新版王宮 劇情活動-Royal Prince Days 今日

Royal Prince Days 今日もあなたに恋してる[後編](ジル)

新版王宮 劇情活動-Royal Prince Days 今日

――…初めてガラスの靴を履いてから2年

(改めてプリンセスとしての自分に向き合う…か)

2周年の記念式典で任されたスピーチに悩むあなたは、
ヒントを得るため、彼の仕事に密着することになって…!?
……
ジル:そんなことを言っても譲りませんよ、レオ?
ジル:吉琳は、私だけの補佐ですので
……
――…そして迎える、2周年の式典
プリンセスの証であるネックレスを授与されることになって…
???:この国を導くプリンセスの証として…
???:これを貴女に捧げる

(仕事中の彼からも、恋人の彼からも…――目が逸らせない)

働く恋人の魅力にとらわれて、今日もあなたは彼に恋をする…――

 

*後記已補

 

新版王宮 劇情活動-Royal Prince Days 今日

 

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プロローグ:

 

――…プリンセスになり、いくつかの季節が過ぎた頃
…………
吉琳:プリンセスになって2周年の記念式典?
ジル:ええ、100年前のプリンセスの生誕祭に合わせて行うことになったのですよ

(そっか、もうこの国に来て2年になるんだ…)

ジル:当日の式典では、こちらのネックレスをプリンセスの証として授与いたします
ジルが手にした箱を開けると、窓からの陽差しを反射してネックレスが光る。
吉琳:綺麗…、これってお城の城門がデザインされてるの?
ジル:そうです。あの城門は、この王宮の象徴のようなものですからね
ジル:それから、貴女には当日スピーチをして頂きます
ジル:今後プリンセスとしてどんな想いで過ごすのか…それを、みんなに伝えてください
吉琳:プリンセスとして、どんな想いで過ごすのか…

(きっと、プリンセスとしての自分と向き合う…ってことだよね)

吉琳:…改めて考えてみると難しいかも
思わず眉を寄せると、ふっとジルが微笑む。
ジル:でしたら、身近にいる人の頑張りを学んでみるのはどうです?
吉琳:え?
ジル:国のために…そう思う気持ちを同じくする人のそばで、どんな努力をしているか学べば
ジル:これから貴女がどうしていきたいか、ヒントが見つかるかもしれません

(確かに、他の人がどんな想いで頑張っているかまでは)
(あまり目を向けられていなかったかも)

吉琳:…うん、やってみたい
吉琳:他の人がこの国のためにどんな想いで頑張ってるか、知りたい
ジル:わかりました
ジル:では、1日だけ補佐という形で誰かのそばについて頂きましょう
ジル:誰かそばで仕事ぶりを学んでみたい方はいますか?
吉琳:誰を選んでもいいの?
ジル:ええ。相手の方が承諾してくださるかわかりませんが、交渉してみますよ

(それなら…彼の頑張りが知りたい)

吉琳:私は…――

 

どの彼の仕事に密着する…?

>>>ジル

 

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第1話:

 

――…プリンセスになってもうすぐ2年目を迎える頃
これからプリンセスとしてどんな想いで過ごすか、
そのヒントを得るために、
私は誰かの仕事ぶりを近くで学ばせてもらうことになった。

***

ジル:では、1日だけ補佐という形で誰かのそばについて頂きましょう
ジル:誰かそばで仕事ぶりを学んでみたい方はいますか?
吉琳:誰を選んでもいいの?
ジル:ええ。相手の方が承諾してくださるかわかりませんが、交渉してみますよ

(それなら…)

吉琳:私は…ジルのそばで学びたい
ジル:私ですか?
意外に思ったのか、ジルは一瞬目を見開いた。
吉琳:うん

(この国を誰よりも強く想っているのは、ジルだと思うから)
(ジルのそばで学ばせてもらえば、これから自分がどうしていきたいか…)
(何かヒントを掴める気がする)

ジル:…………
吉琳:…だめかな?
見上げると、ジルの唇が綺麗な弧を描いた。
ジル:もちろん構いませんが…吉琳?
吉琳:っ…
長い指にそっと顎をすくわれる。
ジル:私は厳しいですから、覚悟してくださいね…?
どこか楽しそうな笑みが私を見下ろす。
吉琳:望むところだよ
ジルの瞳をまっすぐに見つめ返しながら、私は力強く頷いた。

***

――…ジルの仕事を見せてもらう当日進めている案件の確認のため、
城のあちこちに話しに行くジルに、朝早くからついて歩いていた。

ジル:――…昨日の業者との打ち合わせはどうでしたか?
ロベール:ジル様が紹介してくださったおかげで、着工日まで決まりましたよ
ジル:では、城下の薬用植物園の整備は順調に進みそうですね
ロベール:そうですね、次の季節には新しい植物の研究を始められそうです
ジル:それはよかった。引き続きよろしくお願いします

(ジルはお城の中だけじゃなくて、国中のことに目を配ってるんだよね)

