【復刻】果実を食べるのは?!魅惑に誘われて…
媚薬イベント-誘惑の果実(ジル)
これは、誘惑の果実がもたらした…
甘く刺激的な物語…―。
……
ジル:積極的な貴女も…悪くありませんね
私に果実を食べさせると、ジルがふっと目を細めて…。
ジル:知らずにこの果実を持ってくるなんていけない人ですね…お仕置きです
ふっと笑みを浮かべたジルが、果実に唇をよせて…。
………
禁断の果実に翻弄されるのは、あなた?それとも彼…?
あなたはどの物語に誘惑されてみたいですか…―?
プロローグ:
オレンジ色の満月が浮かぶ、ある夜のこと…―。
私は眠れずに、こっそりと書庫で本棚を眺めていた。
すると、奥の方に横たわっている一冊の本を見つける。
(なんだろう……?)
手を伸ばして取り出すと、はらりとページが落ちた。
(あっ……)
拾い上げようと屈むと、文字に目が止まる。
(…想いが伝わる果実……?)
私はそっと手に取ると、読みいった。
(その実を食べると、愛する人と秘密の時を過ごすことができる……)
私は好奇心を胸に抱くと、ふと窓の外を見る。
(そんな果実が本当にあるのかな…?)
夜空には、果実のように丸い満月が魅惑的に輝いていた…。
***
夜が明け朝日が降り注ぐ、翌朝…。
私はあくびを噛みころしながら、廊下を歩いていた。
すると庭に人影を見つける。
(あれ…?)
どの彼と物語を過ごす?
>>>ジルを選ぶ
第1話:
(あれ……?)
私は庭でジルの姿を見つけると、声をかけた。
吉琳:ジル……?
すると私の声に気づいたジルが、振り向く。
ジル:吉琳でしたか。ちょうど今、貴女を迎えに行こうとしていたところです
ジル:部屋にいると思っていましたが、いかがなさいましたか?
私はジルの言葉に頬を染めると、まつ毛を伏せた。
吉琳:その……
私は今日、各国の代表が集まる交流パーティーに招かれていた。
(新しいドレスを着せてもらったから、ジルに早く見てもらいたくて……)
心の中でそう呟いていると、気づいたのかジルが私のほうへ近づいてくる。
そして足を止めると、耳元で囁いた。
ジル:今日の吉琳はいつにも増して、きれいですね
吉琳:ジル……
私は顔をあげると、微笑んだ。
吉琳:ありがとうございます……
***
そうして私は、招かれていたパーティー会場へと来た。
(やっぱり各国代表の方々が集まるだけあって)
(すごく豪華なパーティーだな……)
煌びやかに飾られた会場に目を奪われていると、
後ろから声をかけられた。
振り返るとそこには、見知らぬ男爵の姿があった。
男爵:すごくお綺麗だ
にっこりと笑う男爵は、私を下から上へと見回す。
吉琳:ありがとうございます……
私は少し身をすくめると、付き添いに来ていたジルのほうを見た。
ジル:………
ジルは使用人らしき人に話をしている。
(この人が誰だか、今はジルに聞けなさそう……)
すると突然、男爵が私の手をぱっととった。
吉琳:……!
私はあまりに突然のことに思わず手を引いてしまった。
私の仕草に機嫌をそこねたのか、男爵の目の色が変わる。
男爵:なぜ、嫌がるのですか…?
男爵:私はずっと前からあなたのことをっ……
(この人……怖い……)
私が後ろに身をひいた、その時…。
ジル:プリンセス、あちらの方がお話したいそうです
ジルがにっこりと私に話しかける。
すると私の手を取っていた、男爵の手が解かれた。
男爵:………
ジルは男爵に軽く会釈をすると、にっこりと微笑む。
ジル:失礼致しました
私はジルに連れられて男爵から離れると、
ほっと胸を撫で下ろした。
やがてパーティーも終わり、お城へ戻ると…―。
***
私はお城へ戻ると、いつも通り書類に目を通していた。
すると、ドアが叩かれユーリがお茶を運んで来る。
吉琳:ありがとう、ユーリ
私は書類を置くと、ふっと息をついた。
ユーリは私に微笑むと、思い出したように言う。
ユーリ:そういえば、吉琳様
ユーリ:すごくきれいな花が送られてきてたよ
吉琳:お花……?
