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The Prince of Villaints~イケナイ恋に魅せられて~(ジル)

2018/10/05~2018/10/17

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あなたは、とある国のプリンセス。
彼は、危険な噂が流れるイケナイ人。
『あの人には近づかないように』
しかし彼には、噂とは違った一面があって…―
………
……
密造酒を売っている貴族と噂の、ジル=クリストフ。
ジル 「そう警戒しなくても、取って食べたりしませんよ」
………
……
秘めやかに綴られる、止められない恋の行方は…?

 

 

 

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プロローグ:

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これは、とある国で綴られる、プリンセスの秘めやかな恋のお話…―
星が輝くある夜のこと、
私は、プリンセスとして城下の大きなパーティーに出席していた。
貴族 「これはプリンセス。ようこそお越しくださいました」
貴族 「どうぞ、ゆっくりとお楽しみください」
吉琳 「はい。ありがとうございます」
華やかな音楽が流れる中、主催の男性に会釈を返して、その背中を見送る。
肩に入っていた力を抜いてふーっと息をついた時、
ひょいっと目の前にワイングラスが差し出された。
吉琳 「……!」
ユーリ 「あ、ごめん。びっくりさせちゃった?」
ユーリ 「先に声かければよかったね。執事のユーリ=ノルベルトが戻りましたって!」
吉琳 「ううん。ありがとうユーリ」
声をかけたのは、執事として同行してくれたユーリだった。
グラスを受け取ると、ユーリは気遣うように微笑む。
ユーリ 「吉琳様、緊張してる?」
吉琳 「少し…」

(貴族として、)
(何回か大きなパーティーに出席したことはあるけれど、)
(プリンセスとしては、まだ経験が少ないし…)

つい先日、この国の国王が、病気のために長期の療養に入ると発表された。
しかし国王には子どもがなく、一番近い親せきにあたる私が、
プリンセスを務めることとなったのだった。
ユーリ 「でも、貴族としての振る舞いは完璧だし、」
ユーリ 「吉琳様なら、すぐに立派なプリンセスになれるよ」
吉琳 「ありがとう」

(ユーリみたいな優しい執事が一緒でよかった)

ほっと表情を緩めてワインに口をつけていると、入り口から賑やかな声が届く。
吉琳 「あれは…」
ユーリ 「レオ=クロフォードさんと、レイヴィス=ハルナイトさんみたいだね」
異国の商人のレオと、宝石商のレイヴィスとは、城で何度も顔を合わせていた。

(二人とも、このパーティーに招待されていたんだ)

二人が出席することは聞いていなかったためわずかに驚いてしまう。
すると、ユーリが小さく声をあげた。
ユーリ 「あれ? あの人たちもいらしてたんだね」
ユーリの視線を追って、入り口と反対側の壁際を見つめると、
貴族のジル=クリストフ様と、医者として城に出入りしているシドが話しこんでいる。
(ジル様はいるかもしれないと思ったけれど、シドも来ていたなんて…)
そう思いながら視線を逸らした先には…

(ゼノ様まで)

ゼノ=ジェラルド様とは、プリンセスになる前から、
お互いに貴族として面識があった。
ユーリ 「あ、あそこにいらっしゃるのはゼノ様みたいだね」
吉琳 「うん」
吉琳 「今日は知っている方に沢山逢うな。後で、ご挨拶しないと」
ユーリ 「そうだね」
頷いたユーリは、何故かふっと表情を曇らせた。
ユーリ 「でも…今言った人たちには、あんまり近づかない方がいいよ」
吉琳 「えっ」
その言葉に思い当たることがあり、胸の奥がひやりとする。

(あのことが、理由じゃないよね…)

吉琳 「…どうして?」
ユーリ 「吉琳様は知らないかもしれないけど、危ない噂があるんだ」
ユーリ 「たとえば、あの人」
そう言って、ユーリが示した先にいたのは…―

 

どの彼と物語を過ごす?
>>>ジルを選ぶ

 

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第1話:


ユーリ 「吉琳様は知らないかもしれないけど、危ない噂があるんだ」
ユーリ 「たとえば、あの人」
ユーリが示した先にいたのは、ジル様だった。
ユーリ 「少し前から、お金のために密造酒を造ってるって噂があるんだ」
吉琳 「っ……」

(ユーリも、そのことを知っていたんだ…)

この国では、密造酒の製造はもちろん禁止だった。
しかしプリンセスになったばかりの頃、
ジル様本人に聞いて、噂は事実だと知って以来、
私は誰にも言わず、自分の胸の中だけにとどめている。
吉琳 「けれど、あくまで噂なんだよね?」
吉琳 「それが本当だったら、もう罰せられているだろうし」
あくまで噂だと遠回しに誤魔化すと、
ユーリはさらに難しい表情をして話を続けた。
ユーリ 「それが、ジル様は名のある貴族だから、」
ユーリ 「決定的な証拠がない限り、下手に調べることも出来ないらしいよ」
吉琳 「そう、なんだ…」
ユーリの言い方からすると、ジル様の行いは、『ただの噂』ではなく、
『疑い』に変わっているようだった。

