王子様とある日の思い出~Side Stein~(獎勵故事)
*最後一個故事已在2022年的復刻拿到了^^
――…大好きな王子様の思い出、気になりませんか?
王子様たちが、ある日の思い出について語っているようで…?
…………
………
ロベール 「俺が怪我の治療をしようとすると、いつも真っ青な顔をするよね」
アラン 「なんで?」
アルバート 「…ロベール殿の怪我の治療には、苦い思い出がありまして」
アルバートが青ざめた顔で語る、ロベールの治療の思い出とは…?
…………
アルバート 「枝も干からびがなく、みずみずしいのもポイントが高いですね」
カイン 「そうなんだよ…って、おい。まさかお前も林檎が好きなのか?」
アルバートが林檎好き…!? その真相は…?
…………
ゼノ 「…お前は、変わらないな」
ユーリ 「言われてみると、昔も同じことしてましたね。懐かしいなあ…」
ゼノとユーリだけが知っている、二人の幼い頃の思い出とは…?
…………
アルバート 「ゼノ様、どうか考え直してください」
アルバート 「あなたを守るのは私の役目です。何も自身で剣を握らなくとも…」
ゼノ 「確かに、お前は俺を守ってくれるだろう」
ゼノ 「だが…――」
ゼノがアルバートに語った、剣を握る理由とは…?
…………
――…さらに、ゼノ、アルバート、ユーリの子どもの頃の思い出が明らかに…
ユーリ 「俺、あの時より大人になったから一筋縄ではいかないと思いますよ」
ゼノ 「どうだろうな」
…………
………
ほっこり温かで、ときどき笑いを誘うような思い出たち……
王子様の思い出を、あなたも覗いてみませんか…――?
今回の限定ストーリーは ゼノ・ユーリ・アルバート・ロベールのシュタインの4人が登場するよ!
さらに!ストーリーの中にはウィスタリアの王子様たちも登場しちゃうかも…♪
是非チェックしてね★
…大好きな彼の思い出
知らなかった物語
ずっと近くにいたけれど、まだ知らない
大好きな彼の大切な思い出を
のぞいてみる…?
あなたは誰の想い出をのぞきたい…?
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――…温室に咲く花が夕焼け色に彩られる頃
傷を負ったアランとアルバートが、ロベールのもとを訪れた。
ロベール:二人とも、その怪我はどうしたの?
アルバート:アラン=クロフォードに城下の案内をしてもらっていたのですが
アルバート:その途中で若者の喧嘩にはち合わせまして…
アラン:止めようとしたら、怪我した
ロベール:それは大変だったね
ロベール:手当てするから、椅子に座って
アルバート:ありがとうございます…
アラン:アルバート…お前、さっきから顔色悪いな
アルバート:気のせいではありませんか?
ロベール:でも、俺が怪我の治療をしようとするといつも真っ青な顔をするよね
アルバート:…………
アラン:なんで?
アルバート:…ロベール殿の怪我の治療には、苦い思い出がありまして
ロベール:もしかして…あの薬がトラウマになってる?
アルバート:ええ、まあ…
アラン:トラウマ?
アルバート:鍛錬に励んでいた頃…
アルバート:ロベール殿に何度か怪我の治療をしてもらったことがあるのですが…――
〝アルバート:――…っ〞
〝ロベール:その薬、しみるでしょう?〞
〝アルバート:…っ……け、怪我した時より…痛い……ですね〞
〝ロベール:俺が調合したんだ。染みるけど、傷は早く治るよ〞
〝アルバート:これだけ、痛いと…説得力があります…〞
〝ロベール:…アルバート、君はもっと自分の体を大切にしなさい〞
〝ロベール:鍛錬に励むのはいいけど、最近怪我が多すぎだ。何か焦ってる?〞
〝アルバート:それは…〞
〝ロベール:君が怪我をすると心配する人もいるんじゃないかな?〞
〝アルバート:…っ〞
〝ロベール:大切な人を守るために鍛錬するのは素晴らしいことだと思うよ〞
〝ロベール:だけど、焦って怪我を増やしていたら、肝心な時に動けないかもしれない〞
〝アルバート:ロベール殿…〞
〝ロベール:大丈夫。君の努力は必ず力に繋がるよ〞
〝ロベール:でも、次に怪我をしたら今日と同じ薬を使うから、覚悟するように〞
アルバート:――…あれ以来、怪我をしないよう気をつけるようになりました
ロベール:体を大切にしてくれるようになって嬉しいよ
アラン:…そんなにその薬すごいのかよ
アルバート:信じられないなら、一度使ってもらうといいですよ
ロベール:今持ってるから、試してみる?
