日版王宮-王宮フェス2023~彼と過ごす甘い夜決定戦~
(獎勵故事)
【期間】2023/03/12~2023/03/27
『夜空の下で一緒にお酒を飲みたいオトナな彼部門』
『怖い夢を見た時に隣にいてほしい頼れる彼部門』
『お揃いのパジャマで夜更かししたい彼部門』
『不安な夜に一途に愛を囁いてほしい彼部門』
ちょっとしたトラブルに巻き込まれてしまったあなたと彼ら。
協力し合う二人に、新たな一面が垣間見えて…―
…………
………
言葉が無くとも二人はお互いのことをよく理解しているようで…―
ユーリ 「でも、会議中に気づいたのはゼノ様だったんだよ」
ゼノ 「ユーリは、よく気づいたな。俺は一言も指示しなかっただろう」
…………
騎士の二人は咄嗟に共闘することになって…―
アラン 「いいから、さっさと片づけるぞ」
アルバート 「言われなくても分かっています」
…………
一見、仲の悪そうな二人だけれど、考えていることは同じなようで…―
シド 「そんなに怖い顔すんなよ」
ルイ 「……ふざけてないで、早く話を進めて」
…………
知的な二人は事態をスマートに解決するようで…―
レオ 「そうだよね? ジル」
ジル 「ええ、お任せください」
…………
昔馴染みの二人は自然に役割分担していけるようで…―
レイヴィス 「ロベール……?」
ロベール 「やあ、吉琳ちゃん。レイヴィスも……二人揃ってどうしたんだい?」
…………
………
突然のことのはずなのに、息ぴったりの二人…―
あなたを思う彼らの強い絆を覗いてみませんか?
さらに、今回はランキング特典に全員が登場する、ユーリ視点のミニシナリオが登場…―
アラン 「今度の行事の警備計画、吉琳の護衛の数、もっと増やした方がいい」
レオ 「村人たちと直接交流する機会だから、あまり物々しくしない方がいいと思ったんだけどね」
シド 「相変わらず食えねえ奴」
ルイ 「情報を整理して、早く策を立てた方がいい」
ジル 「ええ、早速取り掛かりましょう」
レイヴィス 「会わなくても、吉琳の笑顔が目に浮かぶよ」
ロベール 「今日は時間がないけど、今度一緒に吉琳ちゃんの感想を聞きに来ようか」
ゼノ 「吉琳は知っているのか?」
アルバート 「プリンセスの性格からすると、本人に伝えた方が喜ぶんじゃないか?」
ユーリ 「吉琳様にちょっと話したいことがあるんだ」
ユーリ 「きっと、吉琳様がもっともっと元気になる話だよ」
プリンセスを思う彼らの日常に、深い愛を感じて…―
[獎勵故事]
70枚特典
ストーリーを読む >>>
吹き抜ける風に春の温もりを感じる、とある日の午後…―
自警団を視察するためにフレイ地区を訪れた私は、
レイヴィスと通りを歩いていた。
泣き声に気づき目を向けると、通りの少し先に小さな男の子が立っている。
(あれは……)
レイヴィス 「ロベール……?」
男の子の前で地面に膝をついているのは、ロベールさんだった。
吉琳 「何かあったのかな? 行ってみようか」
レイヴィス 「……ああ」
顔を見合わせた後、私とレイヴィスは二人に歩み寄った。
***
吉琳 「ロベールさん」
ロベール 「やあ、吉琳ちゃん。レイヴィスも……二人揃ってどうしたんだい?」
吉琳 「私は自警団の視察に。何かあったんですか?」
ロベール 「俺は絵の依頼があって、たまたまこの街を訪れていたんだけど……」
依頼を終えて題材を探していた時に、
泣いているこの男の子に会ったと教えてくれた。
ロベール 「どうやらこの子の飼っている犬が逃げてしまったらしいんだ」
男の子 「ぼ、ぼくがひもをはなしてしまったから……」
吉琳 「そうだったんだ……心配だね」
ロベールさんと並んでしゃがみ込み、男の子の頭を撫でる。
レイヴィス 「このままほっとくこともできないし、探してやるか」
吉琳 「でも、どうすれば……」
レイヴィス 「自警団の奴らに声をかけてみるよ」
