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日版王宮 慶祝5週年-5日間限定 毎日読み放題

「イケメン王宮◆真夜中のシンデレラ」の5周年を記念して
5日間限定読み放題キャンペーンを実施中だよ!
過去のイベントやガチャのシナリオを毎日日替わりで読むことができちゃう!
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*格式還沒改...趁著有空我先放上來,再不放都要忘了>_<

 

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期間限定!無料読み放題キャンペーン
日替わりで、過去のイベントのシナリオを公開♪
読めるのはその日1日だけ!読み逃しなく☆

 

― 公開スケジュール ―

 

◆1日目 9/22(金)00:00〜23:59

ガチャ『二人のプライベートトラベル』
アラン・ルイ・ジル・レオ・ゼノ

◆2日目 9/23(土)00:00〜23:59

キャンペーン『誓いのプロポーズ』
プロローグ・アラン・ルイ・ジル・レオ・ゼノ・ユーリ・シド・アルバート

◆3日目 9/24(日)00:00〜23:59

キャンペーン『おとぎの国のプリンセス』
プロローグ・アラン・ルイ・ジル・レオ・ゼノ・ユーリ・ロベール・シド・アルバート

◆4日目 9/25(月)00:00〜23:59

キャンペーン『真夏の恋パフェ~ときめきのエッセンス~』
プロローグ・アラン・ルイ・ジル・レオ・ゼノ・ユーリ

◆5日目 9/26(火)00:00〜23:59

キャンペーン『Sweet Touch~バスルームでキスをして~』
プロローグ・ルイ・ジル・ユーリ・シド・レイヴィス

 

※ シナリオの切り替えは00時00分です。
※5日間限定毎日読み放題のシナリオの公開はそれぞれの公開日1日のみになります。
 また、公開されたシナリオを保存することはできません。

 

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◆1日目 9/22(金)00:00〜23:59
2013年4月に開催していた『ガチャ「二人のプライベートトラベル」』の アラン、ルイ、ジル、レオ、ゼノのシナリオが読めちゃうよ☆

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ガチャ『二人のプライベートトラベル』

 

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アランのストーリーを読む >>>

 

満点の星空が広がる、ある夜…―。
私は他国訪問のため、お城を離れていた。
(遠いから湖畔に一泊するとは聞いていたけど…こんなに大変なんだ…)
慌ただしい外の様子を馬車から覗いていると、
ドアが開き、アランが手を差し出してくる。
アラン:つまずくなよ
私は持ってきた荷物を持つと、アランに手を重ね馬車を降りた。
…………
(なんだかこうしてアランといると、二人で旅行に来たみたい…でも…)
アランを見つめると、私は立ち止まって荷物を持ち直した。
(ちょっと詰めすぎたかな…見た目より重いかも…)
すると、アランが呆れたように息をつく。
アラン:…ったく
そう言って、アランは私の手から荷物を持ち上げようとする。
吉琳:アラン、重いから…
慌てて荷物に手をかけると、アランが怪訝そうに眉を寄せた。
アラン:はぁ?重いから持つんだろ
(アラン……)
吉琳:…ありがとう
アランの言葉に、私が荷物から手を離すと、アランがその手をさらう。
アラン:離れんじゃねぇぞ
………
森の中に入ると、微かな月明かりだけが足元を照らす。
(アラン…暗い道に入るから気遣ってくれたのかな…?)
そう思い繋がれた手を見ると、アランが指を絡ませるように手をつなぎ直す。
(このつなぎ方…)
吉琳:恋人みたい…
思わず小さく呟くと、アランが立ち止まる。
アラン:じゃあ、恋人同士が二人きりでいたら
アラン:どうすると思う?
吉琳:えっ…?
アランの言葉に驚いて、見上げると…。
吉琳:…っ……
軽い音をたてて、アランの唇が私の唇に触れた。
唇をそっと離すと、アランは私の顔を覗きこむ。
アラン:お前…顔、まっ赤
吉琳:アランっ…!
慌てて顔を反らすと、アランは笑いながら歩き出す。
(からかわれたりするけど…)
(この手は絶対に離したくない…)
私は握られた手を見つめると、そっとアランに寄り添った…。

 

69

 

ルイのストーリーを読む >>>

 

夜空に星が瞬く、ある夜…。
私は湖畔の別邸で、ルイと密かな休暇を過ごしていた…―。
(ルイと過ごせるのも今日で最後か…)
隣で微かな寝息を立てているルイを見つめる。
(余りにも幸せな時間だったから)
(次はいつ会えるか分からないと思うと、寂しいな…)
すると、ぽろりと一粒の涙が私の頬を伝った。
(あれ…勝手に涙が…)
慌てて手で拭おうとすると、ルイがわずかに目を開ける。
ルイ:どうしたの?
吉琳:ううん…なんでもない
そう言って寝がえりを打つと、私はシーツに顔をうずめた。

……
そして、次の日…―。
(昨日泣いたからかな…少し目が腫れてる)
私は身支度を整え、鏡を覗きこむと、つばの広い帽子をかぶる。
(ルイに見られると恥ずかしいから…)
すると、ドアが叩かれ、ルイがやってきた。
ルイ:準備できた?
小さく頷くと、ルイは私に近づき、足を止めた。
ルイ:なんで帽子かぶってるの?
吉琳:それは……
(昨日泣いて目が腫れてるなんて言えない…)
思わず口をつぐむと、ルイがそっと帽子のつばを上げる。
(あっ……)
ルイ:………
ルイは私と目が合うと、少し驚いたように目を丸めた。
思わず視線を反らすと、ルイはつばから手を離す。
ルイ:見ないから
(ルイ……)
私は少し間を開けると、ゆっくりと口を開いた。
吉琳:なんだかルイと離れるのが寂しくなっちゃって……
涙の理由を話すと、ルイがぐっと私の腰を抱き寄せる。
吉琳:ル、ルイ…?
思わず見上げると、ルイは帽子の下から、
私の唇に触れるようなキスを落とした。
吉琳:……っ……
一瞬の出来事に、きょとんとしていると、ルイは僅かに頬を染めて私を見る。
ルイ:じゃあ、一生離さないけど…いい?
私は小さく頷くと、ルイに顎をすくわれ今度は深い口づけを落とされた。
(ルイ、離さないで…)
そう心で呟くと、私はルイの口づけに応えるように、
ゆっくりと唇を重ねていった…―。