(罪を犯していると知っているのに、)
(プリンセスとして、このまま見逃してしまっていいのかな)
(……好きな人を、罪人にしたくないという、個人的な想いだけで)

自分の中の恋心と、立場の板挟みになって胸を痛めながら、
私は、客人たちと話しているジル様を、遠巻きに見つめる。

(プリンセスになる前からパーティーでお逢いしていたけれど、)
(物腰が優雅で、優しくて……)
(罪を犯しているのには、きっと余程の理由があるはず……)

そうして考え込んでいると…
ユーリ 「吉琳様?」
ユーリ 「まさか…プリンセスとして、」
ユーリ 「自分でどうにかしようだなんて思っていないよね?」


=====


ユーリ 「吉琳様?」
ユーリ 「まさか…プリンセスとして、自分でどうにかしようだなんて思っていないよね?」
吉琳 「えっ」
ユーリの勘の良さに、思わず肩を跳ねさせる。
吉琳 「お、思ってないよ」
慌てて否定した時、
ジル様が人目を気にする素振りをしつつ、会場を出て行くのが見えた。

(どうにかしようとしているわけじゃない。)
(それどころか…)
(ジル様の力になれたらって、思ってしまう)

ジル様との出逢いから、日は浅いものの、
少しずつ言葉を交わすうちに芽生えた淡い気持ちが、私を動かす。
吉琳 「ユーリ、私ちょっと風にあたってきてもいい? 少し酔ってしまったみたい」
悪いとは思いながらも、ユーリと離れるための嘘を口にした。
ユーリ 「俺も一緒に行くよ」
吉琳 「ううん、大丈夫。すぐ戻ってくるから」
ユーリ 「分かった。じゃあ、ここで待ってるから気をつけて」
ユーリ 「あ、そのネックレスもね。さっき落ちかけてたから」
そう言われ、思わず自分の首元を飾るパールのネックレスに手を当てる。

(確かに、これを落としたら大変…)
(それに、落として音を立ててもいけないから、気をつけないと)

吉琳 「うん、ありがとう」

(嘘をついてごめんね)

心の中で謝った私は、こっそりとジル様の後を追って…―


=====


(嘘をついてごめんね)

心の中で謝った私は、こっそりとジル様の後を追って…

***

吉琳 「あれ? こっちに来たと思ったんだけど…あっ」
出て行ったはずのジル様を探しながら歩いていると、
やがて薄暗い廊下の奥に、ジル様の姿を見つけた。
ジル様は誰かと話しているようで、ためらいつつも物陰に隠れる。

(相手は…柱のせいで見えないけれど、多分…)

ジル 「次の酒はいつ頃、出来あがりそうですか?」
ジル 「…そうですか。」
ジル 「では、出来次第いつも通り、私の屋敷へ」

(やっぱり、密造酒のことを話しているみたい)

ジル 「もう少し規模を大きくしてもいいかもしれませんね。」
ジル 「検討しておいてください」

(っ…そんな。)
(これ以上大きくしたら、本当にばれてしまうかもしれないのに)
(どうして、)
(そこまでしてジル様は密造酒を造っているんだろう…)

世間で噂されているように、
ただお金のためだとは思えず、考え込んでいると…―
ジル 「立ち聞きとは不作法ですよ、プリンセス」


=====


(どうして、)
(そこまでしてジル様は密造酒を造っているんだろう…)

世間で噂されているように、
ただお金のためだとは思えず、考え込んでいると…
ジル 「立ち聞きとは不作法ですよ、プリンセス」
吉琳 「っ…ジル様」
いつの間にか、すぐ側にジル様が立っていた。
とっさに逃げようとしたけれど、
私が背にした壁に手をつくようにして、行く手を阻まれる。
吉琳 「っ……」
吉琳 「…立ち聞きしてしまったのは、すみませんでした」
ジル 「……」
ジル 「とりあえず、こちらへ」
そう言ったジル様は私の腕を掴んだかと思うと、
近くの部屋の扉を開け、そのまま中へ足を踏み入れてしまった。
部屋に入った途端、ジル様は私を近くの壁際に追い詰めて口を開く。
ジル 「単刀直入に言います。今、聞いたことはお忘れください」
吉琳 「…それは、無理です」
吉琳 「もし密造の規模を大きくして目立つようなことになれば、ジル様が危険に…」
そう言いかけたところで、ジル様がふっと困ったように微笑む。
ジル 「思ったよりも意地っ張りな方ですね」
どこか懐かしそうに目を細めたジル様は、私の方へと手を伸ばして…―