レイヴィス 「見回りの最中で、見つかるかもしれないし」
ロベールさんは頷くと、泣き続ける男の子を覗き込んだ。
ロベール 「飼っていたのはどんな犬だった? 色と大きさを教えてくれるかい?」
男の子 「く、くろ……おおきかったよ、これくらい」
男の子が両手を広げて教えてくれる。
ロベール 「紐を離した場所は?」
男の子 「む、むこうのとおり……おかしやさんがあったから」
男の子 「いいにおいがしたの」
レイヴィス 「それで思わず紐を? 子供らしい理由だね」
くすりと笑みを零したレイヴィスが、ロベールさんに目を向ける。
レイヴィス 「この子と一緒にここで待ってて。俺は自警団の連中に聞いて回るから」
ロベール 「分かった。頼んだよ、レイヴィス、吉琳ちゃん」
レイヴィスは男の子の涙を軽く拭うと、二人に背中を向けた。
***
自警団の皆に聞き込みをするうちに、黒い犬が保護されていることが分かった。
その犬を連れてロベールさん達の元に戻ってくると、
男の子が犬をぎゅっと抱きしめる。
男の子 「おにいちゃんたち、ありがとう!」
レイヴィス 「もう紐を離しちゃ駄目だよ?」
男の子 「うん!」
泣いていたのが嘘のような笑顔で、男の子が犬と駆け出していく。
その背中が見えなくなるまで見送って、私は二人と顔を見合わせた。
吉琳 「見つかって、本当に良かったです」
吉琳 「レイヴィスも、ロベールさんも……ありがとうございました」
ロベール 「俺は何もしてないよ」
ロベール 「それにしても、あの男の子の背中……幼い頃のレイヴィスを思い出すね」
ロベールさんのどこかからかうような口調に、レイヴィスが苦笑いを浮かべる。
レイヴィス 「俺はあんなやんちゃじゃなかった」
ロベール 「そうかな? 結構やんちゃだったと思うけど」
ロベール 「お菓子屋さんの前で足を止めたりするところも、よく似てる」
レイヴィス 「そんなことないって」
(二人のおかげで、犬も見つかったし……)
(レイヴィスとロベールさん、やっぱり息がぴったりだな)
春の陽射しの下、楽しげな二人の様子に私もつい笑みが零れ落ちた…―
200枚特典
ストーリーを読む >>>
周辺の国々の賓客をお招きして盛大なパーティーを開いた、ある夜のこと…―
東の国の大使 「その顔、わが国に対して何か言いたいようですな。はっきり言ってはどうだ!?」
西の国の大使 「では言わせてもらおうか……!」
以前から犬猿の仲だった二国の使者が派手な言い合いを始めてしまい、
他の招待客が戸惑った顔で遠巻きに見ていた。
(っ……いけない、争いを止めないと)
今にも殴り合いになりそうな大使たちに近づこうとした時、私の前に二人の人物が立ちはだかる。
ジル 「まさか自身が止めに入ろうとしているわけではありませんよね? プリンセス」
レオ 「勇ましい君も素敵だけど、怪我でもしたら困るでしょ?」
吉琳 「でも、早く止めないと他のお客様にも迷惑が……」
ジル 「こういう時こそ、貴女は堂々としていてください」
レオ 「ジルの言う通り。ほら、もっとリラックスして笑ってよ」
そう言ってレオが私の手を取って、フロアの真ん中と歩いていく。
吉琳 「っ……レオ、何を」
レオ 「俺と踊ってくれる?」
吉琳 「え?」
レオは私の背を軽く抱き寄せて微笑む。
レオ 「俺と踊ってる間に、問題を解決してみせるから」
それからレオは、ジルの方を振り向く。
レオ 「そうだよね? ジル」
ジル 「ええ、お任せください」
ジルが余裕たっぷりの笑みを浮かべて、言い争う二人へと近づいていった。
レオ 「吉琳ちゃんは笑って? そうすれば、他の皆も安心するから」
吉琳 「っ……うん」
(パーティーの主催者の私が、動揺してはいけない……)
私はレオと踊りながら、視界の端でジルを見守った。
ジル 「お二人共、少々声が大きいようです」
ジルが近づいて行くと、二人の大使は一瞬だけ冷静になって離れた。
