新版王宮 轉蛋幣故事:
アラビアンナイト~砂漠の王子にとらねれて~
(アラン)(シド)(ルイ)(アラン彼目線)
――…砂漠の国で王子専属の踊り子をしているあなた
ある勘違いから王子に追われることになって…?
…………
アラン 「お前のせいで俺まで砂だらけになったんだけど」
アラン 「責任とって、お前が体流して」
(…離したら、また俺から逃げる気だろ)
(そんなの、させない)
………
カイン 「二度も逃さねえよ」
(今まで何度喧嘩したって、こんな風に離れようとしなかったのに…)
カイン 「…何でいきなり逃げた。理由を話せ」
………
シド 「抱かれるか正直に話すか、選べ」
(ずっと大切にしてきたのに)
(こんな風に触れるのが最初になるとはな)
シド 「早く言わねえと、話し終える前にお前の全部に触れることになるぜ?」
………
ルイ 「…君に、叶えてほしい願いがあるんだ」
(吉琳がいなくなるなんて…きっと耐えられない)
(だから…気持ちを伝えよう)
………
??? 「…――もう逃さない」
あなたは、どの王子様に強引に迫られる…?
プリンセスルームガチャ
『アラビアンナイト』ストーリー
(アラン)
――…熱い砂漠を冷やすように風が通り過ぎる夜
…………
吉琳 「…アラン、降ろして…っ」
*截圖 7/24 03:56
アラン 「だめ」
アランは私を横抱きにしたまま、宮殿のお風呂へ入っていく。
(……っ)
アランは服のままお湯の張った大理石の浴槽に足を進めると、
ようやく私の体を下ろした。
アラン 「お前のせいで俺まで砂だらけになったんだけど」
アランは息をつくと、水浸しになったシャツを脱ぎ捨てる。
吉琳 「……っアラン」
あらわになった素肌に思わず目を背けると、
アランは私の手を引き、濡れた自分の胸に押し当てた。
*截圖
アラン 「責任とって、お前が体流して」
吉琳 「そ、それは踊り子の仕事じゃないよ」
アラン 「へえ、主人に逆らうわけ?」
アラン 「これ以上のことも命令できるのを我慢してるうちに」
アラン 「言うこと聞いといた方がいいと思うけど」
吉琳 「これ以上のこと…?」
首を傾げると、皮肉げに上がったアランの唇が耳に近づいて……
アラン 「夜の相手とか」
吉琳 「え…」
目を見開くと、首筋に濡れた手が触れる。
ゆっくりと肌を辿る手が、透けた服の胸元に触れようとして……
吉琳 「やっ…ま、待って」
慌てて手を掴むと、赤い瞳にじっと見つめられた。
アラン 「じゃあ、代わりに聞かせろよ」
アラン 「何で俺から逃げた…?」
吉琳 「それは…」
(…アラン、怖いくらい真剣な目をしてる)
射抜くような眼差しに抗えず、
私は震える声を抑えて、王宮を出る前の出来事を語っていく。
*****
家臣1 「アラン様の縁談がまた破談になったそうだ」
廊下を歩いていると、家臣たちのひそめた声が聞こえてくる。
家臣1 「せっかく国の領土を広げるチャンスだったのに…」
家臣2 「ああ…またあの専属の踊り子が原因だろ?」
(私の…せい?)
