日版王宮 イケメン王宮★人気投票2022(獎勵故事)

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2022

(獎勵故事)

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2022(獎勵故事)

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2022(獎勵故事)

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2022(獎勵故事)

【期間】2022/08/13~2022/08/28

 

 

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2022(獎勵故事)

 

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2022(獎勵故事)

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2022(獎勵故事)

『あなたを大切に守り続けてくれた彼へ贈る感謝』

『刺激的な恋をさせてくれた彼へ贈る感謝』

『涙の分だけ愛を深めてきた彼へ贈る感謝』

『カリスマ性であなたを支えてくれる彼へ贈る感謝』

 

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2022(獎勵故事)

 

~ 公約情報 ~

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2022(獎勵故事)

 

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2022(獎勵故事)

 

ダイジェストを見る >>>

 

彼と過ごす何気ない日常のなかで、ふと感じる幸せ。
彼はあなたへの日頃の感謝の気持ちを伝えてきて…―
………
アラン 「全部、騎士として、王として……そして夫として、この先もお前を守るためだけど」
アラン 「感謝してる」
……
ルイ 「俺を待ってくれてる大好きなプリンセスを……少し驚かせて、喜ばせたかっただけだよ」
ルイ 「このまま、離したくなくなっちゃった……」
……
ジル 「私と踊って頂けますか? 吉琳」
ジル 「ええ。毎日、頑張っている貴女へのご褒美ですよ」
……
レオ 「俺のことは気にしないで、寝ていいんだよ」
レオ 「俺と出会って……俺を救ってくれてありがとう」
……
ゼノ 「そうか。だが今日は雲もなく、星もよく見える」
ゼノ 「身体が冷えているのも気づかず、夢中で星を眺めていたのだろう」
……
ユーリ 「……俺、すっかり君に骨抜きにされちゃったみたい」
ユーリ 「改めて言わせてほしいんだ。俺と一緒にいてくれてありがとう」
……
ロベール 「頑張り屋さんの吉琳ちゃんらしいけど、無理はいけないよ?」
ロベール 「改めて、俺を選んでくれて、本当にありがとう」
……
シド 「お前に日頃の礼でもしてやろうかと思ってよ」
シド 「……俺みたいな奴を好きになるなんて、お前も物好きだな」
……
アルバート 「心配なさらなくても、あなたの料理はいつも美味しいですよ」
アルバート 「あなたと一緒にいろんなことを体験できて、俺はとても幸せです」
……
レイヴィス 「お前のそういうところ、結構好き」
レイヴィス 「俺をここまで導いてくれてありがとう、吉琳」
………
今、こうして過ごせているのは愛しい彼との積み重ねがあったから…―
今まで彼と過ごしてきた日々を思い返してみませんか?

 

 

30枚特典
ストーリーを読む >>>

 

星が満天にきらめく、夏のとある夜…―
その日、公務が長引いたロベールは自室に戻るため廊下を歩いていた。
吉琳の部屋の前を通りかかった時、
明かりが漏れていることに気づき足を止める。

(明かりが……まだ公務を?)

様子を窺おうとノックするものの返事はなく、
心配になったロベールはそっと部屋のドアを開けた。
机に向かった吉琳は熱心に本を読んでいた。
ロベール 「吉琳ちゃん」
吉琳 「ロベールさん! どうしたんですか?」
ロベール 「ごめんね。ノックしたんだけど、返事がなかったから心配になって」
ロベール 「こんな時間まで、勉強してたのかい?」
ロベールの言葉に、吉琳がはっとしたように時計を見る。

(時間に気づかないほど、夢中になっていたんだ)

吉琳 「公務で少し気になるところがあって、つい……」
ロベール 「頑張り屋さんの吉琳ちゃんらしいけど、無理はいけないよ?」
ロベールは笑みを浮かべて頷くと、吉琳に歩み寄った。
吉琳の読んでいた本には、近隣国の貿易について書かれている。
ロベール 「もし良ければなんだけど、俺が簡単に説明しようか?」
吉琳 「いいんですか? ぜひお願いします!」
吉琳に頷きを返して、近隣諸国の輸出入について説明していく。
熱心に耳を傾ける吉琳を見ていると、昔を思い出した。

(吉琳ちゃんが褒めてくれたからこそ……)
(俺は自分の絵に自信を持つことができた)

もう一度国を守るために立ち上がろうと奮起したのも、
吉琳がきっかけだった。

(俺の人生の岐路にはいつも吉琳ちゃんがいる)
(君のおかげで、俺は迷うことなく前に進めるんだろうな)

昔も今も助けられてばかりだと考えていると、顔を上げた吉琳と視線が交わる。
吉琳は愛らしい笑みを浮かべて、ロベールに小さく頭を下げた。
吉琳 「ありがとうございます。とても参考になりました」
ロベール 「俺の方こそ、楽しかったよ。こうしていると、昔のことを思い出すよ」
ロベール 「昔も今も君に助けられてばかりだね」
吉琳 「えっ?」
不思議そうに目を瞬かせる吉琳に、ロベールも笑みを返す。
ロベール 「君が俺を信じてくれるから、今まで迷うことなく道を選び取ることができたんだと思う」
ロベール 「そんな君を眩しくも愛おしくも感じてしまうんだ」
ロベール 「改めて、俺を選んでくれて、本当にありがとう」
吉琳は頬を赤く染めると、小さく頭を振った。
吉琳 「お礼を言うのは私の方です」
吉琳 「ロベールさんが側にいてくれると、何が起きても心強くいられるから」
吉琳 「ロベールさんと一緒にいられることを、とても感謝しています」

(どれだけの時間を重ねても、君の芯の部分は変わらないな)
(愛らしいかと思えば、凛とした美しいところもあって、目を離せない)

ロベール 「君も俺と同じ気持ちでいてくれるなんて、すごく嬉しいよ」
ロベール 「これからも一緒に支え合っていきたいね」
思わず、吉琳の手を握ってしまう。
吉琳の瞳に淡い熱が帯びた気がして、ロベールは握った手に少し力を込めた。
ロベール 「……君にもっと、この気持ちを伝えてもいいかな…?」