東の国の大使 「申し訳ないが、止めないでくれ。我が国の威信に関わる問題なんだ」
ジル 「ええ、止めたりはしませんよ」
西の国の大使 「どういうことだ……?」
ジル 「ここで言い争いを止めたところで根本の問題を解決しなければ、その場しのぎにしかなりませんから」
ジル 「そこでぜひ、我が国が間に入り、双方とも納得がいくまで話し合っていただきましょう」
そこまで話したジルが、ちらりと私の方を見て……
ジル 「これは我が国のプリンセスの意向でもあります」
(……! 私は何もしていないのに……)
目を見開く私にレオがにっこりと微笑む。
レオ 「プリンセスの名前を出せば、彼らも逆らえないし、」
レオ 「それに吉琳のプリンセスとしての名声も上がるでしょ?」
吉琳 「もしかして、二人で考えて……?」
レオ 「うん。俺たちの大事な吉琳ちゃんに、」
レオ 「危ないことはさせない……って意見が一致してたからね」
どうやら私を止める直前に二人で話し合って、役割分担をしていたのだという。
そこへジルが戻って来て……
ジル 「問題は解決いたしましたよ、プリンセス」
吉琳 「こんなに、あっさりと……」
(さすがジルだな……)
ジル 「二人を別室に案内してもらいましたので、後は任せてもいいですか? レオ」
レオ 「もっと吉琳ちゃんと踊っていたかったけどね」
レオ 「大人しく交代するよ」
吉琳 「あ……」
レオは最後に私をターンさせて、握っていた手をジルへと渡す。
レオ 「それじゃあ、また後で二人の話し合いがどうなったか知らせるから、」
レオ 「吉琳ちゃんはジルと楽しんでて」
吉琳 「うん、ありがとう、レオ」
レオがその場を去っていく。
ジル 「ここからは私がお相手して差し上げます」
ジルがそう耳元で囁き、ゆったりとステップを踏み始める。
吉琳 「それにしても、問題解決も何もかも……二人は息がぴったりですね」
ジル 「長く、共に働いてきましたから。自然とお互いの行動や思考が読めるのですよ」
吉琳 「……! もしかして、私の思考も読めるんですか?」
ジル 「貴女の場合、考えていることが全て顔に出るので、読まなくてもわかりますよ」
吉琳 「っ……」
ジル 「レオもよく、貴女はわかりやすいと言っています」
(レオまで……)
ジル 「この曲が終わったら、一旦退出してレオの様子を見に行きましょう」
今夜、改めて頼りがいのあるジルとレオを見て、私はプリンセスとして誇らしく思うのだった…―
270枚特典
ストーリーを読む >>>
ある日の公務中…―
私は、先ほどの官僚たちとの話し合いを思い出して、ついため息をついてしまった。
(いい案だと思ったのに、『ここは慎重に』って、遠回しに反対されてしまったな……)
(一人で考えていても仕方がないし他の人の意見も聞いてみようかな)
そうして執務室を出て廊下を歩いていると……
ルイ 「あ、吉琳……」
廊下の奥から来たルイが、何故か心配そうな顔で近づいてくる。
ルイ 「何か、あった?」
吉琳 「え、どうして分かったの?」
ルイ 「顔を見たら分かるよ。良かったら話してみて?」
吉琳 「実は、今まで国交がなかった東の国とも交易を始める案を出したんだけれど、」
吉琳 「よく分からない相手との取引は、危険要素が大きすぎるって、やんわり反対されてしまって……」
ルイ 「でも、成功すればウィスタリアのためになる……吉琳は、そう思ったんだね?」
ルイが口にした意見は私が考えていたものと同じだった。
吉琳 「っ……うん」
(ルイは、私のことを何でも分かってしまうみたい)
吉琳 「何か、官僚たちに納得してもらえるような、いい案はないかな?」
ルイ 「だったら……まずは交易の話は置いといて、友好的な訪問から始めてみたらいい」
ルイ 「吉琳が訪問した後、今度は向こうの使者をウィスタリアに招く……」