和やかに話す二人を少し離れたところから見守っていると、
廊下の奥からこちらに向かってくる人影が見えて…――
レオ:あ、吉琳ちゃん
吉琳:レオ
レオは私の隣に並ぶと、ちらりとジルに視線を向けた。
レオ:そっか、今日はジルの補佐なんだっけ
吉琳:うん、ジルに用事?
レオ:そうなんだけど、取り込み中かな

(えっと…)

私はジルのスケジュールを思い返しながら、レオに答える。
吉琳:この後は次の執務まで少し時間があるはずだから、話せると思うよ
レオ:へえ、有能な補佐さんだね
吉琳:え?
レオ:ジルのスケジュールをちゃんと把握してるから
吉琳:ジルの仕事をきちんと手伝いたいから、このくらい…
言いかけた時、ふいにレオが目を細めて私に顔を寄せた。
レオ:ねえ、吉琳ちゃん
吉琳:え…な、何?
レオ:今度俺の補佐もしてくれない…?
近づく顔に息を呑んだ瞬間……
ジル:――まったく、油断も隙もありませんね
後ろから声が聞こえて、レオから離すように肩を抱き寄せられる。
吉琳:ジル!
ジルは眉根を寄せて、レオを見据えた。
ジル:そんなことを言っても譲りませんよ、レオ?
ジル:吉琳は、私だけの補佐ですので
吉琳:っ…

(私だけの…)

肩に触れるジルの手の感触と言葉に胸が高鳴る。
レオ:可愛い補佐には、旅させてみない?
ジル:それが本日の用件でしたら、これ以上つき合いきれませんよ?
レオ:はいはい、冗談だよ
おどけたように肩をすくめるレオに、ジルは息をついた。
ジル:決算書の話をしに来たのでしょう?
レオ:さすが、よくわかってるね
ジル:話は部屋に戻りながら聞きますよ。行きましょう、プリンセス
吉琳:うん
レオと話し始めるジルを見つめながら、素直に感心してしまう。

(次から次へと忙しく動いてるのに、混乱しないで全部に的確に対応してる)
(ジルがすごいのは知ってたけど…やっぱり憧れるな)

***

――…その日の午後
ジルと部屋に帰って来た後も、
ひっきりなしにたくさんの人がジルの元にやってくる。
私は書類の整理を手伝いながら、ジルの姿を見つめた。
官僚:助かりました、ジル様
ジル:いえ、引き続きよろしくお願いしますね
官僚:はい。それでは失礼致します
官僚は頭を下げると部屋を出ていく。

(…こうしてジルの仕事をそばで見てると、改めて感じる)

吉琳:…ジルってほんとにたくさんの人に頼りにされてるよね
ジル:そうですか?
吉琳:うん。だって、さっきからジルを頼ってたくさんの人が訪ねて来てるし
吉琳:来た人たちがみんな、すごくジルを信頼してる様子だから

(お城の人たちだけじゃない…)

書類を手に持ったまま、今日ジルのところに来た人たちのことを思い出す。

(他国の外交官に教会の管理をしている方色んな人が来てた)

その人たち一人一人に真摯に応えるジルは、
まるで道を示してあげているようにも見えた。

(やり取りを聞いているだけでも、勉強になるな…)

そう考えていると、ジルはふっと目を細めた。
ジル:たくさんの人に信頼されているのは、私だけではないと思いますが
吉琳:え?
ジル:いえ、何でもありません
ジル:それよりプリンセス、手が止まっていますよ?
吉琳:…っ…ごめんなさい
私は慌てて書類整理に戻る。

(せっかくお仕事を見せてもらってるんだし、集中しなくちゃ)

しばらくすると、仕事の手を休めないままジルが口を開いた。
ジル:それで、何を考えていたのです?
吉琳:え?
ジル:手を休めていた時、何か考えていたでしょう?

(ジルも書類に向かってたのに、そんなことまでお見通しなんだ)

吉琳:…ジルに出逢ってからもうすぐ2年になるけど
吉琳:やっぱりジルのそばにいると、まだまだ学ぶことが多いなあって思ってた
ジル:そんなことを考えていたのですか?
ジルは意外そうな顔をした後、柔らかな笑みを浮かべて…――
ジル:相変わらず、貴女は…――

 

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第2話:

 

吉琳:…ジルに出逢ってからもうすぐ2年になるけど
吉琳:やっぱりジルのそばにいると、まだまだ学ぶことが多いなあって思ってた
ジル:そんなことを考えていたのですか?
ジルは意外そうな顔をした後、柔らかな笑みを浮かべる。
ジル:相変わらず、貴女は勉強熱心な方ですね
吉琳:それは…私には、まだ足りないところがたくさんあるから

(でも、いつかはジルみたいに…)
(…ううん、プリンセスになってもう2年になるんだし、いつかなんて言ってちゃダメだよね)