(こんなにも深く愛せる女性は君以外にいない、と)

ロベール 「今、君と同じことを思ってる気がする。もし当たってたら……」
ロベール 「目をつぶってほしいな。」
吉琳 「……はい」
素直に頷いた吉琳がまつ毛を震わせながら、目を閉じる。
ロベールは吉琳の唇にそっとキスを落とした。
すると、吉琳が少し物欲しげな顔をしはじめる。
軽いキスを何度も落としていくうちに、目が段々と熱っぽくなってくる。
ロベール 「吉琳ちゃん……いいかい?」
吉琳が頷くと、ロベールは腰を抱き、ベッドに歩み寄る。
華奢な身体をベッドに押し倒すと、
ロベールはもう一度その唇に優しくキスを落とした…―

 

 

70枚特典
ストーリーを読む >>>

 

木漏れ日が光の粒となって降り注ぐ、夏の休日…―
夏とはいえ、森の中は心地いい風が吹き抜けていく。
アルバートは吉琳と一緒に近くの森にピクニックに訪れていた。

(こうして休暇の予定が合うのは久しぶりだな……)

吉琳を誘った一週間前の夜を思い出す。

*****
アルバート 「どこかへ出かけませんか? もちろん、あなたさえ良ければですが」
吉琳 「いいんですか?」
アルバートの言葉に、吉琳は嬉しそうに口元をほころばせた。
その愛らしさに、アルバートも自然と笑みが零れ落ちる。
アルバート 「ええ、もちろんです。どこかご希望の場所が?」
吉琳 「久しぶりにピクニックに行きたいです」
アルバート 「いいですね。では近くの森に行きましょうか」
吉琳 「はい! せっかくですから、何か作っていきますね」
アルバート 「ありがとうございます。楽しみにしていますね」
笑顔で頷きながら、アルバートの胸をふとある思いがよぎる。

(ピクニックに行く時には、いつもあなたが何か作ってきてくれるから)
(今回は俺も……)
*****

森を歩きながら、アルバートは手にした荷物に視線を落とした。

(……喜んでもらえるといいのですが)

不意にアルバートを見上げた吉琳が、柔らかな笑みを浮かべる。
吉琳 「こうやって外でゆっくりするのも久しぶりですね」
アルバート 「そうですね。お互い、忙しかったですから」
しばらく歩くと開けた場所に出て、アルバートは敷物を敷いた。
二人で腰を下ろすと、吉琳がサンドイッチやフルーツを並べていく。
吉琳 「美味しいといいんですが……」
アルバート 「心配なさらなくても、あなたの料理はいつも美味しいですよ」
アルバートの言葉に、主人公は少し恥ずかしそうにまつ毛を揺らす。
軽く咳払いしたアルバートが、荷物から用意していたものを取り出した。
アルバート 「俺もせっかくの機会なので……」
料理の横に色とりどりのマフィンを並べると、
吉琳は驚いたように目を瞬かせた。
吉琳 「これ全部、アルバートが作ったんですか?」
アルバート 「はい。初めて作ったので、味に自信はないのですが……」
吉琳 「そんなことありません。どれも美味しそう……いただいても?」
アルバート 「もちろんです」
アルバートが頷けば、吉琳が嬉しそうにマフィンに手を伸ばす。
頬張った吉琳にぱっと明るい笑みが浮かんだ。
吉琳 「すごく美味しいです!これ、中にクリームチーズが……?」
アルバート 「レシピ通りではありませんが、オレンジピールと合わせたらどうかと」
アルバート 「口に合ったようなら良かったです」
よほど気に入ったのか、吉琳はアルバートのマフィンにばかり手を伸ばす。
そんな吉琳を見つめるだけで、心が弾んだ。

(出会ってからいつもあなたは俺に初めての感情を教えてくれる)
(今だって初めて作ったマフィンを食べてもらえるだけで、こんなに幸せで……)

吉琳が一緒だと、何をしても楽しかった。
ふと、吉琳の口元にマフィンのかけらがついていることに気づく。

(可愛いな)

何げなく手を伸ばし、ついたマフィンを取るとそのまま指先をぺろりと舐める。
アルバート 「あなたと一緒にいろんなことを体験できて、俺はとても幸せです」
アルバート 「感謝してもしきれませんが……本当にありがとうございます」
吉琳 「そ、そんなこと……」
顔を赤くした吉琳が小さく首を横に振る。
恥ずかしそうに口元を指先で押さえる吉琳に、
アルバートはさっき自分が何をしたか思い出した。

(あ、つい……)

心臓が波打つのを覚えながら、指先で眼鏡を軽く持ち上げる。
アルバート 「……今更このようなことで照れないでください。俺達は夫婦、なんですから」
吉琳 「そ、そうですよね……」
吉琳は頷くものの、赤くなった顔は変わらない。
不意に愛しさが込み上げて、
アルバートは吉琳の唇にそっと自分の唇を重ねた。
アルバート 「これからも一緒に色んなことを経験して」
アルバート 「夫婦としてたくさん思い出を作っていきましょうね」
慣れないながらリードしようと努めるアルバートに、
吉琳は優しい笑顔を返してくれた…―

 

 

110枚特典
ストーリーを読む >>>

 

大きな入道雲が空に広がる、夏の午後…―
シドは吉琳と一緒に、国が運営する孤児院を訪れていた。
シドの隣で吉琳は、孤児院で働くシスターの話に熱心に耳を傾けている。

(暑いさなか、わざわざ出向く必要もないと官僚達には言われたが)
(現地の事情をきちんと知るべきだって、聞かなかったんだよな)
(まあ、こいつのそういう考えは嫌いじゃねえ)

一通りの話を終えて、シドは責任者と話すためその場を離れることになった。
シド 「出発も早かったし、お前は少し休ませてもらえ」
吉琳 「うん、分かった」
素直に頷いた吉琳を何げなく振り返ると、子供達に囲まれていた。
疲れた様子も見せず子供達と手を繋ぎ遊ぶ吉琳の姿に、
知らず知らずの内に笑みが零れ落ちる。