ルイ 「直接会えば分かることも多いし、お互いの国を見せて、」
吉琳 「いきなり政治的な話はせずに、お互いを知る……というところから始めるってことだね?」
吉琳 「早速、訪問させてもらえるか手紙を出してみようかな」
ルイ 「だったら、まずは相手の国に伝手がある人を介したほうがいいんじゃない?」
吉琳 「ルイ、誰か、心当たりは……?」
ルイ 「……ごめん」
シド 「その伝手、なくはねえぞ。まあ、報酬次第ってとこだけどな」
ルイ 「……!」
吉琳 「シド……!?」
ゆったりとした足取りで歩いてきたのはシドだった。
ルイ 「立ち聞きしてたの?」
シド 「面白そうな話が聞こえてきたんでな」
吉琳 「協力……してくれるの?」
シド 「報酬次第、って言っただろ?」
不敵な笑みを浮かべたシドが、私の顎に指先を引っかけながら顔を近づけてくる。
吉琳 「っ……」
驚いて動けなくなっている私の代わりに、シドの手を払ったのは無言のルイだった。
ルイ 「…………」
シド 「そんなに怖い顔すんなよ」
ルイ 「……ふざけてないで、早く話を進めて」
吉琳 「お礼はちゃんとするから、お願い……シド」
真っ直ぐに目を見て言うと、シドが仕方がなさそうに息をつく。
シド 「今回は貸しにしといてやるよ」
吉琳 「ありがとう」
シド 「で、伝手の件だが、俺も直接の伝手があるわけじゃねえ」
シド 「ルイ」
ルイ 「……?」
シド 「お前の屋敷に昔から出入りしてる宝石商いただろ」
シド 「そいつが一時期、東の国から仕入れてたって情報がある。連絡取れるか?」
ルイ 「……うん、すぐにでも」
吉琳 「なるほど……宝石商なら、向こうの王族とも繋がりがあるかもしれないよね」
シド 「そういうことだ」
得意げな笑みを浮かべているシドにルイが少し躊躇いながら口を開く。
ルイ 「……助かった。一応、礼は言っておく」
シド 「別にお前のためじゃねえ」
シドの視線が、意味ありげに私へと流れた。
吉琳 「……?」
シド 「それに、礼を言うのは早いんじゃねえか?」
ルイ 「……そうだね」
ルイ 「宝石商に話を聞いてみる。シドは他にも伝手がありそうな人の情報を探ってみて」
シド 「ああ、任せとけ」
息が合った様子で今後の策を話し合っていく二人を見て、私は思わず頬を緩める。
吉琳 「ルイとシドって、いつも衝突することが多いのに……」
吉琳 「仕事のことになると案外、気が合うよね」
(普段からも仲良くしたらいいのにな……)
シド 「こいつと仕事すんのは、お前のために渋々だ」
ルイ 「あくまで一時的のことだよ」
同時に言い訳をする二人に、私はまた微笑んだ。
(やっぱり気が合ってるな)
シド 「ほら、さっさと始めるぞ」
ルイ 「言われなくても分かってる」
ルイとシドは言い合いをしつつも、一緒にその場から去っていったのだった…―
360枚特典
ストーリーを読む >>>
柔らかな陽射しが降り注ぐ、とある日の午後…―
アランに護衛をしてもらいながら、
私は馬車で会議が行われる隣国へと向かっていた。
アラン 「あの馬車って、シュタインのじゃないか?」
吉琳 「え?」
アランに言われて窓の外を見ると、
ちょうど道が交差するところで向こうから馬車がやって来る。
吉琳 「ほんとだ。今日の会議にはゼノ様も出席される予定だから……」
馬車を止めると、シュタインの馬車も止まり、アルバートがこちらに歩み寄って来た。
アルバートがちらりと私を見た後、アランに目を向ける。
アルバート 「ゼノ様からの伝言です。隣国まで、道中を共にしようと」
アラン 「護衛なら俺一人で充分だけど?」
アルバート 「それは俺も同意見です」
アルバート 「ですが、ここは山道……何かあってからでは遅いだろうと」
吉琳 「はい、そういうことでしたらぜひ同行を」
少し不満げだったアランも、それなら仕方ないというように頷く。
アルバートがシュタインの馬車に戻り、私達は二台並んで再び出発した。
