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感謝沐沐告知我此事~~(抱

日宮不只畫面改成高清,還放大了所有頁面...

台版到底什麼時候才要換高清啦!!!!

第一天沒有存到真的好可惜啊~~~~(悔恨咬手帕)

 

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(缺)(1st) 君に恋した365日』プロローグ、アラン、ジル、ゼノ

『Flower Festival』ルイ、ジル、レオ

『LOVE☆フェチ』アラン、ユーリ、ロベール

『秘密のひととき』ジル、レオ

『Princess Honeymoon』ルイ、ゼノ(缺)、シド(缺)、アルバート

『オオカミに恋した赤ずきん』アラン、ユーリ

『お菓子の家の甘いワナ』ルイ、レオ

『Flower Festival』アラン、ゼノ

『LOVE☆フェチ』ジル、シド、アルバート

『秘密のひととき』アラン、ルイ

『Princess Honeymoon』アラン、ジル、レオ、ユーリ

『お菓子の家の甘いワナ』ゼノ、アルバート

『LOVE☆フェチ』ルイ、レオ、ゼノ

『オオカミに恋した赤ずきん』ジル、シド

『(1st) 君に恋した365日』ルイ、レオ、ユーリ

 

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1日目>>>2013年9月(GREEにて)に開催していた『君に恋した365日』の【プロローグ(序)、【アラン(艾倫)、【ジル(吉爾)、【ゼノ(傑諾)のシナリオが読めちゃうよ☆

1&15

 

1

錯過了第一天,沒有存到naku02.gif  

 

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2日目>>>2013年4月に開催していた『Flower Festival』の 【ルイ(路易)】、【ジル(吉爾)】、【レオ(里奧)】のシナリオが読めちゃうよ☆

2&8

 

ルイのストーリーを読む:

ルイに花を贈ってから数日が経った、ある日…―。
(こんなにたくさんのお花を贈って頂けるなんて…)
部屋中を見渡すと、城下の人たちから贈られてきたお花で、溢れている。
吉琳:嬉しいな…
思わず小さく呟くと、ドアが叩かれる。
???:吉琳?
吉琳:ルイ…
そう言って振り向くと、ルイがじっと花を見つめている。
ルイ:どうしたの、これ
私は嬉しそうに頬を緩ませると、花を見つめた。
吉琳:城下の人たちが贈ってくれて…
すると、ルイはぽつりと言い、そのままドアに向かって行く。
ルイ:…そう
(あれ…?)
吉琳:待ってルイ。なにか用事があったんじゃ…?
不思議に思って声をかけると、ルイは振り向かずに言う。
ルイ:仕事でお城まで来ただけだから
そう言うと、そのまま部屋を出て行ってしまった。
(ルイ……?)
………………
それから数日後…―。
私は休日に、ルイの公爵邸を訪れていた。
使用人:こちらでお待ちください
使用人らしき男性はそう言って私にお辞儀をすると、ドアを閉める。
私はドアが閉まると、ルイの机に近づいた。
(ちゃんと飾ってくれてるんだ…)
そこには、私が贈った花がガラスの花瓶に飾られている。
(嬉しい)
花にそっと触れると、机の上に置いてある一冊の本に目が止まる。
(花の図鑑? ルイってこんなのも読むんだ)
そう思いながら、ページをめくろうとすると…。
ルイ:お待たせ、吉琳…
ドアが叩かれ、ルイの声がする。
慌てて本を机に戻すと、私はルイのほうへ振り向いた。
吉琳:ルイ…
するとそこには、かわいらしい小さな花束を持ったルイが歩いてくる。
私に差し出すと、ルイはふっと微笑んだ。
ルイ:…………
吉琳:ありがとう…
そっと受け取ると、小さな青い花から、甘い香りが鼻をくすぐる。
(小さい花なのに、こんなに香りがするなんて…)
鼻を寄せると、ルイが言う。
ルイ:たくさん花をもらってたから
ルイ:何を渡していいか分からなくなった
吉琳:えっ?
(この前、私の部屋に来たのって、お花を渡そうとしてくれてたのかな…?)
そう思って彼を見ると、ルイはふっと目を細めた。
ルイ:でも、いい花を見つけたから
そう言いながら、ルイが私に近づいてくる。
吉琳:ルイ?
顔を近づけてくるルイに、私が思わず机に手をつくと…。
(あっ……)
机の上からばさりと、ページが開かれた図鑑が落ちる。
私は図鑑を拾おうとしゃがむと、はっと瞳を揺らした。
(この花の香り…受け取った人がその人に夢中になるって書いてあるけど…)
私はルイからもらった花束を見ると、小さく呟く。
吉琳:魅惑の花…?
すると、ルイもしゃがみこみ、私の顔を覗きこんだ。
ルイ:そうだよ。だから…
ルイ:夢中になってくれたか…確かめてもいい?
そう言うとルイは、私の顎をすくい上げそっと唇に口づけを落とした。
(こんなことしなくたって、もうずっと前から夢中なのに……)
私は心の中でそう思いながら、ルイの口づけに応えていった…―。

 

ジルのストーリーを読む:

好きな人に花を贈り合い、ウィスタリア中が幸せに包まれる日…。
お城では、親交の深い貴族たちを招いてパーティーが開かれることになった…―。
(素敵なパーティーになりそう。楽しみだな…)
私は、ジルの指示で飾り付けられていく会場を見渡しながら、胸を躍らせた。
(ジルも私が贈ったお花…飾ってくれてたりするのかな…?)
そう思ってジルのほうをちらりと見ると、私の視線に気づいたジルが優しく微笑み返す。
ジル:…………
(ジル……)
ジルにつられて私も微笑むと、一緒に会場を見に来ていた官僚らしき男性が、
じろりと横目で私たちを見る。
官僚:おふた方は恋人同士のように仲がよろしいのですな
吉琳:えっ……
私が慌てて視線を反らすと、ジルは男性の方を向き、なんでもないように答える。
ジル:…何をおっしゃいます
ジル:ただの教育係とプリンセスという関係ですよ
………………
そして、パーティー当日…―。
私は時計を見上げると、ドレッサーの椅子に座る。
(そろそろパーティーの準備をしなくちゃ)
そう思い鏡を覗くと、ふと手が止まる。
(この間も官僚の人たちにばれそうだったし…)
(あまりジルとは話さない方がいいかも…でも…)
ジル:ただの教育係とプリンセスという関係ですよ
(ジルのあの言葉、やっぱりちょっと寂しかったな…)
そう思い小さく息をつくと、ドアが叩かれる。
吉琳:ジル
ジルはドアを閉めると、私をまっすぐ見つめる。
ジル:この間のこともありますし、今日は気をつけなくてはいけませんね
吉琳:はい…
そう言ってまつ毛を伏せると、ジルは私に近づいて、そっと手を引き寄せた。
吉琳:ジル…?
私が不思議そうに見上げると、
ジルは、リボンがかけられた小さな箱を、私の手に乗せる。
吉琳:これは…?
箱を見つめながら尋ねると、ジルが言う。
ジル:ささやかですが…花を贈っていただいたお礼です
ジル:開けてみてください
私がジルの言葉に小さく頷き、リボンを解くと…。
(あっ……)
そこには、生花で作られたブローチが柔らかな綿の上できらめいていた。
いくつにも重なり合う花々には、リボンがかけられ、まるで花束のようになっている。
(きれい…)
思わず見とれていると、ジルが箱からそっとブローチを取りだす。
ジル:気に入って頂けましたか?
そう言って微笑むと、ジルは私の胸にブローチをつけていく。
深紅の花びらが、私を見つめるように大きく咲いている。
吉琳:ありがとうございます、ジル…
そう言って見上げると、私はジルの瞳を覗きこんだ。
(このブローチ……)
小さな気づきに、私の瞳がはっと揺れる。
吉琳:ジルの瞳と同じ色……
思わず小さく呟くと、ジルはブローチから手を離し、私の頬に触れる。
ジル:二人だけの秘密ですよ
そう言いながら、ジルの顔が私のほうへと近づく。
(もしかして…お揃いにしてくれたのかな…?)
私はジルの瞳を見ると、重ねられる唇に鼓動を跳ねさせていった…―。

 

レオのストーリーを読む:

ウィスタリアが花で溢れるこの時期…―。
私は、博識ある女性たちが集うサロンに招かれていた。
隣に座っていた女性が話し終わると、声をかけられる。
女性:プリンセスはどんなお話をして下さるのですか?
吉琳:私は…
そう言いながら、一輪の花を見つめる。
そこには、淡いピンク色の蕾のような花が揺らめいていた。
それは昨日のこと…―。


いつものようにレオから勉強を教わっていると、すっと1冊の本を差し出される。
レオ:はい。これ
私は本を受け取ると、表紙の文字に目を落とす。
吉琳:…花言葉?
レオ:そうだよ。それで…
レオの話によると、毎年この時期サロンでは、
女性たちがお気に入りの花言葉を紹介する風習があるのだという。
レオ:毎年プリンセスも呼ばれてるから、紹介する言葉を考えておいてね
吉琳:うん…
(サロンか…博識な女性たちの前でどんな言葉を紹介したらいいんだろう…)
そう思いながら、ページをめくっていると、レオが私からそっと本を取り上げる。
レオ:俺も少し考えたんだけど、聞いてくれる?
するとレオは机の下に手を伸ばし、
淡いピンク色をした蕾のような花をそっと差し出す。
レオ:この間のお礼。吉琳ちゃん、俺に素敵な花をくれたでしょ?
吉琳:レオ…
思わず頬をほころばせて受け取ると、レオがふっと笑う。
レオ:それから、その花の花言葉は正直。だから、受け取ったら正直に話さなきゃいけないんだよ
吉琳:えっ?
訳が分からずレオを見ると、レオは立ち上がりふっと目を細める。
レオ:吉琳ちゃん、俺のこと好き?
吉琳:それは…
恥ずかしさから思わず口をつぐむと、レオが私の顔を覗きこんでくる。
レオ:言えないの?
(だって……)
戸惑う私に、レオはまっすぐな眼差しを向けてくる。
私は、少し視線を反らすとゆっくりと口を開いた。
吉琳:…好き……
すると、レオは私の耳元に顔を寄せ、囁く。
レオ:俺もだよ。吉琳ちゃん
(あ……)
その言葉に、私は小さく息を呑む。
(なかなか気持ちを伝え合うことってないから…すごく嬉しいかも…)
レオの言葉に胸をときめかせていると、頬にレオの唇を感じる。
吉琳:レオ…?
驚いてレオの方を向くと、レオは私の頬に触れふっと目を細める。
レオ:正直に言うって大切でしょ?こんなにも気持ちが通じ合うんだから……


吉琳:私が選んだ花言葉は…正直、です
そう言うと、私はにっこりとほほ笑んだ。
吉琳:正直に気持ちを伝えることが大切だと学んだので…
(レオが教えてくれたから…)
………
そして、サロンでのお茶会を終えた後…―。
私が部屋に戻ると、ドアが叩かれレオが入ってくる。
レオ:吉琳ちゃん
そう言うと、レオは一輪の花をそっと差し出す。
レオ:もう一度聞きたいんだけど…いい?
私は思わず頬をほころばせ、頷いた。
吉琳:好きだよ。レオ
そう言うと、レオと私は見つめ合い、気持ちを確かめ合うように唇を重ねていた…―。

 

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3日目>>>2014年9月に開催していた『LOVE☆フェチ』の 【アラン(艾倫)】、【ユーリ(尤利)】、【ロベール(羅伯特)】のシナリオが読めちゃうよ☆

3&9&13

 

アランのストーリーを読む:

柔らかな日差しの降り注ぐ、ある爽やかな朝…―。
窓から差し込む朝日を浴び、私はアランの腕の中で目を覚ます。
アラン:ん……
私が微かに身じろぎすると、アランがぎゅっと抱き締めてくる。
(アラン…)
(私が寝てる間も、ずっとこうして抱きしめてくれたのかな?)
普段よりあどけなく見える寝顔を見つめながら、胸が熱くなる。
(こんな風に朝からアランと過ごせて、幸せだな……)
満たされた気持ちでアランの髪を指ですくと、昨夜の出来事が思い出された。


公務を終えてアランの部屋を訪れた私は、到着してすぐにアランの口づけを受け止めていた。
吉琳:アラン…っ
アラン:お前に触れられる時間は限られてるだろ
アラン:少しでも長く、お前を感じてたいんだよ
アランの手が腰に回されると、身体を引き寄せられる。
そのままベッドの上に押し倒されると、再び唇が塞がれた。
吉琳:ん……
深い口づけに履いていたルームシューズが脱げ、ベッドの下へ落ちる。
しかしアランは気にする様子なく、楽しげに唇の端を上げた。
アラン:その顔、わざと?
アラン:さっきから誘ってるようにしか見えないんだけど
そう口にしながら、アランは私のドレスの肩紐を落とす。
私は恥ずかしさのあまり俯きながら、慌てて首を振った。
吉琳:私、そんなつもりは…
アラン:ふーん…
アラン:なら、お前の身体に聞いてみるのが一番早いか
吉琳:あっ……
アランの唇が私の首筋に触れる。
そしてその後も、私はアランに翻弄されっぱなしの夜を過ごした…。

(や、やだ……)
(私、なに思い出して…っ)
我に返ると一気に恥ずかしくなり、頬が熱くなる。
すると、突然…―。
アラン:吉琳
私の名前を呼んだアランが、腕に力をこめ、私をシーツの上に組み敷く。
吉琳:ア、 アラン…?
驚く私をアランはまだ眠たげな眼差しで見つめ、柔らかな笑みを浮かべる。
アラン:…お前って、いつもいい匂いがするから
アラン:こうしてると、落ち着く
囁きながらアランは私の首筋に鼻先を寄せ、キスをしてくる。
吉琳:私も…
吉琳:アランの匂い、すごく落ち着く
(もう少しだけ、このまま……)
温かなアランの身体を抱きしめながら
私はこの甘い時間にひそかに鼓動を高鳴らせた…―。

 

ユーリのストーリーを読む:

澄み切った青空に太陽が輝く、明るい朝…―。
ユーリの部屋で一夜を明かした私は、
優しい手のひらに髪を撫でられる感触に目を開ける。
すると、すぐに私を覗き込むユーリの顔が目に飛び込んできた。
ユーリ:あ…ごめんね、吉琳様
ユーリ:起こしちゃった?
ユーリは少し申し訳なさそうに眉を寄せる。
吉琳:大丈夫…
すぐにそう答えて微笑んだけれど、ふと気がついた。
(ユーリ…起きてからずっと私の寝顔見てたのかな?)
(だとしたら、少し恥ずかしいかも…)
考えると、頬が熱くなってくる。
ユーリ:そっか。ならよかった
屈託なく微笑むユーリに癒されながら、
私はつい、昨晩のユーリの様子を思い出してしまう。
(そういえば、ユーリって)
(昨日の夜も私の顔をずっと見てたような…)

ユーリ:吉琳様…
切なげな声音で囁きながら、ユーリが私の羽織るガウンに手を伸ばす。
吉琳:あ、待って…
その手を、私はとっさに押さえてしまった。
ユーリ:どうしたの?
吉琳:その……
(この状況じゃ、恥ずかしいって言うこと自体恥ずかしいな…)
どう伝えるべきかわからず口ごもっていると、ユーリの口元に笑みが浮かぶ。
そして、ぐっと顔が寄せられ、正面から瞳を覗き込まれた。
ユーリ:…ごめんね。恥ずかしがってもやめないよ、吉琳様
ユーリ:俺、もう我慢できないもん
吉琳:あっ…ユーリっ……
ガウンが肩口から落とされると、隠していた肌があらわになってしまう。
吉琳:……っ
慌てて胸元を覆おうとした手はユーリにとらえられ、
きっと真っ赤になっているに違いない顔を、まじまじと見つめられる。
ユーリ:…吉琳様
ユーリ:すっごく、可愛い
そう呟く声が聞こえると同時に、私の身体はシーツの上に押し倒され、
ユーリにすみずみまで愛されることになった…―。

(どうしよう…)
(思い出したら、余計にドキドキして…)
気恥ずかしさに耐え切れず、思わずユーリから目を逸らすと、
すぐユーリの手のひらに両頬を包まれ、まっすぐな眼差しに射抜かれる。
ユーリ:…俺って、ちょっと変かも
吉琳:え?
首をかしげる私にユーリは目を細めると、いたずらっぽい笑みを浮かべる。
ユーリ:吉琳様の恥ずかしがる顔、見るの好きなんだ
ユーリ:だから…もう一度、昨日みたいに見せて?
羽織り直していたガウンを、もう一度はだけさせられると、
ユーリの唇が私の胸元から、お腹へと伝っていく。
吉琳:ユーリ…っ
ユーリ:やっぱり…
ユーリ:吉琳様は照れてる顔が一番可愛い
困り果てる私をユーリは上目遣いに見上げると、幸せそうに微笑んだ…―。