=====


ジル 「思ったよりも意地っ張りな方ですね」
どこか懐かしそうに目を細めたジル様は、私の方へと手を伸ばして…
ジル 「初めてお逢いした時は、とても素直な方だと思ったのですが」
からかうように私の髪をひと撫でして、手を下ろした。
そんなジル様の仕草に思わず胸を高鳴らせながら、
昔、ある貴族のお屋敷で催されたパーティーでのことを思い出す。
それは、プリンセスになる数年前のこと…―

*****
まだ社交の場に慣れておらず、ホールの片隅で戸惑っていた私に、
親切そうな貴族の青年が、声をかけてくれた。
貴族の青年 「緊張しているようですね。」
貴族の青年 「少し庭に出て外の空気を吸いませんか?」
貴族の青年 「お供いたしますよ」
吉琳 「えっと、ありがとうござ…」
私が、少し迷いつつも青年の手を取ろうとした時、
すっと横から伸びてきた別の手が、優雅な仕草で私の手を取る。
吉琳 「え…」
青年の手よりも先に私の手を取ったのは、
以前、一度だけ挨拶をしたことがある、貴族のジル様だった。
ジル 「こちらの方は、私の連れなのです。失礼」

(え? どうして、嘘を…)

***

ジル様は青年にそう告げると、私の手を引いて庭園へと連れ出した。
吉琳 「っ…あの、私はあなたの連れでは…」
ふいに繋がれた手に緊張しながら言うと、ジル様がふっと笑みをこぼす。
ジル 「あのまま、彼と一緒に庭に出ていたら、」
ジル 「唇を奪われるくらいでは済まなかったかもしれませんよ?」
吉琳 「っ…どういうことですか?」
ジル 「分かりませんか? では、お教えしましょう」
ジル様はそう言うと、繋いでいた手を離してから、私の両肩に手を置いて…―
*****

 

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第2話:


*****
ジル 「分かりませんか? では、お教えしましょう」
ジル様はそう言うと、繋いでいた手を離してから、私の両肩に手を置いて…
吉琳 「え?」
だんだんと顏を近づけてくるジル様に、思わず肩を揺らすと、
ジル様はふっと笑って、私の身体を反転させ、庭園の隅の方へと目を向けさせる。
するとそこには、木陰やベンチの陰で抱き合っている、複数の男女の姿があった。
吉琳 「あっ…」

(まさか、さっきの方も…こういうことを)

瞬時に頬を熱くして目を逸らすと、ジル様は私を連れて、その場を離れていく。
ジル 「こういう場に慣れていなさそうな貴女を狙ったのでしょうね」
吉琳 「そんな…」
ジル 「分かったら、『親切そう』というだけで、知らない男について行かないことです」
浅はかだった行動をすっかり見透かされていて、急に恥ずかしくなってくる。

(そうとも、知らずに…)
(あれ? だったら今、ジル様が私を庭園に連れて来たのは…まさか)

夜の庭園に男性と二人きりで出ることの意味が分かって、
少しジル様を警戒し始めていると…―
*****


=====


*****
夜の庭園に男性と二人きりで出ることの意味が分かって、
少しジル様を警戒し始めていると…
ジル 「安心してください」
ジル 「私はああいったことをするためにこのパーティーに参加しているわけではありませんから」
おかしそうに笑ったジル様に、思わず訊ねる。
吉琳 「それじゃあ、どうして声をかけてくれたんですか?」
ジル 「そうですね…。ちょっとした気まぐれでしょうか」
優雅な笑みではぐらかされたけれど私は、ふと思う。

(もしかして、助けてくれたのかな…だったら)

吉琳 「あの、お礼をさせていただけませんか? 何か…」
せめてお礼はしておきたいと思って訊ねると、
一瞬、ジル様が驚いた顔をした後で、口元を綻ばせる。
ジル 「ただの気まぐれに、お礼などして頂けるのですか?」
吉琳 「たとえ気まぐれでも、私が助けて頂いたのは、事実ですから」
ジル 「律儀な方ですね」
苦笑まじりに言ったジル様は、少し考える仕草を見せてから、
何かを思いついたように口を開き…―
ジル 「では…
*****


=====


*****
ジル 「律儀な方ですね」
苦笑まじりに言ったジル様は、少し考える仕草を見せてから、
何かを思いついたように口を開き…
ジル 「では…」
ジル 「ダンスを一曲、お相手願えますか?」
吉琳 「はい…! ぜひ」
ジル様が優雅な手つきで私の手を取り、しっかりと腰を支えてくれる。
その紳士な態度と、私を見つめる瞳に、
私はダンスの間中ずっと、鼓動を速めていた。
*****

あの時以来、パーティーやお茶会で逢う度に、
ジル様は何かと私のことを気にかけてくれて、
そうして交流を深めていけばいくほどに、
ジル様の優しさや、立ち居振る舞いの優雅さに惹かれていった。