アラン:ああ。怪我が早く治るならそっちの方がいい
ロベール:わかった
アルバート:…どうなっても俺は知りませんよ
ロベール:それじゃ、手を出して。…つけるよ?
アラン:――…!!!
アルバート:…だから言ったでしょう
ロベール:二人とも、怪我には気をつけてね
声のない悲鳴を上げるアランに、ロベールは穏やかに微笑んだ…――
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――…涼しい風が鮮やかな色の緑を揺らす午後
会合に参加するためウィスタリアを訪れていたアルバートは、
廊下の向かい側から歩いてくるカインとユーリに眉を寄せた。
アルバート:その大量の林檎は一体…?
ユーリ:うーん…カイン様の城下での戦利品?
カイン:戦利品ってなんだ。普通に買っただけだろ
カインとユーリの腕にある、袋を飛び出すほど山盛りの林檎を、
アルバートは怪訝そうに見つめる。
アルバート:これは何に使うんですか…?
カイン:使うも何も、俺が食うんだよ
アルバート:一人でその量を、ですか…?
カイン:どうせすぐなくなる
アルバート:カイン=ロッシュが林檎好きという噂は聞いていましたが、ここまでとは…
ユーリ:ねー、俺も最初はびっくりしたよ
ユーリ:でも、カイン様はモデルもやってますし、美容にいいから食べてるんですよね?
アルバート:なるほど、りんごのポリフェノールには抗酸化作用もあって健康にもいいと…
カイン:おい、決めつけんじゃねえ。ただ好きなだけだ
ユーリ:えー、それじゃつまんないじゃないですか
カイン:つまんねえってなんだ。人をネタにしようとすんじゃねえ
アルバート:ですが、これは……なかなか良質な林檎ですね
カイン:だろ? 全体が色づいて良い色してるし、香りもいい
アルバート:枝も干からびがなく、みずみずしいのもポイントが高いですね
カイン:そうなんだよ…って、おい。まさかお前も林檎が好きなのか?
ユーリ:違いますよー、カイン様。林檎が好きなのはそこの眼鏡騎士さんじゃないです
カイン:は? なら、何でこんな詳しいんだよ
ユーリ:俺、この間吉琳様と一緒にシュタインに行ったんですけど…――
〝ユーリ:アルー、ちょっと用があるんだけど入ってもいい?〞
〝アルバート:お前はほんとにこれが好きだな〞
〝ユーリ:返事がないから勝手に入るね〞
〝アルバート:おい、あまり急いで食べるな。喉につまらせたらどうする〞
〝ユーリ:……アル?〞
〝アルバート:わかったわかった。そんなにこの林檎が気に入ったなら、また買ってきてやる〞
〝ユーリ:…ベンジャミンに夢中すぎでしょ〞
〝ユーリ:おーい、堅物騎士さーん〞
〝アルバート:誰が堅物騎士だ…! それに貴様、なぜ勝手に部屋に入って来ている〞
〝ユーリ:あ、やっと気づいた。言っとくけどちゃんと声かけたからね?〞
ユーリ:…ってことがあったんですよ
アルバート:貴様…っ、その話は誰にもするなと言っただろう!
ユーリ:あれ、そうだっけー?
カイン:ベンジャミンって確かお前の飼ってるウサギだよな?
カイン:ったく、林檎好きはお前のペットかよ。まぎらわしいこと言いやがって
カインは林檎にまつわる思い出話に呆れた顔をし、
言い合う二人を横目に自分の部屋へ歩き出した…――
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――…ユーリとゼノの思い出は…?
ゼノ 「…お前は、変わらないな」
ゼノ 「昔も――…を与えて楽しそうにしていた」
ユーリ 「あ、子どもの頃の話ですか?」
ユーリ 「言われてみると、昔も同じことしてましたね。懐かしいなあ…」
ユーリとゼノだけが知っている、二人の幼い頃の思い出とは…?