***
山道を進み、木々が少し深くなった頃、突然馬車が止まった。
御者の悲鳴に、アランが剣に手をかける。
アラン 「お前はここにいろ。絶対に外に出るんじゃねえぞ」
吉琳 「う、うん……気をつけてね、アラン」
アラン 「心配いらねえよ。それに今日はあいつもいるしな」
窓の外に目を向けると、
アランが飛び出すと同時にアルバートもシュタインの馬車から出てくる。
剣を構えた二人の向こうに、賊が見えた。
アルバート 「さすがゼノ様ですね」
アルバート 「これだけの数を一人で相手したなら、相当な時間がかかったはず」
アルバート 「今はあなたがいることに、一応感謝しましょう」
アラン 「いいから、さっさと片づけるぞ」
アルバート 「言われなくても分かっています」
軽い身のこなしで賊と対峙するアランに対して、
アルバートは的確に相手の急所をついていく。
(全然違う二人なのに……すごく息が合ってる気がする)
賊の人数はかなり多かったにも関わらず、
あっという間に半分ほどに減っていた。
息を切らすことなく、アランがアルバートに目を向ける。
アラン 「ただの自信家だと思ったら、実力もあるみたいだな」
アランの言葉に、アルバートがすっと眼鏡を持ち上げた。
アルバート 「当然です。ゼノ様をお守りするのが私の役目ですから」
アルバート 「しかし……あなたもなかなかやりますね。勝負したら、苦労しそうだ」
アラン 「言っとくけど、勝負したところで負けねえぞ」
アルバート 「もちろん、私もです」
一瞬顔を見合わせた二人に、残りの賊が一斉に襲いかかる。
吉琳 「……っ」
思わず目を閉じると、辺りは静寂に包まれた。
(アラン? アルバート……?)
恐る恐る瞼を持ち上げれば、倒した賊を縛る二人が見える。
(すごい、こんなに早く……)
アラン 「他の騎士に連絡を頼んでおく」
アラン 「御者に怪我はなかったし、俺達はこのまま隣国に向かっても大丈夫だろう」
アルバート 「ええ、問題ありません。では、私はこれで」
アラン 「待てよ」
立ち去ろうとしたアルバートをアランが呼び止める。
振り返ったアルバートが訝しげに眉を寄せた。
アルバート 「まだ何か……?」
アラン 「ほら」
アランが握り拳を、アルバートに向かって突き出す。
アラン 「互いに良くやったってことでいいだろ」
アルバート 「……いいでしょう」
アルバート 「ゼノ様に……そしてあの人にも、怪我をさせずに済みましたから」
少しためらいがちに、アルバートはアランの拳に自分の拳を合わせた。
(……この二人、案外いいコンビなのかも)
つい笑みをこぼしていると、アランが馬車に戻ってくる。
アラン 「……なんだよ?」
吉琳 「ううん、なんでもない。ありがとう、アラン」
アラン 「別に礼なんかいらねえよ。お前を守るのが俺の役目だろ」
アランはそう言うと、何事もなかったかのように馬車の外に目を向けた…―
420枚特典
ストーリーを読む >>>
澄み切った青空が広がる、ある昼下がりのこと…―
シュタインで開かれた各国の代表を集めた会議が終わり、私はユーリとゼノ様、
それから他国の貴族の青年と共に庭を歩いていた。
吉琳 「今日の会議は、たくさんの国々と交流を持てて、とても有意義でしたね」
ゼノ 「ああ、お前は特に熱心に発言していたな」
他国の貴族 「…………」
ユーリ 「吉琳様は、いつだって誰よりも一生懸命ですから」
他国の貴族 「…………」
ゼノ 「そうだったな」
二人から笑顔を向けられて、少し照れていた時、貴族の青年と目が合った。
(さっきから、ちらちらと見られている気がするけれど……もしかして何かお話があるのかな)
引っ込み思案なのかもしれない、と思いつつ、話しやすいように近寄ろうとした時……
ゼノ 「…………」
ゼノ様が、私と青年の間をちょうど遮る位置に来た。
(……? 偶然、かな?)