(今でも、あの時のことを…よく覚えている)
(手の温もりも…優しい声も)

そんな物思いにふけっていた私の意識を、
ジル様の少し咎めるような声が現実に引き戻す。
ジル 「それで、忘れてくださいますか? 先ほど、立ち聞きしていた話は」
吉琳 「っ…」

(でも、さらに密造の規模を大きくするのを放っておいたら、)
(ジル様の罪が明るみに出て、危険な目に遭ってしまう…)
(それなのに、黙っているなんて私には出来ない)

自分の中で、そう結論づけた私は、ジル様を真っ直ぐに見つめて答えた。
吉琳 「…いえ、それはやっぱり、出来ません」
きっぱりと告げた私に、ジル様は困ったように息をつく。
ジル 「では、仕方がありませんね」
そう言って、ジル様が伸ばしてきた両手が、私の首にかかった。
吉琳 「っ…」

(何をする気なの…?)

ジル 「…………」
ジル様のただならぬ雰囲気に全身を強張らせていると、
私の首に飾られていたパールのネックレスを、さっと取られてしまう。
吉琳 「あっ、それは…」
そのネックレスは、王家に代々受け継がれる由緒あるもので、
プリンセスになってから、いつも肌身離さず身につけているものだった。
吉琳 「とても大切な物なんです。返してください」
ジル 「貴女が、先ほどの話を忘れてくださるというのなら、こちらはすぐにお返ししましょう」
吉琳 「っ…そんな」
思わず声をあげて、ネックレスに手を伸ばそうとすると、
ジル様はひらりと身をかわして背を向け、部屋の入り口へと歩き出す。
そして、ドアの前で一度、立ち止まって振り返ると…―


=====


そして、ドアの前で一度、立ち止まって振り返ると…
ジル 「気が変わられたら、いつでも私の屋敷へお越しください」
思わず、はっとさせられるような上品な微笑みを浮かべて告げ、
ジル様は一人、部屋を出て行ってしまった。

(あのネックレスが大切なものだということを、)
(ジル様も知っているはずなのに…)

きっと、あれを交換条件として持ち出すほどに、
折れるつもりがないのだというジル様の気持ちを、
目の当たりにさせられた気がした。

(だったら、私は…)

***

翌日…―
私は決意を持って、一人でジル様の屋敷を訪れていた。
ジル 「約束を守ってくださる、ということで宜しいですね?」
ジル様を前にして少し緊張しながら頷く。
吉琳 「はい。」
吉琳 「…そのネックレスは手離してはいけないものなんです」

(それに、)
(ジル様は私が何かを言っただけで簡単に密造をやめてくれるとは思えない)

吉琳 「ですから、次はジル様が約束を守る番です」
ジル様と少し距離を取って、立ったまま告げると、
ふっと笑みをこぼしたジル様が歩を進めて、私のすぐ正面に立つ。
ジル 「そう警戒しなくても、取って食べたりしませんよ。もちろん…」
ジル 「私も約束は守ります」
そう言って、ジル様が近くのチェストからあのネックレスを取り出す。
そして、ネックレスを持つ手を、自分の頭の高さまで上げた。
ジル 「さあ、ご自分で取ってお持ち帰りください」
吉琳 「っ…」
からかいまじりの笑みを向けるジル様を、
私はわずかに顔を熱くしながら見つめた。

(からかわれているんだ…)

私は鼓動の音を大きくしながら、ジル様へとさらに近づき、
高く掲げられたネックレスに手を伸ばす。
ジル 「…………」
けれど、背の高いジル様が持つネックレスになかなか手が届かず、
自然と密着していく互いの身体に、
ふとジル様と初めて踊った時のことを思い出して、切なさが湧いた。

(本当に、ジル様はお金のためにお酒の密造なんてしているの…?)
(だから、危険なのにさらに手を広げたり、こんな意地悪を…)

それでも信じたくないと思っている心に、
自分自身が一番、驚いていた。

(やっぱり好きな人のことは…疑いたくない)

そう思った時、ようやく指先が引っかかる。
ネックレスを手にして、すぐに離れようとすると、
私の背中に、ふわりとジル様のもう片方の手が添えられ…―


=====


ネックレスを手にして、すぐに離れようとすると、
私の背中に、ふわりとジル様のもう片方の手が添えられ…
吉琳 「あ…」
そのままきつく抱きしめられ、ジル様が耳元に唇を寄せて囁く。
ジル 「私に対する疑惑をこれ以上、詮索しないと約束してください」
吉琳 「っ…」
耳にかかる吐息に、思わず背中が甘く痺れてしまう。

(首を突っこむなって、警告されているのに…)
(どうしてドキドキしてしまうの)