 

ロベールのストーリーを読む:

雲一つない青空が広がる、とある休日の朝…―。
ロベールさんの絵のモデルをする約束していた私は、
美しい風景の望める空中庭園を訪れていた。
ロベール:こんな早くからごめんね、吉琳ちゃん
ロベール:辛くなったら、いつでも休憩してくれていいから
吉琳:大丈夫ですよ、ロベールさん
吉琳:でも…朝の空って、こんなに綺麗なんですね
思わずうっとりしながら呟くと、
キャンパスを立てていたロベールさんが、嬉しげに顔を上げる。
ロベール:どうしてもこの景色を背景に、吉琳ちゃんを描きたかったんだ
ロベール:それに…
そこまで口にして、ロベールさんが照れくさそうに視線を逸らす。
ロベール:すごく綺麗だから…一度、吉琳ちゃんにも見て欲しくて
(そんなことを考えて誘ってくれたんだ…)
ロベールさんの気遣いに胸を熱くすると、
ふと、昨晩のことが脳裏によみがえった…―。


なかなか寝つけず、中庭を散歩していた私に声をかけてくれたのは、
ベンチに腰掛けたロベールさんだった。
ロベール:吉琳ちゃんも眠れないの?
吉琳:はい…ロベールさんもですか?
ロベール:うん。まあね
ロベール:よかったら、隣、座る?
ロベールさんに勧められ、私はありがたく腰を下ろす。
すると、ロベールさんが少し心配そうに私の顔を見つめてきた。
ロベール:大丈夫? なんだか…少し、疲れてるみたいだよ
(え…?)
公務のあいだもずっと隠していたのに、
ロベールさんは一目で私の疲労を見抜いてしまう。
驚いているとロベールさんは私の髪を見て、そっと目を瞬かせた。
ロベール:ちょっと、じっとしてて
ロベールさんは穏やかな声でそう言うと、私の髪に触れる。
そして、髪についていた葉っぱを、優しい手つきで取ってくれた。
吉琳:……っ
ロベールさんが私の髪に触れたのが急に恥ずかしくなって俯くと、
穏やかな笑みを含んだ声が降ってきた。
ロベール:たまには、こうして散歩でもして、息抜きするといいよ
ロベール:俺でよかったら、いつでもお供をするから
(ロベールさん……)
温かな言葉に顔を上げると、ロベールさんと視線がぶつかる。
ロベール:そうだ
ロベール:明日の朝なんだけど…


(それで、絵のモデルに誘われたんだよね)
(驚いたけど、嬉しかったな…)
思い出して幸せな気持ちになっていると、
キャンパスに向き合ったロベールさんが、手を止めているのに気づく。
ロベールさんは眩しそうに私を見つめると、微笑んで言った。
ロベール:吉琳ちゃんは本当に綺麗だね
ロベール:俺は特に…君の横顔が好きだな
真っ直ぐなロベールさんの言葉に、胸が高鳴る。
吉琳:ありがとうございます…
私は平静を装いながらも、胸のドキドキを抑えられずにいた…―。

 

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4日目>>>2012年10月に開催していた『秘密のひととき』の 【ジル(吉爾)】、【レオ(里奧)】のシナリオが読めちゃうよ☆

4&10

 

ジルのストーリーを読む:

少しだけ開いた窓の隙間から、心地の良い風が吹きこんでくる。
吉琳:あ、ジル……
執務室の窓から庭を見おろすと、忙しそうに歩くジルの姿が見えた。
吉琳:…………
(……最近ジル、忙しいみたい)
(教育係としての仕事も、レオに手伝ってもらうって言ってたし)
わずかに湧いた寂しさを振り切るように窓から離れ、机の前に腰かける。
(私も、頑張らなくっちゃ)
………………
そうしてしばらくすると、部屋のドアが叩かれた。
吉琳:はい
返事を返しながらも、さっき見たジルの姿を思い出す。
(もしかして……)
ドアが開くと、聞き知った声が響いてきた。
レオ:やだな、がっかりした顔しないでよ
(レオ……)
私は慌てて顔を上げ、口を開く。
吉琳:がっかしなんて、してないよ
レオ:ならいいんだけど
レオは笑いながら部屋へと入ると、ふと目を細めた。
レオ:……最近、ジルも忙しいみたいだね。寂しい?
吉琳:…………
レオの言葉に、私は小さく頷いて答える。
(ジルはプリンセスとしての私の側に、いつでもいてくれたから、)
(急に会えなくなると、やっぱり寂しい……)
レオ:吉琳ちゃんって、本当に素直だな
私の顔を覗き込み、レオが笑みを浮かべる。
レオ:ねえ、ジルの気持ち、知りたくない?
吉琳:え?
(ジルの気持ちって、どういうこと?)
視線を上げると、レオが悪戯っぽく言った。
レオ:……ジルには、秘密だよ?
………………
そして、その日の夜…―。
私はレオと共に、ジルの部屋を訪れていた。
ジル:……どうかされましたか?
尋ねるジルに、レオが笑みを浮かべて口を開く。
レオ:吉琳ちゃんを、俺の恋人として舞踏会に連れていきたいんだけど……
レオ:いいかな?
ジル:…………
レオの言葉に、ジルが微かに眉を上げる。
ジル:……どういうことですか?
レオ:大丈夫。プリンセスの顔は、直接見たことがないような人たちだし
ジル:そういうことを言っているんじゃありません
ジルは言うと、息をつく。
ジル:レオ、あなたなら恋人の振りをしたい女性はたくさんいるはずでしょう
レオ:どうかな
私はレオの少し後ろに立ったまま、二人の会話を聞いていた。
吉琳:…………
(やっぱりこんな嘘、すぐにバレてしまうんじゃないかな……)
(それに、ジルは何とも思ってないみたいだし)
やがて、ジルの視線がちらりと私に向けられる。
吉琳:……っ
ジル:……レオ、しばらく二人きりにして頂けますか?
ジル:プリンセスと、話があります
するとレオが、にっこりと微笑んで言った。
レオ:いいけど、あまりいじめないでね
部屋のドアが、微かな音をたてて閉まっていった。
ジル:…………
二人きりになると、ジルが再びため息をつく。
ジル:……なぜ、このようなことになったのです?
ジルの言葉に、私はゆっくりと答えていく。
吉琳:……レオに頼まれて、私が引き受けたんです
吉琳:やっぱり、ダメですか……?
(レオは、ああいう風に言ってたけど……)


レオ:いくら忙しいからって、吉琳ちゃんを不安にさせるなんて、
レオ:ジルもまだまだだよね
レオ:だから、ジルにも同じ思いをしてもらおう
吉琳:同じ……?
レオ:そう。寂しいって、思わせちゃおうよ


(ジルは、寂しいだなんて絶対に思わない気がする)
ジル:…………
私の言葉を聞き、ジルがふと口元に笑みを浮かべた。
ジル:……どうせレオのことですから、
ジル:私の反応を試そうという魂胆なのでしょうが……
吉琳:……!
(やっぱり、ばれてる……!)
かあっと顔を赤く染めた私を見やり、ジルが言う。
ジル:その作戦は成功していますよ、プリンセス
吉琳:え……?
(成功って、もしかして……)
ジルが私の方へと、ゆっくり歩み寄ってきた。
そうして壁際に私を追いこむと、微笑む。
ジル:私は、嫉妬しています
吉琳:……え
(なんだかジル……寂しがるというよりも、怒ってるんじゃ)
(当然だよね、嘘をついていたんだし……)
吉琳:あ、あの、ジル。これは……
ジルの腕が壁につき、私の身体を囲いこむ。
ジル:それで?プリンセス。その後は、どうするつもりだったのです?
吉琳:どうするって……
(そこまで考えていなかった……)
私は忙しいジルに会いにいく口実が欲しくて、レオに着いてきた。
(ただ、顔を見て……触れたかっただけ)
吉琳:ジル、ごめんなさい。少しだけ、その……寂しくて
ジル:…………
吉琳:レオは、協力してくれただけなの
私の言葉に少し目を見開いたジルが、やがて呆れたように呟く。
ジル:全く、こちらも貴女との時間が取れずに我慢しているというのに……
そうして顔を傾けると、ゆっくりとキスをした。
吉琳:……っ……
久しぶりに触れたジルの柔らかな感触に、私はそっと目を閉じる。
(ジルの、香りがする……)
触れるだけのキスが離れると、ジルが耳元に唇を寄せた。
ジル:今夜は、おしおきですね
吉琳:え……?
(今、何て?)
ささやかれた言葉に驚くうちに、ジルが耳たぶを甘くかんだ。
吐息がかかり、思わず声が漏れてしまう。
吉琳:……んっ
吉琳:ジ、ジル……っ…
呼ぶ声を奪い取るようにキスをすると、ジルが深く口づけ、舌を絡めてくる。
吉琳:…んっ…っ…
堪えることが出来ずに、私の震える膝が折れてしまう。
私の腰元を抱えあげるように支え、ジルがふっと目を細めてささやいた。
ジル:吉琳、知りたかったのでしょう?
吉琳:……あ…
ジルの指先が、私の首筋を撫で降りていく。
ジル:嫌というほど、私の気持ちを計らせてさしあげますよ
首筋をなでる指先が、やがて鎖骨をなぞっていった。
吉琳:ぁっ……
(ジルの気持ちを、計っている余裕なんかない……)
私は、ジルの服の裾をぎゅっと握りしめる。
そうしてジルの仕草に身体を震わせながら、私は息をつくように、甘く声をあげた…。

 

レオのストーリーを読む:

よく晴れた、ある昼下がり…―。
レオに勉強を教えてもらっていた私はペンを置くと、ため息をついた。
レオ:この後すぐに、城を出なくちゃいけないんだっけ?
眼鏡を外しながら、レオが私の顔を覗きこみ告げる。
レオ:頑張ってね、吉琳ちゃん
吉琳:うん……
私は頷きながらも、どこか胸をさすような寂しさを感じていた。
(プリンセスとしての公務は仕方がないけれど、)
(最近、レオとゆっくり話す時間もないから)
そんな想いを振り切るように立ち上がると、私は笑顔で口を開く。
吉琳:私そろそろ行くね。ありがとう、レオ
レオ:…………
そうして背を向けると、ドアに手をかける直前で、
レオの片腕に、腰元から抱きとめられた。
吉琳:……!?
驚き見上げると、レオが困ったように眉尻を下げて言う。
レオ:そんな顔されると、行かせたくなくなるな
吉琳:え……レオ?
腕に力を込め、レオが私の顔を覗きこむように顔を寄せた、その時…。
ユーリ:吉琳様、時間だよ……って、どうしたの?
ユーリが首を傾げて、私とレオをじっと見つめた。
吉琳:ううん、何でもないよ
レオ:…………
レオが私に触れていた片手を上げ、ユーリに手を振っている。
見上げるとレオが悪戯っぽい笑みを口元に浮かべ、目を細めた。
………
………………
公務を終え城に帰ると、私はレオの姿を探していた。
(予定が早く終わったから、逢いたいと思ったんだけど)
辺りを見渡すものの、もう心辺りのある場所はない。
(今日は、お屋敷に帰っちゃったのかな……)
わずかに肩を落とし、私はふと城に建つ時計塔を見上げる。
夕刻を差す時計の針が、カチリと動いた。
吉琳:時間もあるし、久しぶりに登ってみようかな
(時計塔からの風景は、とても綺麗だし……)
呟くと、私は静かに時計塔の中へと入っていった。
時計塔の螺旋(らせん)階段に、私の足音が響いていく。
(……あれ?)
不意に物音に気づき、私は足を止めた。
耳には微かに、低い足音が聞こえてくる。
吉琳:……?
(誰か、来てる……?)
確かめようと振り返り、私は恐る恐る階段の下を覗きこんだ。
すると、そこに見えたのは…。
レオ:やっぱり吉琳ちゃんか。姿が見えたから
吉琳:レオ……!
驚き目を丸くする私の姿に笑みを浮かべ、レオが階段を登ってくる。
レオ:初めて入ったよ、ここ
そうして私と同じ段に足を止めると、呟いたレオが私を見おろした。
レオ:やっと捕まえた
レオは言うと手を伸ばし、私の背中をそっと抱き寄せる。
薄暗い視界の中、所々に置かれるランプだけがぼんやりと浮かんでいた。
吉琳:……私も
レオの胸に顔を埋めながら、私は小さな声で呟く。
(やっと、捕まえた……)
レオ:……何か言った?
吉琳:……ううん、何も
レオに耳元で尋ねられ、私は小さく首を横に振った。
すると息をつくように笑い、レオが私の頬に触れる。
レオ:嘘つきだなぁ
そうして唇を塞ぐように、レオがキスを落とした。
吉琳:……んっ…
最初は触れるだけだった唇が、吸いつくように離れないまま、キスを繰り返していく。
やがて入り込んだ舌に驚くと、私の背中がびくりと跳ねた。
吉琳:ん……っ…
壁に私の背中を押しつけ、レオがキスの音を響かせていく。
そのうちに、レオの指先が私のドレスの紐をほどき始めた、その時…―。
レオ:…………
レオがぴたりと動きを止め、静かに顔を上げた。
(え……?)
その仕草に目を瞬かせると、途端に耳に響く足音に気づいた。
吉琳:……!
(誰か、来る……!?)
私は乱れたドレスと髪を見おろし、顔を真っ赤に染める。
(もしもこんな所を見られたら……)
私は慌てて、口を開いた。
吉琳:レ…っ……
すると途端に、手で口元を覆われる。
レオ:…………
驚き見上げると、レオが唇に人差し指をたてた。
(静かに、ってことだよね……)
そしてゆっくりと手を離すと、レオが階段の下へと降りていく。
(あ……)
レオの後ろ姿に、高鳴るままの鼓動を抑えようと手を握り締める。
すると階下から、レオが誰かと話す声が聞こえてきた。
やがて戻って来ると、レオがにっこりと微笑んで告げる。
レオ:見回りの騎士だったよ。もう行ったから、大丈夫
吉琳:そっか……良かった
ほっと胸をなで下ろすと、レオが私をじっと見ていることに気づいた。
やがて軽く首を傾げると、レオが尋ねる。
レオ:さっきの続き、してもいい?
吉琳:えっ
レオがいない間に直した胸元を、レオが指先で開いた。
吉琳:……っ…
レオ:大丈夫。もう誰も来ないから
レオは楽しそうに言うと私の腰元を寄せ、髪にキスを落とす。
思わず上を向くと、そのまま深いキスをした。
吉琳:ん……っ…
キスをしたまま、レオの指先が私のドレスを乱していく。
吉琳:……っ…レオ
肩にしがみつきながら名前を呼ぶと、螺旋の階段に響き渡っていった。
レオ:…………
その響きに満足そうに顔を上げ、レオが笑みを浮かべる。
レオ:いい隠れ場所、見つけちゃったね
そうして私を壁に押し付けたまま体勢を低くすると、私の腰に唇を寄せた。
吉琳:んっ
与えられる刺激にこらえきれず声をこぼしながら、私はレオの髪に触れる。
(レオに触れるだけでこんなにも幸せだなんて……)
(私もずっと、レオと一緒にいられる秘密の時間が欲しかったんだ)
吉琳:……ぁっ…
私はきつく目を閉じ、熱く甘い吐息を響かせていった。

 

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5日目>>>2014年7月に開催していた『Princess Honeymoon』の 【ルイ(路易)】、【ゼノ(傑諾)】、【シド(席德)】、【アルバート(艾伯特)】のシナリオが読めちゃうよ☆

5&11

 

乾!!!! 手機壞了 沒有辦法存!!!!!!!!!!!