不思議に思いながら見ていると、ゼノ様がユーリに何か目配せをする。
ゼノ 「…………」
するとユーリは小さく頷きを返してから私の手を取り……
ユーリ 「吉琳様、次の公務の準備があるから、そろそろ行かないと」
吉琳 「え……?」
(今日はもう、公務はなかったはずだけれど……)
ゼノ 「そうか。では、また夕食の時にでも」
吉琳 「……? は、はい……」
戸惑っている私に、ユーリが耳打ちをする。
ユーリ 「ここは俺たちに合わせて!」
(よく分からないけれど、言う通りにしよう)
私はこっそりと頷きを返した。
ユーリ 「それでは、プリンセスは失礼させていただきます」
他国の貴族 「あ……」
ユーリは私の手を引いて、その場を離れていった。
ゼノ様たちから見えない場所まで来て、ユーリは心配そうに私の顔を覗き込んだ。
ユーリ 「大丈夫だった?」
吉琳 「え? 何のこと……?」
首を傾げた私を見て、ユーリが苦笑する。
ユーリ 「こういうことには鈍感なとこ……吉琳様らしいね」
ユーリ 「あの貴族と、目が合わなかった?」
吉琳 「さっき話したそうにしていたのは気づいてたけれど……」
ユーリ 「さっきだけじゃなくて、会議中もずっと吉琳様のことを見てたんだよ」
吉琳 「え……!」
(全然気づかなかった……)
その時、ゼノ様がやって来て……
ゼノ 「それに……お前を庭へ誘った時も強引について来たのだ」
吉琳 「……!」
ユーリ 「ゼノ様、あの貴族は大人しく帰りました?」
ゼノ 「ああ、丁重に見送ってきた。二度と来ることはないだろう」
ゼノ 「あの男は、おもに異性関係の醜聞が絶えないというからな」
(そうだったの……?)