 

69

 

ジルのストーリーを読む >>>

 

澄み切った空が広がる、ある日…―。
私は、城下の視察に来ていた。
(声をかけてもらえるのは嬉しいけど…)
街を歩いていると、たくさんの人から声をかけられる。
(前みたいに城下を歩けないのは、少し寂しいな…)
そう思ってまつ毛を伏せると、ジルが言う。
ジル:どうかいたしましたか?
吉琳:いえ……
私は小さく微笑むと、そっと街を見つめた。

……
そして休日…―。
私はジルに連れられて、知らない街に来ていた。
(きれいな街…)
馬車から降りようとすると、広がる光景に目を奪われる。
すると、ジルは私の腰を両手でふわりと持ち上げた。
吉琳:ジル…!
驚いてそう言うと、ジルはそっと私を降ろし、微笑む。
ジル:その服装では足元が危ないので
私はロング丈のワンピースを見ると、ふと思う。
(そういえば、ワンピースを着てくるように言われたけど…何かあるのかな?)
………
馬車の扉を閉め、私の方をむくと、ジルは私の手を握りしめる。
吉琳:ジ、ジル…?
(誰かに見られたら…)
私が慌てて、手を離そうとすると、ジルはぐっと手を引き寄せた。
ジル:これから行く街は、プリンセスの顔を知る者はほとんどいません
そう言うとジルは、私のワンピースに視線を向ける。
ジル:それに、もし貴女を知っている者がいたとしても
ジル:その服装では気づかないでしょう
(まさか、私がこうして街を歩きたかったのを知って…?)
思わず見上げると、ジルは私の唇にそっと指をあてる。
ジル:覚えておいてください
ジル:どんなに周りが貴女をプリンセスとして見ていても…
ジル:私にとって貴女は、たった一人の大切な女性ですから
そうして、馬車に隠れるように私を抱き寄せると、
ジルは私の唇にゆっくりと唇を重ねた。
(私にとってもジルは教育係なんかじゃなくて…)
私は口づけに応えると、ジルの首に手を回す。
(大切な人……)

 

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レオのストーリーを読む >>>

 

ゆっくりと雲が流れる、ある昼下がり…―。
私は休暇中、ジルからお城の人たちにはばれないようにという条件で、
レオと小さなコテージに来ていた。
(こんなところで本が読めるなんて…)
コテージの目の前に広がる、花の丘に腰かけると、そっと本を開く。
すると、隣で寝転がったレオが本を覗きこんできた。
レオ:なんの本?
レオの方に本を向けると、私は挿絵を指差した。
そこには、太陽の光できらきらと輝く湖に、一羽の鳥が飛んでいる。
吉琳:こんな風に飛べたら素敵だなっていつも思ってて
そう言うと、レオは本から視線を外し、私を上目づかいで見上げる。
レオ:俺がその願い叶えてあげよっか?
私は少し驚くと、レオの言葉にくすっと微笑んだ。

……
そして、翌日…―。
(ずいぶん遠くまで来たみたいだけど…)
レオに連れられて、私はコテージから離れた場所に来ていた。
小さな家につくと目をつぶるように言われる。
レオ:まだ開けちゃだめだよ
吉琳:うん…
目を閉じたまま、レオに手を引かれてくると、優しい風が頬を撫でた。
レオ:もういいよ
レオの言葉にそっと目を開けると…。
(すごい……)
バルコニーから湖が一面に広がっている。
水面が太陽の光に照らされ、きらきらと輝いている。
吉琳:湖の上を飛んでいるみたい……
思わず呟くと、はっとしてレオを見る。
(これって…鳥の挿絵と一緒?)
すると、レオが目を細める。
レオ:吉琳ちゃんが望むことは全部…
レオ:俺が叶えていってあげるから
そう言うと、レオは私の頬にそっと触れた。
レオ:だから、俺の願いも叶えてくれる?
レオの眼差しがふっと緩むと、顔をがだんだんと近づいて来て…
私の唇にレオの柔らかな唇が重なった。
レオは唇を離すと、じっと私を見る。
レオ:ずっと俺のそばにいて
(レオ……)
私はゆっくりと頷くと、レオにそっと寄り添っていった…。

 

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ゼノのストーリーを読む >>>

 

柔らかな日差しが降り注ぐ、ある休日…。
私はシュタイン王国を訪れていた。
(気づいて下さるかな……)
通された部屋でゼノ様を待ちながら、新しい髪型にそっと触れる。
すると、ドアが叩かれ、ゼノ様が入ってくる。
ゼノ:いつも城ではお前も気が休まらないだろう
ゼノ:今回は、どこかに行くとしよう
ゼノ様はそう言うと、ふっと目を細めた。