ジル 「約束していただけるまで、離して差し上げませんよ」
吉琳 「っ…そんな」
ジル様はわざと抱きしめる力を強めて、
顔を近づけるようにして瞳を覗き込んでくる。
ジル 「そんな脅されているような顔をしないで下さい」
ジル 「私はこれでも、お願いをしているつもりなのですが」
その言い方は、いつもよりずっと意地悪に響いた。
けれど先ほどの懇願の言葉は、どこか切羽詰まったようにも聞こえて、
私は、どう答えようかと迷ってしまう。

(何か…事情があるのかもしれない。)
(噂とは違う、何かが)

そう考えた私は、ようやくジル様と視線を合わせ…―

 

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第3話-プレミア(Premier)END:


(何か…事情があるのかもしれない。噂とは違う、何かが)

そう考えた私は、ようやくジル様と視線を合わせ…
吉琳 「分かりました。…忘れます」

(ジル様を、信じたい…。)
(それに、隠されている事情を知ってからじゃないと)
(本当の意味で、ジル様の力になれないと思うから)

するとジル様が、私を抱きしめていた手を離して微笑む。
ジル 「ありがとうございます」
笑顔で真実を隠しているようなジル様に見送られて、私は城へと帰った。

***

ジル様の屋敷から帰ってきて、一週間ほど経った頃…―
私は部屋で、ユーリからの報告を受けていた。
吉琳 「…ジル様の周辺を探るなんて、」
吉琳 「危険なことをさせてしまってごめんね」
ユーリ 「ううん、俺からやるって言ったんだし、気にしないで。」
ユーリ 「それでね…」
ユーリは、ここ最近で手に入れたジル様の情報を話してくれる。
ユーリ 「ジル様が酒の密造をしているのは重い酒税のせいで粗悪な酒に手を出して、」
ユーリ 「身体を壊す庶民が増えてるせいみたい」
粗悪なものが出回らないよう、
安価や、時には無料で良質なお酒を分けてあげているのだという。
吉琳 「それじゃあ、ジル様が罪を犯していたのは、お金のためではなく、」
吉琳 「城下の人々のためだったということ?」
胸の中に、途端に後悔が押し寄せる。

(プリンセスなのに、私はそんなことも知らなかった)
(その上、ジル様の罪ばかりを見て…)
(理由も分からずにひどい態度を取ってしまった)

そう考えると、居てもたっても居られなくなり、
私はすぐにジル様の屋敷へと向かい…―


=====


(プリンセスなのに、私はそんなことも知らなかった)
(その上、ジル様の罪ばかりを見て…)
(理由も分からずにひどい態度を取ってしまった)

そう考えると、居てもたっても居られなくなり、
私はすぐにジル様の屋敷へと向かい…

***

ジル 「珍しいですね。貴女が突然いらっしゃるとは」
唐突に来てしまったにも関わらず、ジル様はにこやかに迎えてくれた。
ジル様の向かいの席に着くとすぐに、お酒が入ったグラスが運ばれてくる。
ジル 「つい先日、出来上がってきたばかりの酒です。よろしければどうぞ」
吉琳 「…密造酒、ですか?」

(堂々と出してしまうなんて、どういうつもりなんだろう)

私がグラスを手に取れずにいると、ジル様が先にグラスに手を伸ばす。
ジル 「貴女にとってはただの密造酒でも、この酒を必要としている者たちもいるんです」
ジル 「無理に理解して頂きたいとは言いませんが…それだけは覚えていてください」

(必要としている者…)
(やっぱりユーリが調べてくれた通りだったんだ…)

吉琳 「どうして最初から理由を言ってくれなかったんですか?」
吉琳 「城下の人々のためだったら、私も税の軽減を議題にあげて協力出来ると…」
ジル 「貴女なら、そう言うと思って黙っていたんです」
吉琳 「どういうことですか?」
私の問いかけに、ジル様の表情がわずかに厳しいものに変わる。
ジル 「プリンセスになったばかりの貴女が、税の問題に口出しすれば、」
ジル 「古くからいる官僚たちの強い反発を受けます。」
ジル 「そうすれば、城内は敵だらけになる」

(ジル様は、私の心配をしてくれていたんだ…)

そんな想いを知り、私の中のジル様への気持ちも大きくなっていく。
吉琳 「それでも私は…ジル様のために、」
吉琳 「何かしたいと言ったら、困らせてしまいますか?」

(初めてダンスを踊った時からきっと、私はもうジル様に惹かれていた…)
(だから…小さなことでもいい。)
(支えになりたい)

私にとっては、精一杯の告白のつもりで言うと…―


=====


吉琳 「それでも私は…ジル様のために、」
吉琳 「何かしたいと言ったら、困らせてしまいますか?」
私にとっては、精一杯の告白のつもりで言うと…
ジル 「……」
ジル 「困りますね」
ジル様はわずかな微笑みも見せずにそう告げた。
吉琳 「っ…そう、ですか」

(私の気持ちは、ジル様にとっては迷惑でしかないのかな…)