決意するようにぎゅっと手を握ると、
書類をまとめたジルが、机の上に積み上げられた本を抱えて立ち上がった。
ジル:書類の方はもういいですよ。図書館に行きましょう
吉琳:うん

***

資料に使った本を二人で手分けして棚に戻しながら、
少し離れた場所で本をしまうジルに視線を向ける。
ジル:…………

(…こうしてると、なんだか恋人になる前のことを思い出すな)

〝ジル:プリンセス、その本ですが…〞
〝吉琳:あ、うん〞
〝ジル:とても細かく他国の物流の流れが記されてあります〞
〝ジル:目を通しておくと、きっと役立つ日が来るはずですよ〞
〝ジル:それと、こちらにはウィスタリアの歴史について…――〞

(あの時は腕を怪我したジルの手伝いができればと思ったけど…)

結局、あの時もジルは優しく見守ってくれていた。

(私がプリンセスとして成長できるように…)

ジル:…こうしていると、思い出しますよ
吉琳:え…
ジルの言葉に顔を上げると視線が重なって、微かに鼓動が跳ねる。
吉琳:もしかして、前に私がジルを手伝った時のこと?
ジル:ええ。貴女も思い出していたのですか?
吉琳:うん

(同じことを同じ時に思い出していたのが嬉しい)

吉琳:あの頃よりは、プリンセスとして成長できてるかな…?
本の背表紙を見つめながら呟くと、ふっと笑う気配がした。
ジル:もちろんですよ、プリンセス
ジル:ですが…――

(え?)

ジルの声が思いがけず近くで聞こえ、振り向くと……
吉琳:んっ…
ふいに唇を塞がれ、目を見開く。

(っ…)

下唇を甘く噛まれて、思わず手にしていた本を落としそうになってしまう。
ジル:…駄目ですよ、ちゃんと持っていてください
大きな手が私の手を包み込み、ジルの吐息が唇に触れた。
吉琳:…っ…ジル
ジル:プリンセスとして成長はしましたが…
ジル:こういう不意打ちに弱いところは、まだまだですね
鼓動が聞こえてしまいそうな距離で、悪戯っぽい目と視線が重なり、頬が熱を持つ。
吉琳:そ、それは…プリンセスの成長とは関係ないと思う
ジル:そうですね
ジル:今のは少し、恋人の貴女をからかいたくなっただけです
吉琳:仕事中、だよ…?
私の言葉に、ジルはくすりと微笑んだ。
ジル:仕事中にも適度な息抜きは必要なのですよ
吉琳:息抜きって…
恥ずかしさに顔を伏せようとすると、すっと顎に指がそえられて…――
ジル:たとえば、こうして貴女と…――キスをしたり…ですね
妖艶な瞳に胸の音がドキドキと速くなる。

(でも……)

吉琳:ジル…からかってるでしょ
ジル:残念ですね、気づかれてしまいましたか
吉琳:やっぱり…!
薄く笑みを浮かべて、ジルが近づけていた顔を離す。
ジル:ですが、からかっただけではないのですよ
吉琳:え?
ジル:仕事熱心なのはいいですが、今のことも覚えておいてください
吉琳:今のって、適度な息抜きも必要ってこと?
ジル:ええ、貴女は頑張りすぎるところがありますので
ジルは私の手から本を取り上げると棚に戻してくれた。
ジル:さあ、次の仕事に向かいましょう
吉琳:…うん
ドキドキする鼓動を抑えながら、ジルの背中を見つめる。

(…さっきは昔を思い出して懐かしいと思ったけど)
(今ジルと私の間に流れる空気はあの時とは違う)
(それだけ、ジルと一緒に時間を重ねてきたんだな)

積み重ねて来た時間を思い返していると、自然と笑みがこぼれた。

(そういえば、私が最初にプリンセスとして成長したいと思ったきっかけは……)
(ジルに憧れたからだったっけ…――)

***

――…夜になってもジルの仕事は続いていた
吉琳:はい、ジル
ソファーで書類にサインをしているジルのそばに紅茶を置く。
ジル:ありがとうございます
ジル:プリンセス、補佐の仕事はここまでで結構ですよ
吉琳:え、でも…
ジル:あともう少しで終わりますから、今日はもう休んでください

(でも、あと少しだけ仕事をするジルを見ていたい)

吉琳:…それなら、ここで日誌を書いていてもいい?
ジル:日誌ですか?
吉琳:うん…今日せっかくジルの仕事を1日見せてもらえたから
吉琳:今日感じたことや学んだことを残しておきたいと思うんだ
そう告げると、ジルは懐かしそうに目を細めた。
ジル:貴女がプリンセスになってからの100日のように、ですか?
吉琳:うん

(プリンセスになった日からずっと…)

公務の感想や過ごす日々で感じたことを、
毎日日誌に書いてジルに提出していた。

(その全部にジルはいつも返事をくれて…)

――…よく頑張りましたね、プリンセス

(最後には必ず、その一言添えてくれたんだよね)