謝謝沐沐提供她存了的路易跟艾QAQ

 

ルイのストーリーを読む:

見知らぬ街で、手を繋ぎながら…
私とルイはショッピングをして歩いていた。
(せっかくだし、何か思い出になるものを買いたいな)
(あっ……)
ふと通りかかった店の中に、白い花で作られた花冠を見つける。
ルイ:どうしたの?
沐沐:ううん、なんでもない
(あの花冠、ルイに似合いそうだな…)
沐沐:ルイ、ここで待っててくれる?
ルイ:いいけど
ルイはぽつりと言って、そばにあった壁に寄りかかる。
私はこっそりと花冠を買いに、来た道を引き返した。
その夜…―。
ルイ:ねえ、沐沐
ソファに二人して身を委ねて湖を眺めていると、ルイが静かに口を開いた。
沐沐:ん?
ルイ:何か買ってたみたいだけど
(…ルイ、知ってたんだ)
(でも、花冠を買ったなんて言ったら、嫌がるかもしれない)
沐沐:ううん…なんでもない
はぐらかそうと首を振ると、ルイは私の腰を抱き寄せた。
ルイ:俺が沐沐のこと分からないとでも思う?
澄んだ綺麗な瞳でじっと見つめられ、胸が大きく跳ねる。
ルイ:言わないと、ずっとこのまま
目を細めたルイは、長い指先で私の首筋を撫でる。
沐沐:…ルイっ……
ルイ:隠さないで教えて
甘い刺激に耐えられず、私は言葉を紡ぐ。
沐沐:実は……
目の前に花冠を出すと、ルイはわずかに首を傾げた。
ルイ:花冠?
沐沐:…ルイに似合うと思って買ったの
ルイ:………
(やっぱり嫌だよね…)
しゅんと肩を落とすと、ルイが少し頬を染めて呟いた。
ルイ:ありがとう
沐沐:え?
ルイ:沐沐からもらったものは、何でも嬉しい
ルイ:だって、沐沐は好きな人だから
(好きな人…)
じんわりと胸の奥が熱くなるのを感じていると、
ルイは私の手の中から花冠を取り上げ、自分の頭にのせる。
ルイ:どう?
沐沐:うん、似合う
ルイ:じゃあ、今度は沐沐
沐沐:え?
ルイ:沐沐のことが好きだから、花冠もかぶってみせた
唇に触れそうな距離に、顔が近づく。
甘い花の香りに包まれながら、ルイは柔らかく微笑む。
ルイ:今度は沐沐が俺のことどれくらい好きか、見せて
笑みをのせた唇が、私の唇に優しく触れる。
沐沐:……ん
(ルイにちゃんと伝えたい…)
大好きな気持ちを届けるように、私はルイの背中に手を回し、ぎゅっと抱き締める。
ルイ:ねぇ、沐沐
キスの合間に、囁きまじりの甘い吐息が零れる。
ルイ:俺のこと…好き?
沐沐:…うん、大好き
その言葉を聞いたルイは嬉しそうに微笑み…
甘えるように鼻先をすり寄せる。
ルイ:どれくらい沐沐が好きか、俺の気持ちも見せてあげる…
そのまま唇が重なり、角度を変えてルイのキスが深くなる。
ルイ:好き。沐沐…
沐沐:私も、だよ…
何度も囁き合い、私たちはゆっくりとソファに身体を沈めた……―

 

ゼノのストーリーを読む:

(缺) 

 

シドのストーリーを読む:

(缺) 

  

アルバートのストーリーを読む:

旅行で訪れた国で…
私はアルバートに案内され、とあるカフェに入る。
アルバート:この国の名産はコーヒーだそうです
手帳に書かれたメモに目を通しながら、アルバートは告げる。
沐沐:そうなんですね
沢山あるコーヒーの中から、私とアルバートはそれぞれ違った種類のものを選んだ。
(アルバート、旅行に行く前からずいぶん熱心に調べてくれてる)
(毎日色んなところに行って、アルバートが説明してくれるから…)
(本当に、楽しくて仕方がない)
そっと微笑みを浮かべると、アルバートの頼んだコーヒーが運ばれてくる。
漂う匂いに、アルバートは目を細める。
アルバート:香りが良い
沐沐:どうぞ、先に飲んでください
アルバート:では
アルバートはカップを持ち上げ、最初の一口を味わう。
アルバート:…うまいな
アルバート:沐沐も飲んでみてください
沐沐:え?でも、私の頼んだコーヒーももうすぐだと思いますから
咳払いをしたアルバートが、薄く顔を染めて私を見つめる。
アルバート:…美味しいと感じたものは
アルバート:好きな人にもあげたいと思うものでしょう
照れながら伝えてくれる言葉が嬉しくて、顔が綻んでしまう。
(アルバートのそういう気持ち、嬉しいな…)
沐沐:ありがとうございます
ほろ苦いコーヒーを味わいながら、私の胸には甘い幸せが広がっていった…。
街の名所を巡り、戻ってきた私たちは部屋でひと息つく。
沐沐:すごく楽しかったです
胸を満たす充実感に微笑むと、アルバートも安心したように唇を綻ばせた。
アルバート:良かった。色々と調べた甲斐がありました
そう言って、椅子に腰を下ろしたアルバートはふと何かに目をとめる。
アルバート:あれは…なんですか
アルバートは、私の荷物の上にある花冠を指す。
(あれは…)
沐沐:せっかくの旅行なので…お揃いのものをと思って作ってきたんです
アルバート:お揃いということは、俺の分もあるんですか?
沐沐:はい。ウィスタリアでは恋人同士がお揃いのものを付ける習慣があって…
説明の途中で、アルバートが呟きながら目元を赤く染める。
アルバート:恋人同士が付ける…
(シュタインには無い習慣だし、花冠を付けるなんて恥ずかしいよね…)
沐沐:あ、あの…嫌ならいいのですが…
慌てて付け足すように言うと、アルバートは立ち上がり、花冠を手にする。
アルバート:貸してください
(え……?)
目の前で跪いたアルバートが、そっと私の頭の上に花冠を置く。
沐沐:あっ……
(ちょっと、私には大きかったかな)
目を覆うように、花冠を深くかぶってしまう。
すると…。
(えっ……)
唇に柔かな感触が触れ、そっと花冠を上にずらす。
沐沐:アルバート、今のは…?
驚きに目を瞬く私を、アルバートの恥ずかしそうな瞳が覗き込む。
(アルバートの顔、赤くなってる…)
アルバート:見えないと、ちょうどいいかもしれない
アルバート:沐沐にこうやって出来ますので
沐沐:っ…アルバート…、ん……
(きっと…アルバートに負けないくらい、私も頬が赤くなってる…)
甘い熱が滲んでいく瞼をそっと伏せると、小さな呟きが響く。
アルバート:…後で、俺にもかぶせてください
沐沐:え…いいんですか?
目を瞬かせると、アルバートは赤く染まった頬を綻ばせる。
アルバート:さっき、恋人同士がお揃いのものを付けると言っていましたから…
沐沐:はい…!
頷くと、また優しい口づけが降ってくる。
この甘い時間がずっと続くように、私は祈るように目を閉じた……―

 

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6日目>>>2013年10月に開催していた『オオカミに恋した赤ずきん』の 【アラン(艾倫)】、【ユーリ(尤利)】のシナリオが読めちゃうよ☆

6&14

謝謝沐沐提供~~~~

 

アランのストーリーを読む:

木々が美しく色付きはじめたある日…―。
私は、アランと森で散歩をしていた。
アラン:…そんなもん拾ってどうすんだよ
土の上に落ちている色とりどりの木の実を拾う私に、アランがけげんな眼差しを向ける。
沐沐:集めて、飾りをつくって子どもたちに渡したら喜ぶだろうなって思って…
アランを見上げると、アランは眉を寄せたままかすかに微笑んだ。
アラン:…しょーがねーな
アラン:どのくらい集めればいいんだよ
溜息をつきながらも手伝ってくれるアランに、私の胸がトクンと音を立てる。
その音をごまかすように必死で木の実を拾っていると、
いつの間にか私の手の中は木の実でいっぱいになっていた。
(もう、これ以上持てない…)
ふと思いつき、私はスカートをふわりと持ち上げる。
そうしてそこに木の実を入れると、
アラン:おい、馬鹿…っ
アランに額を小突かれてしまった。
アラン:下着、見えるだろ
沐沐:え……?
小突かれた額を押さえてアランを見ると、アランは少し頬を染めている。
沐沐:気をつけるから大丈夫。それに…
沐沐:あたりに誰もいないし……
そう言ってまた木の実を集めようとすると…
沐沐:あ……っ
アランに肩を掴まれ、木に押しつけられた。
沐沐:ちょっと、アラン……!
思わずスカートを掴む手を離してしまい、あたりにバラバラと木の実が散らばる。
アラン:あとで、ちゃんと拾ってやるよ
そう言うアランを、少し頬を膨らませて見上げる。
するとアランは木に手をついて、私の耳元に唇を寄せた。
アラン:言っても聞かねえ奴には…
アラン:こうするしかないだろ
突然にアランの指先を内股に感じ、私は背を駆け上る甘い痺れに腰を震わせる。
沐沐:アラン…こんなところで…っ
必死に抵抗をすると、突然にアランの指を身体の奥に感じた。
沐沐:……っ
頭の芯を襲う衝撃に息をあげると、アランが低い声で囁く。
アラン:誰にも見られないって言ったのはお前だろ
アランの熱い指先がゆっくりと動くたび、私の頭の奥に甘い痺れが走る。
段々に朦朧としていく意識の中、私はアランの身体の熱が私に移っていくのを感じた。
(…アラン…っ…)
夕日に染まっていく秋の木々がざわめく。
やがてその彩りが遠ざかり、私はアランの力強い腕に抱き止められるのを感じた…―。

 

ユーリのストーリーを読む:

さわやかな秋風が頬を撫でる、満月の夜…―。
バルコニーで肩を並べて月を見ていたユーリが、
私の髪を弄りながら言う。
ユーリ:この髪型、可愛いね。自分で編んだの?
ユーリの甘い声に、思わず頬が染まる。
沐沐:…うん
沐沐:この間メイドさんにしてもらったのを真似てみたの
そうなんだ、とユーリが僅かに目を丸くする。
ユーリ:上手にできてるよ。本当に可愛い
ユーリはそっと私の髪から手を離し、やがて静かに口を開いた。
ユーリ:…満月のせいかな…
ユーリ:なんだか、沐沐様の事…食べちゃいたい気分
沐沐:ユーリ、突然何言って…
私の言葉を遮り、ユーリがそっと私の髪に触れる。
ユーリ:…そうだ。俺がオオカミなら、沐沐様はオオカミに食べられる赤ずきんだね
そう言って、ユーリは私の首筋に軽く歯を立てた。
沐沐:…だ、駄目…ここじゃ…
目を瞬いてそう言うと、ユーリがゆっくりと私を見上げる。
ユーリ:…ここじゃなかったら良いの?
いつもより少し低い声でそう囁かれ、私は思わず頷いてしまった。
ユーリ:…素直な沐沐様、可愛い。でも…
ユーリ:俺、ここでしちゃいたい
そう言うと、ユーリは私の胸元に手を滑り込ませる。
そうして私を手すりに押し付けると、胸に優しく舌を這わせた。
沐沐:ユーリ…っ
思わずぴくりと身体を震わせると、ユーリの腕に腰を抱きとめられる。
そのままその手にスカートをたくし上げられ、指が私の中へと入り込んだ。
沐沐:…や……っ
私の声は、ほとんど声にならない。
不思議と青白い満月の光が、ユーリの顔を照らしている。
その眉がやがてゆっくりとひそめられ、ユーリの腕が私を強く引き寄せた。
沐沐:あ……っ
甘い震えが背筋を駆け上る。
ユーリ:沐沐様…
ユーリ:耐えられないんだったら…俺にもたれていいよ
立っていることもままならず、私はそっとユーリの胸に頭を預けた。
静かな月の光の下、私は甘い吐息を零していった…―。

 

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7日目>>>2013年11月に開催していた『お菓子の家の甘いワナ』の 【ルイ(路易)】、【レオ(里奧)】のシナリオが読めちゃうよ☆

7&12

 

ルイのストーリーを読む:

ある晴れた日の事…―。
ルイの邸で休日を過ごしていた私は、ルイに手を引かれて部屋の扉を開けた。
吉琳:すごい……
所狭しとお菓子を並べた部屋はまるでお菓子の家のようで、
私は思わず瞳を輝かせる。
ルイ:吉琳、こういうの好きだと思って…
ルイは少し得意げに言った。
吉琳:ありがとう…
にっこりと微笑んでそう言うと、私はお菓子の山にそっと手を触れる。
すると…
吉琳:あ……っ
天井まで積まれたお菓子がバランスをくずし、倒れてきてしまった。
ルイ:吉琳…っ
私を庇ってくれたルイの背に、お菓子の山が倒れかかる。
吉琳:……っ
次の瞬間…私は、甘い香りの漂うお菓子に埋もれながら、ルイに抱きしめられていた。
吉琳:…ごめんね…ルイ
そう言って顔を上げると、ルイの髪には星の形をしたキャンディーがのっている。
(ちょっと、かわいいかも……)
それを取りながら、私はクスリと笑みを漏らした。
ルイ:…なんで、笑うの?
吉琳:だって……
少し拗ねた様子のルイの姿に益々笑みを深めると、
ルイは私の手からキャンディーを取り上げる。
ルイ:…笑ったお返し
そう言ってキャンディーを自分の口に含むと、
吉琳:ん……っ
私にキスをして、キャンディーを口移しした。
吉琳:……ルイ…っ
しばらくしてルイの唇が離れると、私は頬を染めて口元を押さえる。
するとルイは、私を床に押し倒し…
ルイ:…返して
そう言うと、手を床に押さえつけて再び唇を奪った。
私の口内を探るルイの舌に気を取られていると、
吉琳:ルイ…っ
ルイの指がスカートをたくし上げる。
私の微かな抗議は、下へと下がって行くルイの甘い口づけの音にかき消される。
(ルイが用意してくれたお部屋でこんな事になるなんて…)
(なんだか、甘いワナにかかったみたい…)
ルイ:吉琳…甘い……
ルイの唇が、私の全身を辿る。
口の中に微かに残ったレモン味のキャンディーの甘みが、
私の思考を甘くとろけさせていった…―。

 

レオのストーリーを読む:

色付きはじめた木々を、月が冷たく照らす夜…―。
レオ:じゃあ、今日はこれでおしまい
授業に集中していた私は、レオの声にはっと顔を上げた。
(もう、終わりか……)
(レオといると、時間があっという間に過ぎちゃうな…)
寂しい気持ちがこみ上げて思わず顔を俯かせると、
レオが僅かに微笑みを見せる。
レオ:…次の公務まで時間があるし…
レオ:……いいことでも、する?
囁くような声を紡ぐ唇が首筋に触れ、
吉琳:…レオ……っ
私は跳ねる胸を押さえて、瞳を閉じた。
レオ:…どうしたの?
やがてレオの声に閉じていた瞳を開けると、レオは腕を組んで私を見つめている。
吉琳:レオ…もしかして、からかって……
レオのイタズラっぽい視線に、私は段々と頬が熱を帯びて行くのを感じた。
レオ:吉琳ちゃんって、こういうことするの好きなんだね
吉琳:……っ
レオは余裕たっぷりの微笑みで私を見据える。
やがて私の髪にそっと手を触れると…
レオ:この髪型、すごく可愛い
レオ:やばい、俺…吉琳ちゃんに惑わされそう
私の髪を撫でながら、静かにそう言った。
吉琳:…また、からかうつもりでしょ…っ
私はその指から逃れ、胸の鼓動に気付かれないように窓の方へと視線を向ける。
レオ:…俺の言葉、信じられない?
レオの言葉に、やがてゆっくりと視線をもどすと、
いつになく真剣なレオの眼差しが私を見据えている。
レオ:…本気かどうか、試してみる?
そう囁くと、レオは私の顎をすくい上げた。
(急に真面目な顔するなんて、ずるい…)
しばらくレオの瞳を見つめてから、私は抗いようもなく瞳を閉じる。
すると、レオは私の唇を優しく奪い…
吉琳:や……っ
私はレオの指を身体の中に感じ、息を止めた。
するとレオは、そっと私の胸元に唇を落とし、
レオ:…ご期待に添おうかと思って
そう囁いた。
その言葉が引き金になったように、私の体中を甘い痺れが走る。
そうしてレオの熱を身体の内側に感じると…
(いつも…)
(私ばかり翻弄されてる…)
薄れ行く意識の中で、私は胸に僅かな痛みを覚えた。
レオ:吉琳ちゃん…
やがてうっすらと瞼を開けると、
レオの顔にはいつもの微笑みはなく、ただ一心に私を見つめている。
秋のはじまりの夜…空に浮かぶ月が、何だか少し優しく輝いている気がした…―。

 

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8日目>>>2013年4月に開催していた『Flower Festival』の 【アラン(艾倫)】、【ゼノ(傑諾)】のシナリオが読めちゃうよ☆

2&8

 

アランのストーリーを読む:

ウィスタリア中が花の祭典で賑わう日…―。
お城ではパーティーが開かれていた。
(わぁ…すごくきれい…)
会場が色とりどりの花で飾り付けられている。
(アランも、私が贈ったお花飾ってくれてるかな…)
考えていると、隣にいたアランにぐっと肩を抱き寄せられる。
アラン:おい
すると、後ろから手をつないだ夫婦が、軽く会釈をしてダンスホールの中央へと向かっていく。
(うっかりしてて邪魔しちゃってたんだ…)
バツが悪そうに見上げると、アランが言う。
アラン:ったく。お前またそんなの着て
私はアランの言葉に、裾にかけて広がったフリルをそっと自分のほうに寄せた。
(お花を贈った時にも、同じこと言ってたけど…)
(アラン、このドレス嫌いなのかな…?)
そう思ってアランを見上げると、音楽が流れ始めた…。
ダンスホールの中央で、夫婦が見つめ合いながら踊る。
お互いの胸元には同じ花が添えられ、踊るたびに揺れている。
(今日は花を贈り合う日だから、お揃いにしたんだろうな)
私はうっとりと眺めると小さく息をこぼした。
(素敵だな……)
アラン:…………
……
そして、その夜…―。
(今日はお昼にパーティーもあったし少し疲れたな…)
私は一日の予定をこなし部屋に向かう途中、ふとダンスホールで足を止めた。
(そういえば…今日パーティーでみたご夫婦)
踊るたびに揺れる胸元の花が浮かぶ。
(素敵だったな…)
すると、後ろから声をかけられた。
???:こんな時間になにしてんだよ
吉琳:アラン……
振り向くと、アランが眉を寄せて近づいてくる。
吉琳:今日のご夫婦が素敵だったから…
(私もいつかあんな風に踊ってみたいな…)
そう言って、ダンスホールをみると、突然アランが、私の手を引く。
吉琳:アラン?
そのままダンスホールへ行くと、
アランは胸のポケットから一輪の花を取り出し、そっと差し出した。
アラン:……これ
それはピンク色のフリルのような花で、アランの手の中で揺らめいている。
(嬉しい……)
吉琳:ありがとう…それにこれって…
そう言って私はお花を受け取ると、アランにぐっと腰を抱き寄せられる。
アラン:今日だけだからな
私は小さく頷くと、胸元に花をさしそっとアランに寄り添った。
(私がご夫婦に見とれてたのを知って…?)
ダンスに合わせて胸元で揺れる花を見ると、ふと疑問が頭に浮かぶ。
吉琳:どうしてこの花を選んでくれたの?
そう言うと、アランは僅かに頬を染め、眉を寄せる。
アラン:分かるだろ
吉琳:えっ…?
そう言って私が少し目を見開いた瞬間…―。
(あっ……)
大きな窓から、一陣の風がぶわりと吹きこむ。
ドレスのフリルが、風になびいてふわりと揺れた。
(そういえば、このお花とドレスのフリルって似てる……)
吉琳:アランもしかして…
すると、私の言葉を遮るように口づけを落とす。
アラン:少しは黙っとけよ
そう言うと、アランはもう一度私の唇にキスを落とした。
(アラン、ちゃんと選んでくれてたんだ)
小さな気づきに胸をときめかせると、私はゆっくりと目を閉じていった…―。

 

ゼノのストーリーを読む:

ゼノ様が公務のためにウィスタリアにやって来た、その夜のこと…―。
(こんな時間に、どなただろう……)
催された晩さん会の後、
部屋に戻っていた私は、叩かれたドアを開いた。
するとそこに、見知った人の姿を見つける。
吉琳:ゼノ様?
ゼノ:ああ
私はその姿に、目を瞬かせた。
吉琳:あの……これは
ゼノ:…………
ゼノ様の左手には、大きな花束がある。
黙ったままのゼノ様から花束を受け取ると、私は驚くまま顔をあげた。
するとゼノ様が、何でもないことのように告げる。
ゼノ:ウィスタリアでは、花を渡す風習があると聞いた
吉琳:…………
(ご存じだったんだ……)
その言葉を聞き、私は改めて花束を見おろした。
それは私には片手では持ち切れないほどの、バラの花束だった。
吉琳:ありがとうございます
(すごく、嬉しい……)
花瓶を用意した私は、椅子に腰かけるゼノ様の前でそのバラを飾っていた。
(これで、どうかな)
考えながら、花に手を伸ばすと…。
吉琳:っ……痛
指先に走った鋭い痛みに、私はびくりと手を引いた。
ゼノ:……刺したのか?
立ちあがったゼノ様が、ゆっくりと近づいてくる。
吉琳:いえ、あの……
ゼノ:なぜ隠すんだ?
思わず隠そうとした手を、ゼノ様に優しく取られた。
吉琳:あ……
ゼノ:…………
私の手を持ちあげ指先を見おろすと、ゼノ様が呟く。
ゼノ:これくらいなら、大したことはないな
吉琳:…………
ゼノ様が触れる手首をどこか熱く感じながら、私は静かに視線を伏せた。
やがて気づいたゼノ様が、低く尋ねる。
ゼノ:どうした?
吉琳:いえ……せっかく頂いたばかりなのに、恥ずかしいと思って
(何だか、水をさしてしまったみたいで……)
ゼノ:…………
気づかれないように小さく息をつくと、
ゼノ様が掴んでいた私の手を、軽く引き寄せた。
(え……?)
次の瞬間、指先にゼノ様の唇が触れる。
吉琳:……っ
舌先で傷口を舐められると、私の頬から首筋がかあっと赤く染まった。
吉琳:……っ、ゼ、ゼノ様
ゼノ:…………
ふっと目を細めたゼノ様が、私を見おろし口を開く。
ゼノ:あの花のように、いつも顔をあげていた方がいい
ゼノ:……顔がよく、見えるように
吉琳:あ……
ゼノ様の覗きこむような視線に、鼓動が痛いほどに大きく跳ねた。
その痛みに、先程指先を刺した時のことを思い出す。
(何だか、ゼノ様はこの花に似てる)
(綺麗で、とげがあるとわかっているのに手を伸ばしてしまう……)
私は下がっていた片方の手を上げ、ゼノ様の服の裾を掴んだ。
吉琳:……はい
頷くと、ゆっくりと視線を上げゼノ様を見上げる。
ゼノ:…………
口元をわずかに綻ばせたゼノ様が手首を離すと、今度は私の腰元に触れた。
私はゆっくりとかかとを上げ背伸びをしながら、思う。
(まるで、その香りに誘われるみたいに……近づいてしまう)
目を閉じ唇にゼノ様の吐息を感じながら、
私はただ鼓動の高鳴りを感じていった…。

 

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9日目>>>2014年9月に開催していた『LOVE☆フェチ』の 【ジル(吉爾)】、【シド(席德)】、【アルバート(艾伯特)】のシナリオが読めちゃうよ☆

3&9&13

 

ジルのストーリーを読む:

優しい朝日が雲の切れ間から差し込む、とある朝…―。
ジルと夜を過ごした私は目を覚ますと、
ティーテーブルの側にある椅子に腰掛け、着替えを手伝ってもらっていた。
ジル:じっとしていてください
吉琳:はい…
丁寧な手つきで靴下を履かせてくれるジルに頷きながら、
身体に巻きつけた白いシーツをそっと押さえる。
(昨日、あんなことがあったにせよ)
(ジルに触れられるのは恥ずかしいな…)
シーツから伸びた脚に、跪いたジルの指先が時折触れる。
その感触に頬を染めながら、私は昨晩のことを思い出していた。


私はシーツの上に横たわり、ジルの手であらわにされた脚に、
何度も口づけを落とされていた。
ジル:…どうやら、吉琳は脚が弱いようですね
吉琳:そんなこと、言わないでくださいっ…
内ももに触れるジルの唇に身を震わせると、吐息混じりの声に囁かれる。
ジル:言葉とは違い、身体は素直に反応していますよ
吉琳:え…
目を瞬かせる私に、ジルは艶めいた笑みを向けた。
ジル:もっと触れてほしいと
吉琳:ジル…あっ…
その後も、私はたっぷりとジルに触れられ、
時間をかけて愛された……。


ジル:できましたよ
脳裏に浮かんでくる昨晩の記憶にますます頬を熱くしていると、
ジルに呼びかけられてドキリとする。
吉琳:は、はい…ありがとうございます
胸が高鳴っているのを悟られないよう、慌ててお礼を言う。
しかしジルは全てを見透かしてしまうような眼差しで私を見つめると、
ふっと口元に笑みを浮かべた。
ジル:一体、何を考えていたのですか?
ジル:随分…艶めいた表情で、私を見つめていましたが
吉琳:え…
戸惑う私を更に追い詰めるように、ジルの指が脚をなぞり出す。
それだけで背筋に甘い痺れが走り、私は吐息をこらえながら首を振る。
吉琳:何も…
吉琳:少し、ぼうっとしていただけですから…
ジル:…そうですか
(納得…してくれたのかな?)
頷くジルの様子にほっと胸を撫で下ろす。
でも、その安堵も束の間、
腰をかがめたジルの唇が、持ち上げられたつま先に触れた。
吉琳:……っ
思わず息をのむ私に、ジルはいたずらっぽく微笑んでみせる。
ジル:貴女が答えてくれないなら
ジル:少し、強引にするしかありませんね
つま先に触れたジルの唇が、キスを落としながら上へのぼってくる。
吉琳:ジ、ジルっ…
ジル:正直に答えるまで、やめませんよ
(そんな…)
困惑に瞳を潤ませると、ジルは目を細め、柔らかく呟く。
ジル:綺麗ですね、吉琳
ジル:ずっと…触れていたいと思ってしまう
(ジル……)
意地悪な指と、優しい声に翻弄されて、私はそっとジルに身を任せた…―。

 

シドのストーリーを読む:

白い雲間から日差しが降り注ぐ、とある穏やかな朝…―。
シドの部屋で一夜明かした私は、
目が覚めてもシドに引き止められ、なかなかベッドから出られずにいた。
吉琳:シド、そろそろ着替えたほうがいいんじゃない?
シド:嫌だ
シドはきっぱり言い切ると、ぎゅっと私を抱き締めてくる。
シド:せっかくの休日だ
シド:少しぐらいゆっくりしてても、ばちは当たらねえだろ
(ゆっくりすること自体はいいけど…)
シドに抱きしめられると、
あらわになった肌と肌が重なりあってしまうので、少し恥ずかしい。
(なにか話題を振って、話をしてた方が気が紛れるかな?)
そう思った私は、以前から気になっていた質問を尋ねることにした。
吉琳:シドって、女性の身体で好きな箇所とかあるの?
シド:あ?
シド:男なら、誰でもあるに決まってるだろ
吉琳:そうなんだ…
(どこなのか聞きたいけど、私の自信のない部分かもしれないし…)
聞くのを迷っていると、シドは意味深に微笑み、私に覆いかぶさってくる。
シド:…なに寂しそうな顔してんだよ、お前
鼻先の触れそうな距離に顔を寄せられると、昨晩のことが頭に浮かんだ。


シドに腕を引かれるまま、二人でベッドに倒れこむと、
シドは時折からかうように肌をくすぐりながら、トップスを脱がしてくる。
吉琳:……っ
シドの手のひらが身体の曲線をなぞると、思わず肩が震えてしまう。
すると、シドは楽しげに目を細め、私の耳元で囁いた。
シド:お前いつもは気丈なくせに、こういうときは弱えな
吉琳:…それは、シドがいじわるするから…っ
顔を逸らすと、シドの指に顎をすくい上げられる。
シド:意地悪でやってんなら、こんな愛し方しねえだろ
まっすぐに瞳を覗き込まれ、真剣な声で言われると、胸が高鳴った。
シド:それとも…もっと激しいのが好きだってんなら
シド:…今から応えてやってもいい
吉琳:シ、シド…っ
抵抗する前にトップスが取り払われ、シドが身を重ねてくる。
そのまま私は明け方近くまで、何度もシドに翻弄されることになった…―。


頭に浮かんだ恥ずかしい記憶を振り払いながら、私は首を振る。
吉琳:寂しそうな顔なんて…してないよ
シド:へえ…?
シドはしばらくからかうような笑みで私を眺めていたけれど、
ふと柔らかな笑みを浮かべると、私の腰に腕を回した。
シド:お前のここは、結構好みだな
シド:まあ…一番好きなのは、お前の悶える顔だがな
吉琳:……!
穏やかな笑みから一転、また意地悪な表情に戻ったシドは、強く私を引き寄せる。
シド:安心しろ
シド:お前の身体なら…どこだって悪くねえ
囁きとともに唇を塞がれると、シドらしい優しさに、胸が熱くなった…―。

 

アルバートのストーリーを読む:

抜けるような青空の広がる、とある休日の朝…―。
眩しい朝日に照らされて、私はそっと目を開く。
すると真っ先に感じたのは、アルバートの手の温もりだった。
(あっ…私…)
(アルバートと手を繋いだまま眠っちゃったんだ…)
朝までこうして離れずにいたことが嬉しくも少し照れくさくて、
固く握られた手を微かに動かすと、アルバートが目を開く。
アルバート:…吉琳?
吉琳:ごめんなさい…起こしてしまいましたね
吉琳:それに私、一晩中手を握ったままでいたみたいで……
熱くなる頬を感じながらも、目を伏せて謝ると、
アルバートは眼鏡のつるを持ち上げながら首を振る。
アルバート:別に、謝る事では…
そこまで口にして、アルバートはうっすらと頬を染める。
そして私から視線を逸らすと、そっと呟いた。
アルバート:先に吉琳の手を握ったのは、俺ですから
(え……)
吉琳:アルバートは…手をつなぐのが、好きなんですか?
アルバート:ええ、まあ
アルバート:あなたの手は、綺麗ですからね
照れくさそうなアルバートの様子に、胸が甘くくすぐられる。
(そういえば、昨日の夜も……)
私はふと、昨晩のアルバートを思い出した。


ドレスを緩められ、あらわになった首筋に口づけを受けていると、
アルバートが私の手に自分の指を絡める。
アルバート:裸眼では、あなたの顔がよく見えませんね
アルバート:かといって、眼鏡をかけるわけにもいかないし…
眉を寄せたアルバートは、レンズに遮られていない瞳で、じっと私を見つめる。
(少し、恥ずかしいけど…)
私はそっとアルバートの背中に手を回すと、彼を抱き寄せた。
吉琳:では…もっと、近づいてください
アルバート:……吉琳
アルバートは私にぐっと顔を近づけると、今にも唇の触れそうな距離で囁く。
アルバート:愛しています…誰よりも
スカートがまくりあげられると、アルバートの身が私に重ねられる。
吉琳:っあ…
ベッドを軋ませながら伝わってくる体温に、私は切ない吐息をこぼした。


(アルバートは…あの時もずっと、私の手を握っててくれたな)
気恥ずかしいけれど、そう思うと幸せな気持ちになり、頬が緩んだ。
吉琳:…嬉しいです
吉琳:私も、アルバートと手を繋ぐのが好きですから
呟くと、微かに赤かったアルバートの頬が、更に赤く染まった。
アルバート:あなたは…
アルバート:すぐに俺の調子を狂わせるような事を言う
不機嫌そうに言いながらも、アルバートの唇は優しく私の唇を塞ぐ。
その温もりを感じながら、私はそっとアルバートの手を握り返した…―。

 

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10日目>>>2012年10月に開催していた『秘密のひととき』の 【アラン(艾倫)】、【ルイ(路易)】のシナリオが読めちゃうよ☆

4&10

 

アランのストーリーを読む:

澄み切った青い空に、小さな鳥が舞い上がっていく。
吉琳:……わあ
誰もいない早朝の闘技場の隅で、
私はこっそりと、アランの稽古を見学していた。
アラン:…………
ぴんと張り詰めた朝の空気を、アランの剣が切り裂いていく。
(やっぱり、アランの動きは綺麗だな……)
やがて剣をおさめたアランが、軽く汗を拭いながら振り返った。
アラン:おい。そろそろ戻らねーと、バレんじゃねーか?
吉琳:え、もうそんな時間!?ユーリが来ちゃう…!
私が慌てて顔を上げると、アランが短く息をつく。
アラン:だから、こんなとこ来るなっつったのに