家臣2 「アラン様も物好きなお方だ。東洋の異民族など囲って」
家臣1 「なにせあの髪色と瞳だ」
家臣1 「また目立って、相手の姫君に嫌悪されては、この国の展望も危ういぞ」
吉琳 「……っ」
*****
アラン 「…それで逃げ出したってわけ?」
吉琳 「だって…アランに迷惑かけたくなかったから…」
視線を伏せると、自分の濡れた髪が水面に映る。
(この髪と瞳がずっと嫌いだった)
(でも最初に出逢った時、アランは…)
*****
アラン 「綺麗だな」
吉琳 「え…?」
アラン 「あんたの髪と瞳」
吉琳 「…っ」
*****
(初めてこの髪と瞳を、綺麗だって言われて…嬉しかったな)
それから一緒に過ごす度に、どんどんアランに惹かれていった。
(大好きだからこそ…)
(私のせいでアランが幸せになれないのは嫌だよ…)
離れる決意を胸に、水の中で手を握りしめる。
吉琳 「…お願いアラン、私を捨てて」
アラン 「…は?」
吉琳 「アランが望めば、他の踊り子も雇えるでしょ…?」
アラン 「…………」
しんとしたバスルームに、アランが小さく息をつく音が響く。
アラン 「お前がただの珍しい踊り子なだけだったら」
アラン 「俺は砂漠の果てまで追いかけたりしないんだけど」
吉琳 「え…?」
顔を上げると、少しむっとした表情が目に入った。
アラン 「…初めて逢った時、夢を追って踊るお前に見惚れた」
アラン 「人種も身分も関係ない」
アラン 「俺は、お前だから追いかけたんだ」
甘えるように肩に頭を預けられて、心が大きく揺れる。
吉琳 「それって…」
アラン 「…吉琳が好きだって言ってんだけど?」
吉琳 「…っ!」
(アランが…私を好き…?)
戸惑っていると、腰を惹き寄せられて赤い瞳が迫った。
アラン 「お前はどうなんだよ…俺と離れてもいいわけ?」
吉琳 「そ、れは…」
アラン 「たまにはわがまま言ってみろよ」
声と表情に優しく促されて、どうしようもないほどの愛しさが込み上げる。
(この言葉を声に出しても許されるなら…)
滲みかけた涙に視界が揺れる中、アランの濡れた髪にそっと触れる。
吉琳 「私もアランが…世界で一番好き」
吉琳 「……大好き」
想いを言葉に乗せると、アランはひどく柔らかな笑みを浮かべて……
アラン 「…へえ、言えたじゃん」
吉琳 「……ん」
水面が揺れて、唇にキスが落とされる。
アラン 「…時間はかかるかもしれないけど」
アラン 「周囲に認めてもらえるように俺も力をつけて」
アラン 「国も、お前自身も必ず守る」
アラン 「だから…二度と俺から離れるなよ」
吉琳 「…っ…うん」
窓から差し込む月の光が肌の滴を照らして、
アランがくれたキスは美しい契約の始まりのようだった…――
プリンセスルームガチャ
『アラビアンナイト』ストーリー
(シド)
――…うだるような熱い風が月を霞ませる夜
砂漠から宮殿に強引に戻された私は、シドの部屋に連れて行かれた。
…………
掴まれていた腕が離され、ベッドの上に組み敷かれる。
シド 「俺から逃げようとはいい度胸だな、吉琳」
吉琳 「シド……っ」
シドの鋭い視線が近づき、ベッドの軋む音が響いた。
シド 「…何で逃げ出した?」
シド 「抱かれるか正直に話すか、選べ」
吉琳 「え…、……っ」
襟を強引に開かれ、乱れた服の隙間から大きな手が滑りこむ。
吉琳 「…っ…ゃ…」
シド 「早く言わねえと、話し終える前にお前の全部に触れることになるぜ?」
素肌を伝う甘い感覚に、下唇をぎゅっと噛みしめた。
(シドが好きだからこそ…)
(こんな無理矢理は嫌だよ)
吉琳 「…っわかった…話すから…!」
声を上げると、服の奥に入り込もうとしていたシドの指先が止まった。
シド 「…………」
無感情な瞳に見下され、少し緊張しながら口を開く。
吉琳 「シドが…他の踊り子を専属にするって聞いたの…」
告げた瞬間、シドの眉が不快そうにひそめられる。
シド 「誰だ、そんなこと言った奴は」
吉琳 「シドの…身の回りのお世話をしてる女の人」
吉琳 「用済みの者は奴隷として売られるから逃げなさいって…」
(シドはそんなことしないって信じてるけど…)
(好きな人に必要ないって言われたら…)
シド 「だから逃げ出したのか?」
黙って頷くと、シドは深いため息をついて私の肩に額を乗せた。
吉琳 「シド…?」
シド 「……女の嫉妬はめんどくせえな」
(嫉妬…?)