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――…澄み切った青空に小鳥たちのさえずりが広がる午後
ゼノ:ん…?
会合のためにウィスタリアを訪れていたゼノは会議室に向かう途中、
庭に立つ人影に気づき足を止めた。
ゼノ:ユーリ
ユーリ:あ、ゼノ様! これから会合に向かうところですか?
ゼノ:ああ
ゼノ:お前は何をしていたんだ?
ユーリ:鳥に餌をあげてたんです
ゼノ:ずいぶん集まっているな
ゼノ:人に慣れているようだが、いつも餌を与えているのか?
ユーリ:はい。俺、動物に餌をあげるのが好きなので
足元に集まる鳥に、ユーリが楽しそうに目を細める。
ゼノ:…お前は、変わらないな
ユーリ:え?
ゼノ:昔も、窓辺に来る鳥に餌を与えて楽しそうにしていた
ユーリ:あ、子どもの頃の話ですか?
ゼノ:ああ
ユーリ:言われてみると、昔も同じことしてましたね。懐かしいなあ…
ユーリ:――…あ!
ゼノ:どうした?
ユーリ:見てください! 鳥が踊ってます
ユーリ:俺、昔はどうして鳥があんな行動をとるのかわからなかったんですよね
ゼノ:…そうだったな
ユーリ:あれ…もしかしてゼノ様、あの時のことを覚えてるんですか?
ゼノ:ああ。理由を俺に尋ねたことがあっただろう?
〝ユーリ:ゼノさま、この子たちはなにをやってるんですか?〞
〝ゼノ:プロポーズだろう〞
〝ユーリ:ぷろぽーず?〞
〝ゼノ:鳥たちが愛する者に想いを伝えている…と言えばわかるか?〞
〝ユーリ:えっと…俺がゼノさまに思ってることをつたえるようなものですか?〞
〝ゼノ:…それとはまた別だな〞
〝ゼノ:お前も、大人になればわかる〞
ユーリ:――…今はちゃんと、意味がわかってますよ
ゼノ:そうか…成長したな
ユーリ:もう大人ですからね
???:――…大人でしたら、きちんと務めを果たして頂きましょうか、ユーリ?
ユーリ:……!!
肩を大きく跳ねさせたユーリが、恐る恐る城の廊下を振り返る。
ユーリ:ジル様…
ジル:仕事はどうしました?
ユーリ:えーっと、ちょっと休憩を…
ゼノ:そう叱ってくれるな。話しかけたのは俺だ
ジル:…ゼノ様がそう言うのでしたら
ジル:では、ユーリ。一つお願いをしてもいいですか?
ユーリ:はい、何でも言ってください
ジル:ゼノ様を会議室までご案内してください
ユーリ:…! わかりました!
ユーリ:行きましょう、ゼノ様
ゼノ:ああ
ユーリとゼノは城の方に足を進めながら、言葉を交わしていく。
二人の歩調にあわせて鳥が飛び立ち、それを追うようにジルは空をあおいだ。
ジル:…昔の話をしていたからでしょうか
ジル:さっきゼノ様といたユーリは、少しだけ幼く見えましたね
優しい呟きは鳥の羽ばたきと重なり、澄んだ青空に吸い込まれていった…――
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――…ゼノとアルバートの思い出は…?
アルバート 「ゼノ様、どうか考え直してください」
アルバート 「あなたを守るのは私の役目です。何も自身で剣を握らなくとも…」
ゼノ 「確かに、お前は俺を守ってくれるだろう」
ゼノ 「だが…――」
ゼノがアルバートに語った、剣を握る理由とは…?
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――…夜の静けさが忍び寄る頃
アルバート:ゼノ様、今日の鍛錬はここまでにしましょう
ゼノ:そうだな
夜の闘技場で、ゼノとアルバートがそれぞれ剣を納める。
その様子を少し離れた場所で見ていたルイが、二人に近づいた。
ルイ:…終わった?
ゼノ:ああ
アルバート:ルイ=ハワード…闘技場の近くを通りがかっただけという割には
アルバート:ずいぶん熱心に見入っているようでしたね
ルイ:剣の鍛錬が珍しかったから
ゼノ:興味があるのか?