(ったく、休んでろって言っただろうが)
(けど……あの笑顔は昔から変わらねえな)

出会った頃からまっすぐにぶつかってきた吉琳を思い出す。
シド 「……俺に近づく奴らは皆、俺の身分や容姿に惹かれてか、情報欲しさだったってのに」
シド 「お前だけは違ったんだよな」

(突き放すようなことをしても、俺の過去を知っても)
(お前だけは逃げずに、俺と向き合ってくれた)

子供達と遊ぶ吉琳から目を離すことができないまま、
シドは小さく息を吐いた。
シド 「お前といるのは悪くねえ」
責任者 「お待たせいたしました。どうぞこちらへ」
シド 「……ああ、ありがとう」
声をかけられて我に返ったシドは、ゆっくりと吉琳に背中を向けた。

***

孤児院での視察が終わり、子供達に手を振る吉琳に、シドは目を向けた。
シド 「お前は先に帰ってろ」
吉琳 「えっ、でもシドは?」
シド 「ちょっと寄りたいところがある。昼飯食ったら、その後は空けとけ」
吉琳 「分かった」
不思議そうにしながらも馬車に乗り込む吉琳を見送る。
(さて、と……行くか)
孤児院を後にしたシドがやって来たのは、市場だった。
シド 「……たまには、気持ちを形にするのもいいだろ」
一人呟き、店先に並ぶ新鮮な果物を手に取る。

(あいつが好きなフルーツはなんだったか……)

吉琳のことを考えながら、シドは店主に声をかけた。

***

厨房に立った後、出来上がったものを手にシドは食堂へ向かった。
ちょうど昼食を食べ終えたらしい吉琳が、驚いたようにシドを見る。
吉琳 「シド……帰るの早かったんだね。何を持ってるの?」
シド 「これか?」
シドが手にしていた皿を吉琳の前に置く。
皿に載る料理は、吉琳の好きなフルーツのジャムをかけたパンナコッタだ。
吉琳 「美味しそう……!」
目を輝かせる吉琳に、シドの頬が自然と緩む。

(子供みてえだな、ほんと)

シド 「お前に日頃の礼でもしてやろうかと思ってよ」
吉琳 「ありがとう、すごく嬉しい! デザートなんて作れたんだね」
シド 「まあな」
前に座り、食べるように促すと、吉琳がスプーンを手に取る。
一口食べた吉琳は顔を蕩けさせた。

(俺はいつの間に、こういうことに幸せを感じるようになったんだろうな)

シド 「……俺みたいな奴を好きになるなんて、お前も物好きだな」
吉琳 「えっ?」
シドの声が聞こえなかったのか、吉琳が目を瞬かせる。
シドは小さく首を振ると、吉琳の頭を撫でた。
シド 「いや……なんでもねえよ」
吉琳 「そう……?」
吉琳 「ごちそうさま、本当に美味しかったよ。作ってくれてありがとう」
そう言って笑顔でこちらを見つめる吉琳の唇に、
シドは触れるだけのキスを落とした。
吉琳 「シ、シド……! 急に何を……」
唇を手で押さえながら顔を真っ赤にする吉琳に、
シドが唇の端を持ち上げる。
シド 「いいだろ、頑張ったご褒美くらいくれたって」
吉琳 「でも、誰が見てるかも分からないのに……」
反論しながらもその顔を見れば、吉琳も満更でないことが分かる。
そんな吉琳に、胸に温かいものが広がっていくのを感じた。

(お前に出会えて、確かに俺は変わった)
(でも、それが嫌だと感じたことはねえな)

シドはぼそりと呟いた。
シド 「……いつもありがとうな」
吉琳 「ごめん、聞いてなくて……今何か言った?」
シド 「……今日の夜、お前から、さらなるご褒美をもらうから楽しみだなって言ったんだ」
吉琳 「も、もう! またそうやってからかわないで!」
シド 「からかったつもりはねえが」
ふっと笑みを零して、シドが立ち上がる。
吉琳 「あ……待って、シド!」
後を追いかけてくる吉琳の足音を、シドは心地良い思いで聞いていた…―

 

 

160枚特典
ストーリーを読む >>>

 

朝から強い陽射しが照りつける、夏の日の朝…―
目を覚ましたユーリは、すぐ側に感じる温もりに目を向けた。
ユーリに寄り添うようにほんの少し体を丸めた吉琳が、
気持ち良さそうに寝息を立てている。

(昨日の夜、無理させすぎちゃったかな)
(でも、どうしても自分を抑えられなかったな…)

昨夜の吉琳との甘い時間を思い出せば、自然と頬が緩む。
ユーリ 「もう、無防備に寝ちゃって可愛いなー。」
ユーリ 「こんなに安心した顔で隣にいてくれる恋人がいるって、本当に幸せ。」
吉琳がいるだけで不思議なくらい安心感を覚える一方で、
いないと妙に落ち着かない。

(まさか自分がこんなふうになるなんて思わなかった)

起こさないよう気をつけて、吉琳の髪をそっと撫でる。
指先に絡まる甘い香りさえ、愛しくてたまらなかった。
ユーリ 「……俺、すっかり君に骨抜きにされちゃったみたい」

(俺にはゼノ様しかいないって、そう思っていたのに)

自分を守れるのは自分だけだと、いつも頑なだった心を思い出す。

(吉琳がそんな俺の心を解きほぐしてくれた)

今感じている愛しさや穏やかさは、
吉琳と出会えたから知ることができたのだと改めて思う。
吉琳 「ん……ユーリ? 起きてたんだ?」
目を開けたもののまだ少し眠そうな吉琳の額に、ユーリはキスを落とした。
ユーリ 「おはよう、吉琳。君が起きるまで、昔のことを少し思い出してた」
吉琳 「おはよう、ユーリ。昔のことって、何を思い出してたの?」
話してもいいものか、わずかにためらった後、ユーリは口を開いた。

(吉琳に隠すことは何一つないから)