思い返していると、ジルが微かに私の方に体を乗り出して…――
ジル:では、書き終えた日誌は…――

 

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今回のプレミアENDでは、
スウィートENDの彼目線ストーリーを読むことができます。
あなたへの彼の想いを知ることができるので、
ぜひ両方のENDをお楽しみください♪

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第3話-プレミア(Premier)END:

ジル:では、書き終えた日誌は私に提出して頂きましょうか?
吉琳:そしたら、ほんとにあの頃みたいだね
懐かしさに思わず笑みをこぼすと、
吉琳ははっとしたようにこちらを見つめた。
吉琳:……あれ?
ジル:吉琳、どうかしましたか?
吉琳:あ…ちょっと気づいたことがあって
そう言うと、吉琳はそれまでとは違い、凛とした表情で顔を上げた。
吉琳:…ジル

(これは、何かを決めた時の表情ですね)

ジル:どうしました?
吉琳:これからどうしていきたいか…みんなに伝えたい気持ちが決まったよ
吉琳は曇りが晴れたような笑みを浮かべる。

(…2年前の貴女は、自分がプリンセスでいいのかと悩んでいたのですけれどね)

いま目の前にいる吉琳の姿に、その面影はない。

(それを少しだけ、寂しいとも思いますが…)

それ以上に、この国のプリンセスが吉琳であることを誇らしく思う。
吉琳:私ね…

(きっと、気づいたこれからの想いを告げようとしているのでしょうね)

けれどその口から続きが紡がれる前に、
吉琳の唇に、そっと指を当ててる。
ジル:その言葉は、明日のスピーチで聞かせてください
ジル:貴女が向ける言葉を、私はみんなと同じところから聞いていますから

(教育係として、そして…貴女の恋人としても…――)

***

――…プリンセスの就任2周年の式典当日
先に会場に来て式典の準備を進めていると、
会場の回りで微かなざわめきが起こる。
ジル:……?
視線を向けると、煌びやかなドレスに身を包んだ吉琳の姿があった。

(まるで雲間から光が差したようですね)

王位継承者たちと笑顔で話す姿に、自然と周りから視線が集まっている。

(…『王宮のダイヤモンド』と言われた100年前のプリンセスは)
(今の吉琳のようだったのかもしれませんね)

無意識に笑みを浮かべながら、吉琳の元へ足を向ける。
ジル:皆さん、そろそろ時間ですよ
声をかけると振り向いた吉琳が嬉しそうな笑みを浮かべる…――
吉琳:ジル!
ジル:行きましょう、プリンセス
吉琳:うん
差し出した手に重なる手を握り返し、
歩きながら吉琳の耳に唇を寄せる。
ジル:貴女の言葉が聞けるのを、楽しみにしていますよ
小さく囁くと、吉琳が微かに目を見張る。
そして、ふわりと柔らかな笑みを唇に刻んだ。
吉琳:ありがとう、頑張ってくるね

***

――…そして式典が始まり
吉琳:私は…『王宮のダイヤモンド』と呼ばれる100年前のプリンセスのように
吉琳:この国の道を示せるような、そして皆さんに誇ってもらえるような
吉琳:そんなプリンセスになりたいと思います

(誇ってもらえるように…ですか)

壇上で国民に向かって想いを告げる吉琳を、そっと見つめる。

(もうとっくに、叶っているように思いますがね)

気品に満ちた笑みで語る吉琳の姿は、
誰の目から見ても本物のプリンセスだ。

(この国の人たちに貴女の想いが伝わっているということを)
(実感させて差し上げたいですね)

吉琳のスピーチが終わり、広場が拍手の音に包まれる。
頭を下げる吉琳の方に、足を向けた。
ジル:それでは続いて、『プリンセスの証』の授与を行います
箱からネックレスを取り出し、真っすぐに吉琳と向き合う。
ジル:――貴女の歩む道が、これからも光り輝くものでありますように

(そしてそのそばで、いつでも私が貴女を支えられますように)

そんな気持ちを込めて、吉琳の首にネックレスを回す。
吉琳:ありがとうございます
ネックレスをつけ終えると、歓声が沸いた。

(もう一つ…貴女に伝えたいことがある)

周囲を見回す吉琳の耳に唇を寄せる。
ジル:それともう一つ…
吉琳:……?
ジル:どんな時も絶対に貴女を守るとお約束します
ジル:…これからも、ずっと
出逢った頃と同じような言葉で、
あの時とは変わった想いを言葉に乗せて告げる。
吉琳:ジル…
一瞬泣きそうに瞳を揺らして、吉琳ははにかむように笑った。
吉琳:うん…ありがとう、ジル
ジル:ええ

***

式典が終わり、城下の様子を見ながら二人で高台を訪れる。

(それにしても……)