シドはぽつりと呟くと、髪を掻きあげながら不満そうに私を見た。
シド 「お前は、俺が売りとばすほど薄情な奴だと本気で思ってんのか?」
吉琳 「思ってないけど…」
(それじゃ…)
吉琳 「教えてくれた人の言葉は、嘘だったの…?」
シド 「当たり前だろ。そんなくだらない嘘に振り回されてんじゃねえよ」
シド 「大体逃げ出す前に、何で俺のとこに確かめにこなかった?」
吉琳 「それは…」
手を握り締めて顔を伏せると、ベッドが軋んでシドの顔が近づく。
シド 「言えよ」
(…この目に見つめられると、どうしてごまかせないって思うんだろう)
胸の奥で鼓動が騒ぐのを感じながら、視線をそらす。
吉琳 「だって…私より他の踊り子を選ぶの? …なんて聞いたら」
吉琳 「私がシドを好きだって、わかっちゃう気がして…」
シド 「…あ? 好き?」
吉琳 「…っ…そうだよ」
(絶対いつもみたいに笑われるから…言いたくなかったのに)
頬の熱を自覚しながら見上げると……
*截圖
シド 「…………」
(え…?)
予想外の驚いた顔に、目を見開く。
吉琳 「シド…?」
シド 「…相変わらず素直じゃねえ女」
シドはふっと笑うと、優しい眼差しで私の頬に触れて……
シド 「俺は気に入らない女をそばに置く趣味はねえよ」
唇にそっとキスを落とした。
吉琳 「…っ」
息を呑んだ私の頬をシドの手が撫でる。
シド 「…手放すはずがねえだろ?」
シド 「今だって、二度と逃げ出したいって言えなくなるくらい」
シド 「お前を愛したいって思ってんのによ」
(シドが…私を…?)
困ったように眉を寄せる表情に、胸の鼓動が高鳴っていく。
吉琳 「嘘…」
シド 「嘘じゃねえよ」
シド 「覚えてるか? お前が俺の宮殿に売られてきた時言った台詞…――」
*****
*截圖
シド 「お前、踊れるんだってな?」
吉琳 「…………」
黙っていると、シドの手が私の顎をすくい上げた。
シド 「…専属の踊り子が主人にどういう奉仕をするかわかってるよな?」
吉琳 「…好きにすればいい」
吉琳 「でもあなたに心までは絶対に奪わせないから」
シド 「…………」
シド 「…へえ」
*****
シド 「生意気な女だと思ってたのに、いつの間にか目で追ってて」
シド 「こんなに振り回されることになるとは思わなかったぜ」
(シド…)
告げられる想いが心に積もって、
胸の中がシドへの気持ちでいっぱいになる。
吉琳 「私も…絶対にシドなんか好きにならないって思ってたのに…」
(シドは言葉ではからかいながら、私に手を出そうとはしなかった)
(シドの強さや優しさに…どんどん惹かれていって…)
頬に触れる手が大切なものを扱うようで、視界が滲んでくる。
シド 「お互い、めんどくせえ性格してんな」
シドは自嘲気味に笑うと、指先でそっと私の涙を拭った。
シド 「だが、それももう終わりだ」
頬に触れていた手が、首筋を伝って胸へと下りる。
吉琳 「…っシド…?」
掠れた吐息が唇にかかると、シドは獲物を定めたように笑った。
シド 「覚悟しろよ吉琳」
シド 「今まで我慢してた分…」
シド 「今晩は声が枯れるまで乱してやる」
吉琳 「んっ…」
唇が塞がれ、息ができないほど深く激しく重ねられる。
けれど求められる嬉しさに、また涙がこぼれて…
熱い夜に溺れるように、甘い刺激に幾度となく声を上げていった…――
プリンセスルームガチャ
『アラビアンナイト』ストーリー
(ルイ)
――…幾千もの星が空を輝かせる夜
…………
吉琳 「あ…!」
手をつく暇もなく、砂の上に体が投げ出される。
慌てて起き上がろうとした瞬間、頭上がかげって……
*截圖
ルイ 「…もう逃がさない」
ルイの繊細な指が、いつにない強さで私の腕を掴む。
顔を上げると、どこか冷えた眼差しに見つめられた。
吉琳 「ルイ…」
*截圖
ルイ 「どうして逃げたの?」
吉琳 「それは…」
言いよどむと、ためらいを許さないように腕を掴む力が強くなる。
ルイ 「…ちゃんと話して」
(…こんなに厳しいルイの表情、初めて見る)
(勝手に逃げたこと、きっと怒ってるよね)
吉琳 「……わかった」
小さく息を吸い込み、昨夜宮殿で起きた出来事を語っていく。
*****
女性1 「あなたがルイ様の部屋の宝飾品を盗んだところ、この目で見たんだから」
吉琳 「し、知りません。私、盗んでなんかいません!」
女性2 「しらばっくれても無駄なのよ」
女性3 「このまま宮殿を立ち去れば、窃盗の罪は黙ってあげててもいいけど?」
(…っ…この人たち、確かルイの婚約者候補の…)
(まさか、最初から私を追い出すことが狙いで…?)