ユーリ 「朝から少し重い話になっちゃうけど……」
ユーリ 「俺はずっと、ゼノ様だけを頼りに、心の糧にして生きてきたでしょ?」
ユーリの言葉に、吉琳が切なげにまつ毛を揺らす。
吉琳 「うん……そうだね」
ユーリ 「今思い返せばあの頃は孤独で、やっぱり寂しかった」
ユーリ 「でも、今は違う」
ユーリ 「吉琳に出会えたおかげで、俺は一人じゃないって思えたから」
吉琳 「ユーリ……」
微かに瞳を潤ませる吉琳を、ユーリは優しく抱きしめた。
大好きな甘い匂いが胸いっぱいに入ってくる。
思わず愛しさが募り、吉琳と視線を交える。
ユーリ 「改めて言わせてほしいんだ。俺と一緒にいてくれてありがとう」
ユーリ 「吉琳がいてくれるから、俺は今本当に幸せだよ」
互いの眼差しに吸い寄せられるように、どちらからともなく唇を重ねる。
柔らかな唇の感触は、ユーリの胸を幸せで満たしてくれた。
吉琳 「私の方こそ、ありがとう。私もすごく幸せだよ」
少し恥ずかしそうな吉琳の髪を撫で、ユーリは身体を起こした。
ユーリ 「まだ時間があるし、少しゆっくりしようか。待ってて、紅茶を淹れてくる」
ベッドを下りるユーリの後を、なぜか吉琳もついてくる。
ユーリ 「吉琳? ベッドで休んでなよ。すぐだから」
吉琳 「うん……でも、なんだかユーリの側にいたくて……駄目かな?」
吉琳の何気ない言葉が、ユーリの胸をくすぐった。
思わず笑みが零れ落ちるのを感じながら、頷きを返す。
ユーリ 「いいよ、俺も一緒の方が楽しいから」
ユーリがカップを用意する間、吉琳はティーポットにお湯をそそぐ。
ふわりと香る紅茶の匂いに、吉琳が嬉しそうに口元をほころばせた。

(可愛いな、ほんと)

ユーリ 「吉琳、手際が良くなったね」
吉琳 「ユーリが色々教えてくれたおかげだよ」
吉琳と一緒なら、紅茶を淹れる手間さえ楽しい。
それが阿吽の呼吸となれば尚更だった。

(些細な幸せっていうか……)
(こういう何気ない時間がすごく愛おしいな)

ふと吉琳が顔を上げてユーリを見る。
吉琳 「ユーリと一緒にいるとすごく落ち着くんだけど」
吉琳 「その反面、一緒にいないとなんだかそわそわするの」

(俺と同じ気持ちなんだ……)

喜びが笑顔になって、ユーリは吉琳の頭にぽんと手を乗せた。
ユーリ 「俺も同じこと思ってたから、すごく嬉しいよ」
ユーリ 「これからもたくさん一緒にいようね」
吉琳 「うん!」
嬉しそうに頷く吉琳と笑い合い、淹れた紅茶をテーブルまで運ぶ。

(こんな穏やかで優しい時間が、ずっと続いてほしい)

吉琳の笑顔を見つめながら、
ユーリはそう願わずにはいられなかった…―

 

 

200枚特典
ストーリーを読む >>>

 

月明かりが美しいその夜、ウィスタリア城では…―
ジルと吉琳のごく親しい人々が集まる、
小さなパーティーが開かれていた。

(吉琳は……楽しんでいるようですね)

少し離れた所で、仲の良い貴族の夫人たちと談笑している吉琳を見て、
ジルは微笑を浮かべながら安堵の息をつく。

(最近は、今後の政策決めなど……)
(気を張る公務が続いて二人で執務室にこもりきりでしたから、)
(親しい人々と共にパーティーを楽しめば、)
(吉琳の息抜きにもなるでしょう)

やがて楽団が緩やかなダンスの曲を奏で始める。

(皆に愛されるプリンセスを、そろそろ返して頂いて、)
(私だけの愛しい妻に戻って頂ましょう)

ジルは人々の輪の中心で楽しそうに話していた吉琳へと近づいていった。
ジル 「失礼いたします」
吉琳 「あ、ジル」
美しく着飾った吉琳が愛らしい笑顔で振り向く。

(今宵の貴女は、誰よりも輝いていますね)

ジルはそっと手を差し出し……
ジル 「私と踊って頂けますか? 吉琳」
吉琳 「はい、もちろんです」
少しかしこまった様子で答えた吉琳の手を取り…―
ジル 「こちらへどうぞ。緊張せずにゆっくり楽しんでください」
ジル 「このパーティーは、公務ではなく貴女のためのものですから」
そう告げてジルはホールの中央と吉琳エスコートする。
歩きながら吉琳がジルの顔を見上げた。
吉琳 「今日のパーティーは、私のために開いてくださったんですね」
ジル 「ええ。毎日、頑張っている貴女へのご褒美ですよ」
吉琳 「ありがとうございます。でも、頑張っているのはジルも同じです」
吉琳 「なので、ジルもゆっくり楽しんでくださいね」
吉琳は、この頃の疲れを一切見せずに華やかな笑みを浮かべて言った。
ジル 「私は、忙しいのには慣れていますから」
吉琳 「それでも、です」

(相変わらず、貴女は優しいですね)

ジル 「お気遣い頂き、ありがとうございます」
国王の側近として忙しく働いていた時と、国王となった今は、
それほど忙しさに差はない。

(ですが……)
(貴女をこうして堂々と独り占めできるようになった)
(それが、どれだけ私にとって幸せなことなのか、)
(貴女はわかっていらっしゃるのでしょうか)

このウィスタリアと国民と、
何より吉琳を幸せにするためなら、どんな苦労も厭わない。

(吉琳は、騎士としてでもなく、教育係としてでもなく、)
(ただのジルとして……私を必要としてくださった)

そんなふうに自分を必要としてくれる吉琳のために生きたい、
吉琳に愛し愛される人間は自分でありたい。
そう強く願い、今こうして吉琳の隣に国王として立っている。

(ですから、貴女にふさわしい者であるために……)
(頑張るのは私にとっては当然のことなのです)