ユーリ:部屋に置いてあるから、後で見てみるといいよ
そう言ってユーリはにっこりと笑うと、机にティーカップを置いた。
***
しばらくして、私は公務の休憩中に部屋へ戻ると、
贈られてきた花を見ていた。
(ユーリの言うとおり…すごくきれい……)
花びらにそっと触れると、手紙が添えられていることに気づく。
(誰からだろう……?)
手紙を取ろうとした時、ドアが叩かれた。
ジル:失礼致します
吉琳:ジル……
ジルはドアを閉めると、花に目を留める。
私はお花を見ると、ジルに説明した。
吉琳:どなたかが贈ってくださったみたいなんです
ジル:そうですか…きれいな花ですね
吉琳:はい…
ジルにふっと微笑み、手紙を取ろうとした、その時…。
花に添えられていた手紙を取ると、私の指にチクリと痛みが走った。
吉琳:…っ……
手紙を見ると、銀色に光る針が添えられている。
(この手紙……)
私がじっと手紙を見ていると、ジルが後ろから声をかけてきた。
ジル:どうかなさいましたか?
吉琳:いえ……
(ジルに言ったら心配をさせてしまうかもしれない)
私はそう思うと手紙をそっと後ろ手に隠し、微笑んだ。
吉琳:城下の友達が贈ってくれたみたいで
吉琳:思わず懐かしんでしまいました
ジルは私の手元を見るものの、すぐに私の目を見た。
ジル:…そうですか
そして、いつものように優しく言う。
ジル:では、次の公務がありますので行ってください
吉琳:はい
私は頷くと、手紙を持ったまま部屋をあとにした…。
***
ドアが閉まると、ジルは贈られてきたという花に視線を向けた。
そして近づくと、花に触れる。
ジル:………
ジルは花に触れると、小さく息をついた。
ジル:困りましたね……
***
一方、その頃…―。
私は公務へ向かうため、ひとりで廊下を歩いていた。
先ほどの手紙を取り出すと、指の傷を見る。
(たいした傷ではないけど……)
不安で胸がざわめくのを感じる。
(一体誰がこんなことを……)
そう考えを頭に巡らせていると、
廊下の先のほうに、見知った人の姿があった。
(あれは……)
吉琳:シド……?
思い出すようにその名前を呟くと、シドが振り返る。
シド:ああ、プリンセスじゃねーか
私は近づいてくるシドを見ると、首を傾げた。
(どうしてここにシドがいるんだろう)
すると、ふとジルの顔が思い出される。
(もしかして、ジルが何かを調べているのかな)
私はシドを見ると、口を開いた。
吉琳:どうしてここにいるの?
するとシドは、ああと言ったふうに顔をあげる。
シド:ジルから頼まれごとだよ
第2話:
シド:ジルから頼まれごとだよ
吉琳:ジルが……?
私はシドの言葉を聞くと、声を出していた。
(やっぱりジルは何かを調べているんだ……)
吉琳:なにかあったの…?
(もしジルがなにかで困っていたら、助けになりたい)
するとシドが怪訝そうに眉を寄せる。
シド:いくらプリンセスでも、そいつは言えねぇよ
シド:この商売は秘密厳守だからな
私は残念そうに顔を曇らせると、小さく呟いた。
吉琳:……そう
すると、シドが口を開く。
シド:とりあえず、気をつけろよ
吉琳:えっ?
顔をあげると、シドはじゃあなと言ったように手をひらひらとさせ、
そのまま行ってしまった。
(気をつけろって…どういうことだろう……)
私はシドの言葉の意味を考えると、廊下を歩いて行くシドの背中を見つめた…。
***
公務を終え、日も暮れかけてきた頃…―。
私は部屋で休もうと髪を梳いていると、
ドアが叩かれ、ジルが入ってきた。
吉琳:ジル……
(こんな時間にどうしたんだろう)
私が立ち上がると、ジルは部屋にある花に視線を向けた。
ジル:つかぬことをお聞きしますが
ジル:その花は、本当にご友人からですか?
(えっ……)
私は、低く響くジルの声に、思わず言葉を詰まらせた。
部屋に飾られた花を見ながら、ジルが言う。
吉琳:それは……
私は言葉を詰まらせると、俯いた。
(手紙に針を入れてくるような人だし…)
(もしジルに本当のことを言ったら、迷惑がかかるかもしれない)
吉琳:はい……
とっさに口から嘘がこぼれると、
ジルが小さく息をついた。
ジル:貴女って人は……
そして私に近づいてくると、私の手をさらう。
吉琳:あっ……
(そっちの手は……)
ジルは私の手を見ると、眉を寄せた。
そこには、何かで刺されたような小さな傷がある。
ジル:この傷はなんですか?