*截圖
ルイ 「…何の騒ぎ?」
吉琳 「あ…」
聞き慣れた声に振り返ると、家臣たちを連れたルイが歩いて来る。
(ルイなら私を信じてくれると思う。でも…)
(このままここにいたら、きっとルイに迷惑がかかる)
吉琳 「……っ」
ルイ 「吉琳…?」
(ごめん…ルイっ)
ルイの視線から逃げるように、私は宮殿の外へと走り出した。
*****
話を終えて、真っすぐにルイを見つめる。
吉琳 「ルイ、私は絶対に盗んでないよ。誓って言える。でも…」
言葉を重ねようとした時、ルイが私の唇に指を当てた。
ルイ 「…専属の踊り子が盗みを働いたって噂が広められたら」
ルイ 「主人の俺の管理が問われる」
ルイ 「…そう思ったから、逃げ出したの?」
吉琳 「…うん」
私が頷くと、ルイはひそめていた眉を緩めた。
*截圖
ルイ 「…よかった」
(え……)
ひどくほっとした声に、驚いてルイを見上げる。
吉琳 「どうして…?」
(怒ってたんじゃなかったの…?)
ルイ 「君が俺の前から逃げ出したのを見て」
ルイ 「嫌われたかと、思ったから」
吉琳 「…っ…嫌いになんかなるはずないよ」
(ルイが大切だからこそ、迷惑をかけたくなかった)
(だから、ルイのそばを離れようとしたのに…)
吉琳 「…でも、結局迷惑かけちゃった。ごめんね、ルイ」
(こんなに砂だらけになるくらい探させて…)
手を伸ばし、綺麗な髪や服についた砂を払いながら告げると、
ルイがその手をそっと掴んだ。
ルイ 「…迷惑なんかじゃないよ」
私の手が、祈るようにルイの額に当てられる。
吉琳 「ルイ…?」
ルイ 「…君に、叶えてほしい願いがあるんだ」
吉琳 「私に…?」
頷いたルイと間近で視線が重なり、胸がとくんと音を立てる。
ルイ 「もし、君が俺の願いを叶えてくれるなら」
ルイ 「俺はもう、他に何もいらない」
ルイはそこで言葉を切ると、そっと目を伏せた。
ルイ 「…俺には、異国の血が混ざってるんだ」
吉琳 「異国の…?」
ルイ 「うん…だから宮殿では、昔から居場所がなかった」
ルイ 「そんな時、吉琳が宮殿に来て…」
ルイ 「楽しそうに踊る姿から、不思議と目が離せなかった」
懐かしそうに目を細めるルイに、幼い頃の記憶が蘇る。
吉琳 「初めて逢った頃のルイ、ちっとも笑ってくれなかったよね」
ルイ 「…あの頃は、人に心を許すのが怖かったから」
思い出した記憶に、自然と口元が綻んでいく。
(お人形みたいに綺麗で無表情なルイをどうにか笑わせたくて…)
(毎日たくさん練習したんだっけ)
ルイ 「でも、吉琳はいつだって俺を励ますように踊ってくれた」
ルイ 「何度突き放したって、眩しいくらい笑って…」
ルイ 「…いつの間にか俺まで笑ってた」
摑まれていた手がルイの口元へ運ばれて、願うようにキスが落ちる。
吉琳 「…っ…ルイ?」
ルイ 「…俺の願いを叶えられるのは、お金でも星でもない」
ルイ 「吉琳だけだよ」
吉琳 「私だけ…」
頷く代わりに細められた瞳が愛おしげで、心臓の音が速くなっていく。
(ルイがこんな言葉をくれる理由が知りたい…)
緊張にはやる気持ちを堪え、ゆっくりと言葉を紡ぎ出す
吉琳 「…聞かせて。私にしか叶えられない願い」
ルイはふっと笑みを浮かべると、透き通った声で囁いた。
ルイ 「…君のことが世界で一番好き」
ルイ 「だからこの手を離さないで」
吉琳 「……っ」
(それが…ルイの願い…?)