それでも吉琳に労ってもらうのは嬉しくて、
ジルの顔にはずっと笑みが浮かんでいる。
やがてホールの中央に着き、ふたりは向かい合わせで手を取り合った。
そして曲に合わせてステップを踏んでいく。
吉琳は、ジルと踊りながら小さく笑みを零す。
吉琳 「……相変わらずジルは、ダンスが上手ですね」
ジル 「貴女も最初の頃と比べものにならないほど、上達しましたよ」
教育係とプリンセスという立場だった頃を思い出しながら言うと、吉琳が苦笑する。
吉琳 「ジルにため息ばかりつかれていた時のことを、思い出してしまいました」

(教育係とプリンセス……)
(決して結ばれないはずの二人でした)
(ですが今は、身分や立場のしがらみを越えて、)
(ただ愛する人と気兼ねなく踊れる……)
(これこそ私の求めていた幸福なのでしょうね)

ジルは吉琳の腰に添えていた手に、わずかに力をこめた。
ジル 「この先も、貴女と踊るのは私だけの特権にしてくださいね」
ジルの言葉に吉琳が微笑む。
吉琳 「それじゃ、ジルも私とだけ踊ってくださいね」

(また貴女は……愛らしいことを言いますね)

ジル 「当然です」
ジルは吉琳に顔を寄せ、こっそりキスをした…―

 

 

250枚特典
ストーリーを読む >>>

 

城中が眠りの静寂に包まれた夜のこと…―
ベッドで眠っていたレオが、小さく身じろぎをして目を開けた。
レオ 「ん……」

(変な時間に起きちゃった)
(……最近は、ずっと朝まで眠れてたんだけどな)

またすぐに眠れる気がしなくて、ベッドに入ったまま窓の外を見る。
すると夜空には美しい満月が浮かんでいた。

(綺麗……)
(昔は、大嫌いだったけどね)

こんな風にゆっくり満月を眺めることが出来るようになったのは、最近になってのことだった。

(両親が亡くなったのも、)
(俺が復讐のために生きるって決めたのも……)
(満月の日だったから)

あの夜からレオは眠れない日が続いていたけれど……

(今は満月の夜でも、ちゃんと朝まで眠れるようになった……)
(吉琳ちゃん……君のおかげでね)

レオは満月が浮かぶ窓から目を逸らし、隣で眠る吉琳の寝顔を見つめた。

(眠ってる時も可愛いなんて、ずるいんじゃない?)

レオは吉琳に身体を寄せながら、白く滑らかな頬に手を滑らせる。
吉琳に出逢うまで、レオは復讐のためだけに、
暗闇の中を這うように生きていた。
そんな破滅へと進みつつあったレオを光の当たる場所に引き戻し、
新たに生きる理由をくれたのは吉琳だ。
レオ 「俺の生きる理由は、吉琳ちゃんだよ」
独り言を呟きながら吉琳の髪に触れると、
閉じていた吉琳のまぶたが、ふいに開く。
吉琳 「ん……レオ、眠れないの?」
レオ 「ちょっと、久々に目が冴えてね。起こしちゃった? ごめんね」
吉琳 「ううん、大丈夫」
吉琳は目を擦りながら、ふわりと微笑んだ。

(俺と一緒に起きていようって思ってくれたのかな。でも……)

レオ 「俺のことは気にしないで、寝ていいんだよ」
レオは吉琳の肩を抱き寄せて、
額、鼻、頬へと順に口づけを落としていった。
吉琳 「ん……、でも……」
吉琳は、レオが眠れなかった昔のことを思い出しているのか、
心配そうな顔で見つめ返してくる。

(心配してくれるのは嬉しいけど、)
(吉琳ちゃんには笑っててほしいな)

レオは少しいたずらっぽい笑みを浮かべて、吉琳の髪に指先をそっと梳き入れて…―
レオ 「もしかして、眠れないのは俺のせい? やだな、何もしないよ」
レオ 「でも……期待されてるなら答えようかな」
吉琳 「っ……」
途端に顔を真っ赤にした吉琳に、レオがキスを落とす。
吉琳 「……ん」
吉琳は、レオが冗談めかして誤魔化したことに気がついている様子だったけれど、
包み込むようにレオのキスを受け入れてくれた。

(吉琳ちゃんのキスは、いつだって優しいね)

レオは重ねていた唇を離して、顔を少し下へとずらす。
そして吉琳の胸にゆっくりと顔を埋めた。
吉琳 「っ……レオ?」
レオ 「俺と出会って……俺を救ってくれてありがとう」
そう小さく呟いた後、何でもないように微笑んで顔を上げる。
吉琳 「レオ……今、なんて?」
レオ 「何でもないよ」
吉琳 「え、でも……、んっ……」
さらに尋ねようとした吉琳の唇を、レオはキスで塞いだ。

(聞こえなくていいんだよ、)
(こんな穏やかな時間に、湿っぽい話は似合わないから)

レオは吉琳の温かな身体を抱きしめて、少し意地悪な笑みを浮かべる。
レオ 「お互いに、すっかり目が覚めちゃったみたいだし……」
レオ 「また眠くなるまで、こうしてようか」
レオは再び吉琳の柔らかな唇を奪って、
さらに背中や腰へ手のひらを滑らせていく。
吉琳 「っ……レオ、余計に眠れなくなっちゃうよ」
困った顔も愛らしくて、レオはますます止まれなくなる。
レオ 「いいよ、吉琳ちゃんが眠たくなるまで付き合うから」

(明日は二人共、公務も休みだし)

そんなことを頭の片隅で考えながらレオは吉琳の首筋に口づけ、
ドキドキと鼓動を刻む胸に、そっと手を置いたのだった…―

 

 

300枚特典
ストーリーを読む >>>

 