……
そうしてゼノ様に連れられ、私はシュタインの外れにある別邸にやって来た。
(ゼノ様と出掛けることってあまりないから、嬉しいな…)
そう思いながら廊下を歩いていると、ふと足が止まる。
(この扉の装飾、すごくきれい…)
吉琳:ゼノ様、この部屋は…?
不思議そうに尋ねると、ゼノ様が言う。
ゼノ:開けてみるといい
………
扉を開けて中に入ると、私は首を傾げた。
ティーカップやクッションなど全ての小物が二つずつ用意されている。
(二人用のゲストルーム…?)
部屋を見渡しながら、そう考えているとゼノ様が何でもないように言う。
ゼノ:夫婦用の部屋だ
吉琳:えっ…
(まだゼノ様と夫婦でもないのに、部屋を見渡したりして…)
吉琳:そうだったんですね…
恥ずかしさから、私は頬を染めると、急いで扉に向かおうとした。
と、その時…。
吉琳:……!
ゼノ様に、ぐっと腰を引き寄せられる。
驚いて見上げると、ゼノ様は私の髪を手ですくい上げた。
ゼノ:髪形を変えたのか?
瞳を覗きこんでくるゼノ様に、私はこくりと頷く。
すると、ゼノ様はふっと目を細め、髪に口づけた。
ゼノ:よく似合ってる
吉琳:ゼノ様……
(嬉しい…)
思わず頬をほころばせると、ゼノ様が私の顎をすくいあげ、じっと見つめる。
ゼノ:お前のそんな顔を見れるのも、この髪に触れるのも
ゼノ:俺だけだと、早く周りに示しておかないとな
吉琳:えっ…
(それってまさか、ゼノ様と本当の夫婦になるってこと…?)
ゼノ様の言葉に私の頬がまっ赤に染まると、
ゼノ様の唇が私の唇に重なっていった…。

 

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◆2日目 9/23(土)00:00〜23:59
2014年5月に開催していた『キャンペーン「誓いのプロポーズ」』の プロローグ、アラン、ルイ、ジル、レオ、ゼノ、ユーリ、シド、アルバートのシナリオが読めちゃうよ☆

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キャンペーン『誓いのプロポーズ』(彼視角)

 

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プロローグのストーリーを読む >>>

 

空に虹がかかる、ある午後…―。
廊下を歩く私の目に、楽しそうに話すメイドさんたちの姿が映る。
(なんだろう…?)
ふと足を止めると、メイドさんたちの口から『ティアラ』という言葉が聞こえてきた。
と、その時……。
???:…吉琳
後ろから声を掛けられ、振り返る。
そこには、ルイの姿があった。
ルイ:なに、見てるの
吉琳:ティアラの話が聞こえて来て
ルイ:ティアラ…?
分からないと言ったような仕草を見せるルイに、私は頷く。
吉琳:もうすぐ、ウェディングの季節だから…
ウィスタリアではこの時期になると、結婚する人が多くなる。
その時期に合わせて、恋人たちの中である風習があった。
吉琳:城下では、女の子が自分で作ったティアラを愛する人にかぶせてもらうことで
吉琳:『永遠を誓いあう』っていう意味になるんだよ
話をすると、ルイの長いまつげが、ゆっくりと細められる。
ルイ:そういえば、城に来る途中もティアラを持った女性がたくさんいたかも
するとルイは私に視線を向ける。
ルイ:吉琳は作らないの…?
吉琳:えっ、私……?
思いもよらない質問に目を瞬かせると、ルイの指先が私の髪に触れる。
ルイ:似合いそうだけど
ルイの柔らかい髪が、窓から入る風に揺れる。
やがてルイは微かに笑みを浮かべると、私の髪をすくいあげた指先を離した。
ルイ:…じゃあ
そのままルイが歩いて行ってしまう。
(ティアラを作るなんて考えてもみなかったけど…)
私は髪に触れると、ティアラのことを想った。
(もしもティアラが出来たら、私の頭にのせてほしいな)
私は頬を染め、心の中で『彼』のことを想い描いた…―。

 

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アランのストーリーを読む >>>

 

とある初夏の夜のこと…―。
城下の視察を終えたアランと吉琳は、
うす暗い夜道を、一緒に歩いていた。
(なんだ、あれ……?)
歩きながらアランはふと、道行く女の子たちが、
頭にティアラを乗せていることに気づいた。
(そうか、今日はティアラを乗せてもらう日…か)
ちらりと隣の吉琳を見ると、
すれ違う恋人たちを、うらやましそ うに見つめている。
アラン:…お前あれ、作ってねえの
吉琳:え?
アラン:ティアラ
アランがそう尋ねると、
吉琳は恥ずかしそうに目を伏せた。
吉琳:…実は作ったんだけど、部屋に置いてあるの
アラン:…そういうことは、早く言えよ
(こいつ、今聞かなかったら)
(ずっと言い出さなかったかもしれねえな)
アランは吉琳の頭を軽く手の甲で小突く。
吉琳:だって…
吉琳:アラン…その、ティアラをかぶせてくれるの…?
(…それ、こんな場所で聞くのかよ)
アラン:…さあ?
アランは照れくさくなって、わざと笑ってみせた。
吉琳:いじわる
吉琳は拗ねた表情を一瞬だけ浮かべると、
ふっと視線を上げて目を細めた。
吉琳:もし、アランとお城で出逢っていなかったら…
吉琳:こうして恋人同士になることもなかったのかな
アラン:…は?
急に思ってもいないことを聞かれて、アランは目を見開いた。
アラン:なんだよ、それ
吉琳:急に、城下に住んでた時のことを思い出したの
吉琳がそう言ってにっこり微笑んだその時、
アランの肩に、すれ違う人がぶつかりそうになった。
(……あっ)
アランが身体をよけて、ふと足を止めたその隙に、
吉琳は人ごみの中に紛れ込んでしまった……。
………
(あいつ……どこいった?)
見えなくなった吉琳の姿を探して、
アランは辺りを見渡す。
すると、ティアラをつけた女の人たちの中に
視線をさまよわせている吉琳を見つけた。
アラン:ったく……
その姿を見つけ、アランは安堵感のあまり思わず笑みをこぼした。
(……もし、城で出逢っていなくても)
(きっと俺は、こうして吉琳を見つけただろうな……)
アランは人ごみを掻き分けて、吉琳の手首を掴むと、
見上げた吉琳と視線が重なった。
吉琳:アラン……
アラン:…こっち
吉琳の手を引き、人通りの少ない路地に出た。
アラン:勝手にいなくなってんじゃねえよ
吉琳:ごめん……
吉琳はしばらくしゅんとしたように、目を伏せていたが、
顔を上げてアランを見つめる。
吉琳:…見つけてくれてありがとう
その笑顔に、アランは不意に胸が熱くなった。
(見つけてくれて、ありがとう、か…)
(…らしくねえけど)
アラン:……吉琳
吉琳:なに…?
アランは吉琳の髪を片手で掻き上げると、
その額に優しくキスをした。
唇を離すと、吉琳は頬を染めてアランを見上げている。
アラン:ティアラじゃない、お前自身に誓ってやるよ
吉琳:え…?
アラン:生涯をかけて、守りたいのはお前だけだ
アラン:…俺のそばにいろ
吉琳はしばらく顔を赤くして俯いていたけれど、
やがて笑みを零しながら、ゆっくりと頷いた。
吉琳:…それ、お城に戻ってからも言ってくれる?
アラン:バーカ
アランは吉琳の頭に手を添えて、また深いキスを交わす。
(…こいつとの運命は、いつだって俺が決めるんだよ)
アランの密かな誓いに応えるように
夜空の月が優しく輝いた…。