届いた言葉が頬だけでなく全身に熱を広げて、
胸の深くまで、信じられないほどの幸福に包まれる。
吉琳 「…ルイの願いのはずなのに」
吉琳 「それが叶ったら、私の方が幸せになっちゃうよ」
ルイ 「え…?」
指先を絡めると、ずっと求めていたルイの体温が伝わってくる。
吉琳 「…言ったでしょ?」
吉琳 「ルイに迷惑をかけたくないから、離れようと思ったの」
吉琳 「ルイが好きだから、離れようと思ったんだよ」
ルイ 「……!」
(でも、ルイがそばにいることを望んでくれるなら…)
吉琳 「私もこの手を、離したくないよ…」
ルイ 「吉琳…」
息を呑んだルイが、ふいに泣きそうに顔を歪める。
そして、ふわりと笑みを浮かべた。
*截圖
ルイ 「じゃあ…一緒に幸せになって」
吉琳 「うん…!」
顔を寄せて、こつんと額を重ねあわせる。
間近に広がる笑顔に愛しさを感じると、唇に吐息が触れて…
いくつもの流れ星が降り注ぐ空の下で、初めてのキスを交わした…――
プリンセスルームガチャ
『アラビアンナイト』彼目線ストーリー
(アラン)
――…熱い砂漠を冷やすように風が通り過ぎる夜
…………
吉琳 「…アラン、降ろして…っ」
アラン 「だめ」
(…離したら、また俺から逃げる気だろ)
(そんなの、させない)
吉琳を横抱きにした腕に力を込め、宮殿の風呂へ入っていく。
服のまま二人で湯の張った大理石の浴槽に浸かり、吉琳の体を下ろした。
アラン 「お前のせいで俺まで砂だらけになったんだけど」
濡れて張りつく服に息をつき、、水浸しになったシャツを脱ぎ捨てる。
吉琳 「……っアラン」
慌てて目を逸らす吉琳の手を引き、濡れた自分の胸に押し当てた。
アラン 「責任とって、お前が体流して」
吉琳 「そ、それは踊り子の仕事じゃないよ」
アラン 「へえ、主人に逆らうわけ?」
アラン 「これ以上のことも命令できるのを我慢してるうちに」
アラン 「言うこと聞いといた方がいいと思うけど」
吉琳 「これ以上のこと…?」
(…純粋な奴。こういうこと言ってもわかんないんだ)
吉琳のそういうところを、自分は気に入っていたはずだ。
(けど今は…めちゃくちゃにしたくなる)
それだけ吉琳がそばを離れたことは、自分に大きな影響を与えていた。
戸惑いに揺れる瞳を見つめながら、
わざと皮肉げに口の端を上げて吉琳の耳に唇を寄せる。
アラン 「夜の相手とか」
吉琳 「え…」
濡れた指先を吉琳の首筋から下へ滑らせる。
透けた服の襟を広げようとすると、ひどく焦った様子で止められた。
吉琳 「やっ…ま、待って」
アラン 「じゃあ、代わりに聞かせろよ」
アラン 「何で俺から逃げた…?」
吉琳 「それは…」
真っすぐに見つめると、吉琳は視線から逃げるように目を伏せ、
ためらいがちに宮殿で起きた出来事を話し出した。
*****
家臣1 「アラン様の縁談がまた破談になったそうだ」
家臣1 「せっかく国の領土を広げるチャンスだったのに…」
家臣2 「ああ…またあの専属の踊り子が原因だろ?」
家臣2 「アラン様も物好きなお方だ。東洋の異民族など囲って」
家臣1 「なにせあの髪色と瞳だ」