……
結局アランに送り届けてもらい、私は何とか部屋に戻ることが出来た。
(アランは、来るなって言ってたけど……)
(ああして時間を作らないと、なかなか二人きりで会えないんだよね)
吉琳:…………
(せっかく、恋人同士になれたのにな)
廊下を歩く足を止め、私は窓の外の青空を見上げる。
(アランは、どう思ってるんだろう……)
???:おい
その時、目の前から聞き知った声が響いてきた。
吉琳:アラン……!?
アラン:何ぼーっとしてんだよ
そうして持っていた白い封筒で、私の頭を軽くはたく。
アラン:これ。お前にって、預かってきた
吉琳:え?
顔を上げると、アランがその封筒を渡してくれた。
アラン:城門まで来て、『プリンセス』に渡してほしいって頼んできたやつがいた
アラン:どうしても、だそうだ
吉琳:……??
(何だろう……)
見ると、封筒の裏には見知った名前が書かれていた。
吉琳:これって……
丁寧に開いて中を見ると、そこには一枚のカードが入っている。
それは、城下の教え子の誕生日パーティーへの招待状だった。
(去年まで、毎年参加していたパーティー……)
吉琳:行きたいな……
アラン:…………
呟く私を、アランはただ黙ったまま見おろしていた。
………
そして夕方近く、私はアランの元を訪れていた。
吉琳:アラン……
アラン:……なんだよ
近づくアランが、眉を寄せている。
吉琳:これを、届けてほしいの
アラン:…………
それは、教え子への手紙とプレゼントだった。
(やっぱり、ジルには許してもらえなかった……)
(プリンセスとして、当然だけど)
吉琳:お願い、アラン……
アラン:…………
アランは軽く眉を寄せると、手紙とプレゼントを受け取ってくれた。
……
そして、その夜…―。
(こんな時間に、一体誰だろう……)
ノックされたドアを開くと、そこにはアランの姿があった。
吉琳:アラン、どうかしたの…っ……
アラン:静かにしろよ
アランが私の口元を優しくふさぎ、低い声で言う。
そうして部屋の中へと入ると、アランが片手に抱えた物を差し出した。
吉琳:……??
それは、夕方に私が託した教え子へのプレゼントだった。
アラン:俺に頼むな。自分で届けろよ
手がゆっくりと離れ、私は息を飲みながらアランを見上げる。
(アラン……もしかして、連れていってくれるの?)
アラン:行くぞ
差し出された手を見おろし、私はすぐに頷いた。
吉琳:うん……!
私はアランの手を取り、ぎゅっと力を込めた。
アランの馬に乗り、私は城を抜け出し城下を目指していった。
私たちの姿が暗闇に紛れ、蹄(ひづめ)の音だけが街中に響いていく。
(間に合うかな……)
プレゼントを抱え直すと、アランが馬の速度を上げた。
そうして、私は教え子の家へと足を運び…。
……
無事にパーティーに間に合った私は、
教え子に直接プレゼントを渡すことが出来た。
(ギリギリの時間になっちゃったけど、少しでも顔が見れて良かった……)
喜んでいた教え子を思い出し、私は小さく息をつく。
(これも全部、アランが連れてきてくれたおかげだな)
そっと顔を上げると、そこには壁にもたれて立つアランの姿があった。
吉琳:アラン、ありがとう……
アラン:ああ
そうして私たちは、馬を繋いだ場所へと向かって、
人気のない道を、歩いていく。
静寂に満ちた月明かりの街に、私とアランの影だけが伸びていた。
(こうして歩いていると……)
私は少し前を歩くアランの背中を見上げながら、思う。
(普通の、恋人同士みたい)
隠れて会うこともなく、二人で堂々と道を歩ける恋人同士を思うと、
私は胸の前でぎゅっと手を握った。
アラン:…………
不意に、アランが振り返る。
アラン:……なに
吉琳:な、何でもない
じっと見おろされ、私の頬が赤く染まった。
アラン:…………
それでも視線を外さないアランに、私はたまらずに口を開く。
吉琳:あの、アラン……
アラン:当ててやろうか?
吉琳:え?
声に顔を上げると、アランが悪戯めいた笑みを浮かべて言った。
アラン:……お前が今、想像してたこと
吉琳:……っ
(それって……)
戸惑ううちにアランの手が伸び、私の背中を引き寄せる。
アラン:……俺たちが、街の人間だとしたら、こんなことも出来るかもな
アランの片手が私のうなじをすくいあげ、
私は仰ぎ見るようにしてアランのキスを受け止めた。
吉琳:ん…っ……
唇を味わうようなキスが、微かに甘い音をたてる。
その響きが耳に届き、私はさらに耳元を赤くさせた。
吉琳:や…っ…やだ、アラン…
アラン:…………
軽く胸を押すと、アランが軽く首を傾げて私の顔をのぞきこむ。
吉琳:こんなところで……
アラン:誰もいねーよ
確かに、夜を迎えた街の小さな通りには、人影はない。
アラン:それに、今ぐらいいいだろ
吉琳:え?
アランの言葉に、視線を上げる。
アラン:堂々と、お前に触ったって
吉琳:…………
(もしかしたら、アランも同じように考えていたのかな)
(せっかく、想いが通じ合っているのにって……)
私は考えると、静かに手を伸ばしてアランの服の裾を掴んだ。
吉琳:アラン……もう少し、だけなら……
アラン:…………
すると、アランがふっと息をつくように笑った。
アラン:……お前の許可がなくたって、そのつもりだよ
吉琳:……っ
顔を寄せアランがこぼすささやきに、私は静かに目を伏せる。
アラン:それに、少しだなんて、無理
アラン:一回お前に触ると、止めらんねーから
吉琳:ア、アラ……んっ
名前を呼ぶ声を奪い、アランが私の唇を割る。
代わりにこぼれる甘い声に、私の背中がぞくりと疼いた。
アラン:……止めてほしいんなら、逃げろよな
吉琳:……っ…
(逃げるなんて、出来ないよ)
(私だってずっと、アランとの時間を過ごしたかった……)
吉琳:…………
私は黙ったまま、アランの首元に腕を回した。
アラン:…………
アランも何も言わないまま、首筋に何度もキスを落とす。
(……今だけは、秘密の時間に目を閉じていたい)
吉琳:…んっ……
私は潤んだ目を閉じ、目じりに涙をこぼした…。

 

ルイのストーリーを読む:

窓から差し込む陽が、帯のようにキラキラと輝いている。
吉琳:…………
私は目の前の光景に、短く息をついた。
プリンセスとして目を通さなければいけない書類が、
束となって机の上に積まれている。
(少しだけ、休憩したいな)

……
私は窓の外の日射しに目を細め、ゆっくりと立ち上がった。
庭へと出ると、私は腕を大きく上げて背中を伸ばした。
(やっぱり、外は気持ちいい……)
するとその時、庭の先にルイの姿を見つける。
吉琳:ルイ……!
ルイ:…………
私は思わず、ルイの元へと駆け寄った。
(最近会えていなかったから、すごく嬉しい……)
ルイ:吉琳、どうしたの?
吉琳:あの……
口を開こうとした途端、どこからか私を探すユーリの声が聞こえてくる。
ユーリ:吉琳様―、ジル様がお呼びだよー
(あ……)
私は目を伏せ、小さなため息と共に口を開いた。
吉琳:……ごめん、ルイ。行かなくちゃ
ルイ:……うん
ルイはふわりと目を細めると、風で乱れた私の髪を撫でた。
ルイ:頑張って
………………
執務室に戻ると、ユーリが私の顔を覗き込み苦笑を浮かべた。
ユーリ:ごめんね、吉琳様
吉琳:ううん、私こそ。仕事の途中だったのに、ごめんね
(息抜きは終わり。きちんとしないと……!)
笑みを浮かべて言うと、ユーリが目を細める。
ユーリ:……外出の後、時間を作ってあげる。自由にしていいよ?
吉琳:え……本当!?ユーリ
思わず声を上げると、ユーリがにっこりと微笑んだ。
ユーリ:うん。でもその代わり、ちゃんと夜のうちに帰ってきてね
………………
約束通りユーリがくれた時間を使い、
私はこっそりとルイの屋敷を訪れていた。
ティーカップを口に運びながら、ルイが言う。
ルイ:……吉琳、なんだか疲れてる?
吉琳:えっ?
(この時間のために、急いで書類に目を通したりしたからかな……)
吉琳:大丈夫だよ
ルイ:そう……
ルイが呟き、テーブルにお茶のカップを置いた。
ルイ:俺は少し用事があるけど……好きなだけ、休んでいっていいから
吉琳:ありがとう、ルイ……
ルイが部屋を出ていくと、私は息をついた。
(短い時間だったけど、ルイと話が出来て良かった……)
(これで、もっと頑張れそう……)
思いながら、私はゆっくりとまぶたを降ろしていき…。
………………
???:吉琳……
(あれ……ここは…)
誰かに揺り起され、私ははっと目を開けた。
ルイ:吉琳?
目の前にあるルイの姿に驚き、私は慌てて身体を起こす。
吉琳:眠っちゃってたんだ……もうこんな時間!?帰らなくちゃ
慌てて部屋を出て行こうとすると、ルイの声が引き留める。
ルイ:待って
ルイ:だめだよ、君が来ていることは誰も知らないから
吉琳:…………
部屋を飛び出していこうとした私は、ぴたりと足を止めた。
(そうだ……でも、早く帰らないと)
考えていると、ルイがぽつりと呟くように言う。
ルイ:あ……いいこと思いついた
吉琳:え?
(いいことって……)
着替えを終えた私を見おろし、ルイが小さく頷く。
吉琳:ルイ、これって……
ルイ:……大きいね
別人になりすますためルイの服を身につけた私は、袖をまくりあげた。
(ルイって細く見えるけど、やっぱり男の人なんだな……)
まくりあげた袖ごと優しく掴み、ルイがふっと笑みを浮かべて言う。
ルイ:行こう
………………
ルイのお屋敷を無事に出発した私たちは、城の廊下を歩いていた。
吉琳:…………
ルイ:…………
人気のない廊下で、ルイが黙ったまま手を引いてくれる。
その時、後ろから声をかけられた。
???:……ルイ、こんな時間に何やってんだ?
ルイ:アラン……
振り返ったルイが、自然な仕草で私の身体をアランから隠した。
アラン:……そいつは
ルイ:弟
ルイはそれだけを言うと、再び私の手を引いて歩き出す。
………………
残されたアランは、ルイと身体に合わない服を着た人物の後姿を、
軽く眉を寄せて見送った。
アラン:……あいつ、弟なんていねーだろ
………………
そうして部屋の中に入ると、私はほっと胸をなで下ろした。
(誰にも見つからずに帰って来られて、良かった……)
私は髪の毛を仕舞っていた帽子を外しながら、ルイを見上げる。
吉琳:ありがとう、ルイ
ルイ:うん……
その時不意に、部屋の中にノックの音が響いた。
ユーリ:吉琳様、帰ってる……?
(ユーリ……!こんな格好を見られたら、大変)
私は慌てて、ドアに向け口を開く。
吉琳:か、帰ってるよ。でも今着替え中だから……
ルイ:…………
すると私を見おろすルイが後ろに回り、背中越しに手を伸ばした。
そうしてシャツのボタンに指先を伸ばし、一つ一つを外していく。
吉琳:……っ…
驚いて見上げると、そのまま唇をふさがれた。
舌を絡め取られ、吐息さえも奪われてしまった。
吉琳:ん……っ…
ユーリ:帰ってるならいいんだけど……
ルイの吸いつくような唇が、ゆっくりと離れていく。
ユーリ:吉琳様、大丈夫?
何かを察したのか尋ねるユーリに、私は必死に声をあげた。
吉琳:う、うん……
答える間も、ルイの指先はゆっくりと私の肌をはだけさせていく。
ユーリ:……わかった。お休みなさい、吉琳様
吉琳:……おやすみ、ユーリ…
そうして、ユーリの足音が去っていき…。
吉琳:ル、ルイ……っ…
私は身をよじり、外されたシャツを握って降り返った。
見上げると、ルイがにっこりと笑みを浮かべる。
ルイ:着替えるって、言ったから
ルイ:手伝ってもいい?
吉琳:……!
(手伝うって……)
ルイの低く甘い声音に、びくりと指先が震えた。
ルイ:……ダメ?
吉琳:……は、恥ずかしいから
私は赤くなった顔を隠すように、足元へと視線を向ける。
すると身体がふわりと浮いた。
吉琳:え……!
ルイが私の身体を横抱きにして運び、ベッドの上に降ろす。
ルイ:じゃあ、俺のも外していいよ?
ルイ:それなら、平等でしょ?
吉琳:…………
(びょ、平等って……)
ふわりと細められる瞳に、私は息をついた。
(この顔を見たら私が断れないこと、ルイは知らないんだろうな……)
ルイ:吉琳……?
吉琳:…………
私はそっと指先を上げ、ルイのボタンに指をかけた。
鼓動が、痛いほどに耳の中に響いていた…。

 

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11日目>>>2014年7月に開催していた『Princess Honeymoon』の 【アラン(艾倫)】、【ジル(吉爾)】、【レオ(里奧)】、【ユーリ(尤利)】のシナリオが読めちゃうよ☆

5&11

 

アランのストーリーを読む:

花が一面に咲き誇る丘を、アランと馬で駆ける。
アランの腕に抱かれ、馬の背に揺られていた私は、綺麗な景色に目を奪われていた。
(さっきからずっと手綱を引いてもらっているし…)
(この景色を、ゆっくり二人で見たいな)
吉琳:アラン、ここで少し休憩しない?
腕の中から見上げると、アランは唇の端に笑みを浮かべる。
アラン:ああ
………
花の中に埋もれるように、アランが寝そべる隣で、
私は摘んだ花を編んで、冠を作る。
アラン:そんなもん作って楽しいのかよ
吉琳:うん。だってこんなに可愛いんだよ?
アランは起き上がり、出来上がった花冠を受け取った。
アラン:ふーん
興味なさげに呟いた後、思いついたように私にかぶせる。
アラン:こうすれば、確かに可愛いかもな
微かに微笑みを浮かべる顔に、ドキッと胸が甘く音を立てる。
吉琳:あ、ありがとう…
アラン:もっとよく見せろよ
アランが私の顔を覗き込み、唇が触れ合いそうな距離に近づく。
(見せろって…)
吉琳:そんなに近づかなくても…
赤く染まった顔を伏せて告げると、
アランに身体を引き寄せられ、私は戸惑うようにまつ毛を震わせた。
アラン:見てたら、今度はお前に触れたくなった
吉琳:でも……
視線の先にいる馬を気にしていると、アランが小さくため息をつく。
アラン:………
アランは眉を寄せて立ち上がり、私の身体を軽々と抱き上げた。
吉琳:アラン…っ
アラン:…ったく、二人きりなら文句はねえな?
アランは私の耳元に囁き、意地悪な笑みを浮かべた。
アランは木陰にやって来ると足を止め、腕の中から私を降ろす。
アラン:ここなら見えねえだろ
吉琳:アラン…、…んっ…―
笑みをのせた唇が近づき、私の唇を塞ぐ。
アラン:…もっと、お前に触れさせろ
吉琳:ん、っ…
深くなるキスに翻弄され、息を喘がせると、
薄く開いた唇の隙間から舌を絡め取られ、背筋が甘く震えた。
吉琳:ど、どうしたの急に…
熱を帯びていく身体を支えられず、アランの腕にしがみつく。
そして、寄り添いながら、赤く染まった顔で見上げた。
吉琳:いつものアランじゃないみたいだよ
アラン:ああ、そうかもな
熱を帯びた瞳が細められ、アランは顔を傾け、私の耳元で囁く。
アラン:お前だけ側にいればいい
アラン:今、そんな気分
その囁きが胸を震わせ、言葉にならない愛しさがこみ上げる。
(こんなにアランに求められて、嬉しくないわけない…)
吉琳:…アランっ…私、アランのこと、好きだよ…
アラン:バーカ。とっくに知ってる
アランの腕が絡み、ぎゅっと身体を抱き締められる。
アランは私の首筋に唇を這わせ、次々と肌に熱を落としていく。
吉琳:アラン、大好き……
噛みつくような口づけで唇を塞がれ、身体を震わせた瞬間…
持っていた花冠が草の上に落ちて、花の香りが舞い上がる。
アラン:一生離さねえから、覚悟しとけよ
(…私も、世界で一番…アランが好き)
深く口づけを交わし、アランの熱を受けとめ…
甘い時間のはじまりに、吐息を震わせた…―

 

ジルのストーリーを読む:

色鮮やかな花が溢れる街の中…
自然と歩調が早まってしまう私を、ジルの手が繋ぎとめる。
ジル:はしゃぐ気持ちも分かりますが、私のそばにいてください
指先を絡め直し、ジルは艷めいた微笑みを浮かべる。
ジル:二人きりの旅行なんですから
指先を絡め直し、ジルは艷めいた微笑みを浮かべる。
ジル:二人きりの旅行なんですから
(二人きり…改めて言われると意識してしまう)
その言葉に反応して、熱くなっていく頬に手を当てる。
吉琳:すみません。でも、こんなに花が飾られていて、どこを見ても楽しくて…
吉琳:あ…ジル、あそこで花冠を作っているみたいですよ
恥ずかしさを誤魔化すように、店先に目を向ける。
ジル:花冠ですか…
呟くジルと共に、私はお店の方に近づいて行った。
女性:そこのお二人さんも作ってみないかい?
(作ってみたいけど、ジルは退屈じゃないかな…)
伺うようにジルを見上げると、耳元に囁かれる。
ジル:せっかくですから、作ってみてはどうですか
吉琳:はい…!
花冠を作り始めた私を見つめ、隣にいたジルが白い花を一輪手に取る。
ジル:これは、珍しい花ですね
ジル:書物でしか見たことがない
興味深げに目の前に花をかざすジルに、思わず尋ねる。
吉琳:どんな花なんですか?
ジル:そうですね……
ジルは呟くと、にっこりと微笑みを浮かべる。
ジル:部屋に戻ったらお教え致しますよ