 

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ルイのストーリーを読む >>>

 

月が夜空に滲む真夜中のこと…―。
ルイはジルとの用事を済ませて、城の廊下を一人歩いていた。
(遅くなってしまった…)
(もう少し早く終わったら、吉琳と過ごせたのに…)
ルイはそう思いながら、吉琳の部屋の前を通りかかる。
すると、細く開いた部屋の扉から、光の線が伸びていた。
(…吉琳は、まだ起きているのかな?)
ルイは視線を上げると、
そこには必死にティアラに石を埋める吉琳の姿があった。
(吉琳……)
ルイは笑みを零して、ノックをしようとした手を、ふと止めた。
(もう遅いし、邪魔しちゃ悪いかな…)
ルイは目を細めて、そのまま部屋を通り過ぎて行った。
………
(吉琳が作っていたあのティアラ…)
(あれを被せるのは、俺がいいな…)
ルイは階段を下りながら、吉琳の横顔に思いを馳せる。
(今日の用事だって、本当は明日でも良かったんだ…)
(俺が、どうしても今日吉琳に会いたかったから…)
ルイは階段の最後の一段を踏みしめると、ふと顔をあげた。
(…やっぱり)
(今から少しだけでも、吉琳に逢いに行こう)
(伝えたいことがある…)
ルイがそう思って踵を返そうとしたその時、
聞き覚えのある声が、静かな廊下に響いた。
吉琳:ルイ……!
ルイが振り返ると、吉琳が息をきらせて階段の上に立っていた。
ルイ:吉琳……
吉琳:ルイ待って…! 私、ルイに渡したいものが…
吉琳の手には、光るティアラが握られていた。
ルイはそれを見て、思わず笑みをこぼした。
(吉琳、俺が帰るのを知って追いかけてきてくれたんだ…)
ルイ:吉琳
ルイが手を差し伸べると、吉琳は頬を緩めて階段をおりてきた。
吉琳:ルイ、あのね…
吉琳はティアラを手にしたまま、恥ずかしそうに俯いている。
ルイは吉琳のあごに手を添えると、そっと上を向かせた。
ルイ:…渡したいものじゃなくて、渡されたいもの、でしょ?
吉琳:うん…
吉琳は頬を染めて、頷く。
ルイは、吉琳の手からティアラを受け取って
目の前に掲げてみせた。
ルイ:吉琳…ティアラに誓わせて
ルイ:世界でたった一人の…俺だけの花嫁になって欲しい
ルイがそう囁くと、吉琳は目を見開いて、
ゆっくりと大きく、頷いた。
吉琳:うん…
ルイがその頭にティアラを載せると、
吉琳はルイにぎゅっと抱きついてきた。
(吉琳…)
(この腕に、君がいる幸せを知った時から…)
(もう俺は、こんな大きな幸せを手放せない…)
吉琳:ルイ、私からも言わせて…
吉琳は顔を上げると、ルイににっこりと微笑んだ。
吉琳:世界でたった一人の、私だけの王子様でいて…
ルイ:はい、仰せのままにプリンセス……
(愛してる……)
(俺の、世界でたったひとりの、最愛の人……)
伝えきれないほどの愛おしさを感じながら、
ルイは吉琳の身体をいつまでも抱き締めていた…。

 

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ジルのストーリーを読む >>>

 

初夏の、ほのかに暖かい夜のこと…―。
ジルが城の廊下を歩いていると、
どこからか、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
(この声は吉琳…?…)
ふと角を曲がって足を止めると、
そこにはメイドと楽しそうに話している吉琳の姿があった。
(あれは……)
吉琳の手には、小さなティアラが乗っている。
メイド:…プリンセスは誰に渡すのですか?
そう問われて、吉琳は恥ずかしそうに顔を伏せて、言い淀んだ。
吉琳:えっと…
ジルはその様子を、目を細めて見つめた。
(…私、でなければ困るのですけれどね)
ジルは思わず近づいて、吉琳に声をかけた。
ジル:プリンセス、少しよろしいでしょうか
吉琳:ジル…!
吉琳はあわててティアラを自分の背中に隠した。
(何とも分かりやすい…)
(まあ、そこが可愛らしいのですが…)
ジルは思わず目尻を緩める。
ジル:少し相談があるので、部屋まで来てください…
……
部屋に入ると、吉琳はティアラを後ろ手にしたまま首を傾げた。
吉琳:…ジル、いったいどうしたんですか?
ジル:今日、貴女に教え忘れたことがありました
吉琳:え…?
ジルは吉琳に近づくと、
腕を回して、隠していたティアラをそっと奪った。
吉琳:あっ……
ジルは思わず声を上げる吉琳を制して、傍らのベッドに座らせる。
(忙しい中、どうにか時間を空けて作ったのでしょう)
(そういう健気さがまた…)
ティアラを手にジルが微笑むと、吉琳は顔を赤くした。
ジル:私に隠し事は通用しませんよ、プリンセス
吉琳:えっと、その……
頬を染めたまま、吉琳は恥ずかしそうにジルを見上げている。
ジル:貴女は本当にいけない方ですね
(何気ない仕草で、こんなにも私を誘惑する…)
(私がこの視線ひとつに、どれほど翻弄されているか…)
ジル:今日の教育は特別です、ちゃんと覚えていてください
ジルはベッドに腰をおろすと、吉琳の頭にそっとティアラを乗せた。
ジル:…私は貴女の教育係を、この先もずっと辞めるつもりはありません
吉琳:…え?
不意にそんなことを言われて、吉琳は大きく瞬きをした。
(今日だけではなく、いつも心の中に抱いている言葉を…)
(吉琳に伝えたい)
ジル:貴女を一生幸せにすることが、私の仕事で…
ジル:貴女の仕事は、私の隣で幸せになることです。いいですね?
ジルがそう囁くと、吉琳はさらに頬を染めて、嬉しそうに俯くと、
涙ぐんだ顔を上げて、にっこりと微笑んだ。
吉琳:はい……
吉琳:…でもジル、これでは教育になっていません
そう言われて、ジルもふっと笑みを零した。
ジル:…ええ、私も今気がつきましたよ
ジルは吉琳をベッドにゆっくりと組み敷くと、
その唇に、優しく口づけをした。
ジル:これは誓いですね……
(必ず……私は貴女を幸せにしますよ)
ジルはもう一度心の中で誓うと
吉琳に深く口付けた…。