ジルからの問いかけに私の鼓動が跳ねる。
ジル:正直に言ってください
ジルから向けられる真剣な眼差しに、ゆっくりと口を開いた。
吉琳:実は……
私は少し間を開けると、ぽつりぽつりと話しだした。
吉琳:贈られてきた花に針が添えられていたんです……
ジル:………
私の言葉にジルは一瞬、怪訝そうに眉を寄せると、
さらっていた手を、自分のほうへと引き寄せた。
吉琳:あっ……
(もしかして黙っていたことを怒って……)
そう思うとジルの目が見れなくなり、私はまつげを伏せた。
すると、私の顎をジルがすくいあげる。
吉琳:ジ、ジル……?
私が名前を呼ぶと、ジルは呟いた。
ジル:そんな大事なことを黙っていたなんて…
ジル:どうやら貴女にはお仕置きが必要みたいですね
吉琳:えっ……
ジルの言葉に私が目を見開くと、
ジルは私の唇に強く押し付けるような口づけを落とした。
吉琳:…っ……
引き寄せている私の手首を掴んだまま、ジルが何度も何度も唇を重ねてくる。
吉琳:んっ……
やがて私の唇がジルの唇に濡らされていくと、
私の口の中に舌を差し込んできた。
吉琳:んん……
ジルの舌に私の舌が絡めらとれていく。
強引なジルの口づけに、私は息をするのもやっとだった。
(ジル……)
繰り返されるジルの口づけに、私の息が絶え絶えになっていると、
ジルはそっと私から唇を離した。
ジル:…先日のパーティーを覚えていますか?
吉琳:パーティー…ですか?
私はジルの言葉に男爵から手をとられたことを思い出すと、
ぞっと背中が沸き立つのを感じた。
(あの時は、本当に怖かった……)
すると私の様子を見たジルが、優しく抱きしめてくる。
ジル:あの方は、どうやら吉琳に好意を抱いているようです
吉琳:えっ……
ジル:以前にも、好意を寄せていた女性を困らせていたようですね
ジル:シドに調べさせたら、恐らくあの花の贈り主も同一人物だろうと
私はジルの言葉を聞くと、廊下で会ったシドのことを思い出した。
(それで気をつけろって言っていたんだ……)
吉琳:そうだったんですね……
そう答えると、ジルが私をより一層抱きしめる。
ジル:これからは、何かあったらすぐに私に報告してください
吉琳:はい……
私はジルのしなやかでたくましい腕の中で、小さく頷いた。
***
そうして私とジルが約束ごとを決めた翌日のこと…―。
久々の休日に朝の仕度をしていると、ドアが叩かれた。
ドアが叩かれると、メイドさんが入ってきた。
吉琳:それは……
私はメイドさんが持っていたフルーツバスケットを見ると、尋ねる。
メイド:ジル様からプリンセスにだそうです
吉琳:ジルから……?
(嬉しい…すごくおいしそうな果物ばかり……)
そう私がたくさんのフルーツを見ていると、
メイドが私にカードをすっと差し出してきた。
メイド:あと、これもジル様から渡してほしいと言われました
私はカードを見ると、ふっと頬を綻ばせた。
(今日はジルが迎えに来てくれるはずだったけど)
(メイドさんに待ち合わせ場所の伝言を頼むって、きっと忙しんだな……)
私は今日の日のために用意した髪飾りをつけると、
書かれている待ち合わせ場所へと行った…。
***
フルーツバスケットが届いてから少し経った時…―。
迎えに来ていたジルは、プリンセスの部屋を訪ねた。
すると、誰もいないことに気づく。
ジル:………
部屋を見渡すと、フルーツバスケットに目を留めた。
ジル:まさか……
近づいて添えられているカードを見ると、眉を寄せる。
第3話:
私は待ち合わせ場所に来ると、首を傾げた。
(あれ…誰もいない……)
辺りを見回していると、後ろから声をかけられる。
???:こちらですよ
吉琳:ジル……?