……
滞在している宿に戻り、持って帰ってきた花冠を鏡の前でかぶってみる。
(どうかな…?)
すると、背中越しにジルの声が響く。
ジル:良く似合っていますね
吉琳:ありがとうございます
吉琳:ところで…この白い花はどんなお花なんですか?
(さっき、部屋に戻ったら教えてくれるって言っていたけど…)
尋ねると、ジルはふっと唇の端を上げる。
ジル:この地域にしか咲いていない花で、確か花言葉は…
近づいてきたジルが、私の髪をかきあげて耳元に唇を寄せた。
そして、続く言葉がそっと囁かれる。
ジル:『官能』…ですよ
吉琳:……!
ジル:その花冠をかぶって、私と二人きりでいるということは
ジル:期待してもよろしいですか
(期待って…?)
ジルの吐息が耳元にかかり、体が甘く震えた。
吉琳:ジル……
ジル:男としては誘われたからにはお応えしなくてはいけませんしね
髪に差し込まれた指先が下へと辿り、首筋をなぞる。
吉琳:…誘ったつもりでは…っ
ジル:可愛らしい唇で、私を拒むようなことは言わないでください
(ジルを拒むわけない…)
赤く染まったままの顔を、そっと上げてジルを見つめる。
吉琳:ジルと二人きりで、思い出をたくさん作りたいです…
(せっかく遠くの国に来ているんだし…)
ジル:まったく、貴方は…。抑えきれなくなっても知りませんよ
熱い吐息が頬をかすめ、唇が重なる。
吉琳:…ん、っ、……
戯れるように舌先を絡め、唇が離れる。
ジルは濡れた私の唇を、親指で拭う。
ジル:城に帰りたくなくなりますね
ジル:吉琳とこうしていると
甘い微笑みを浮かべたジルが、私を抱き上げる。
吉琳:ジル…?
ジル:旅行はまだ始まったばかりです
ジル:これから、二人きりの時間を楽しみましょう
ベッドに押し倒されながら、絶え間なく口づけが降る。
ジル:愛していますよ、吉琳
(私も、ジルのことが…好き…)
降り注ぐ甘やかな囁きに導かれて、ジルを見上げる。
私だけを見つめるその優しい瞳がそっと近づき、温もりが深く重なった……―

 

レオのストーリーを読む:

ある夜…
私は風にのって聞こえてくる華やいだ声に耳を澄ませる。
吉琳:すごく賑やかな声…。お祭りをやってるのかな
レオ:行ってみる?
吉琳:いいの?
レオ:いいよ。俺もお祭りを吉琳ちゃんと楽しみたいし
吉琳:ありがとう、レオ
(…最初の夜にお祭りがあるなんて、楽しい旅行になりそう)
微笑んでレオを見つめたその時…
一人の子どもが近づいてきて、私に花冠を差し出す。
男の子:これ、やる
吉琳:えっ、私に?
受け取ると、男の子は頬を真っ赤にして走って行ってしまう。
(なんだったんだろう……)
(でも、可愛い花冠だな)
顔を綻ばせて花冠を見つめていると、レオが眉を寄せて呟く。
レオ:まいったな
吉琳:え?
レオ:いや、なんでもない
レオ:行こうか
(今、レオは何を言おうとしてたんだろう?)

……
賑やかなお祭りの出店通りを抜けると、潮風が頬を撫でる。
レオ:お祭り、楽しかった?
吉琳:うん!
レオ:よかった。そういえば、吉琳ちゃん、ずっと笑ってたしね
(レオ、ずっと私のこと見てたんだ…)
少し恥ずかしくなって、まつ毛を伏せる。
吉琳:…少し、はしゃぎすぎたみたい
レオ:かまわないよ。楽しんでる吉琳ちゃんを見てるだけで俺も楽しい
レオはふわりとやわらかな笑みを浮かべる。
レオ:でも、さっきまで周り人がいたから…今度は二人きりで海辺を歩きたいな
レオ:せっかくだし、二人きりで過ごしたい
吉琳:うん…
レオが手を繋ごうとしたその時、私の手元で微かな音がした。
(そういえば…)
男の子から貰った花冠をそっと持ち上げる。
吉琳:どうして私にくれたんだろう
すると、そばでレオは小さく息をつく。
レオ:この国では、この時期花冠をあげるってことは
レオ:『君のことが好き』って意味なんだよ
吉琳:えっ
(知らなかった…)
男の子の顔が赤く染まっていた理由が分かり、私の顔も熱を帯びていく。
ふいに、レオの指先が熱くなった頬をなぞる。
レオ:…妬けるな
吉琳:でも、子どもだよ……
レオ:子どもでも関係ないよ
レオの手が、私の後ろにあった岩に置かれ、腕の中に閉じ込められてしまう。
(レオ…?)
顔に影が落ち、見上げた視線の先には熱っぽいレオの瞳がある。
レオ:吉琳ちゃんは、俺の花嫁さんでしょ
レオ:俺だけのものにしたい
吐息まじりの言葉と共に、唇を塞がれる。
吉琳:ん、っ…
レオ:今夜は吉琳ちゃんのこと、独り占めしたい
レオ:…だめ?
言葉を紡ぐ間もなく、レオは私の身体を抱き締める。
ゆっくりと砂浜に押し倒され、星空を背にしたレオが囁く。
レオ:…吉琳ちゃんを俺のものにしたい
吉琳:だめ…じゃない
頬を染めたまま答えると、レオのキスが優しく降ってくる。
レオ:好きだよ
甘い感触に身を委ねる私の耳には、静かな波の音が響いた……―

 

ユーリのストーリーを読む:

吹いてきた潮風が髪を揺らし…
ユーリが私の髪に飾られている花冠を押さえてくれる。
ユーリ:風強くなってきたね。大丈夫?
吉琳:うん、大丈夫だよ。…それに、もう少しこうして二人で歩いていたいから
ユーリ:吉琳様はほんと可愛いな
海の輝きの中でユーリがにっこりと微笑み、頬に熱が帯びていく。
(だって、せっかくのハネムーンだし…)
恥ずかしがる私を見て、ユーリがくすっと小さく笑みを零す。
ユーリ:いいよ。俺も二人っきりでいたい
吉琳:ありがとう
微笑み合い、寄り添いながら歩き始める。
けれど、その途端、砂に足をとられてしまう。
吉琳:…っ…!
(サンダルの中に砂が入って、少し歩きにくい…)
ユーリ:掴まってて、吉琳様
突然、ユーリの声が近づき、ふわりと抱き上げられる。
吉琳:ユーリ…!
ユーリ:俺が海辺まで連れて行ってあげる
間近で微笑む吐息が頬にあたり、だんだんと熱を帯びていく。
吉琳:で、でも……
ユーリ:吉琳様、軽いから大丈夫
私をぎゅっと抱き締め、ユーリは砂浜を踏みしめる。
力強い腕の中で小さく揺られながら、ユーリの横顔に見とれてしまう。
(なんだか…いつも見てるはずなのに、ユーリを見るとドキドキする)
(二人きりで旅行に来ているからかな…)
その時…―
ユーリ:わっ……
ユーリが砂に足を取られ、つまずきそうになる。
吉琳:ユーリ、大丈夫…?
ユーリ:危なかった。ごめんね、吉琳様
ユーリ:もう大丈夫だから
私を抱え直し、ユーリはそっと息をつく。
(このままユーリに連れて行ってもらうだけじゃだめだよね)
吉琳:ユーリ、私降りるよ
ユーリ:え?
吉琳:ユーリと一緒に海辺を歩きたい
微笑みを向けると、ユーリはそっと腕の力を緩めてくれる。
ユーリ:分かったよ
私は砂浜に足を降ろし、そのまま波うち際を歩いていく。
ユーリ:吉琳様…?
吉琳:気持ちいい
海に足を浸す私を見つめ、ユーリは目を瞬かせた後、楽しげに目を細める。
ユーリ:俺も入ちゃおうかな
波に足を浸しながら、ユーリがばしゃっと私に水をかける。
ユーリ:吉琳様、ほら…
吉琳:もうっ…
心地よい涼しさを感じながら、戯れるように水をすくい上げる。
ユーリ:わっ…今すごいかかった
青空の下で散った雫がキラキラと輝く。
(ユーリと一緒だと、濡れるのも楽しい)
はしゃぎながら両手で水をすくおうとした瞬間…
吉琳:きゃ…っ
大きな波が打ち寄せ、足をとられて身体が傾いた。
ユーリ:危ない
ユーリが手を伸ばして私を捕まえると、自分のほうへ引き寄せる。
(あっ……)
ユーリの胸の中から顔を上げると、視線が交わる。
見つめ合っていると、ユーリが大人っぽい表情を浮かべて囁いた。
ユーリ:…結局濡れちゃったね
吉琳:うん……
ユーリ:だけど、濡れた吉琳様も可愛い
吉琳:もう、ユーリ……
はしゃいだせいか、ユーリの言葉のせいなのか、頬が熱くなっていく。
ユーリ:本当だよ。それに二人でここに来られて良かった
ユーリ:普段言えないことも…言えるから
私を抱き締めていたユーリの手が、肩をたどり髪に触れる。
吉琳:ユーリ……?
ユーリ:吉琳様
ユーリ:この先も俺が恋に落ちるのは……
ユーリ:吉琳様以外には考えられない
微笑んだユーリの唇が、ふわりと私の唇と重なる。
(私も、ユーリ以外には考えられないよ)
吉琳:私も…。ユーリだけだよ
まっすぐにユーリを見つめて告げると、甘いキスで唇が塞がれる。
ユーリ:吉琳様のことが大好きだよ
何度も口づけを繰り返し…
熱を帯びる唇を、潮風がさらっていった……―

 

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12日目>>>2013年11月に開催していた『お菓子の家の甘いワナ』の 【ゼノ(傑諾)】、【アルバート(艾伯特)】のシナリオが読めちゃうよ☆

7&12

 

ゼノのストーリーを読む:

秋の日差しが、少し傾き始めた昼下がり…―。
私は、ゼノ様を招くお茶会の為の準備をしていた。
(よし…ここに置いておこう)
厨房から運んで来たお菓子の箱を置いてほっと息をついていると、
ゼノ:…何をしている
ゼノ様が不思議そうに、扉から顔を覗かせる。
吉琳:ゼノ様…どうしてここに…
ゼノ様を驚かせたくて秘密で準備をしていた私は、
とっさにお菓子の箱を身体で隠した。
ゼノ:ここまで続いていた
そう言って差し出されたゼノ様の手のひらには、
色とりどりのキャンディーが載っている。
吉琳:あ……っ
(もしかしたら、箱からこぼれてしまって…?)
吉琳:すみません、ゼノ様…
ゼノ:いや…
キャンディーを受け取ってお詫びをする私に、
ゼノ様はフッと柔らかい笑みを浮かべた。
ゼノ:ところで、こんな沢山のキャンディーを一体何に使うつもりだ?
私の背後にある大量のお菓子を見て、ゼノ様が私に尋ねる。
吉琳:…それは……っ
言い淀む私にゼノ様は優しく目を細めた。
ゼノ:……まあ、いい
ゼノ様はキャンディーを一つ、私の手のひらから取り上げ…
ゼノ:これに誘惑されて来てしまった
ゼノ:許せ
そう言って私の唇を優しく奪った。
やがて机の上に抱き下ろされると、ゼノ様の唇を胸元に感じる。
吉琳:ゼノ様…っ
トクンと跳ねる心臓が、耳にうるさいほどに響く。
やがてゼノ様は私の手をそっと握り、唇を下へと下ろしていった。
(どうしよう…っ)
ゼノ様の整った指がワンピースの裾をめくり上げていく。
そうしてゼノ様の腰を膝の間に感じると、私は頬を染めて視線をそらし…
ゼノ:…吉琳…
やがてゼノ様の掠れた声が、頭上から響くのを聞いた。
全身を、幸せな刺激の波が満たしていく。
お菓子の甘い香りに包まれて、私はそっと瞳を閉じていった…―。

 

アルバートのストーリーを読む:

ユーリ:ここに着替えを置いておくから
ユーリ:また、後で来るね吉琳様
吉琳:ありがとう、ユーリ
扉が閉まると、私はドレスの肩ひもを下げ先ほどの事を思い出す。
(…ユーリが着替えを用意してくれて、助かった)
私はシュタインで開かれるパーティーに出席していた。
そこで来賓の方が、誤って私のドレスにサングリアをこぼしてしまったのだ。
(それにしても、このサングリア……)
強く甘いフルーツの香りが鼻をくすぐる。
(早く着替えないと、身体に香りが移ってしまいそう)
そう思いもう片方の肩ひもを下げようとした時、
カチャリと扉のほうから音が聞こえた。
(え……)
振り返ると、そこには…。
アルバート:なっ……
ドアノブに手を掛けたまま目を見開くアルバートの姿がある。
吉琳:ア、アルバート……!?
慌てて肩ひもを上げようとすると、
扉を閉めようとしたアルバートの眼鏡が落ちてしまった。
アルバート:っ……
しゃがもうとしたアルバートを見て、私は目を見開く。
アルバートの足が眼鏡の上へと運ばれている。
(このままでは、踏んでしまう…!)
吉琳:う、動かないでくださいっ…!
咄嗟に駆け寄り、眼鏡を拾い上げた。
アルバート:すみません、私とした事が…
吉琳:いえ…
(良かった……)
眼鏡を差し出すと、アルバートは受け取りながら口早に話し出す。
アルバート:甘い香りが廊下に漂っていたので
アルバート:何かと思い開けたら…
そう言いながら、眼鏡が壊れていないかくまなく見る。
アルバート:まさか、プリンセスがいらっしゃるとは……
そうして眼鏡をかけ終えると、アルバートは私を見て顔を逸らした。
アルバート:………
(えっ?)
アルバートの視線に私は自分のドレスを見た。
肩から落ちたドレスの紐のせいで今にも胸が見えそうになっている。
吉琳:ごめんなさいっ…
慌てて隠すと、アルバートは顔を逸らしたまま呟いた。
アルバート:な、何も見ていませんから
顔を染めるアルバートに、私の顔も自然と染まってしまう。
(この状況で、何も見ていない訳ないけれど…)
吉琳:はい……
小さく呟くと、アルバートは咳払いをし口調を強めた。
アルバート:では、失礼
私は、閉まる扉を見るとどきどきする胸に手をあてた。
………
アルバートは扉を閉めると、眼鏡を外し目頭を指先でつまむ。
アルバート:どうしてこんな事に……
先ほどのプリンセスの姿が思い出されると、
どうしようもなく、顔が火照り出す。
アルバート:………
その時、廊下に漂う甘い香りが鼻をくすぐった。
アルバート:この香りは、まるで罠だな……
アルバートはプリンセスがいる部屋の方を見やると、
甘いサングリアの香りに眉を寄せた。

 

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13日目>>>2014年9月に開催していた『LOVE☆フェチ』の 【ルイ(路易)】、【レオ(里奧)】、【ゼノ(傑諾)】のシナリオが読めちゃうよ☆

3&9&13

 

ルイのストーリーを読む:

澄み切った青空の広がる、ある朝…―。
ルイの部屋で夜を明かした私は、ルイの隣で眠りについていた。
ルイ:ん……
ルイがこちらへ寝返りを打った拍子に、まどろみから目覚める。
(もう朝……)
そっと目を開けると、すぐ間近にルイの整った顔がある。
鼻先の触れそうな距離に、胸をドキドキさせていると、
ふと、昨晩の出来事が思い出された。

キャンドルの灯りだけが輝く、ルイの部屋のベッドの上で、
私はルイの腕に抱きしめられていた。
ルイ:吉琳…今日、いつもと違う香りがする
ルイ:香水、つけてるの?
吉琳:うん、少し…
吉琳:あまり気に入らない香りだった?
ルイ:ううん
尋ねると、ルイは首を振りながら、私の胸元に顔を寄せる。
ルイ:いい香り。すごく甘くて…吉琳によく似合ってる
言いながら、ルイの唇がドレスの上から私の胸元に触れてくる。
ついばむようなキスを何度も落とされると、ぴくんと肩が震えた。
ルイ:可愛い、吉琳
吉琳:……っ
呟く声は優しいのに、少し強引なルイの行動に、肌が熱くなる。
恥ずかしさに耐え切れず唇を噛み締めると、ルイが微かに目を細めた。
ルイ:…だめ
ルイ:声、我慢しないで
吉琳:でも…
困惑していると、ルイはじっと私を見つめ、柔らかな笑みを浮かべる。
ルイ:わかった
ルイ:じゃあ…声、我慢できないようにしてあげる
囁きとともに、ルイの手がそっと私の身体の曲線をなぞる。
その焦らすような手つきに、触れられた部分から甘く痺れていった。
吉琳:や…ルイ…っ
思わずルイの胸にすがりつくと、ルイが抱きしめ返してくれる。
ルイ:怖がらないで、吉琳
ルイ:もっと、俺のものになって……