 

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レオのストーリーを読む >>>

 

初夏の日差しが眩しい、とある昼下がりのこと…―。
いつものように、レオは部屋で吉琳に勉強を教えていた。
(吉琳ちゃん…)
(今日はなんか、そわそわしてる…?)
レオは、いつもと違って、
どことなく落ち着きがない様子の吉琳が気になった。
(…あれ?)
レオは、ふとペンを持つ吉琳の手元を見ると、
そこに小さな傷があるのに気がついた。
(この傷、どうしたんだろう…)
ちらりと机の隅に視線を向けると、
そこにはストールに包まれたティアラが少しだけ覗いていた。
(もしかして、これを作ってたのかな…?)
レオはしばらく吉琳の様子を伺っていたけれど、
それらしいことを、言い出す気配はない。
(…このまま、吉琳ちゃんが言うのを待ちたい気もするけど…)
(俺が待てないな…)
レオはふと笑みをこぼし、本を閉じた。
レオ:…今日の勉強はお終い
レオ:それで、吉琳ちゃんに教えて欲しいことがあるんだけど…
そう言うと、吉琳は驚いたような顔をしてレオを見上げた。
吉琳:…なに?
レオは眼鏡を取り、机に頬杖をつくと、
机の上のティアラに、視線を向けた。
レオ:それ、俺のだって思っていい?
吉琳:あっ……
レオがふっと笑って、ティアラを手に取ると、
吉琳は慌てた様子で頬を染めた。
吉琳:そうだよ……
吉琳:レオしか、渡したい人はいないから……
吉琳は頬を赤くして俯きながら、そう呟いた。
(吉琳ちゃん…)
(可愛いな…)
レオはそのまま吉琳の頭上にティアラを載せようとして、
ふと、その手を止めた。
レオ:…もう少し先になるけど
レオは、吉琳の瞳を覗き込む。
レオ:吉琳ちゃん。俺の恋人、やめない?
吉琳:え……
吉琳が心細げに小さく声を上げると、
レオはティアラを頭に載せて、その唇に短くキスをした。
レオ:俺のお嫁さんになるんでしょ
吉琳:レオ……
泣きそうになっている吉琳を、レオは抱きしめると、
今度は長く、優しいキスをした。
レオ:吉琳ちゃん、返事は……
レオはそう言いかけて吉琳の顔を覗き込んだけれど、
その涙に濡れた顔を見つめて、そっと瞼にキスを落とした。
(この顔を見れば……)
(もう答えなんていらない……)
レオは抱き締めた身体のぬくもりと共に
吉琳から伝わる想いを感じていた…。

 

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ゼノのストーリーを読む >>>

 

とある暖かな初夏の午後のこと…―。
ゼノは公務の合間、ひとり客間までの廊下を急いでいた。
(……まだ吉琳は滞在しているはずだが)
吉琳は昨日から、公務でシュタインを訪れている。
ゼノが考えごとをしながら歩いていると、
廊下に光る何かが落ちていた。
(……?)
近づいて拾い上げると、それは小さなティアラだった。
(確か、本で読んだことがある。ウィスタリアでは、今の時期…)
(恋人にティアラを贈って、将来の誓いを交わす風習があると…)
ふとティアラを拾い上げ、ゼノがさらに廊下を進むと、
客間のドアが細く開いているのが見えた……。
………
ドアの隙間からは、ソファで眠っている吉琳の姿が見えた。
(…まるで、眠り姫のようだな)
ゼノはふっと笑みをこぼして、部屋に入ると、
吉琳の傍らにたたずんだ。
(婚礼など…)
(吉琳に出逢うまで、俺には意味を持たないものだったが)
ゼノは微笑みながら、吉琳のその柔らかな髪を撫でた。
(…だが、今は違う)
(こんな何気ない瞬間さえ、愛おしい…)
ゼノは持っていたティアラを、吉琳の頭に載せた。
吉琳:……ん
すると、吉琳はゆっくりと目を開けた。
ゼノ:すまない、起こしてしまった
吉琳:……私、いつのまに……すみません
吉琳は慌てて身を起こす。
ゼノ:気にするな、お前が目覚めるのを待つ時間もなかなか悪くなかった
ゼノ:誓いを交わすことができたからな
吉琳:え……?
すると、吉琳はふと頭に手をやって、
載せられたティアラに気づいた。
吉琳:あ、これ……
ゼノ:このティアラは、勝手に俺の元にやってきたが?
ゼノはそう言って目を細めた。
吉琳:…無くしたとばっかり思っていました
吉琳は照れたように俯いた。
吉琳:…起きていればよかったです
吉琳:そうすれば、その…ゼノ様の誓いの言葉を聞けたかもしれないのに…
吉琳はそう呟いて、頬を染めた。
ゼノ:…吉琳
ゼノは優しい声で名前を呼ぶと、
身を屈めて吉琳の瞳をじっと覗き込んだ。
ゼノ:…お前と共にいられる誓いなら、いくらでもしよう
ゼノはそう囁いて、ゆっくりと吉琳の唇にキスをした。
ゼノ:…生涯をかけて、お前だけを愛している
吉琳:ゼノ様……
ゼノを見上げる吉琳の瞳は、みるみる潤んでいく。
(いつだって、俺の心を動かすのは…)
(吉琳、お前だけだ……)
口づけを交わす二人の頭上で、
ティアラの石が美しく煌めいていた…―。