じりじりと音が聞こえるような陽射しが降り注ぐ、夏の午後…―
午前中の公務を終えたレイヴィスは廊下を歩きながら、
すれ違う庭師やメイドと軽く言葉を交わしていた。
庭師 「俺のところの子供がもうこんなに大きくなって」
庭師 「こうして穏やかに過ごせるのは、レイヴィス様のおかげです。ありがとうございます」
レイヴィス 「こちらこそ、いつも庭を綺麗にしてくれて感謝してるよ」
庭師と別れ、今度は通りかかったメイドを呼び止める。
レイヴィス 「ちょっといい? 午後に大切な書類が届くから、受け取っておいてもらえる?」
メイド 「かしこまりました」
頭を下げるメイドに礼を言い、ふとある思いが胸をかすめた。

(昔の俺だったら、こんなふうに庭師と軽く言葉を交わしたり……)
(大切な書類の預かりをメイドに頼むことはなかったな)

人を信じることで心から触れ合うことができると、
レイヴィスに教えてくれたのは吉琳だ。
吉琳と過ごす内、感情を表に出すことが増え、
人と触れ合う楽しさや喜びを感じるようになっていた。

(吉琳が、俺の本当の一面を見抜いてくれたおかげかな)

周りを巻き込みながら成長する吉琳に刺激を受け、
いつしか自分もそんな生き方をしたいと思うようになり……。

(なんか、吉琳の顔が見たくなってきた)
(最近二人で出かけられてないし、時間ができたらどこか行きたいな)

気がつけばレイヴィスの足は、吉琳の部屋に向いていた。
ノックをして声をかければ、
吉琳はレイヴィスを快く部屋に招き入れてくれた。
吉琳 「レイヴィス、どうしたの?」
突然の訪問に驚いた様子の吉琳に、レイヴィスはにっこりと笑みを浮かべた。
レイヴィス 「急に顔見たくなったから来た。……会いに来た理由は、それだけ。」
吉琳 「私もレイヴィスに会いたかったから、嬉しいよ」
口元をほころばせる吉琳が愛らしい。
ふと机の上に視線を落とすと、たくさんの資料が積まれていた。

(相変わらず頑張ってるんだな)

レイヴィス 「公務の方はどう? あまり無理しちゃ駄目だからね?」
吉琳 「うん、ありがとう。今は留学生に関することに取り組んでいるんだけど」
吉琳 「うまくいけば、前よりももっと留学生の受け入れや派遣が増やせそうなの」
吉琳 「たくさんの人達が繋がれば、きっと国にも良い影響があると思うから」
瞳をきらきら輝かせる吉琳を見つめる内に、
レイヴィスの顔にも自然と笑みが浮かぶ。
レイヴィス 「お前のそういうところ、結構好き」
吉琳 「えっ?」

(お前のそういう前向きなところや、分け隔てのない優しい気持ちが)
(俺を変えてくれたんだよな)

これまで重ねてきた時間を思い返しながら、
レイヴィスは吉琳の手を握った。

(これからも、俺はお前とずっと一緒に生きていきたい)

レイヴィス 「俺をここまで導いてくれてありがとう、吉琳」
吉琳 「そんな、私は何も……」
頬を赤く染めた吉琳が、恥ずかしそうに首を横に振る。
レイヴィスはわずかに身体を屈めると、吉琳の額にキスを落とした。
レイヴィス 「最近二人きりの時間が取れていなかったし」
レイヴィス 「公務が落ち着いたら、二人で出かけようか」
吉琳 「うん! じゃあ、それを楽しみにして公務を頑張るね」
レイヴィス 「俺も」
笑顔を返して歩き出そうとしたレイヴィスの腕を、不意に吉琳が掴む。
振り向くと、吉琳の澄んだ眼差しに捉えられた。
吉琳 「……あの、私からもお礼を言わせて」
吉琳 「私と一緒にいてくれてありがとう、レイヴィス」

(……そんなだから、お前のこと目が離せなくなるんだろうな)
(こんなに俺を虜にして、どうするつもり?)

ふっと笑みを浮かべて、レイヴィスは吉琳の頭を優しく撫でた。
レイヴィス 「そんな可愛いこと言われたら抱きしめたくなるけど、今は我慢しとく」
レイヴィス 「後で迎えに来るから。この続きは今夜、ね?」
吉琳 「……っ」
レイヴィスの言葉に、吉琳の顔が耳まで赤くなっていく。
今夜の甘い時間を楽しみに思いながら、
レイヴィスは吉琳の部屋を後にした…―

 

 

360枚特典
ストーリーを読む >>>

 

馬車の車窓から見える月が、美しい夜のこと…―
ルイは今日一日、久々の吉琳がいないひとりでの公務を終えて、
城へと帰る馬車に揺られていた。
ふと、いつも吉琳が座っている隣の席に視線を落とす。

(いつもだったら、)
(疲れちゃった吉琳が俺の肩にもたれかかってきたり……)
(逆に『ルイ、疲れてるでしょ?』って……)
(膝枕をしてくれたりする時間なんだけど)

妙に広く感じる車内にわずかな寂しさと違和感を覚えていた。

(たった一日、一緒にいなかっただけなのに、)
(何を見ても……)
(聞いても、吉琳のことばかり思い出してた)
(吉琳がいないと、しっくりこないって思うくらいに、)
(二人で一緒にいることが……)
(今では、当たり前になってるってことかな)

ルイ 「早く逢いたい……吉琳」
子どもの頃、孤児院から公爵家に引き取られ、
ルイ=ハワードとして生きることを受け入れてから、
ルイの心は凍りつき、寂しさや悲しみ、
楽しみや喜びに対して感情が鈍くなり、
誰かを愛する気持ちも失ってしまった……そう思っていた。

(けれど、吉琳が、思い出させてくれた……)
(誰かと愛し合う喜びも、)
(新しい朝を迎える幸福感も……)

吉琳の笑顔を思い浮かべていたルイは、向かいの席に置いていた、
公務の帰りに買った小さな花束を手に取る。

(喜んでくれるかな。……きっと吉琳だったら、)
(可愛らしい笑顔で、俺まで嬉しくなるくらい……)
(喜んでくれるんだろうな)

想像するだけで胸がきゅっと甘く疼くのを感じながら、ルイは花弁にそっと口づけて…―
ルイ 「早く、君に会いたい」
思わず呟いて車窓の外を見ると、
吉琳が待つ城が見えていた。