泣いてしまったらもっと迷惑をかけてしまうと分かっているのに、
思わず涙が出そうになる。
それをどうにか誤魔化そうとして、私は出されたお酒を一気にあおった。
ジル 「……! そんな風に飲んでは…。とても強い酒なんですよ」
吉琳 「えっ…」
少し焦ったジル様の声が聞こえた時には、もう飲み込んでしまった後だった。
吉琳 「あ…」
かあっと喉が熱くなったかと思うと頭がくらくらとして、
重くなる瞼に逆らえず、私はそのままテーブルに伏せてしまった。

***

ふと意識を取り戻し、ゆっくりと瞼を開けると…―


=====


ふと意識を取り戻し、ゆっくりと瞼を開けると…
吉琳 「っ…ジル様?」
ジル 「気がつきましたか?」
鼻が触れ合う距離にジル様の顔があって、鼓動が大きく跳ねる。
いつの間にかベッドに寝かされていた私の顔を覗き込みながら、
ジル様は乱れていた私の前髪を指先で整え、頬にそっと触れた。
ジル 「具合は悪くありませんか?」
ジル 「頬の赤さは消えたようですが」
せっかく引いた頬の熱が、
ジル様に優しく撫でられているせいで、ぶり返しそうになる。
吉琳 「…大丈夫です。ありがとうございます」
ジル様の視線と、頬のくすぐったい感触に耐えられず、慌てて身体を起こすと、
ジル様は苦笑をこぼして、残念そうな声をこぼした。
ジル 「もう少し、眠ったままでいてほしかったのですが」
吉琳 「え?」
不思議に思いながら見つめ返していると、
すぐ側の椅子に座ったジル様が、切なげな微笑みを浮かべて告げる。
ジル 「貴女のことを忘れようと思っていたんです」
ジル 「最後に、ここに触れて」
そう言って、私の唇に滑った指の感触に、思わず肩が揺れた。
吉琳 「っ…忘れる?」

(どうしてそんなことを言うんだろう。)
(……私が想いを告げてしまったから?)

小さな後悔と戸惑いが心の奥に渦巻いていると、
ジル様は唇に触れていた手を下ろし、静かに口を開く。
ジル 「どんな理由があろうと、私は罪を犯しています」
ジル 「プリンセスとなった貴女は、近づかない方がいい。」
ジル 「巻き込みたくないんですよ」
ジル 「貴女を…大切に想ってしまったからこそ」
ジル様の言葉に、目を見開く。

(今の言い方は、まるで…)

吉琳 「大切に、って…どういう意味で…?」
勝手に膨らんでしまう期待を抑えながら訊ねると、
ジル様は、
ふっと微笑んでベッドの上に置いていた私の手に、手を重ねて…―


=====


吉琳 「大切に、って…どういう意味で…?」
勝手に膨らんでしまう期待を抑えながら訊ねると、
ジル様は、
ふっと微笑んでベッドの上に置いていた私の手に、手を重ねて…
ジル 「貴女が私と踊ってくださった時から、貴女に惹かれていたという意味です」
真っ直ぐに見つめる視線と、はっきりと告げられた言葉に、胸の奥が甘く疼いた。

(っ…ジル様が、私のことを)

ずっと片想いだとばかり思っていたせいで、ふいに知った嬉しい事実につい顔が綻ぶ。

(私も、ちゃんと自分の気持ちを伝えたい)

そんな気持ちが芽生え、私はジル様を見つめ返して告げる。
吉琳 「もし、私が…プリンセスとしてだけではなく、ジル様を想う一人の人間として、協力を…」
吉琳 「酒税の件を解決出来たら、危険な密造を、やめてくれますか?」
吉琳 「私も、好きな人を危険に巻き込みたくないと思うのは、ジル様と同じですから」
ジル 「……」
ジル 「…簡単なことではないですよ」
そう言いながらも、ジル様は私へと両手を伸ばし、
横の髪を梳くように指先を差し入れながら、瞳を覗き込んでくる。
急に近づいた距離に顔を熱くしながら、私は頷いた。
吉琳 「分かっています。どんなに時間がかかっても、やり遂げてみせます」

(ジル様と…何より、国民のためだと思えば、絶対に出来る)

そんな強い意思を持ってジル様を見つめていると、その口元がふっと緩んだ。
ジル 「頼もしいですね」
ジル 「ですが、一人で…ではなく、私も協力するということを忘れないでください」
吉琳 「え…ジル様も協力を…、ん…」
最後まで言い終わらないうちに突然重ねられた唇に、言葉が遮られた。
それからゆっくりと深く口づけをしていたジル様の唇が離れ、
少しいたずらっぽく微笑んだ瞳に、目も心も捕らわれる。
ジル 「これは、約束の証です」

(誰よりも国民のことを想っているジル様と二人だったら、)
(きっとこの国をもっと良くしていける…。)
(二人だから、頑張っていける)

そんな確信が生まれたのと同時に、
ジル様はもう一度、優しく触れるだけのキスを落としたのだった…―


fin.