 

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ユーリのストーリーを読む >>>

 

まばゆい月が映える、静かな真夜中のこと…―。
ユーリはジルと仕事の打ち合わせを終えて、
自分の部屋に戻ってきたところだった。
(……あれ?)
すると、ベッドの上に、
見慣れないものが置いてあるのに気がついた。
(これは……)
小さな髪飾りのティアラが月明かりに照らされて、きらりと光っている。
(吉琳様……)
(約束…したんだよね…)
ティアラを見つめながら、ユーリは吉琳を想った。

*****
昨日の午後……。
ユーリが紅茶を淹れて吉琳の部屋を訪れると、
吉琳は自分の机でティアラを作っているところだった。
吉琳:あっ……!
吉琳は背後のユーリに気づいて急いで隠そうとしたけれど、
間に合わないと気づいて、顔を赤くして俯いた。
ユーリ:それ、ティアラでしょう?
吉琳:うん…
ユーリがそう言うと、吉琳はこくりと頷いた。
その手には、石がちりばめられたティアラが握られている。
ユーリ:綺麗だね…
ユーリ:それ、俺に被させてくれるんでしょ…?
ユーリがそう言うと、吉琳は驚いたような顔をしたあと、
嬉しそうに微笑んで、また頷いた。
吉琳:うん
ユーリ:本当? 明日、必ずこれ俺にくれる?
吉琳:いいよ、必ず渡すね…
*****

(今日は俺も吉琳様も公務が忙しくてずっと会えなくて…)
(きっと夜遅くなって、気をつかって来てくれたんだろうけど…)
ユーリは視線を上げて窓の外を見ると、
時計台の秒針は、もうすぐ12時を示そうとしていた。
(今なら、まだ……)
ユーリはそう思うより先に、ティアラを掴んで、
部屋の扉を開けて、走り出していた…―。
………
真夜中の暗い廊下を、ユーリはひとり走った。
手にしたティアラが月灯りに照らされて光る。
(どうして、俺は……)
(吉琳様のことになると、こんなに必死になるんだろう…)
息を切らせて顔を上げたその時、
窓の向こうのバルコニーに、吉琳が肘をつく姿が見えた…―。
………
月明かりに照らされたバルコニー出ると、
吉琳の後ろ姿を、ユーリは背中から囲うように抱きしめた。
ユーリ:…見つけた
吉琳:ユーリ…
驚いた顔で振り返った吉琳と、視線が重なる。
吉琳:今日はもう会えないと思ってた…
吉琳はそう言って、首を傾げる。
ユーリ:…約束、したから
ユーリ:これ、ちゃんと受け取ったよ
吉琳:うん……
ユーリがティアラを胸の前に掲げて囁くと、吉琳はくすりと笑った。
ユーリ:…俺、このティアラを持って、吉琳様を探しながら気づいたんだ
ユーリ:こんなに必死になることって初めてかも、って…
ユーリは吉琳を抱く手に力を込める。
ユーリ:吉琳様はね、俺の心の真ん中にある幸せなんだ…
吉琳:え……?
ユーリ:俺にとって幸せって、吉琳様と一緒にいることで…
(だから、吉琳様がいないと、俺、不安で必死に探しちゃうんだ…)
そして、ユーリは腕をほどくと、その場に跪いた。
ユーリ:…吉琳様、ずっと一緒にいて
ユーリがそう呟くと、
吉琳はしゃがみこんで、ユーリの肩を抱きしめた。
吉琳:うん……
(吉琳様……)
ユーリは吉琳の頭に持っていたティアラを載せると、
誓いをたてるように、その身体を抱き締め返した。
(もう、この腕の中から離さない……)

 

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シドのストーリーを読む >>>

 