***

ルイが馬車を降りて城の中へ入って行くと、
階段の上にいた吉琳がルイに気づき、花が咲いたような笑顔になる。
吉琳 「あ、ルイ……!」
吉琳は少し早歩きで階段を下りて来ると、
嬉しそうにルイへと抱きついた。
吉琳 「おかえり、ルイ」
ルイは笑みを深めて吉琳を抱きしめ返す。
ルイ 「ただいま、吉琳」
そう挨拶を返しながら、抱きしめる腕に力を込めた。

(吉琳……あったかい)

この愛しい温もりの側が、今のルイの帰る場所だった。

(世界で一番、安心出来る場所に帰ったら……)
(そこには世界で一番、愛する人が待っててくれてる)
(こんな幸せ……昔の俺には無縁だった)

吉琳がゆっくりと離れ、ルイが手にしていた花束を見る。
そして不思議そうな表情で、ルイの顔を見上げた。
吉琳 「それ、どうしたの?」
ルイ 「うん。吉琳に」
ルイが小さな花束を渡すと、
吉琳は満面の笑みを浮かべて瞳を輝かせる。
吉琳 「ありがとう……ルイ、とっても嬉しいよ」
そんな吉琳を見つめながらルイは頬を緩めた。

(やっぱり……思った通りだった)

吉琳は花束の香りを楽しんでから、そっと顔を上げる。
吉琳 「でも、急に花束だなんて……どうしたの?」
ルイ 「俺を待ってくれてる大好きなプリンセスを……少し驚かせて、喜ばせたかっただけだよ」
ルイの言葉に吉琳が笑みをこぼす。
吉琳 「プリンセスは、大好きな王子様が帰って来てくれるだけで嬉しくて、幸せなんだよ」
吉琳 「だから……花束と、帰って来てくれたことで二重に幸せだね」
そんな嬉しい言葉を返してくれた吉琳が愛しくて、
ルイは黙ったまま、再びその身体を抱きしめる。

(好き……)

吉琳 「っ……」
ルイ 「このまま、離したくなくなっちゃった……」
ルイ 「吉琳のせい、だよ」
ルイは吉琳の背中と後頭部に優しく手を回して、
『ただいま』と『愛してる』の気持ちを込めたキスを贈ったのだった…―

 

 

410枚特典
ストーリーを読む >>>

 

爽やかな朝日が照らす、ある日の早朝…―
広い闘技場の中で、鋭く風を斬るように剣を振るう音が響いていた。
アラン 「っ、ふっ……、はっ……」

(実戦に出ることはなくなっても、鍛錬だけは欠かせない)
(『国王陛下』なんて……名前だけ立派になっても、)
(腕が鈍って大事なもんを守れないようじゃ、意味がねえからな)

アランは国王になってからも騎士だった頃と同じように、出来る限り、朝の鍛錬を続けていた。
アラン 「はっ……!」
力強く剣を振り下ろした時、こつ、と靴音がして……
吉琳 「あ、やっぱりここにいた」
闘技場にやって来たのは、アランが何よりも守りたい大切な人だった。
アラン 「吉琳」
剣を振る手を止めると、優しく愛らしい笑みを浮かべた吉琳が駆け寄って来る。
吉琳 「お疲れ様」
アランは吉琳が持ってきてくれた水を、微笑みと共に受け取った。
アラン 「ん、サンキュ」

(そろそろ、時間か)

ふと見た時計の針が、もうすぐ公務が始まる時間を指している。

(久々に、時間を忘れるくらい本気になってた)

今日はこの後、アランは城下の視察へ、
吉琳は城に残って書類仕事を片づける公務が待っていた。
吉琳 「国王としての公務も忙しいのに、朝の鍛錬を欠かさないなんて、アランは本当にすごいね」
吉琳はそう言いながら、アランの額やこめかみに浮いた汗を、
持ってきた布で拭いてくれる。
そんな吉琳の心遣いにアランは自然と笑みを浮かべた。

(俺のことばっかり言うけど……吉琳もそう)
(鍛錬してると、いつもこうやって様子を見に来てくれるし)
(何をしたら人が喜ぶか、自分は人のために何が出来るか……)
(常に考えられる人間は『すごい』だろ)

そんな、心優しく芯のある女性だからこそ、
あの日アランは吉琳をあきらめたくないと思った。

(他の奴が、吉琳の隣に立つのなんて見たくなかった)
(俺が、自分の手で守ってやりたいって思った)

アランは汗を拭いてくれていた吉琳の手首をそっと掴んだ。
吉琳 「……?」
アラン 「全部、騎士として、王として……そして夫として、この先もお前を守るためだけど」
アラン 「お前こそ忙しいくせに、朝からここまでくるとか、お節介なやつ」
わざと意地悪な言い方をすると、吉琳は照れたのか、ほんのりと顔を赤くした。
吉琳 「……私も騎士で王様で、大切な夫のアランのことが好きだから……」
吉琳 「騎士としても努力を続けるアランが、大好きだから……私も何かしたくて」

(本当……すぐ照れるのも、可愛いこと言うのも、ずっと変わらない)

アランは込み上げる愛しさを感じながら、吉琳の頭をくしゃりと撫でる。
アラン 「……知ってる」
吉琳 「え……?」
アラン 「俺のためだってこと」
アランの言葉に吉琳が嬉しそうに微笑む。
吉琳 「……とは言っても、お水を持ってきて、汗を拭いてあげることくらいしか出来てないんだけどね」
アラン 「……水を持ってくるだけでも、嬉しいけど」

(吉琳の顔、見られるし)

アラン 「感謝してる」
吉琳 「感謝だなんて……」
目元を染めて微笑んだ吉琳がそっとアランに抱きついてきた。
吉琳 「アランのためだったら、何でもしたいの」

(……そういうこと、これから公務って時に言うのかよ。)
(本当、無邪気というか……)

今すぐにでも吉琳を連れて、ベッドに逆戻りしたい気持ちを抑えて…―
アラン 「そろそろお前、公務だろ。部屋まで送る。……そんな顔すんな。離れられなくなるだろ」
アラン 「夜また迎えに行くから、公務、頑張れよ」
理性的に言って、吉琳の額にキスを落とす。