ジル:城下ではずいぶん人気者でしたね、プリンセス?
吉琳:もう…からかわないで
恥ずかしそうに目を伏せる吉琳に、つい笑みがこぼれる。

――…高台に辿りつくまで、吉琳は街のあちこちで親しげに声をかけられていた。

(それだけ、吉琳がプリンセスとして認められているということですね)
(…その想いは、国民だけでなく私も同じですが)

ふいに高台に暖かな風が吹きつけて、吉琳の髪を揺らす。
手を伸ばして髪を撫でつけると、吉琳がくすぐったそうに笑った。
吉琳:…今日はいつもより…――城下が明るいみたい
ジル:それは貴女の2周年のお祝いをするために
ジル:街の人たちが、たくさんの明かりを灯しているからでしょうね
吉琳:…そっか
この光景を目に焼きつけようとするように、
城下を見つめる吉琳に口元が緩む。

(この真っすぐな瞳は、何度見ても飽きませんね)

この景色を胸に、きっと吉琳はまた新しい一歩を踏み出そうとする。
その道を、照らせる存在でありたいと思う。

(貴女が迷うことなくプリンセスとして成長していけるように)
(いつでもこの手で支えたい)

ジル:…吉琳
吉琳:ん?
ジル:あの光は、貴女の努力がきちんと未来に繋がっている証だと思います
ジル:今まで一番そばで見てきた私が、そのことを一番よく知っていますよ
息を呑んだ吉琳の瞳が、どこか泣きそうに揺れる。
吉琳:…ありがとう、ジル
吉琳:でも、私はまだまだ足りないことばかりだと思うから
吉琳:これからもご指導お願いします

(…本当に、向上心の強い方ですね)

自分に向き直る吉琳の頬を手のひらで包み込む。
ジル:それは、教育係としての私にですか?
ジル:それとも、恋人に対してのお願いでしょうか
顔を覗き込んでわざと意地悪に問うと、
目を瞬かせた吉琳がふっと口元を緩めた。
吉琳:どっちも、かな
ジル:わがままですね?
吉琳:…そうだよ
吉琳:ジルに対しては、わがままになっちゃうの

(ずいぶんと可愛らしいわがままですね)

照れた様子で言葉をこぼす吉琳に、
どうしようもないほど、甘く胸をくすぐられる。
ジル:そんなことを言うプリンセスには、お仕置きが必要ですね…?
吉琳:え?
指で顎を持ち上げて、そっと唇を塞ぐ。
吉琳:んっ…

(でも、こういう貴女だからこそ…)
(こんなにそばにいたいと思うのでしょうね)

優しくキスを重ねていると、吉琳の手が背中に回される。
その手の感触にさえ胸が満たされるのを感じながら、
腕の中の大切な人を、優しく抱き寄せた…――

 

fin.

 

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第3話-スウィート(Sweet)END:

 

ジル:では、書き終えた日誌は私に提出して頂きましょうか?
吉琳:そうしたら、ほんとにあの頃みたいだね
私とジルはふっと笑みを交わす。

(日誌に書かれたジルの『よく頑張りましたね』の言葉に)
(何度も背中を押されたっけ)

そしてこの国に対するジルの深い想いに触れて、
自分もジルのようになりたいと憧れた。

(この国の多くの人たちの道を示しているジルのようになりたいって)
(その気持ちは、あの頃からずっと変わってない…)

そう思った瞬間、自分の中にある想いに気づく。
吉琳:……あれ?
ジル:吉琳、どうかしましたか?
吉琳:あ…ちょっと気づいたことがあって

(――…そっか、あの頃から変わってなかったんだ)

ジルのそばで一緒にこの国を支えていきたい。
ジルのように、この国の人たちに誇りに思ってもらえる自分でありたい。

(ずっと抱えている気持ちだったから…最初から答えが出てたことに気づかなかった)

けれど変わらない気持ちは、あの頃よりずっと強い想いになっている。

(あの頃と同じ…でも、ずっと強くなった気持ちが)
(今度の式典で伝えたい私の想いだ)

吉琳:…ジル
ジル:どうしました?
吉琳:これからどうしていきたいか…みんなに伝えたい気持ちが決まったよ
吉琳:私ね…
言いかけた唇にジルの指がそっと押し当てられる。

(ジル…?)

ジル:その言葉は、式典のスピーチで聞かせてください
ジル:貴女が向ける言葉を、私はみんなと同じところから聞いていますから
吉琳:…うん、わかった
私が頷くと、ジルは再び書類に視線を戻した。

(…そうだ)

吉琳:ねえ、ジル
ジル:何です?
吉琳:式典でのスピーチがうまくいったら
吉琳:また、よく頑張りましたねの言葉をくれる…?
ジルが微かに目を見張って、柔らかに口元を綻ばせた。
ジル:ええ、もちろん
ジル:ですが…
ジル:もっと頑張りましょうにならないよう、しっかりお願いしますね?