吉琳:っ…
(思い出すだけで、恥ずかしい…)
思わず真っ白なシーツを胸元まで持ち上げると、
ルイが目を覚ましたらしく、とろんとした瞳で覗き込んで来た。
ルイ:吉琳、おはよう
吉琳:うん、おはよう…
顔が赤いのに気づかれないか、気にしながら答える。
すると、ルイは黙ったまま、ぎゅっと私を腕に抱きしめた。
ルイ:…まだ、いい香りがする
(え……)
そう呟いたかと思うと、ルイはシーツの中にもぐり込み、私の胸元に顔をうずめる。
ルイ:俺、こうしてるの好き…
(昨日の夜は、あんなに意地悪だったのに…)
幸せそうに目を閉じるルイの顔を見ると、なんだか可愛く思えてしまう。
(ルイには、翻弄されてばっかりだな)
でも、それが全然嫌じゃない。
私はルイの柔らかな髪を撫でると、広い背中にそっと腕を回した…―。

 

レオのストーリーを読む:

涼やかな風が木々を揺らす、とある休日の朝…―。
まどろみから覚めて目を開くと、レオの唇が額に押し当てられた。
レオ:おはよう、吉琳ちゃん
レオ:今、眠気覚ましの紅茶用意してたところだよ
レオは私の髪をそっと撫でながら、柔らかな声で告げる。
(レオ、優しいな…)
吉琳:ありがとう、レオ
嬉しくなって微笑んでお礼を言うと、レオは首を振る。
レオ:いいよ、これくらい
レオ:だって…昨日は少し無理させたでしょ?
内緒話でもするように耳元で囁かれて、一気に頬が熱くなった。
同時に、昨晩の記憶が脳裏によみがえる。

レオの部屋を訪ねた私は、
肘掛け椅子に座るレオに引き寄せられるまま、レオの膝の上に座った。
吉琳:ん……
レオは私に口づけすると、器用な指でドレスの襟元を緩めていく。
肌があらわになると、レオの唇は私の首筋へと伝っていった。
レオ:綺麗だよ、吉琳ちゃん…
レオ:このまま、もっと触れてもいい?
尋ねながらも、レオは私の答えを待たず、手のひらで肌を撫でる。
(っ…すごく、恥ずかしいのに…)
どこまでも優しいレオの触れ方に、頭がぼうっとしてきてしまう。
抵抗できずレオの胸に身を任せていると、レオがふっと笑みを浮かべた。
レオ:吉琳ちゃんて…意外と、好きでしょ?
レオ:俺と、こういうことするの
吉琳:…! そんな、こと…
あまりに恥ずかしい問いかけに、否定する声が震えてしまう。
レオ:俺は、好きでいてくれた方が嬉しいけど…
レオ:本音を教えてくれないなら、確かめてみるしかなさそうだな
吉琳:あっ…
笑みを一層深くしたレオは、私のスカートに手を触れると、
いたずらっぽい眼差しのまま、更に私を追い詰めていった…―。

(やだ…昨日のことがどんどん頭に浮かんできて…)
真っ赤になっていると、レオに抱き寄せられる。
吉琳:レ、レオ…?
一枚のシーツの中で、私とレオの肌と肌が重なり合った。
レオ:吉琳ちゃん、ドキドキしてるね
レオ:それに…身体も熱くなってる
吉琳:っ…だって、レオが急に…
困って俯くと、レオは微笑んで私を抱く腕に力を込めた。
レオ:ごめんね。俺、吉琳ちゃんと抱き合うのが好きだから
吉琳:え…?
レオ:吉琳ちゃんを身近に感じられるし、それに…
レオ:吉琳ちゃんの肌にたくさん触れられて、安心する
(レオ…)
吉琳:…ありがとう
吉琳:私も、レオに触れられてると、安心する…
レオ:吉琳ちゃん…
抱き寄せられると、触れ合った胸からお互いの鼓動が伝わる。
その心地いい音を感じながら、
私とレオは満たされた気持ちで笑みを交わしあった…―。

 

ゼノのストーリーを読む:

生まれたての朝日が地上を照らし出す、とある休日…―。
窓から差し込む光に目を覚ますと、
私を腕に抱いていたゼノ様もちょうど目を覚ましたらしかった。
ゼノ:…おはよう、吉琳
吉琳:おはようございます…
寝起きのゼノ様の声はいつも以上に低く響き、胸がドキドキしてしまう。
ゼノ:…………
ゼノ様は黙ってこちらを見つめたまま、私を胸に抱き寄せる。
そして優しい手つきで私の髪を撫でた。
ゼノ:身体は、辛くないか?
ゼノ:昨日は少し遅くなってしまったからな
吉琳:はい…大丈夫です
耳元で囁かれるゼノ様の声音には、私への気遣いが満ちている。
だけど私はつい昨晩のことを思い出してしまい、頬が熱くなった。

シュタイン国内での公務を終えた私は、
夜になり、ようやくゼノ様と二人きりの時間を過ごしていた。
ゼノ:吉琳…
ゼノ様は私を軽々抱え上げると、ベッドへと運ぶ。
そして私の身体を横たえさせると、シーツに広がった髪をすくい上げた。
ゼノ:お前は…本当に、綺麗だな
切なげな吐息の交じる囁きとともに、ゼノ様が私の髪に口づける。
吉琳:ゼノ様…
肌には触れられていないのに、熱を帯びた眼差しに鼓動が跳ねた。
ゼノ:このまま、俺のものだけにしておきたくなる
(あ……)
ベッドを軋ませながら、ゼノ様がそっと私に身を重ねてくる。
たくましい身体の重みを感じながら口づけられると、胸の奥が甘くうずく。
吉琳:んっ……
思わず広い背に腕を回し、ぎゅっとゼノ様にすがりつく。
ゼノ様はそんな私を安心させるように、何度も髪をなでてくれる。
ゼノ:…すまない
ゼノ:今夜は、優しくできそうにない
そう口にしながらも、ゼノ様は最後まで優しく、
でも少しだけ強引に、私を愛してくれた…―。

(恥ずかしい…)
(ゼノ様に髪を撫でられてたら、思い出しちゃって…)
私を見つめるゼノ様の瞳が見返せなくなり、俯いてしまう。
すると、ゼノ様の指が私のしているカチューシャに触れた。
ゼノ:ずれている
そう言うと、ゼノ様はカチューシャをあるべき位置に直してくれる。
吉琳:ありがとうございます、ゼノ様……
お礼を言う私に、ゼノ様は薄く微笑むと、私の髪を指ですいた。
ゼノ:お前の髪は、綺麗だな
吉琳:え…
そのままゼノ様の手が髪に差し込まれ、引き寄せられると、
首筋にかかった髪をかき分けるようにして、肌に口づけられる。
ゼノ:いつまでも触れていたいと思ってしまう
(ゼノ様……)
穏やかな声に身を任せると、ゼノ様の口づけは、
私の身体が熱くとろけてしまうまで、何度も続けられた…―。

 

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14日目>>>2013年10月に開催していた『オオカミに恋した赤ずきん』の 【ジル(吉爾)】、【シド(席德)】のシナリオが読めちゃうよ☆

6&14

 

ジルのストーリーを読む:

空高く、雲が風にたなびくある日…―。
私は、休日をジルと過ごすため、別邸を訪れていた。
ジル:すっかり、秋らしくなりましたね
窓の外に目をやり、ジルがフッと目を細める。
吉琳:秋の空は高く見えて…心が澄んだ気持ちになります
そう言ってジルに微笑みかけると、ジルが私の瞳を見つめる。
ジル:そうですか…
ジル:…秋の空は女性に例えられる事があるのを、ご存知ですか?
静かにそう続けたジルに、私は首を傾げた。
吉琳:いえ…そうなんですか?
ジル:何故なのか…当てられたら、そうですね…
ジル:ご褒美をあげましょう
にっこりと微笑んだジルの手が、私の唇を撫でる。
吉琳:ジルったら、こんな時にまで…
目をそらしてそう言うと、ジルの手が私の顎に添えられ、私の視線を引き戻す。
ジル:私はあなたの教育係ですから
ジルはじっと私を見据えた。
(…どうしよう、分からない…)
(でも、適当な事を言うと、それこそジルに…)
瞳を泳がせると、ジルがゆっくりと口を開く。
ジル:時間切れです
吉琳:…ごめんなさい……
瞳を伏せてそう言うと、ジルはにっこりと微笑んだ。
ジル:分からなくても仕方がないかもしれません
ジル:貴女には…縁のない事ですから
優しく私の頬を撫で、ジルは愛しげな眼差しで私を見つめる。
(…叱られるかと思ったのに……)
首を傾げると、私はジルにそっと首を引き寄せられた。
ジル:秋の空は、移り気な女性の心に似ていると…昔から言われています
ジルの腕の中、頭上で囁かれる優しい声に、私はそっと瞳を閉じる。
ジル:ですが…貴女の心は、私にしか向いていないでしょう?
吉琳:……っ
心の中を見透かされたようなその言葉に目を開けると、ジルの唇が私の首筋に落とされる。
吉琳:…あ……っ
そのまま私をソファーに押し倒すと、ジルは私の右足を肩の上に持ち上げた。
吉琳:ジル……っ
頬を真っ赤に染めてジルの胸を押し返そうとすると、ジルに手首を掴まれる。
口を開こうとすると、ジルの舌が私の唇を割り、喉の奥深くを探りはじめた。
吉琳:…は…ぁ…っ
手首を押さえつけられ、ジルの指がつま先から段々と上がっていくのを感じる。
やがて私はふっと力を抜き、窓から差し込んだ光がぼんやりと滲む。
その美しさを閉じ込めるように、私は瞳をゆっくりと閉じていった…―。

 

シドのストーリーを読む:

風がザワザワと木々を揺らす夜…―。
休暇で別邸に来ていた私は、夜道を一人歩いていた。
(ちょっと外の空気が吸いたくて出て来ちゃったけど…)
(思っていたより遠くへ来ちゃった…)
別邸の広大な敷地の中で帰り道を見失った私は、きょろきょろと辺りを見回す。
(見慣れた場所だと思っていたけれど…)
(夜になると、昼間とはまるで違う場所のよう…)
その時…
茂みからガサリと物音がして、私はぎゅっと目を瞑った。
???:…誰かと思ったら…ウィスタリアのプリンセスかよ
目をそっと開くと、そこにはシドが立っている。
吉琳:シド……
吉琳:邸までの帰り道が分からなくなっちゃって…
大きく息をついてそう言うと、シドはハッと息を吐いた。
シド:要するに、迷子ってことか
(…シドなら、帰り道が分かるかも…)
シドに別邸までの道を教えてもらおうと考えていたその時、
シドの口元に薄らと笑みが浮かぶ。
シド:…プリンセス…知ってるか?
シド:この辺りには、夜になると…オオカミが出るらしい
そう言ってシドは、私の頬に手を伸ばした。
思わずびくりと肩を震わせると、シドの手が微かに私の頬をなでる。
吉琳:そ、そんなわけ…だって、ここはお城の…
恐れを打ち消すようにそう言うと、シドの手が頬から首筋へと下ろされる。
(シド…私から全然目をそらさない…)
吉琳:ほ…本当なの…?
ドキドキと高鳴る胸を押さえてシドの瞳を見つめると、
シドがそっと私の耳元に唇を寄せた。
シド:このまま俺がお前をここに置いて行ったら…
シド:お前はきっと…オオカミに食われちまうな
吉琳:……っ
微かに私の首筋にシドの唇が触れたその時…
シド:…お前って、ほんとおもしれー奴だな
シドが、堪えかねたように笑い声を漏らす。
シド:こんなとこに、オオカミなんている訳ねえだろーが
そう言うと、シドはもはや隠すこともなく、肩を震わせて笑い始めた。
シド:それに、安心しろよ。お前みたいな色気ねぇ奴、オオカミも食べ応えがねーだろうから
吉琳:シ…シド……!
(ひどい…!)
頬が染まっていく事を感じながらシドに抗議すると、シドはやがて笑いをおさめる。
シド:そんなに怒んなって
シド:ほら
シド:仕方ねえから連れて帰ってやるよ
そう言うと、シドはすっと私に手を差し伸べてくれた。
シド:高く…つくけどな
(…本当に、怖かったんだから…)
(……あれ…?)
(そう言えば、さっき…)
急激に、シドの唇が触れた首筋の辺りが熱くなっていく。
シド:どうした?
吉琳:う、ううん…
染まっていく頬を夜闇が隠してくれた。
(夜で、よかった…)
ドキドキと音を立て始めた胸の音に気付かれないように、私はそっと、シドの手を取る。
夜空では、星が静かに瞬いていた…―。

 

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15日目>>>2013年9月(GREEにて)に開催していた『君に恋した365日』の 【ルイ(路易)】、【レオ(里奧)】、【ユーリ(尤利)】のシナリオが読めちゃうよ☆

1&15

 

ルイのストーリーを読む:

国中の女性の中からたった一人のプリンセスを選ぶための式が開かれ、
城の中は沢山の人で賑わいでいた。
(誰がプリンセスになろうと、俺には関係ない…)
たった一人、読書をしていたルイの耳に誰かの足音が聞こえてくる。
吉琳:ここ…かな?
声のする方へ振り向くと、庶民的な洋装をした女性が目に入った。
(プリンセスの志望者だろうけど…)
スカートが汚れるのも気にせず、彼女は土の上にしゃがみ込んでいる。
(いや、それにしては…)
近づいてきたルイに気がつき、女性はハッと顔を上げた。
ルイ:………ここで、何してたの?
吉琳:探し物を…
吉琳:絵本に出てくる、白い花を
(白い花って…もしかして、あの…?)
ルイは一瞬目を丸くしたが、すぐに冷めた瞳で彼女を見つめ直した。
ルイ:……あんなくだらないおとぎ話、本当に信じているの?
(馬鹿馬鹿しい…)
(そんな物のためにここへ来たと言うなら、本当に馬鹿だ…)
無垢な表情で自分の名前を尋ねた彼女に、ルイは静かに答える。
ルイ:…ルイ
ルイ:覚えなくていい…もう二度と会うことはないだろうから
(もし万が一、また出逢うようなことがあるとするなら…)
(それは…君にとって、悲劇だ)
それからしばらく経って、
ルイはあの中庭で出逢った彼女がプリンセスに選ばれたことを知った…―。
………………
ジル:ハワード卿、お待たせして申し訳ありません
ルイは吉琳にダンスを教えるため、城を訪れていた。
吉琳:ルイ…今日はよろしくお願します
控えめに微笑んで礼儀正しくお辞儀をした吉琳の姿に、
ルイはそっと溜息をついた。
(…こうやって)
(人形が出来ていくんだろうな)
作法通りに礼を返すと、ルイは吉琳の背中に手をまわす。
(…吉琳も)
(いつか俺のように、氷でできた人形と呼ばれるようになる…)
ダンスの音楽が流れ始めた。
吉琳の足取りはぎこちなく、不安そうに足元を気にしている。
ルイ:ダンスの基本姿勢
ルイ:背筋を伸ばして、顔を上げる
ルイ:…前にもそう、言ったはずだけど
自分の言葉がルイの耳に冷たく響いた。
ルイ:それから、あまり靴音は立てないで
ワルツの静かな足踏みに、吉琳が不思議そうに首を傾げる。
吉琳:ずっと…こうして踊るものなのですか?
ルイ:ここでは、そう言う決まりだから
(…笑い方にも決まりがあるくらいだからね)
ルイの言葉に、規則正しい靴音が重なる。
(ここは、君のような子がいるべき場所じゃない)
………………
その夜…―。
眠れずに庭園に出たルイは、月明かりの下に人影を見つけた。
(…こんな時間に誰が……)
???:背筋を伸ばして…
(…吉琳?)
(一人で練習してたんだ…)
集中しているのか、ルイが近づいても吉琳は一向に気づかない。
吉琳:…あっ
ルイ:……!
バランスを崩して倒れかけた吉琳の身体をルイはとっさに抱きかかえた。
吉琳:も、申し訳ありません…!
吉琳は顔を赤らめ、あたふたとしている。
ルイ:慌てるか謝るか、一つにしたら…?
吉琳:ごめんなさい…
ルイ:……
ため息を一つこぼし、立ち去ろうとしたルイに向かって、吉琳が呼び掛ける。
吉琳:あの…っ
(どうして…)
(こんな風に頑張ったりするんだろう)
吉琳:…私にダンスを…教えてくださいませんか?
(プリンセスになって、自由も何もかもを失ったはずなのに…)
吉琳が申し訳なさそうに、けれどもはっきりとした声で言う。
吉琳:この国のために役立つプリンセスに…早く、なりたいんです
ルイは吉琳の真っ直ぐな瞳に映った自身の姿を見据えた。
ルイ:今はレッスンの時間じゃない
冷たく言い放つと、吉琳が残念そうに顔を俯かせる。
吉琳:そう…ですよね…
(俺もおかしい)
(他人のことなんて、放っておけばいいのに…)
ルイ:…他人に、無理に何かを頼むなら
吉琳:え…?
ルイ:身をもって、それなりのものを支払うべきだ
吉琳の腕を掴み、そのまま自分の身体に引き寄せる。
吉琳:ルイ…何を…っ
ルイは表情を変えず、親指で吉琳の顎を引く。
顔を傾け、唇を近づけると吉琳がぎゅっと瞼を瞑った。
(俺がここまでするなんて…)
ルイはフッと口元に笑みを浮かべると、
何事もなかったかのように吉琳の身体を解いた。
ルイ:これくらいの挑発、平然としていないとダメだよ
吉琳は頬を真っ赤にして、目に涙を浮かべている。
(吉琳を見ていると…)
(なんだか、放っておけない気持ちに…なる)
ルイ:この先、君はもっと辛いことに耐えていかないといけないんだから
吉琳の目元についた滴を指で拭って、ルイはそっと手を差し出した。
吉琳:ダンス…教えてくれるの…?
(吉琳がどうなろうと)
(俺には、何の関係もないはずなのに…)
………………
吉琳がお城にやってきてちょうど一年がたった日…―。
盛大なパーティーの後で、ルイは吉琳の部屋を訪れていた。
ルイ:おめでとう、吉琳
吉琳:…ありがとう
改めて祝いの言葉をつぶやき、吉琳の身体を抱きしめる。
(あれから一年経ったんだ…)
ルイ:吉琳……いい?
甘えるように尋ねると、吉琳がこくんと小さく頷く。
(あの頃…)
(吉琳を冷たく突き放してた自分が、信じられない)
ドレスの紐をほどきながら、ルイは吉琳の耳元に唇を寄せる。
(今はこんなにも、吉琳のことが好きなのに…)
ルイ:俺と吉琳って…
ルイ:今まで何回くらい、こういうことしたのかな…?
吉琳の顔がみるみるうちに赤く染まっていく。
吉琳:覚えて…ないよ
そう言ってそっぽを向く吉琳の頬を、ルイは優しく指で撫でる。
ルイ:俺も覚えてない
ルイ:でも…
ルイは吉琳の唇に自分の唇を重ねた。
ルイ:吉琳がされて好きなところは、全部覚えてる
吉琳:ん…っ
(俺は毎日、吉琳に恋してる)
(吉琳にも俺の事、好きでいて欲しい…)
(俺が知らない吉琳をもっと知りたいって、いつも思う…)
吉琳:あ…っ
ルイ:ここ、好きでしょ?吉琳…
脚の間に指を滑り込ませると、吉琳が甘い声を漏らす。
吉琳:ルイ…っ
吉琳の潤んだ瞳にルイの姿が映る。
ルイ:吉琳…
ルイ:…愛してる
(一年前とは比べ物にならないほど)
(毎日、もっと、君の事が好き…)
その夜ルイは、幾度となく吉琳を愛した。
二人の身体は熱を帯びて、甘やかな響きが部屋を満たしていた…―。