(この続きは、夜にな)

アランの心の内を知らない吉琳は無邪気に微笑んで頷く。

(可愛いやつ)

毎日、吉琳との時間を積み重ねる度に愛しさが増している。

(全部諦めねえって選択肢を選ぶことが出来たのは、心底惚れたこいつのおかげ)
(だから今……幸せなんだろうな)

アラン 「ほら、行くぞ」
アランは吉琳と手を繋ぎ、朝日の中を歩きだしたのだった…―

 

 

490枚特典
ストーリーを読む >>>

 

シュタイン城が静寂に包まれた夜のこと…―
ゼノは公務を終えて部屋に戻るなり吉琳の姿を探した。
一日の公務を終え、愛妻の顔を見ることがゼノにとって最高の癒しだったけれど……

(姿が見えないな)

視線を巡らせると、バルコニーに出る扉が開いていた。

(外か……)

一瞬、姿が見えないだけで心配してしまった自分に苦笑しつつ、バルコニーへと出る。
ゼノ 「吉琳」
背後から呼びかけると、どうやら星を見ていた吉琳が振り向く。
吉琳 「ゼノ様……! 公務、お疲れ様でした」
吉琳は嬉しそうにゼノに近づき、手を取った。
その手の温もりを感じて、ゼノの心が安らいでいく。
ゼノ 「ああ」
微笑みと共に返事をすると、
吉琳がゼノの手を引いてバルコニーの手すりの方へと連れて行った。

(……? 何か、あるのか)

吉琳 「ゼノ様、今日は流星群が見られるみたいなんです」

(共に見よう、ということか)

ゼノが夜空を見上げると、隣で吉琳が落胆した声をこぼす。
吉琳 「その……今のところはまだ見えないですが」

(おそらく、ずっと夜空を眺めて探していたのだろう)

ゼノ 「そうか。だが今日は雲もなく、星もよく見える」
ゼノ 「……良い夜だ」
ゼノの言葉に、吉琳が嬉しそうに微笑んだ。
吉琳 「そうですね、星を眺めるだけでも十分楽しいですよね」

(たとえ曇って星すら見えなかったとしても、お前とこうして共に過ごせるだけで……俺は十分だ)

夜空を仰ぐ吉琳がほんの一瞬、寒そうに肩をすくめたのを、ゼノは見逃さなかった。

(夏とはいえ、ずっと夜風に当たって冷えたのだろう)

ゼノは一旦、部屋に入ると、薄手のショールを手にしてバルコニーに戻る。
そして吉琳の肩にかけ、その上から腕を回して抱き寄せた。
吉琳 「ありがとうございます……温かいです」
ゼノ 「身体が冷えているのも気づかず、夢中で星を眺めていたのだろう」
吉琳が恥ずかしそうに頬を染めた。
吉琳 「ばれてしまいました……」
そんな吉琳が愛らしくて、ゼノは肩を抱く手に力をこめる。

(お前のことは、どんな些細なこともわかる)
(夫婦になって、随分と長い時間がたったからな)

始まりは、国のための政略結婚だった。
けれど、吉琳への想いは募り、互いに恋をした。

(順番は逆になったが、真実に想い合う夫婦となることができた)

そして今は、妻となった吉琳と何気ない日々を過ごせることに、最上の幸せを感じている。

(ふたりで……ただ、星を眺める。そんな時間すら愛おしい)

その時、ふいに吉琳の視線が夜空からゼノへと移った。
吉琳 「もしも流れ星を見られたら、ゼノ様は何をお願いしますか?」
そう問いかけられて思い浮かぶ願いの全てに、吉琳が関わっていた。

(吉琳がいなければ、もはや俺の人生は成り立たない……ということか)

ゼノは苦笑しつつ、吉琳の目を見て…―
ゼノ 「願い事か? そうだな……来年もこうしてお前と過ごせるようにと願っておこう」
そう答えると、吉琳の表情がぱっと輝く。
吉琳 「嬉しいです……」
心底幸せそうな笑みを浮かべた吉琳が、ゼノの肩に頭を寄りかからせた。
たまにこうして甘えてくれることがゼノは堪らなく嬉しい。

(普段からもっと、甘えてくれても良いと思うが……)

芯の強い、凛とした吉琳に惹かれているのも事実だった。

(何をしたとしても……それが吉琳ならば、俺は全て好ましく思うのだろう)

ゼノは肩に回していた手を吉琳の頭へと添え、優しく髪を撫でる。

(我ながら、自身の変化に驚かされる)
(……だがこんな今の自分も、悪くはない)

近づきがたく、誰からも怖れられていたシュタインの王が今では、愛する妻にすっかりほだされている。
誰も信じなかったとしても、それが真実だった。

(今の人生を、そして自分自身を……悪くないと思えるのは、全て吉琳のお陰だ)

ゼノは夜空を見ている吉琳に感謝と愛情を込めてキスを落とす。
吉琳 「ん……」

(ん? 今……)

ゼノは視界の端を流れていった星に気づき、
吉琳と重ねた唇を微笑みの形に変えたのだった…―

 

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2022(獎勵故事)

 

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2022(獎勵故事)

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2022(獎勵故事)

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2022(獎勵故事)

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2022(獎勵故事)

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2022(獎勵故事)

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2022(獎勵故事)

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2022(獎勵故事)

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2022(獎勵故事)

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2022(獎勵故事)

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2022(獎勵故事)

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2022(獎勵故事)

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2022(獎勵故事)

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2022(獎勵故事)

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2022(獎勵故事)

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2022(獎勵故事)

 

日版王宮 イケメン王宮★人気投票2022(獎勵故事)

 

arrow
arrow
    全站熱搜
    創作者介紹
    創作者 小澤亞緣(吉琳) 的頭像
    小澤亞緣(吉琳)

    ♔亞緣腐宅窩♔

    小澤亞緣(吉琳) 發表在 痞客邦 留言(0) 人氣()