日差しが眩しい、初夏のとある昼下がりのこと…―。
シドは、照りつける太陽に目を細めながら城門をくぐった。
(用事を片づけるのを口実にして、あいつの顔見に来るなんて)
(俺も大概、重症かもしれねえな…)
青い空に向かって息をついたその時、
不意に見知らぬメイドに声をかけられた。
メイド:あ、あの…
シド:…あ? どうした
メイド:シド様、あの…これを私の頭に乗せていただけませんか…?
見ると、メイドの手のひらには小さなティアラが乗っていた。
(ああ、確か…)
(ティアラを乗せてもらうと、将来の誓いを交わせる…だったか?)
メイド:わがまま言ってすみません…
メイド:でも、誓いの言葉はいらないんです。ただ、思い出が欲しくて…
メイドの言葉を聞きながら、シドは目を細める。
(言葉はいらねえ、か。…前の俺なら同意してたかもしれねえが…)
シド:悪ぃが、それは出来ねえな
メイド:え…
シドは言葉を続けようと、ふと顔をあげると、視線の先に、
吉琳がバルコニーでティアラを手にしているのが見えた。
(…何やってんだ、あいつ)
思わず、シドは口の端を持ちあげた。
シド:そのわがままは…
シド:どうしても誓いが欲しいと思えるような奴と出逢った時にとっとけ
シド:…女は少しくらいわがままな方が幸せになる
メイドが驚いたように目を見開いたのを見た後、
シドは城の方へ歩き出した。
………
(…やっぱ、ここにいたのか)
シドがバルコニーに出ると、
少し拗ねた表情でティアラに視線を落とす吉琳の姿があった。
シドは吉琳を囲うようにバルコニーの手すりに手をついた。
シド:おい、何拗ねてんだ
吉琳:……シド
顔を覗き込んで頬を掴むと、吉琳は視線を逸らして呟いた。
吉琳:拗ねてるんじゃないよ…。ただ自分に呆れてるだけ
シド:呆れてる?
吉琳:さっきシド、ティアラを渡されそうになってたでしょ?
(やっぱり、見てたのか…)
吉琳:すごくわがままだけど、私が一番に渡したいって思ってたから…
そう聞いて、思わずシドはふっと笑みを零した。
(好きな女のわがままは、嬉しいもんだな…)
(想いが強ければなおさら、だ…)
シド:……お前はわがままなプリンセスだな
吉琳:分かってる…っ…ん…
言葉の途中でシドはその唇にキスをすると、
手からティアラを奪って、吉琳の頭に載せてやった。
(それに、らしくねえかもしれねえが…)
(想いが強いほど言葉にしたくなるもんだな…)
シドは唇を離して、吉琳を背中から抱きしめ直した。
シド:…わがままなお前に、俺は一生付き合ってやるよ
吉琳:え…
シド:その代わり、お前も俺のわがままに付き合え
シド:お前は俺しか愛せねえんだろ?
シドがそう耳元で囁くと、吉琳は頬を染めてゆっくりと頷いた。
シド:…俺も、もうお前以外愛せねえ
シドは吉琳のうなじに唇を滑らせながら、
目を閉じて、そう囁いた……。

 

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アルバートのストーリーを読む >>>

 

爽やかな風が吹く、暖かな午後のこと…―。
アルバートは、ゼノの書簡を届けに、
ウィスタリアまでやってきていた。
(…どうしたんだ?)
(いつになく、城の中が騒がしい気がするが…)
アルバートがきょろきょろと周囲を見渡すと、
廊下を、豪華に着飾った男性が次々に通り過ぎていく。
(何か催しでもあるのだろうか…)
アルバートがそう思っていると、背中をとんとんと叩かれた。
ユーリ:あれ、アルもう帰っちゃうの?
振り返ると、そこにいたのはユーリだった。
ユーリはアルバートの顔を見つめて、
どことなくにやにや笑っているように見える。
アルバート:……貴様、何が言いたい
ユーリ:別に何も、ただ……
ユーリは、光がこぼれる傍らのダンスホールの扉を指し示すと
意味ありげに笑ってみせた。
………
(な、なんだ、これは……)
ダンスホールに入ると、パーティーの真っただ中で、
そこには男性に囲まれる吉琳の姿があった。
ユーリ:…この時期、ひっきりなしに男性が尋ねてくるから吉琳様は大変なんだよ
ユーリもまた、ホールの様子を見てため息をついた。
アルバート:なんだこれは…?
ユーリ:あれ、知らない? ウィスタリアでは…
ユーリ:今の時期にティアラを贈って将来を誓いあう風習があるんだよ
ユーリは淡々と説明をする。
ユーリ:…本当は女の人が選ぶんだけど
ユーリ:まあプリンセスのティアラを、皆が狙わないはずないよね
ユーリはそう言うと、くすっと笑みを零した。
ユーリ:で、アルバートは狙わなくていいのかなーって思ってさ
アルバート:………
(別に、ただの風習なのだろうが…)
一人の貴族の男が吉琳に言い寄って手を取ろうとしたその時、
アルバートは無意識に駆け寄ると、吉琳の手を掴んでいた。
吉琳:ア…アルバート? どうして…
(どうにも、面白くない。…この状況だけは)
アルバート:プリンセス、大切な用件が
アルバート:…では、失礼致します
アルバートは傍らの男性に会釈すると、
吉琳の手首を掴んだまま、すたすたとホールを出て行った。
………
庭園まで来ると、アルバートはため息をついて吉琳に向き直った。
アルバート:あなたは目を離すと、すぐに言い寄られる…
吉琳:え……?
アルバート:俺はずっと側にはいられない。もう少ししっかり…
そう言いかけて、アルバートはふと我に返った。
(違う、こんなことが言いたいわけでは…)
アルバートはふっと口をつぐんで、自分の髪をくしゃりと撫でると、
吉琳を見つめた。
アルバート:…その手にあるティアラは、俺のものでしょう
吉琳はそう言われて目を見開くと、
肩を小さく揺らして笑いだした。
アルバート:………
対面するアルバートの頬が、心なしか赤く染まっている。
吉琳:このティアラは今日、ずっと自分で持っていようと思っていたんです
吉琳:…でも、そうならなくてすみました
アルバート:……?
吉琳:今夜、アルバ―トにこうして逢えたから
吉琳はそう言って、アルバートに笑いかけた。
(…この人は、いつも気づけば心の中に入ってくる)
(そして、今まで俺が知らなかった感情を呼び起こす…)
アルバ―トは、ふと視線を逸らして
ティアラを持った吉琳の手を握った。
アルバート:誰かのものになることは、許さない
アルバート:……俺、以外は
アルバートがそう呟くと、吉琳はにっこりと笑って頷いた。
吉琳:…それじゃ、これを被せてくれますか?
アルバートはぎこちなく頷いて、
ティアラをそっと吉琳の頭に載せると、
初夏の風が、二人の髪を揺らしていった…―。

 

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◆3日目 9/24(日)00:00〜23:59
2015年11月に開催していた『キャンペーン「おとぎの国のプリンセス」』の プロローグ、アラン、ルイ、ジル、レオ、ゼノ、ユーリ、ロベール、シド、アルバートのシナリオが読めちゃうよ☆