 

レオのストーリーを読む:

レオ:俺はレオ=クロフォード。レオって呼んで
城にやってきた新しいプリンセスに向かって、レオはニコリと笑いかける。
(この子がジルの選んだプリンセス…)
レオ:よろしくね、可愛いプリンセス
吉琳:よ…よろしくお願いします
(さて…お手並み拝見だよ)
(プリンセス…)
………………
空が美しく染まった、ある夕暮れ時…―。
吉琳に勉強を教えるために部屋を訪れたレオは、腕を組んで窓の外を眺めていた。
吉琳:…以上が、ウィスタリアの主な交易国である
教科書を暗唱し終えた吉琳を振り返り、レオはにっこりと微笑む。
レオ:よく出来ました
レオ:こんなに覚えるの、大変だったでしょ
吉琳はホッと胸をなで下ろし、嬉しそうに笑った。
吉琳:早く、一人前のプリンセスになりたくて…
(生真面目というか、一生懸命というか…)
レオ:一人前…ねえ
ふと気づくと、吉琳は本に穴が空くほど熱心に、読書に勤しんでいる。
(頑張りすぎて身体でも壊さないといいけど…)
レオ:ねえ吉琳ちゃん。早く一人前になるにはどうしたらいいと思う?
吉琳:え……?
(なーんて…)
(ちょっとは肩の力抜かないと、息切れしちゃうからね)
レオ:教えて欲しい?
尋ねると、吉琳はこくりと頷いた。
レオ:じゃあ…教える代わりに吉琳ちゃんに城下を案内してもらおうかな
レオ:ジルから許可を取ってあげるよ
(俺も城下での吉琳ちゃんを見てみたいし)
にっこりと笑うと、吉琳は目を瞬かせた。
………………
翌日…―。
朝から馬車に乗り込んだ二人は、昼前には城下に到着していた。
レオ:ここが、吉琳ちゃんの行きつけだった紅茶屋さん?
吉琳:うん…
絶妙な距離を保つ吉琳に、レオはクスクスと笑い声を漏らす。
(そんなに固くなられると、俺、意地悪なことしたくなっちゃうんだけど…)
(それに…)
(吉琳ちゃん、久々の城下で周りが見えてなくて危なっかしいし…)
レオはおもむろに咳払いをすると、吉琳の腰に手をまわした。
吉琳:ちょ、ちょっと…レオ……っ
身を固くして逃れようとする吉琳の耳元に、レオはそっと囁く。
レオ:吉琳ちゃんから目を離さないようにって、ジルから言われてるんだ
レオ:もしかして…俺のこと、意識しちゃった?
吉琳:……っ
頬を真っ赤に染めた吉琳は、やがて大人しくレオの腕の中に収まった。
レオ:いい子
(…ほんとに、素直な子だな)
城下を歩く間、街の人々が何度も吉琳に声をかける。
それに笑顔で応える吉琳を見て、レオは目を細めた。
(吉琳ちゃんが皆に愛されるの、分かるよ)
そう思うと、レオの胸がつきんと跳ねる。
(あれ……?)
胸に手を当てて、レオは不思議そうに眉をひそめた。
………………
その夜…―。
城下から戻った二人は、夕食後の授業を始めた。
レオ:じゃあ、昨日の続きから
吉琳:レオ
吉琳:あの…早く一人前になる方法って…?
吉琳は真剣な眼差しでレオを見つめる。
レオ:ああ…あれ?
レオ:俺が吉琳ちゃんとデートするための、ただの口実だったんだけど…
(ていうか…息抜きさせてあげたかったし…)
レオから目を離さないでいる吉琳に、レオは頬を掻く。
(俺…あんまりこういう事言うの得意じゃないんだけど)
レオ:…近道は、ないよ
レオは、静かに口を開く。
レオ:でも、確実な道はある
吉琳:……
レオ:この授業を投げ出さないこと
レオ:けど、身体を壊したら元も子もないから…あまり無理をしないこと
(それから…)
(城下の暮らしを忘れない事)
(これは、わざわざ言う必要はないよね?)
にっこりと笑うと、レオは吉琳に目で椅子をすすめる。
やがて腰掛けた吉琳は、まっすぐにレオを見つめた。
吉琳:…レオ…私ってば、プリンセスになる為の近道なんか求めてしまって…
レオ:いいんだよ。だって、本当に…
レオ:吉琳ちゃんと二人で街を歩きたかっただけかもしれないし
レオはそう言っていつものように冗談めかした笑みを浮かべた。
吉琳:…ありがとう
吉琳は満面の笑みを浮かべた。
(…あれ……?)
その笑顔に、レオの胸がわずかに鼓動を早める。
その事に気がつかないふりをして、レオは教科書を手に取った…―。
………………
あれから一年がたった今日…―。
レオ:お疲れさま、吉琳ちゃん
プリンセス就任の一周年を祝った式典を終え、レオは吉琳を優しく出迎える。
レオ:…すっかり『一人前のプリンセス』みたいだったよ
少し意地悪にそう言って、レオは吉琳の額にキスをする。
吉琳:もう…レオのいじわる
(本当に立派だったよ…吉琳ちゃん)
レオ:…頑張った吉琳ちゃんに、何かご褒美をあげないとね
吉琳の唇を親指で撫でながら、レオが微笑む。
吉琳:ご褒美って…
レオ:吉琳ちゃんのしたいこと何でも…俺にしていいよ
吉琳の顔が一気に赤く染まる。
(…ここで予想通りの顔しちゃうんだもんな)
(一年経っても変わらず、吉琳ちゃんって素直だよね)
レオ:いや、やっぱり…
レオ:せっかくのお祝いの日だし、俺がエスコートしようかな
吉琳の身体を抱きかかえ、ベッドに寝かせると、
レオはその上にまたがった。
吉琳:レ、レオ……っ
(吉琳ちゃん、緊張してるのバレバレ…)
(って…俺も実はそうなんだけどね)
レオ:吉琳ちゃんって…本当に可愛いよね
レオ:こんなに可愛い人、俺見たことないよ
吉琳:レオったら…いつもそんな冗談ばっかり言って
頬を火照らせた吉琳の胸元に顔をうずめ、レオは優しく囁いた。
レオ:…冗談じゃないよ
レオ:吉琳ちゃんだけにはね
そう言うと、レオは吉琳のドレスの裾から指を滑り込ませる。
吉琳:レオっ…もうっ
レオ:ん?だって、俺が本気だって、吉琳ちゃんに分かってもらわなくちゃ
そう言って、レオは吉琳の内股に自分の足を差し込む。
(吉琳ちゃんに触れる度、いつも、心から思ってるよ)
(自分でも情けないほど、俺は君に惚れてる…)
二人きりの部屋を、密やかな吐息が満たして行った…―。

 

ユーリのストーリーを読む:

ユーリ:…お呼びでしょうか?
ジルに呼ばれ、その先でユーリは一人の女性と対面した。
彼女は緊張しているのか、少し伏せ目がちに立っている。
(この人がプリンセス…)
ユーリは僅かに目を細めると、首を傾げるようにして明るく微笑んだ。
ユーリ:よろしく
すると彼女もまた、ホッとしたようにユーリに微笑みかける。
吉琳:こちらこそ、よろしくお願いします
(城下出身の人だからかな)
(笑顔がすごく自然)
ジル:ユーリ、吉琳様のご案内をお願いします
(ウィスタリアのプリンセス…)
(吉琳様…か)
………………
吉琳がプリンセスになって、しばらく経ち…―。
(吉琳様、喜ぶかな)
慣れないお城で生活を送る吉琳のためにユーリが用意したお菓子は、
吉琳が好きだと言っていた城下にある菓子屋のケーキだった。
(ちょっとは寂しさが紛れるといいけど…)
部屋に入ると、いつもはパタパタと出迎えてくれる吉琳の姿が見えない。
(勉強中かな…?)
ユーリ:吉琳様、お茶が…―。
ユーリは途中で口をつぐむ。
机に向かっている吉琳は、本を枕に寝入ってしまったようだった。
(疲れちゃったんだね…)
(…ほんと、吉琳様って健気だな……)
ユーリは音をさせないように気をつけてトレーを置く。
そしてそっと吉琳を抱き上げると、そのままベッドへと向かった。
(無邪気な寝顔…)
クスリと笑みを漏らすと、吉琳が腕の中でわずかに身じろぎをする。
(吉琳様の次の予定まではまだ時間があるし…)
(少し、寝かせてあげよう)
窓から吹き込んだ風が頬を撫で、ユーリは目を閉じる。
(いい風…)
(紅茶…後で淹れ直さなきゃ……)
……
…………
(紅茶の…香り?)
ふと目を開けると、ユーリはひとり、吉琳のベッドの上にいた。
ユーリ:え…?
状況が飲み込めないまま起き上がると、吉琳がこちらへやってくる。
吉琳:ユーリ、目が覚めた?
にっこりと笑う吉琳は、その手に紅茶を乗せたトレーを持っていた。
ユーリ:え…俺…?
吉琳:気持ち良さそうに寝てたから、起こしたら悪いかなって
(吉琳様の隣で寝ちゃったって事…?)
ユーリ:吉琳様、ごめ…
あわててベッドから下りたユーリに、
吉琳は無邪気に笑って湯気が立ちのぼる紅茶を差し出す。
吉琳:ユーリみたいに美味しく淹れられてるか分からないけど…
(あれ…?)
吉琳:ユーリ…どうしたの?
吉琳はきょとんと不思議そうにユーリを見つめている。
(気にしてないの…?)
(男が隣に寝てたのに…?)
吉琳:それから…
吉琳:ケーキ…ありがとう。とっても嬉しい
そう言うと、吉琳は満面に嬉しそうな笑みを浮かべた。
(俺って、全く男として見られてないのかな…)
ユーリ:…ううん
(確かに、吉琳様をそういう目で見た事ってないけど…)
(俺は、かわいいなってくらいは思うのに)
紅茶を一口飲むと、ユーリはおもむろに口を開いた。
(…ちょっと、からかっちゃおっかな)
ユーリ:…ねえ、吉琳様?
ユーリ:俺が、どうしてわざわざ城下のお菓子屋にまで行ってきたんだと思う?
吉琳:え……?
ユーリ:俺が、吉琳様の気を惹こうとして…って考えないの?
吉琳は、ふふっと笑みを漏らす。
吉琳:ユーリは、そんな人じゃないよ
(…そんなに信頼されてもなぁ……)
(吉琳様、俺、そんなにいい人じゃないよ)
じっと吉琳の瞳を見つめ、ユーリはゆっくりと吉琳に詰め寄った。
ユーリ:そんな人…だったらどうする?
壁に吉琳を押しつけると、ユーリは微笑んで問いかける。
吉琳:ユー…リ?
吉琳は少し怯えた表情を見せた。
(あ…やりすぎちゃったかな)
ユーリ:…なーんて
ユーリ:冗談だよ、吉琳様
必要以上に明るく言って、ユーリはおどけて見せる。
ユーリ:吉琳様……?
俯いた吉琳の顔を覗き込むと、
吉琳は頬を真っ赤に染めて視線を床に落としていた。
ユーリ:吉琳…様
差し伸べたユーリの手をすり抜け、吉琳は足早にドアへ駆け寄る。
ユーリ:ごめん、吉琳さ…
ユーリの言葉を遮るように、ドアが閉められた。
………………
吉琳:ユーリ、おはようございます
吉琳の執務室を訪れたユーリは、
満面の笑みを浮かべた吉琳に出迎えられた。
ユーリ:吉琳様、昨日は…
ユーリ:その…ごめんね?
(自分でもやり過ぎたかなって思ってるし)
(俺…嫌われちゃったかな?)
吉琳は少しの間ユーリをじっと見つめたが、やがて口を開いた。
吉琳:ううん…私こそ、急に何も言わず出て行ってしまってごめんね
ユーリ:吉琳様…
(もしかしたら…)
(俺、悔しかったのかな…?)
吉琳:そうだ…
吉琳:実は昨日のお菓子、まだとってあるの
そう言って吉琳はユーリに向かって笑みを向ける。
(吉琳様に男だって意識されてなかったこと…)
(ちょっと、寂しかったのかも)
吉琳の微笑みを見つめるユーリは、胸が甘やかに痛むのを感じた…―。
………………
一年後…―。
プリンセスが選定されて1周年のパーティーが終わった後のこと。
吉琳:ん…っ
ユーリはベッドの上で吉琳と抱き合いながら、
息も出来ないくらいに深い口づけを交わしていた。
ユーリ:式典で挨拶してる時、吉琳様…すごく立派だったよ
吉琳:ありがとう、ユーリ…
吉琳の頭を引き寄せ、またその唇を奪う。
(一年経ったんだ)
ユーリ:吉琳様…大好きだよ
ユーリ:優しくてかわいい吉琳様が…
(一年経って、俺も吉琳様に似合うくらいの男になったよね?)
ユーリ:吉琳様、俺も…変わった?
吉琳:え…?
吉琳がきょとんとした顔をしてユーリを見つめる。
ユーリ:ちょっと吉琳様…
ユーリ:俺も吉琳様のこと褒めたでしょ?
ユーリ:だから、吉琳様も…俺のこと褒めてよ
ユーリは甘えるように囁くと、吉琳の太股に舌を這わせる。
途端、吉琳の体がぴくりと跳ねた。
吉琳:ユーリ…っ
ユーリ:一つ教えてくれる毎に吉琳様のこと、良い気持ちにしてあげるから
ユーリ:ね?
(吉琳様のためだったら俺、背伸びでも何でもするよ)
(世界で一番、吉琳様のことが大好きだよ…)
透明な月の光に照らされながら二人の吐息がそっと、重なっていった…―。

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    小澤亞緣(吉琳) 發表在 痞客邦 留言(3) 人氣()