呼ぶ声のほうに振り向くと、私は驚きにまつ毛を揺らした。
そこには、パーティーで私の腕を掴んだ男爵がいた。
男爵:この前は失礼いたしました
男爵:どうしてもそれだけが言いたくて…こんな形でおよびしてすみません
吉琳:えっ……
私は男爵の言葉に、不安を覚えた。
(もしかして、フルーツバスケットを贈ったのはこの人…?)
パーティーの時とは違う誠実な態度をみせるものの、
私は思わず後ずさった。
〝ジル:シドに調べさせたら、恐らくあの花の贈り主も同一人物だろうと〞
(ジルもそう言っていたし……)
(この人を信じてはいけない気がする)
そう思い息をのんで見つめていると、
男爵が声をあげて笑いだした。
男爵は声をあげて笑うと、私を見据えた。
男爵:どうしてなんだ…
男爵:俺はあなたの事がこんなにも好きなのに……
そう言うと、私の腕をぐっと掴む。
(逃げなきゃいけないのに…足がすくんで動けない…)
私はそう思ってぎゅっと目を閉じた。
すると、その時…―。
???:吉琳……
(えっ……)
私は覚えのある腕に抱き寄せられていた。
目を開けるとジルが男爵を睨みつけている。
ジル:………
男爵:な、なんだお前は……
男爵がそう言うと、ジルが言った。
ジル:その汚らわしい手を離して頂けますか。でないと…
ジル:今の私は、あなたに何をするか分かりませんよ
男爵:………
ジルの気迫に、男爵が息を呑む。
すると、騎士団の足音が聞こえてきた。
ジル:もうこれであなたも終わりですね
ジルは男爵にそう告げると、そっと私の身体を抱きしめた。
そうして私はジルに連れられてお城に戻った……。
***
部屋に戻ると、私は小さく息をついた。
(ジルがちゃんと言ってくれていたのに…)
〝ジル:これからは、何かあったらすぐに私に報告してください〞
(花を贈ってもらった時に私が気づいていれば)
(こんなことにはならなかったはず)
そう思いずきんと胸が痛むと、ドアが叩かれる。
ジル:失礼致します
吉琳:ジル……
振り返ると、ジルがドアを閉めてこちらにやってくる。
私は歩いてくるジルの手元を見ると、尋ねた。
吉琳:ジル…それは……
するとジルがふっと笑みを浮かべる。
ジル:男爵からの贈り物は全て捨てましたので、
ジル:代わりに私とメイドたちからあなたにです
吉琳:そんな……
(私がいけないのに……)
私はジルからフルーツバスケットを受け取ると、うっすらと涙をにじませた。
吉琳:…ありがとうございます
そう呟くと、ジルがふっと笑う。
ジル:吉琳は悪くありませんよ
ジル:メイドに聞いたところ、人伝えで私からだと聞いて渡してしまったそうです
ジル:城の護衛態勢も考えなくてはいけませんね
そう言うとジルは、私の腰元に視線を落とした…。
ジルは私の腰元にさげられたポシェットに視線を寄せた。
ジル:それは……
私はジルから寄せられる視線に自分の腰元を見ると、思い出した。
吉琳:そうだ……
そしてフルーツバスケットを机に置くと、
ポシェットの中に手を入れ、まっ赤に艶めく果実を取り出す。
吉琳:実は、男爵から贈られてきたフルーツバスケットを見て、思い出したんです
〝それは、お城でシドから忠告を受けた時…。〞
〝シド:気をつけろよ〞
〝私はシドの背中を見ると、呼び止めた。〞
〝吉琳:待って……〞
〝吉琳:ジルが調べてることを教えてくれなくてもいいから〞
〝吉琳:大丈夫なのかどうかだけ教えて…〞
〝すると、シドはふっと笑みをこぼす。〞
〝シド:お前にいいもんやるよ〞
〝吉琳:えっ?〞
〝そう言うと、私に赤い果実を渡す。〞
〝シド:まだ若いから、部屋にでも置いて熟してから食わせてやれよ〞
吉琳:そう言ってシドがジルの大好物だからってくれたんです
吉琳:フルーツバスケットを見た時、シドの言われた通り部屋に置いていたのを思い出して…
するとジルは私の話を聞いてふっと笑った。
ジル:そうですか……
そして果実を私から受け取ると、目を細めた。
ジル:吉琳はこの果実のことを、知っていますか?