 

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第3話-スウィート(Sweet)END:


(何か…事情があるのかもしれない。噂とは違う、何かが)

そう考えた私は、ようやくジル様と視線を合わせ…
吉琳 「分かりました」

(ジル様が心配な気持ちは変わらないけれど、今はこう答えるしかない…)

私の答えを聞いたジル様が、満足そうに微笑んで手を離す。
ジル様 「懸命なご判断です」
笑顔の裏に何かを隠しているようなジル様に見送られ、私は屋敷を後にした。

***

数日後…―
その日、私はユーリとお忍びで城下を訪れていた。
通りかかった一角ではちょうど、街の人々の小さな結婚式が行われている。

(出席している皆さんが、楽しそうな顔をしているな…)

ユーリ 「吉琳様、興味津々って顔してる。見ていく?」
吉琳 「うん」
ユーリと一緒に、新郎新婦を取り囲む人々の輪に近づいていくと、
招待客の中にいた、ある人物に目が留まって、はっと息をのむ。
吉琳 「っ…どうして、ここに?」
他の人々と一緒に拍手を送っていたのは…―


=====


吉琳 「っ…どうして、ここに?」
他の人々と一緒に拍手を送っていたのは…
ジル 「…! おや、貴女こそどうされたんですか?」
私を見つけたジル様は一瞬、目を見開くと、すぐ口元に微笑みを浮かべた。
吉琳 「私は、たまたま通りかかって…」
ジル 「そうでしたか」
ユーリ 「ジル様も偶然ですか?」
ジル 「いえ。私は新郎新婦と、ちょっとした縁があるんですよ」

(名家の貴族のジル様が…?)

吉琳 「そう、なんですね…」
曖昧に頷き、手にしていたワインを飲むジル様をじっと見つめる。
屋敷を訪ねた日以来、
ずっとジル様がお酒の密造を続ける理由が気になっていた。
協力を申し出てくれたユーリにも色々調べてもらっていたけれど、
今のところ収穫は無い。

(思い切ってまた、ジル様に聞いてみようかな)

そう思った時、まだ小さな子どもが、ジル様に駆け寄ってきた。
子ども 「あ、ジルさま!」
子ども 「ジルさまのおかげでお姉ちゃんのけっこんしきができるって、」
子ども 「お父さんたちがよろこんでたよ」
子ども 「タダでお酒を分けてもらったから…って、あ…!」
ジル 「……」
子どもは途中で、はっとしたように自分の口を手で覆うと、
気まずそうな顔で、走って親元に戻っていく。

(お酒を分けたって…?)

吉琳 「今の話……どういうことですか?」
先ほどの子どもの言葉が気になり、思わず訊ねると、
いつも余裕の表情を崩さないジル様が、珍しく気まずそうに目を逸らす。
ジル 「貴女には関係のないことです」

(さっきの子…お酒を無料で分けてもらったって言っていた…)

そこまで考えた私は、はっとして口を開く。
吉琳 「もしかして、密造酒を売っているのではなくて、
吉琳 「お金を取らずに分けて…」
そう言いかけたところで、ジル様が私の口に人さし指をあて…―


=====


吉琳 「もしかして、密造酒を売っているのではなくて、
吉琳 「お金を取らずに分けて…」
そう言いかけたところで、ジル様が私の口に人さし指をあて…
吉琳 「んっ…」
睫毛の一本一本が見える距離から顔を覗き込んで言う。
ジル 「…声が大きいですよ」
すぐに手を離したジル様は、いつも通り微笑んでいるものの、
その声は一段と低く響いた。
吉琳 「っ…ジル様が話してくれるまで、私は諦めません」

(もしかしたら、私が思っていた通り、)
(お金儲けのためじゃないと、はっきり分かるかもしれないから)

そう訴えると、ジル様はどこか呆れたように息をつく。
ジル 「貴女という人は…」
ジル 「ひとまず、屋敷にいらしてくださいますか?」
ジル 「話は、そこで」
吉琳 「話して、頂けるんですか?」
私の弾んだ声を聞いたジル様は、苦笑をこぼしながら頷いて…―


=====


吉琳 「話して、いただけるんですか?」
私の弾んだ声を聞いたジル様は、苦笑をこぼしながら頷いて…
ジル 「あなたの懸命さには、参りましたよ」
吉琳 「…ありがとうございます」
お礼を告げた私は、
側に控えていたユーリに城に戻る時間を遅らせてほしいとお願いをして、
ジル様と共に屋敷へと向かった。

***

屋敷に着いて、すぐに事情を話してくれたジル様は、
密造は酒税が高すぎてお酒を買えない庶民のためにしていたことだと語った。
ジル 「店で売っている酒に手を出せない庶民の間で、」
ジル 「質の悪い酒が出回っていて、健康を害する者が後を絶たないのです」
ソファに隣り合って座るジル様は、表情を険しくする。