(言葉は厳しいけど…)

向けられる眼差しの優しさに、私も笑みを返す。
吉琳:――はい

(式典の当日、私が見つけた答えをきちんと伝えよう)

そう決心しながら、私は頷いた。

***

――…プリンセスの就任2周年の式典当日
吉琳:わあ…!
式典の会場である城下の教会前に行くと、たくさんのロウソクが灯されている。

(綺麗だな…)

淡い明かりに目を奪われていると…――
ノア:あ、吉琳だ
吉琳:ノア、それにカインとルイも
カイン:主役のくせに遅えぞ
ルイ:カイン…そういう言い方したら、またジルに怒られるよ
三人のそばに行き、もう一度広場の周囲に目を向ける。
吉琳:このロウソクすごいね
ルイ:城下の人たちが灯してくれたんだよ
カイン:ああ、お前の2周年を祝うためにな
吉琳:え、そうだったの…?

(こんな風にお祝いしてくれるなんて、嬉しいな…)

無数のロウソクの灯に、たくさんの人々の想いを感じる。

(私もこの想いにきちんと応えたい)

その時、後ろから靴音が聞こえて……
ジル:皆さん、そろそろ時間ですよ
振り向くと、礼服に身を包んだジルの姿があった。
吉琳:ジル!
ジル:行きましょう、プリンセス
吉琳:うん
差し出された手を取って歩き出すと、ジルは私の耳に唇を寄せた。
ジル:貴女の言葉が聞けるのを、楽しみにしていますよ
響いた言葉が胸に届いて、ほんの少し感じていた緊張が和らいでいく。

(…なんだかジルの言葉が背中を押してくれるみたい)

吉琳:ありがとう、頑張ってくるね

***

――…式典が始まり、しばらく経った頃
ジル:それでは、プリンセスからお言葉を頂きます
ジル:プリンセス…壇上へ
吉琳:はい
顔を上げて壇上に進み出ると、一瞬だけジルと視線が重なる。
見守るような優しい眼差しに、背筋を伸ばしてマイクの前に立った。

(これが、私が見つけた答え…)

吉琳:私は…――
広場にいる一人一人の顔を見つめながら、
心に浮かぶ気持ちを真っすぐに伝えていく。
スピーチを終えてお辞儀をすると、大きな拍手が広場を包み込んだ。
ジル:それでは続いて、『プリンセスの証』の授与を行います
ネックレスを持ったジルと向き合う。
ジル:――貴女の歩む道が、これからも光り輝くものでありますように

(ジル……)

柔らかな笑顔と言葉にジルの想いが伝わって、胸が詰まる。
吉琳:ありがとうございます
ジルの手からネックレスをつけられると、歓声が湧き起こった。
広場にいるみんなの顔を見つめていると、小さな囁きが耳に届く。
ジル:それともう一つ…
吉琳:……?
顔を上げると、まっすぐな瞳に見つめ返される。
ジル:どんな時も絶対に貴女を守るとお約束します
ジル:…これからも、ずっと
吉琳:ジル…

(今の言葉…2年前と同じだ)

〝ジル:どんな時でも絶対に、貴女を守るとお約束します〞
〝ジル:………この命が尽きるその日まで〞

(でも、あの時とは意味が変わった)

今告げられたものは期間限定じゃない、これからも続く約束だ。

(…なんだか、泣きそう)

込み上げそうになる涙を堪えて、ジルに笑みを向ける。
吉琳:うん…ありがとう、ジル
ジル:ええ

***

式典が終わると、私はジルに誘われて城下を歩いて帰る事にした。
女:プリンセス! 今日の式典素敵でしたよ
男:ああ、これからもよろしくな
城下の人たちに何度も親しげに声をかけられる。
そのたびに笑顔で応えていると、隣にいるジルが笑う気配がした。
吉琳:どうかした?
ジル:いえ、先ほどから全然移動していないなと思いましてね
吉琳:あ…ごめんね
ジル:いえ。ですが、こうしていると実感できるのではありませんか?
吉琳:実感?
ジルは優しく目を細めると、周囲を見回した。
ジル:ええ、プリンセスとしてこの国の人たちに認められていること…そして
ジル:プリンセスとして…――成長している自分を

(もしかして…)

吉琳:それを感じさせるために、城下の様子を見て帰ろうって言ってくれたの…?
尋ねるとジルは目を細めて、微かにほつれた私の髪を耳にかけた。
ジル:…スピーチを聞いて思ったのですよ
ジル:貴女に、この光景を見せたいとね
その言葉に、さっき自分が口にしたことを思い出す。

〝吉琳:私は…『王宮のダイヤモンド』と呼ばれる100年前のプリンセスのように〞

〝(そして、ジルのように)〞

〝吉琳:この国の道を示せるような、そして皆さんに誇ってもらえるような〞
〝吉琳:そんなプリンセスになりたいと思います〞

ジル:この光景を見る限り、貴女の今までの想いは伝わっていると思いますよ
ジル:少なくとも私は…貴女を誰より誇らしく思っています
ジルの言葉に嬉しい気持ちが込み上げてくる。

(でも……)

吉琳:…まだまだだよ
ジル:…? なぜです?