二人の会話にひたすら驚いているとユーリがにっこりと微笑んだ。
ユーリ 「そういうわけで、ゼノ様と一緒にこっそり吉琳様を守ってたんだよ」
ユーリ 「プリンセスを守る騎士みたいにね」
ユーリ 「でも、会議中に気づいたのはゼノ様だったんだよ」
吉琳 「っ……そうだったんですね」
ゼノ 「あの男は、会議に集中していない様子だったからな」
吉琳 「私は全然気づいていなくて……ありがとうございます」
吉琳 「これからはもっと気をつけるようにします……」
少し落ち込む私に、ゼノ様が柔らかい笑みを向けた。
ゼノ 「気にするな」
それからゼノ様はユーリに視線を移す。
ゼノ 「ユーリは、よく気づいたな。俺は一言も指示しなかっただろう」
ユーリ 「俺は、ゼノ様の目を見れば何を考えてるか、何をしようとしてるか……」
ユーリ 「何でも分かっちゃうんですよ!」
ゼノ 「……そうか」
微笑み合う二人を見て、私もつられて口元を緩める。
(心が繋がってるみたいだな)
吉琳 「ふふ……」
思わず笑みをこぼすと……
ユーリ 「……? 吉琳様?」
ゼノ 「どうした」
二人が不思議そうに私を見つめた。
吉琳 「すみません、二人が仲良さそうで嬉しかったんです」
ゼノ 「嬉しい……?」
吉琳 「はい。大好きな人たちが仲良くしている姿を見ると、私まで幸せな気持ちになるんです」
思ったままを口にすると、ユーリがにやりと笑う。
ユーリ 「吉琳様、俺のこと……大好きなんだ?」
吉琳 「っ……えっと、大好きっていうのはそういう意味じゃ……」
ゼノ 「分かっている」
ゼノ 「ユーリも、からかうのはそれくらいにしておけ」
ユーリ 「はーい」
やっぱり仲が良さそうな二人を見て、私は胸の奥が温かくなっていくのを感じた…―
◆90位以内ランクイン◆
王宮フェス2023 特別シナリオ
読む >>>
プリンセスの執事として働くユーリの、いつもと変わらない1日の始まり――
正面階段の近くで、これから出かける様子のアランとレオが、立ち話をしているのを見かけた。
(二人共、すごく真剣な顔で何を話してるんだろう?)
(こっそり聞いちゃおうっと)
アラン 「今度の行事の警備計画、吉琳の護衛の数、もっと増やした方がいい」
レオ 「村人たちと直接交流する機会だから、あまり物々しくしない方がいいと思ったんだけどね」
レオ 「吉琳ちゃんの身に何かあったら大変だし、増やそうか」
アラン 「そこは上手くやる。あいつが民との交流を楽しみにしてるのは知ってる……」
アラン 「離れた所に配置しとけば問題ねえだろ」
レオ 「優しいね」
アラン 「……吉琳の身と心を守るのが役目ってだけだ」
レオ 「そうだね。俺たちの大事な人のために、もう少し進行の方も見直しておくよ」
アラン 「ん。よろしく」
アランたちの会話を聞いていたユーリは、微笑みながらその場を離れていく。
(アラン様もレオ様も、吉琳様のために裏で色々と動いてるんだなあ)
***
昼前になり、ジルに紅茶を頼まれて運んでいくと、ジルの他にルイとシドがいて……
シド 「どうにか得られた情報はこれで全部だ」
ルイ 「……関係者の名簿に取引の記録、周辺地図、他に関連施設の見取り図もある……」
ジル 「これだけの資料をよく集められましたね」
シド 「あいつの身にも関わることだ、って脅すようなこと言ったのはそっちだろうが」
ジル 「そう言えば、シドも普段よりずっと働いてくれますからね」
シド 「相変わらず食えねえ奴」
ルイ 「情報を整理して、早く策を立てた方がいい」
ジル 「ええ、早速取り掛かりましょう」
資料を整理しながら目を通し始めた三人の脇で、ユーリは紅茶の載ったトレーをテーブルに置く。
ユーリ 「ジル様、紅茶をお持ちしました。……何だか大変そうですね」
ジル 「吉琳のためですから、大変だとは思いませんよ」
シド 「あいつは、しっかりしてるようで時々抜けてるからな。まったく……手間がかかるぜ」
ルイ 「……俺は、ただ吉琳のためなら何でもしてあげたいだけ」
ルイ 「大変とか、楽とか関係ない」