家臣1 「また目立って、相手の姫君に嫌悪されては、この国の展望も危ういぞ」
吉琳 「……っ」
*****
アラン 「…それで逃げ出したってわけ?」
吉琳 「だって…アランに迷惑かけたくなかったから…」
感情を堪える表情に胸が締めつけられ、ぐっと自分の手を握りこむ。
(逃げたと思って勝手に苛ついて…馬鹿か俺は)
(逃げた理由がそれなら、こいつが宮殿を離れたのは俺のせいだ)
周りの人間の言葉に傷つかないように、
いつだって吉琳を守りたいと思っていた。
(そのためにそばに置いてたのに、俺が原因で傷つけた…)
(なのに…それでも吉琳は、俺を守るために離れようとしたのか)
視線を落とすと、吉琳の今にも泣きそうな顔が水面に映る。
(…ほんと、出逢った頃から真っすぐな奴)
周りに何を言われても失われない優しさや、
楽しそうに踊る姿に目を奪われて、どんどん吉琳に惹かれていった。
(だから、俺が砂漠に吉琳を探しに行ったのは…)
吉琳の名前を呼ぶため、口を開きかけた時……
吉琳 「…お願いアラン、私を捨てて」
アラン 「…は?」
吉琳 「アランが望めば、他の踊り子も雇えるでしょ…?」
絞り出すように告げられた言葉に目を見開く。
(傷ついてるのは自分のはずなのに…)
(ほんと、人のことばっか)
思わずため息をこぼし、呟くように言葉を落とす。
アラン 「お前がただの珍しい踊り子なだけだったら」
アラン 「俺は砂漠の果てまで追いかけたりしないんだけど」
吉琳 「え…?」
(…気持ちを伝えるのは、俺が周りを認めてもらえるくらい力をつけて)
(安心して吉琳が俺の隣にいられるようになってから…そう思ってたけど)
今伝えないときっと、一番大切な存在が自分の手からこぼれ落ちてしまう。
そう考えて、真っすぐ吉琳を見つめる。
アラン 「…初めて逢った時、夢を追って踊るお前に見惚れた」
アラン 「人種も身分も関係ない」
アラン 「俺は、お前だから追いかけたんだ」
吉琳 「それって…」
頬が熱を持ちそうで、顔を隠すように細い肩に頭を預ける。
アラン 「…吉琳が好きだって言ってんだけど?」
吉琳 「…っ!」
(…伝わったみたいだな)
息を呑んだ吉琳の腰を抱き寄せ、正面から瞳を覗き込む。
アラン 「お前はどうなんだよ…俺と離れてもいいわけ?」
アラン 「たまにはわがまま言ってみろよ」
優しく促すと、吉琳の表情が泣きそうに歪む。
じっと言葉を待っていると、微かに震える手が濡れた髪に触れた。
吉琳 「私もアランが…世界で一番好き」
吉琳 「……大好き」
アラン 「…へえ、言えたじゃん」
紡がれた想いが、胸にこれ以上ないほどの幸せを広げていく。
気づくと、顔を寄せて吉琳に唇を重ねていた。
吉琳 「……ん」
そっと唇を離し、額を合わせる。
アラン 「時間はかかるかもしれないけど」
アラン 「周囲に認めてもらえるように俺も力をつけて」
アラン 「国も、お前自身も必ず守る」
(それで吉琳を…誰より幸せにしてみせる)
アラン 「だから…二度と俺から離れるなよ」
吉琳 「…っ…うん」
窓から差し込む月の光が肌の滴を照らす中、
胸に秘めた決意を誓うように、誰より大切な人とキスを重ねた…――