(だって…)

吉琳:国王陛下の右腕であるジルに追いつくのが、私の目標なの

(ジルが道を示してくれたから、今も私はこの国でプリンセスとしていられる)
(私はまだ、ジルのようにはなれていないから)

吉琳:だから…もっと成長するから、見ていて
吉琳:成長する私を、誰よりそばでジルに見ていてほしい
ジル:…貴女は本当に、向上心の強い人ですね
ジルは笑みを浮かべると、私の手を握った。
ジル:――ええ、誰よりそばで見ていますよ
ジル:それがプリンセスの教育係である私の役目であり
ジル:私自身の望みですから
吉琳:ジル…
笑みを交わしていると、また城下の人に笑顔で名前を呼ばれる。
ジル:今夜はまだ忙しい夜が続きそうですね
ジル:大丈夫ですか、プリンセス?
吉琳:もちろん
ジル:では…一緒に行きましょうか
吉琳:はい

(私はまだ、ジルほどにはこの国のための力にはなれてない)
(でも、この手が離れないでそばにいてくれるなら…)
(これからもきっと、この国のために…プリンセスとして成長していける)

私はジルの手をぎゅっと握り返して、
みんなが呼ぶ声に応えるために、真っすぐに歩き出した…――

 

fin.

 

新版王宮 劇情活動-Royal Prince Days 今日

 

Epilogue:

新版王宮 劇情活動-Royal Prince Days 今日

――…2周年の式典が終わり、互いの想いを深めた後は…
…………
(けれど私は…)
(恥ずかしがる貴女に手を伸ばしたいと、そう思ったのですよね)
互いの気持ちが溢れるように、とびきり甘い夜が始まって……
ジル:プリンセスとしての教養はたくさんお教えしてきましたが
ジル:恋人としての愛し方は、まだ教え足りません
耳に唇を押し当てながら囁くと、肩がびくりと跳ねる…――
さらに、2周年の時の思い出も蘇って……
(誇ってもらえるように…ですか)
(もうとっくに、叶っているように思いますがね)
何度言葉で伝えても、何度触れても、
大好きな恋人に、今日も飽きずに恋をする…――

新版王宮 劇情活動-Royal Prince Days 今日

――…プリンセスの2周年の式典が終わり、城に戻った夜
…………
礼服からシャツに着替え、吉琳とソファーに並んで座る。
ジル 「お疲れ様でした、吉琳」
吉琳 「うん、ジルも」
くつろいだ様子で微笑む吉琳は、少しだけ眠そうな顔をしている。

(式典の時の顔とは、全然違いますね…)

〝吉琳 「私は…『王宮のダイヤモンド』と呼ばれる100年前のプリンセスのように」〞
〝吉琳 「この国の道を示せるような、そしてこの皆さんに誇ってもらえるような」〞
〝吉琳 「そんなプリンセスになりたいと思います」〞

〝(誇ってもらえるように…ですか)〞
〝(もうとっくに、叶っているように思いますがね)〞

〝気品に満ちた笑みで語る吉琳の姿は、〞
〝誰の目から見ても本物のプリンセスだ。〞

〝(この国の人たちに貴女の想いが伝わっているということを)〞
〝(実感させて差し上げたいですね)〞

(吉琳の想いを、私も大切にしていきたい)

そう思った時、ふと式典の前に吉琳とした約束を思い出した。
ジル 「ああ…一つ貴女に伝えなければいけないことがありました」
吉琳 「伝えなきゃいけないこと?」
ジル 「ええ…こちらに来て頂けますか?」
吉琳 「ん…?」
顔を寄せて来た吉琳の肩に手を回して、その額にキスをする。
ジル 「――今日の式典、よく頑張りましたね」
ジル 「立派でしたよ」
吉琳 「ジル…」
ジル 「式典のスピーチがうまくいったらこの言葉を伝える」
ジル 「そう約束しましたからね」
吉琳 「…ありがとう」
嬉しそうに笑う唇に触れるだけのキスを落とし、瞳を覗き込む。
ジル 「何かご褒美を差し上げたいと思うのですが…」
ジル 「私にしてほしいことはありませんか?」
吉琳 「あ……」
何かを思いついたように声をあげた吉琳は、
言葉にすることをためらうように目を伏せた。

(何を思いついたのでしょうね…?)

少しからかいたくなって、指で顎を持ち上げ、
吐息の絡む距離まで唇を寄せる。
吉琳 「ジ、ジル…」
ジル 「言わないとわかりませんよ、吉琳?」
ジル 「私に、何をしてほしいのですか?」
吉琳はこちらを見上げて、ゆっくりと口を開いた。
吉琳 「…髪、を」

(髪…?)