目を細めながら尋ねるジルに、私はこくりと頷いた。
吉琳:書庫にあった本で見た、果実に似ている気がして……
吉琳:確か…想いが伝わる果実という名前だったような…
ジル:そうですか……
ジルは私の言葉を聞くと、自分の手の中にある果実を見た。
ジル:もし、あの男がこの果実を持っていることを知ったら
ジル:大変なことになっていたでしょうね
吉琳:えっ?
私がそう言ってジルの言葉に首を傾げると、
ジルはふっと唇に笑みを浮かべる。
ジル:吉琳は気づいていないようですが…
ジル:本に書かれていた、想いが伝わる果実とはこのようなことを言うのですよ
すると私のうなじを抱き寄せて…。
吉琳:んっ……
私の唇に口づけを落とした。
そのまま私の身体をベッドへと追い込むと、
ゆっくりと押し倒してくる。
吉琳:んんっ……
私の身体がベッドへと倒れると、
ジルは私の脚の間を撫でた。
吉琳:………!
思わずぴくりと私の身体が揺れると、
ジルはそっと唇を離し、目を細める。
ジル:お分かり頂けましたか?
吉琳:えっ……
私はジルの口づけに火照った身体を見ると、気づきに頬を染めた。
(もしかして、媚薬……?)
すると赤くなった私の顔を見てジルがふっと笑う。
ジル:それにしても、知らずにこのような果実を持ってくるなんて…いけない人ですね
ジル:お仕置きです
ジルはにやりと口角をあげると、艶めく果実を持ち上げた…。
第4話-プレミア(Premier)END:
ジル:お仕置きです
そう言ってジルは、手の中にある赤く艶めく果実を見ると、
ひとくちかじった。
(あっ……)
私はジルが果実をかじっているのを見つめていると、瞳を不安そうに瞬かせた。
(大丈夫なのかな……)
するとジルは私の視線に気づいてふっと笑う。
吉琳:ジル……?
そして、もうひとくちかじると顔をだんだん近づけて…。
吉琳:ん……
私の口の中に甘い果実を落とした。
ジルは重なる唇の隙間から、舌をゆっくりと差し入れると、
私の口の中で果実を転がした。
吉琳:ん……!
のどまで果実が落とされると、私はそのまま飲み込む。
するとジルはドレスのリボンをするりと解いていった。
吉琳:やっ待ってください…ジル……
解かれていくリボンに恥ずかしさを感じた私は、
思わずジルにそうこぼした。
ジルは手を留めると、ふっと唇に笑みをこぼす。
ジル:なにを今さら言っているのですか…
ジル:私とこの果実を食べたかったのでしょう?
吉琳:それはっ……
(たしかに、ジルと食べようと思って持ってきたけど…)
(媚薬と知らなかったし……)
ジルの言葉に私の顔がかぁっと赤くなると、
ジルはふっと目を細めて、再び私のリボンを解いていった…。
ジルはリボンをとくと、私の胸元に唇をよせた。
吉琳:あっ……
私の肌が、ジルの唇で濡らされていく。
思わず身をよじると、私は掠れた声でジルの名前を呼んだ。
吉琳:ジ…ル……
するとその時…。
ジルが唇を離し、私を見つめた。
切なそうに細められたジルの目に、私は尋ねる。
吉琳:どうしたんですか…?
ジルは私の問いかけにふっと笑うと、言った。
ジル:……自分が許せませんね
吉琳:えっ?
ジル:吉琳を危険な目にあわせてしまった
(もしかして…)
私はジルの言葉に、男爵に手を取られた出来事を思い出す。
(ジル…そんなことを気にして……)
私はジルの頬にそっと触れると、小さく微笑んだ。
吉琳:私はいつもジルに守られているから、こうしてお城にいられるんです…
吉琳:だから、そんな風に言わないでください
ジル:吉琳……
ジルは僅かに目を見開くと、私の名前を呼んだ。
そして頬に触れる私の手をとると、ふっと笑う。
ジル:そんなことを言って知りませんよ
ジル:今夜は抑えが効かなくなりそうですから……
ジルは頬に触れる私の手をとると、ベッドに押し付けた。
そして私の唇に口づけを落とすと、
もう片方の手で私の脚をゆっくりと撫で上げる。
と、その時……。
吉琳:んっ……!
