったのに、ごめんね」
吉琳 「ううん、呪いが解けることになって私も安心したよ」
レオ 「ありがとう、吉琳ちゃん」
レオ 「そうだ。さっき、使用人が来る前に何か言おうとしてなかった?」
吉琳 「えっ……大したことじゃないから、大丈夫だよ」
私は笑顔で誤魔化し、公務があるからとレオとその場で別れた。

***

呪いを解く方法が見つかった、翌日…―
公務を終えた私は、自室でひとり休んでいた。
部屋のドアがノックされ、返事をするとレオが顔を覗かせる。
吉琳 「レオ……! どうしたの?」
レオ 「急にごめんね……今日はどうしても二人の時間が欲しくて」
レオ 「俺達にとって、特別な日だから」
私との記念日を大切に思ってくれていることが伝わり、胸が熱くなる。
吉琳 「だけど、レオ……」
呪いが解けていないことが引っかかって、素直に喜ぶことが出来ない。
そんな私に、レオは柔らかな笑みを向けた。
レオ 「……昨日、記念日である今日のことを何か言いかけてたでしょ?」
レオ 「吉琳ちゃんも俺と過ごしたいって考えてくれてたと思ったんだけど……違った?」
私を見つめるまっすぐな眼差しに嘘はつけず、左右に首を振る。
吉琳 「違わないよ。でも、明日は呪術師の方が来るから、レオに無理はさせたくなくて……」
レオ 「俺は大丈夫だよ」
レオ 「どうしても吉琳ちゃんと過ごしたいんだ……わがままでごめんね?」
レオは眉を下げながら微笑んで、小さく首を傾げた。

(レオは優しいから、きっと私が頷きやすいように……)
(『自分だけのわがまま』っていうことにしてくれてるんだろうな)

胸が締め付けられるような愛しさを感じながら、私はしっかり頷く。
吉琳 「分かった……ありがとう、レオ」
レオ 「お礼を言うのは俺の方だよ。今夜、これを渡したかったんだ」
レオが私に小さな箱を差し出す。
ゆっくりと開かれた箱の中には、愛らしいデザインの指輪が収められていた。
レオ 「記念日の贈り物。吉琳ちゃんの指につけてもいい?」

(もちろんレオにつけて欲しい。だけど私に触れたら……)

迷って返事が出来ずにいる私に、レオが申し訳なさそうに瞳を揺らす。
レオ 「……呪いのことが心配?」
吉琳 「うん……」
レオ 「吉琳ちゃんに、こんな顔させちゃうなんて……俺もまだまだだな」
眉を下げながら小さく笑ったレオにそっと手を取られて、驚きに声を上げる。
吉琳 「え!? レオ……!」
レオ 「大丈夫だから」
そのまま指に触れて指輪をつけたレオは、辛そうな様子を一切見せなかった。

(私が心配してしまうから、痛みを我慢してくれてるんだ)
(一番辛いのは、レオなのに……)

私を想って気丈に振る舞ってくれているレオに愛しさが募り、
その心に応えたいと微笑みを向ける。
吉琳 「すごく幸せ……ありがとう、レオ」
レオ 「喜んでもらえて、良かった」
嬉しそうなレオの様子を見ていると、切実な想いが口からこぼれ落ちていく。
吉琳 「私がレオの痛みを少しでも代わってあげられたらいいのに……」
レオ 「優しいね、吉琳ちゃん」
レオ 「そういうところ、好きだな」
瞳に笑みをにじませたレオが、突然私を優しく抱き締める。
大好きな温もりに身を委ねたくなるけれど、どうしても心配が先に立ってしまう。
吉琳 「無理しないで」
レオ 「してないよ」
レオ 「呪いの痛みよりも君に触れられない方が、よっぽど心が痛かったから」
吉琳 「レオ……」
抱き締めていた手を解くと、レオの瞳が私だけを映す。
熱をはらむ眼差しに捉えられ、鼓動が甘く乱された。
レオ 「明日、呪いが解けたら……」
レオ 「君を離さない」
熱い吐息が、口づけるように私の唇を撫でる。
レオ 「一日中……ずっとね」
吉琳 「……うん、約束だよ」
部屋に差し込む月明りは、まるで私達の未来を照らしてくれるように煌めく。
私とレオは愛を確かめ合うように、そっと触れるだけの口づけを交わした…―

日版王宮 收集活動-合集: 2020年

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