ルイ:見るのは面白い
ゼノ:…そうか
ルイ:一つ、聞きたいんだけど…
ルイ:ゼノは、どうして剣を学んでるの?
ルイの問いかけに、ゼノはアルバートから手渡された上着を着ながら口を開く。
ゼノ:自分の身を守るためだ
アルバート:最初は反対したんですよ
ゼノに続いて上着を着たアルバートが、浅く息をついた。
アルバート:ゼノ様が鍛錬中に怪我をされたらと思うと、気が気でなく…
ルイ:でも、結局は剣を握ることを認めた
アルバート:…ええ
ルイ:どうして?
アルバート:それは…――
〝アルバート:ゼノ様、どうか考え直してください〞
〝アルバート:あなたを守るのは私の役目です。 何も自身で剣を握らなくとも…〞
〝ゼノ:確かに、お前は俺を守ってくれるだろう〞
〝ゼノ:だが、上に立つ者であっても、自分の身は自分で守るべきだと思う〞
〝アルバート:ゼノ様…〞
〝ゼノ:それに、俺はお前に守られるだけの存在ではなく〞
〝ゼノ:ともに戦える存在でありたい〞
〝アルバート:……っ〞
〝ゼノ:俺の剣の相手をしてくれないか?〞
アルバート:――…ゼノ様からそのような言葉をいただき、覚悟を決めました
ルイ:覚悟って?
アルバート:ゼノ様をただお守りするのではなく…
アルバート:互いに信じ、背中を預け合えるような関係になる覚悟です
アルバートの真っ直ぐな眼差しに、ゼノがふっと笑みをこぼす。
ゼノ:信じることは、守ることよりも難しいと思うが…
ゼノ:俺は、お前の覚悟に応えられているか?
アルバート:もちろんです…!
ルイ:信頼しあってるんだ…
ルイ:君たちは、いい主従だね
ルイの言葉に、ゼノとアルバートが一瞬だけ視線を交わし……
信頼の想いを伝え合うように、小さく頷いた…――
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――…これは、子どもだったゼノとユーリとアルバートが、
塔の上にいた頃の思い出話……
ユーリ 「俺、あの時より大人になったから一筋縄ではいかないと思いますよ」
ゼノ 「どうだろうな」
ユーリ 「試しに今…――をやってみます?」
あることをきっかけに、塔の上での思い出を再現することになって…
ユーリ 「嘘…」
アルバート 「なぜわかったのですか?」
ゼノ 「お前たちには、それぞれ…――があるからな」
今明かされる、塔の上で過ごした三人だけの秘密の時間……
王子様の思い出を、あなたも覗いてみませんか…――?
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――…優しい日差しがこぼれ落ちる午後
ユーリ 「うーん、ここにもない…」
ロベール 「こっちにもないね」
花の香りが満ちた温室に二人が視線を巡らせていると……
ゼノ 「ユーリとロベールか…」
アルバート 「二人とも、何をしているのですか?」
二人 「…!」
はっと顔を上げた二人に、ゼノとアルバートが歩み寄る。
ロベール 「探しものをしてるんだけど…二人はどうしてここに?」
アルバート 「ウィスタリアの城を自由に歩いていいと許可をいただいたので」
アルバート 「散策がてら、温室を覗いてみたんです」
ゼノ 「お前たちは何を探している?」
ユーリ 「ロベールさんの懐中時計です」
ロベール 「温室の管理をしている時に落としてしまったんだ」
ロベール 「ユーリに手伝ってもらってるんだけど、なかなか見つからなくて…」
ゼノ 「――…あれではないか?」
二人 「え…」
ゼノが指で示した方を振り向くと、
日差しを受けた花壇の中に、キラリと光るものが埋もれていた。
ユーリ 「ほんとだ…! あれ、懐中時計ですね」
ユーリが懐中時計を拾い上げ、ロベールに差し出す。
ロベール 「ありがとう。…ゼノは目がいいんだね」
アルバート 「そうでしょう? ゼノ様は昔から探し物が得意で…――」
ユーリ 「なーんでアルが得意そうに言うかな」
アルバート 「途中で遮るな」