吉琳 「ジルの髪を、洗わせてもらえないかな…?」
ジル 「私の、ですか?」
吉琳 「うん。ずっと前に洗わせてもらったことがあったでしょ?」
吉琳 「この間1日補佐をした時に、100日間のことを思い出したら懐かしくなって…」
吉琳 「また洗わせてもらえないかなって思ったんだ」

(ああ…そういえば手を怪我した時)
(一度だけ吉琳にお願いしたことがありましたね)

あの時の自分たちは、プリンセスと教育係…ただそれだけの関係だった。

(けれど私は…)
(恥ずかしがる貴女に手を伸ばしたいと、そう思ったのですよね)

ジル 「わかりました。では、お願いしてもいいですか?」
吉琳 「うん!」

***

水音と、吉琳が髪をすく音だけが微かに響く。
ジル 「吉琳、もういいですよ」
吉琳 「うん…」
頷くけれど、吉琳が離れる気配はなくて……
ジル 「吉琳?」
見上げると、首筋に顔を寄せられた。
吉琳 「あの時にも思ったけど、ジルのこの甘い香り…好きだな」

(まったく、貴女という人は……)

あまりの無防備さに、思わずため息がこぼれた。
ジル 「煽っているのですか、私を」
吉琳 「え……、んっ…」
吉琳の頭に手を添えて、唇を奪う。
何度も唇を重ねていると、吉琳の甘い吐息が浴室に響いた。
吉琳 「っ……はぁ…」
息をついた吉琳が、肩に頭を預けてくる。
その首筋に唇を寄せながら、ドレスのファスナーに手を伸ばした。
吉琳 「っ…ジル…?」
ジル 「このままだとドレスが濡れてしまいますからね…脱がしますよ?」
吉琳 「え…一緒に入るの?」
ジル 「嫌ですか?」

(嫌と言われても、止める気はないのですがね)

答えを待つ間も、誘うように手のひらで背中をくすぐっていく。
吉琳 「んっ…嫌じゃない、けど…」
ジル 「けど、なんです…?」
吉琳 「ここ、明るいから…恥ずかしいよ」

(…そんな顔をされると、困りますね)

目を逸らす吉琳の頬の赤さに、触れたいという衝動が強くなる。
ジル 「残念ですが、明かりはこのままです」
吉琳 「え…」
ジル 「私は貴女のそういう顔を、もっと知りたいので」
吉琳 「あっ…」
ドレスを引き下ろし、吉琳の体を抱き上げる。
浴槽に引き入れて、後ろから柔らかな体を抱きしめた。
吉琳 「……っ」

(体を固くして…可愛いですね)

ジル 「吉琳」
耳に唇を押し当てながら囁くと、吉琳の肩がびくりと跳ねる。
吉琳 「な、なに…?」 
ジル 「プリンセスとしての教養はたくさんお教えしてきましたが」
ジル 「恋人としての愛し方は、まだ教え足りません」
吉琳 「ぁ……」
閉じられた太ももの間に手を入れて内側に手を滑らせていく。
耳元で聞こえる甘い声に、背筋にぞくりと甘い痺れが走った。

(この声を聞いていると、止まらなくなりそうですね…)

顎に手を添えてこちらを向かせ、声を塞ぐように唇に深いキスを落とす。
吉琳 「んぅ……っ、ん」
唇を離すと、力が抜けたように体を預けてきた。

(本当に…どれだけ触れても、足りないと思うのですよ)

心地よい重みを受け止めながら、強く吉琳の体を抱きしめる。
すると、呼吸を整えていた吉琳がふいに視線を上げた。
吉琳 「ジル…」
ジル 「なんです…?」
吉琳 「これから、もっとたくさん教えて…?」
吉琳 「どうすれば嬉しいのか…何がジルにとっての幸せなのか」
吉琳 「ジルを誰より愛するために…たくさん教えてほしい」

(…こんなに甘いお願いをされたのは、初めてですよ)

体を包む湯よりもずっと温かな言葉が、胸を疼かせる。
ジル 「もちろんですよ、ただ…」
吉琳 「…?」
ジル 「貴女が音を上げなければ良いのですが」
吉琳 「っ……」
くすりと微笑むと、吉琳は照れたように顔を赤くする。

(本当に、可愛い人ですね…)

重なる瞳に微笑んで唇を奪い、
愛しい人の温もりを深く自分の方に引き寄せた…――

***

――…翌日の朝
目を覚ますと、吉琳は隣で静かに寝息をたてていた。
起こさないように、そっと胸に抱き寄せるとふいに甘い香りが鼻をくすぐる。

(こういう感覚なのでしょうか…?)

特に香水もつけていないから、自分から香る甘い匂いはよくわからない。

(ですが吉琳からするこの香りは…私も好きですね)

柔らかい頬にキスを落とし、吉琳の肩にシーツをかける。

(今日はもう少し、貴女とこうしていたい…――)

温もりに誘われるように自然と瞼が落ちて、
幸せな心地で穏やかな眠りに落ちていった…――

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