私はジルの指先に、今までに感じたことのないような甘い痺れを覚えた。
(触れられているだけなのに……どうして……)
吉琳:ジルっ……なんだか……
ジル:果実のせいですよ
そう言うとジルは私から離れ、シャツを脱ぐ。
(もしかして…媚薬が効いて……)
私はだんだんと熱を帯びてくる身体に戸惑っていると
ジルに手をさらわれた。
そしてその手をジルは自分の胸元にあてる。
吉琳:あっ……
私は手から伝わるジルの熱に、はっと瞳を揺らした。
(ジルの身体…すごく熱い……)
ジル:吉琳だけじゃなく、私もなのですよ
ジル:ですから……
ジルは自分の胸元にある私の手をおろすと、ふっと目を細めた。
ジル:今夜は少し我慢してくださいね
吉琳:えっ
そう言うとジルは私の唇をふさぐ。
そして私の脚の間に自分の脚をすべり込ませると、
スカートをまくりあげた。
吉琳:あっ……
私は腰元に甘い痺れを感じると、思わず声をあげる。
吉琳:やっ…ジル……
するとジルは唇を離し、私の耳元で囁く。
ジル:こんなに身体を熱くして、それでもやめてほしいというのですか?
吉琳:それはっ…んっ……
私は身をよじりながら、天井を見上げた。
何度もジルから送り込まれる甘い刺激に頭がふわつく。
(このままおかしくなってしまいそう……)
ジルから伝わる熱が私の身体に移されると、私は名前を呼んだ。
吉琳:ジル……
そのままベッドの軋みに身を委ねると、そっと目をとじた…。
***
そうして、迎えた朝のこと…―。
私はカーテンからこぼれる日差しを瞼に感じると、そっと目をあけた。
吉琳:んっ……
隣を見るとジルがいないことに気づく。
(あれ……)
ゆっくりと上体をおこすと、部屋の奥からジルがやってきた。
ジル:目が覚めましたか?
吉琳:ジル……
ジルはベッドまでくると、私の隣に腰かけた。
そして、私にすっと手紙を差し出す。
吉琳:これは……?
私は受け取ると、不思議そうにジルの顔を見た。
ジル:あの男が吉琳に手紙を贈ったままでは嫌ですからね
ジル:私の気持ちです
私は手紙を開くと、頬を染めた。
吉琳:…ありがとうございます
そう言ってジルの顔を見上げると、目があう。
窓から吹き込んだ風が、ふわりとカーテンを揺らした。
ジル:………
吉琳:………
ジルは私の頬にそっと触れると、
私の唇にやさしいキスを落とした。
吉琳:…っ……
そしてゆっくりと唇を動かすと、ベッドに私の身体を倒していく。
私はジルの唇にこたえると、手紙に書かれていたジルの言葉を思い出した。
〝ジル:なにがあっても、守ると誓いますよ〞
私はジルの首に手を回すと、心で呟く。
(私も守られてばかりじゃなくて……)
(いつかジルを守ってあげられたらいいな……)
fin.
第4話-スウィート(Sweet)END:
ジル:お仕置きです
そう言ってジルは私の身体を抱き上げ、ベッドに腰かけると、
自分の膝の上にそっと私を乗せた。
吉琳:ジル……?
どうしてジルがそうしたのか分からずに、私は首を傾げた。
するとジルがにやりと口角をあげる。
ジル:私が食べさせてあげますよ
吉琳:えっ……
(でも媚薬と分かっているのに……)
思わず頬を染めて果実を見ていると、
ジルは面白がるように囁く。
ジル:吉琳が私と食べようと思って持ってきたのでしょう?