ユーリ 「はいはい…その話、『もの隠しかくれんぼ』のことでしょ?」
ロベール 「『もの隠しかくれんぼ』?」
ユーリ 「俺たちが考えた遊びです」
アルバート 「昔、こいつがかくれんぼをしたがったことがありまして」
アルバート 「でも、狭い塔の中でかくれんぼはできないでしょう?」
ユーリ 「だから、人が隠れる代わりにものを隠して」
ユーリ 「それを見つける遊びを考えたんです!」
ロベール 「なるほど…面白そうだね」
ユーリ 「俺、このかくれんぼが大好きだったんですよ」
アルバート 「お前は隠すのも見つけるのも下手だったがな」
ユーリ 「アルには負けてなかったと思うけど?」
アルバート 「ゼノ様には一度も勝てたことがないだろう」
ユーリ 「それは仕方ないよ。ゼノ様なんだから」
ロベール 「そんなにゼノは強かったの?」
アルバート 「ええ、特に隠されたものを見つけるのがすごくお上手でしたね」
ゼノ 「…あれにはコツがあってな」
アルバート 「コツ?」
ゼノ 「お前たちが相手なら、どこにものを隠されても見つけられる自信がある」
ユーリ 「えー、ほんとですか?」
ユーリ 「俺、あの時より大人になったから一筋縄ではいかないと思いますよ」
ゼノ 「どうだろうな」
ユーリ 「試しに今、『もの隠しかくれんぼ』をやってみます?」
ゼノ 「俺は構わないが?」
ロベール 「それじゃ、この懐中時計を使う?」
ユーリ 「ありがとうございます! ゼノ様、目を閉じてください」
ゼノ 「ああ」
瞼を閉じたゼノに、ユーリとアルバートが背中を向ける。
ユーリ 「アル、どこに隠す?」
アル 「…あそこはどうだ?」
ユーリ 「いいね、そうしよう」
ユーリ 「――…はい! 隠しました。懐中時計はどこにあるでしょうか?」
目を開いたゼノは、辺りをゆっくりと見渡した。
ゼノ 「そうだな…」
ユーリ 「…………」
アルバート 「…………」
ゼノ 「…あそこの花壇の中か」
二人 「え…っ」
ゼノが迷うことなく花壇に向かい、
花の中から懐中時計を拾い上げる。
ユーリ 「嘘…」
ロベール 「すごい、よくピンポイントで見つけたね」
アルバート 「なぜわかったのですか?」
ゼノ 「お前たちには、それぞれ癖があるからな」
ユーリ 「癖…?」
ゼノ 「アルは、後ろめたいことがある時に眼鏡を上げる癖がある」
アルバート 「…!」
ゼノ 「ユーリは、笑顔が一瞬引きつる」
ユーリ 「あ…」
ゼノ 「最初に全体を見渡して」
ゼノ 「アルとユーリの反応が変わったところを探せば、大体は見つかる」
ロベール 「…それが、ゼノのかくれんぼの強さの秘密だったんだね」
ゼノ 「二人とも、子どもの頃から癖が変わっていないようだ」
アルバート 「…さすがです、ゼノ様」
ユーリ 「やっぱ敵わないなあ…」
ふっと笑みをこぼしたゼノに、ユーリとアルバートも頬を緩める。
その様子に、ロベールがふと思いついたように口を開いた。
ロベール 「そういえば、君たち三人が揃うのは久しぶりだよね?」
ユーリ 「…? はい」
ロベール 「それなら、もう少しここでゆっくりしていったらどうかな」
ロベール 「今、お茶を淹れるよ」
アルバート 「いいんですか?」
ロベール 「うん。俺も、みんなの昔話をもっと聞きたいしね」
ユーリ 「ありがとうございます! 俺、お茶淹れるの手伝いますね」
ロベール 「本当? 助かるよ」
ロベールとユーリがお茶の準備のためにその場を離れる。
残された二人は、花を眺めながら懐かしむように目を細めた。
ゼノ 「昔話か…」
アルバート 「塔の上での思い出はたくさんありますね」
アルバート 「いいことも、悪いことも…」
ゼノ 「そうだな」
ゼノ 「だが…どの思い出にもお前たちがいる」
アルバート 「ゼノ様…」
ゼノ 「すべて、大切な思い出だ」
ゼノの呟きに、アルバートも静かに頷く。
やがて、戻ってきたユーリとロベールがお茶会の準備を始めて……
穏やかな昼下がりに、塔の上での思い出が紡がれていった…――