(だから、そんなお酒が出回らないように、)
(ジル様が無償で、城下の人々に配って…?)
(そんな問題があったなんて、知らなかった…)

プリンセスとして情けなく思うと共にジル様に対しての疑問も込み上げた。
吉琳 「どうして初めからそう言ってくれなかったんですか」
ジル 「…私に疑惑がかかるのは構いませんが、」
ジル 「それに庶民が関わっていると知れたら、彼らも処罰されます」
(密造酒を受け取った方々を、かばって…?)
ジル 「密造は、褒められた行為ではありませんが、」
ジル 「必要悪というものがこの世にはあるんですよ」
ジル 「ですから私は、止めるわけにはいかないのです」
ジル様の瞳には、揺るがない信念のようなものが見てとれる。

(必要悪…。)
(私には出来ない手段で、ジル様は国民を守っている)
(それなら…)

吉琳 「私は…何も見ていませんし、聞いていません」
ジル 「え?」
ジル様が驚いた声を出しても、私は続けた。
吉琳 「あのパーティの日に私が見ていたのは、
吉琳 「いつも私を気にかけてくれる、優しいジル様だけです」
吉琳 「だから、ジル様が何をしているかは、私は知りません」

(これが最善とは言えないのかもしれないけれど、)
(今は、ジル様を信じたい)
(…だから、忘れろと言われたからではなくて、)
(私は自分の意思でジル様の行いを忘れる)
(国民のために、何かしたいのは私も同じだから)

そんな意図を察したジル様は、
ふっと微笑むと、真っ直ぐに私を見つめ…―
ジル 「ええ、そうですね。」
ジル 「貴女が熱い視線で見つめていたのは、確かに私だけです」


=====


(国民のために、何かしたいのは私も同じだから)

そんな意図を察したジル様は、ふっと微笑むと、真っ直ぐに私を見つめ…
ジル 「ええ、そうですね。」
ジル 「貴女が熱い視線で見つめていたのは、確かに私だけです」
ジル様の冗談めかした言葉に、鼓動が一際、大きな音を立てた。

(今の言い方って…もしかして、私の気持ち…気づかれている?)

疑問を胸に抱えていると、ジル様がふいに告げる。
ジル 「民のためを想って、柔軟な考えも出来る貴女だからこそ、」
ジル 「私もこれからずっと、」
ジル 「秘密を共有する仲になってもいいと思えたのでしょうね」
吉琳 「っ…それって…」
ジル様の意味ありげな言い方に、胸の奥がうるさいほどに騒ぎ、
勝手な期待が、どんどん膨らんでいってしまう。
言葉の続きを待っていると、ジル様は私の髪に、そっと触れ…
ジル 「私は貴女のことが好きです」
ジル 「いつも懸命で思いやり深い、敬愛するプリンセスとしてだけではなく」
ジル 「一人の女性として」

(っ、ジル様も、私のことを…?)

突然のことに呆然としていると、髪に触れていたジル様の指先が頬へと滑る。
ジル 「それで、貴女の想いは、口にして頂けないのですか?」
楽しげに細められる瞳は、私の想いを全て見透かしているようにも思えた。

(きっと言わなくても伝わっている。)
(でも…はっきりと言いたい)

吉琳 「私も、ジル様のことが好きです。」
吉琳 「罪を犯していると知ってからも、それは変わりません…」
そっと想いを返すと…
吉琳 「っ…ジル様?」
ジル様が私をふわりと抱きしめた。
ジル 「秘密を共有したからには、このまま帰すわけにはいきませんね」
艶っぽい雰囲気を漂わせたジル様が耳元で囁く甘い声に、
私は全身を熱くしながら目を泳がせる。
吉琳 「っ、あの…」
すっかり動揺する私を見て、ジル様は、ふっと笑みをこぼした。
ジル 「今日は、これで許して差し上げます」
そう言って、そっと唇が奪われる。

(初めて出逢った時から、)
(ジル様は私から視線を、心を奪って…)
(今は、全てジル様のもの)
(そんな危険な人なのに…私はきっとこれからも、)
(ジル様に奪われるのを、幸せだと思ってしまうんだ…)

そんなことを考えながら、
ジル様の熱い唇に、私はくらくらと落ちていった…―


fin.

 

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エピローグEpilogue:

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大きな壁を乗り越え、恋を実らせたあなた。
彼との愛を深めていった、その先は…―
ジル 「私が酔っているかどうか、確かめてみますか?」
いたずらな眼差しと共に、ワンピースに手がかかり…
ジル 「ただ貴女を、私の全てで愛するだけです」
ジル 「私だけのものになってください、吉琳」
温もりも、想いも分けあって、彼とまた一歩、距離を縮めていく…―

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