ジル:ですから、今こうやって一緒に食べようとしているだけです
吉琳:………
私はなにも言えなくなると、心の中で呟いた。
(たしかに、言いだしたのは私だから……)
そして心を決めてジルを見上げると、
私の気持ちを見透かしたのか、ジルがふっと目を細める。
ジル:ほら、口をあけてください
私はその言葉に小さく頷くと、口を開いた。
ジルが私の唇に、持っていた果実を寄せる。
吉琳:んっ……
私はひとくち果実をかじると、ぐっと飲み込んだ。
吉琳:甘い……
口の中に広がる甘い香りに、小さく呟いた、その時…―。
(あれ……)
果実がのどを過ぎていくと、
身体がだんだんと熱を帯びていくのを感じた
(どうしよう………)
いつもとは違う感覚に襲われると、
私はジルにぎゅっとしがみついた。
(こんな気持ちはじめてだから、どうしていいか分からない)
思わずジルを見上げると、甘い衝動にかられる。
(ジルに…触れたい……)
私はそっとジルの頬に触れた。
ジル:吉琳……
ジルは少し驚いたように目を見開くと、
私の手をとり、熱をたしかめる。
ジル:驚きましたね…こんなに効果があるとは
そう言ってふっと唇に笑みを浮かべると、
ジルは私の身体を抱き寄せ、そのままベッドに身を預けた。
吉琳:ジ、ジルっ……
私はジルの上に乗っていることに頬を染めるものの、
果実のせいなのかジルに触れてしまう。
ジル:積極的な吉琳も悪くはありませんね
そう言うとジルは私の手を引き寄せて
自分のシャツに触れさせた。
ジル:脱がせて頂けますか?
吉琳:えっ……
ジルは自分のシャツに私の手を寄せると、私をからかうように言った。
(そんなこと出来るはずがない…でも…)
私はジルの言葉に鼓動がうるさいほど跳ねていることに気づく。
(どうしてもジルに触れたい……)
甘い衝動を抑えられず、私はジルのシャツに触れると、
ひとつひとつボタンを外していった。
するとその時…。
(あれ…どうしたんだろう)
頭がぼーっとしてきて、視界がかすむ。
ジル:どうかしましたか?
ジルの言葉に首を横に振るものの、私は頭をあげることさえできずに
そっとジルの胸元に、顔をうずめた。
ジル:吉琳……
名前を呼ばれていることを遠くに感じると、
そのまま目を閉じていった…。
***
しばらくすると…―。
私は重たい瞼をそっと開けた。
吉琳:ん……
すると、誰かに抱きしめられている。
(私…一体どうしてこんな風に……)
見上げるとそこには…。
(ジル……?)
見上げると、ジルが私を抱きしめながら寝ている。
ジルの顔を見ると、私はさっきまでのことを思い出した。
(たしか私…果実をかじってそのまま……)
シャツを脱がしながら眠ってしまったことを思い出すと、頬をそめる。
(でも……)
私はそっとジルの胸元に頭を寄せた。
(もう少しこのままでいたいかも……)
すると私を抱きしめていたジルの腕がぎゅっと強まる。
吉琳:えっ……
驚いてジルを見上げると、ジルはふっと目を細めた。
ジル:貴女って人は……
そう言うと、私の身体の上に覆いかぶさってくる。
吉琳:ジル……
私は見つめてくるジルに思わず名前を呼ぶと、
ジルはふっと唇に笑みを浮かべた。
ジル:私を誘っておいて寝てしまうなんて、どういうつもりですか?
吉琳:それはっ……
私はジルの問いかけに、かぁっと頬を染める。
すると私の顔を見ていたジルは意地悪く囁く。
ジル:我慢してたのですから…覚悟してくださいね
ジルはにやりと口角をあげると、
私のドレスに指をすべり込ませてきた。
吉琳:あっ……
思わず私が声をあげると、ジルは塞ぐように口づける。
吉琳:んっ………
ジルは私から声を奪うと、ドレスに滑り込ませた指先を
ゆっくりと上のほうに撫で上げていく。
(ジル……)
やがてジルの指先が腰元まであげられると、
私の敏感な部分をくすぐった。
吉琳:…っ……
(果実を食べていないのに…)
私は思わず身体をぴくりとさせると、
重ねられた唇の隙間から熱い息をこぼす。
(身体が熱くなってしまう……)
やがてジルは私の身体が熱を帯びていることに気づくと、そっと唇を離した。
吉琳:ジル……
私は潤んだ目でジルを見つめると、名前を呼ぶ。
ジルはふっと目を細めると、いじわるく囁いた。
ジル:それから、この果実は私以外の人と食べてはいけませんよ
ジル:吉琳に襲われかねませんからね
吉琳:ジルっ……
私はジルの言葉に頬を染めると、果実を食べた時のことを思い出した。
(果実をかじったせいもあるけど…)
(私の想いは……)
(いつでもジルに触れていたいのかもしれない)
fin.
エピローグEpilogue:
※本イベントにはエピローグの試し読みはございません。
(這次後記沒有預告可以看.........但我之前有買中文版的後記了這後記超讚喔哈哈哈XDDD)