(吉琳様は本当に、皆に愛されてるんだね……何だか俺まで嬉しくなっちゃうな)
ユーリ 「では、俺はこれで失礼します」
***
昼過ぎ、城にやって来たのはロベールとレイヴィスだった。
ユーリ 「ロベールさん! レイヴィス様! 吉琳様に会いに来たんですか?」
レイヴィス 「いや、少し寄っただけで行く所がある。これ、吉琳に渡しておいて」
ロベール 「吉琳ちゃんへの贈り物だよ」
ロベールがユーリに渡したのは立派な額縁に入った絵だった。
ユーリ 「もしかして、ロベールさんが描いたんですか?」
ロベール 「うん。前に吉琳ちゃんが、こういう絵があったらいいな、って言ってたって、」
ロベール 「レイヴィスから聞いてね……少しずつ描いてたんだ」
レイヴィス 「それに合わせて額縁も作らせたから、ちょっと時間がかかったけど……」
レイヴィス 「日頃の礼だとでも言っといて」
ユーリ 「きっと吉琳様もすっごく喜ぶよ!」
レイヴィス 「会わなくても、吉琳の笑顔が目に浮かぶよ」
ロベール 「今日は時間がないけど、今度一緒に吉琳ちゃんの感想を聞きに来ようか」
レイヴィス 「……気が向いたらな」
ロベール 「うん」
帰っていくロベールとレイヴィスの背中を見送りながら、ユーリは笑みを浮かべていた。
(会えない間も、二人は吉琳様のことをちゃんと想ってるんだろうな)
***
夕方、ウィスタリアとの会議を終えたゼノ、アルバートと共に、ユーリは中庭に出ていた。
ゼノ 「変わりないか?」
ユーリ 「はい、俺も吉琳様もいつも通り、元気いっぱいですよ」
アルバート 「元気いっぱい、なんて報告があるか!」
ユーリ 「だって、そうなんだからいいでしょ!」
ゼノ 「アルバート、良い」
アルバート 「なっ……失礼いたしました」
ユーリ 「あ、でも……いつもより嬉しいことはありました」
ゼノ 「……?」
ユーリ 「みんなが、吉琳様のためにって奔走したり、喜ばせようとしたり……」
ユーリ 「そんな場面に立て続けに遭遇することがあって、みんな……」
ユーリ 「吉琳様のことを本当に大切に思ってるんだろうなーって、嬉しかったんです」
ゼノ 「吉琳の人柄がそうさせているのだろうな」
アルバート 「ええ。放っておけないと言いますか、自然と何かしてあげたくなると言いますか……」
ユーリ 「……ってことは、アルバートも吉琳様のことを大事に思ってるってことだ?」
アルバート 「なっ……」
ゼノ 「吉琳は知っているのか?」
ユーリ 「いいえ。みんな、わざわざ吉琳様に言ったりしないで動いてますから」
アルバート 「プリンセスの性格からすると、本人に伝えた方が喜ぶんじゃないか?」
ユーリ 「……!」
ユーリ 「アルバートのくせに、いいアイデアだね」
アルバート 「どういう意味だ!」
目を吊り上げたアルバートから逃れるようにして、ユーリはその場から駆け出す。
ユーリ 「早速、吉琳様に伝えてくるね!」
ゼノ 「…………」
ユーリ 「吉琳様、ちょっとお邪魔してもいい?」
吉琳 「うん。ちょうど公務が終わったところだから」
ユーリ 「それじゃ、お茶を淹れるね!」
ユーリはお茶の支度をしながら、ふと壁に飾られた絵に目をやる。
(レイヴィス様たちからの贈り物、もう飾ってある……)
それは吉琳を真ん中にして、みんなが集う絵だった。
(きっとロベールさんが想像して描いてくれたんだろうな)
ユーリは淹れたての紅茶を吉琳に差し出し……
ユーリ 「吉琳様にちょっと話したいことがあるんだ」
吉琳 「うん? 何だろう?」
わくわくしている吉琳の瞳が輝いている。
(みんなが大事に思う気持ち、分かるかも)
ユーリ 「きっと、吉琳様がもっともっと元気になる話だよ」
ユーリは朝から見たみんなの様子を紅茶を飲みながらゆっくりと話していった…―
[公約ページ]
官方都沒發現上面這張圖有兩雙腳嗎......
真的很誇張!!!!!!!!!!!!!
上次選舉最終結果明明是:尤利6 席德7 吉爾8
結果現在是怎樣?!!!!
吉爾為什麼要求還比他們高?!!!!!!!!!!!