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キャンペーン『おとぎの国のプリンセス』

 

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プロローグのストーリーを読む >>>

 

之前有

 

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アランのストーリーを読む >>>

 

『12時の鐘が鳴ったら、魔法が解けてしまうから気を付けて』
その言葉を胸に、ガラスの靴を履いてお城へと向かった私は…
煌びやかな舞踏会で出会った王子様に、ダンスへ誘われて…―

私はアラン王子に合わせて、
ブルーのドレスを身にまとい、慣れないステップを踏む。
アラン:緊張しすぎ
(そんなこと言われても…)
吉琳:こんなに沢山の人の前で踊るなんて初めてで…
見回すと、いつの間にか私たちを囲んで、大きな輪ができていた。
アラン王子は周りへちらりと視線を向けると、ふっと微笑む。
アラン:俺がちゃんとリードするから
アラン:周りなんか気にしないで、楽しめよ
そう言ったアラン王子に、ぐっと腰を引き寄せられ、
胸が甘いときめきに高鳴る。
(どうしてだろう…たった今、会ったばかりなのに…)
私は鳴り止まない鼓動を響かせていった…―
……
アラン王子に連れられ、私はパーティーをこっそり抜け出していた。
アラン王子の横顔を見上げると、また胸が大きく音を立てる。
(そういえば…)
吉琳:あの…どうして私をダンスの相手に…?
舞踏会が始まった時、高貴なご令嬢が沢山いる中で、
アラン王子は真っ直ぐに私へ手を差し出してくれた。
アラン:…何でか分かんねーけど…
言葉を切ったアラン王子は、わずかに顔を赤くしている。
アラン:…お前から目が離せなかった
真っ直ぐな瞳でそう言われ、一気に頬に熱が灯った。
(会ったばかりなんて関係ない…)
(私はアラン王子が…)
恋心をはっきりと自覚して、胸の高鳴りが大きくなっていく。
アラン:お前の名前、教えて
答えようとした、その時…―
(あっ…)
真夜中を告げる鐘が鳴り響いた。
(いけない…魔法が……)
吉琳:ごめんなさいっ…
鳴り止む前にアラン王子から離れたくて、
バルコニーの出口へ駆け出そうとすると…
アラン:あ、おいっ…!
腕を引かれてしまう。
アラン:行くなよ
(でも…アラン王子には、元の姿を見られたくない…)
気まずくて視線を逸らすと、たくましい腕にぎゅっと抱きしめられた。
優しい温もりに、切なさがこみ上げてくる。
その時、12時を告げる鐘が鳴り止み…
(うそ…どうして…)
私はブルーのドレスのまま、アラン王子の腕に抱かれていた。
アラン:俺は多分…ずっとお前を探してた
そうして、そっと顔を上に向けられる。
アラン:もう1回聞く。名前は?
吉琳:…吉琳です
アラン:もう離さないからな、吉琳
そう言って、アラン王子は優しく唇を重ねた。
私の胸には、泣きたくなるほどの嬉しさが広がっていく。
(魔法が解けなかったのは…)
(きっとアラン王子が、私の運命の人だから…)
私の足元では、ガラスの靴がキラキラと輝いていた…―

 

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ルイのストーリーを読む >>>

 

『おやゆび姫』
チューリップから生まれた私はそう呼ばれ、大切に育ててもらった。
けれど父に言われた婚約者と結婚する日が、明日に近付いていて…―

結婚式を思うと、怖くて涙を流してしまったその時、
人間の男性に見つかってしまった。
(どうしよう…逃げないと…)
けれど花びらの上に座っている私は、怖さから動けない。
再び涙がこみ上げてくると…
???:泣かないで
(えっ…?)
ブルーの瞳をわずかに揺らして、その男性は私を覗きこんでいた。
(人間は怖いって聞いていたのに…)
優しいその言葉に、私は胸が小さく跳ねるのを感じる。
???:何かあったの?
私は男性の声に誘われるように、自然と口を開いていた。
吉琳:実は明日…
名前も知らない人間と結婚しなくてはならないこと、
怖くて思わず涙を流してしまったことを男性に話す。
すると、真剣な瞳で話を聞いていた男性がぽつりと呟いた。
???:…君にとって俺たちは、大きくて怖いものなんだね
吉琳:はい…
(でも何でだろう…)
目の前の男性は、全く怖くなかった。
(怖いって気持ちより…)
一緒に話していると、胸の高鳴りが大きくなるのに気付く。
(何でこんな気持ちに…)
不思議に思っていると、遠くから馬が駆けてくる音が響いた。
???:…ごめん。もう行かないと
音のする方を見つめる男性に、胸が微かにざわめく。
(もう少し話していたかったな…)
吉琳:あのっ…名前を聞いても?
思わず呼び止めてしまった私に、男性は小さく微笑む。
ルイ:ルイ。またね吉琳
(あれ…どうして私の名前知ってるんだろう…)
疑問を口にする前に、ルイさんは花畑を去っていった…―
……
そうして迎えた結婚式の日…―
色とりどりの花に囲まれた式場で、私を待っていたのは…
吉琳:ルイさん…?
そこにいたのは、昨日花畑で話を聞いてくれたルイさんだった。
私は付添人の人から、ルイさんの手の平へと乗せられる。
ルイ:…驚かせてごめん
ルイ:実は…君のこと、前から知ってた
(だから私の名前…)
瞳を瞬かせていると、ルイさんはそっと視線を伏せた。
ルイ:初めて見たときから、ずっと側にいたいと思っていたけど…
ルイ:君を悲しませたくないから…嫌だったら言って
ルイさんの切ない声に、胸がきゅっと締め付けられる。
(嫌なわけない…いつの間にか私は…)
吉琳:…私も側にいたいです
そう言って微笑むと、ルイさんも嬉しそうに瞳を細めた。
ルイ:これでずっと一緒にいられるね
ルイ:吉琳、俺のお嫁さんになってくれますか?
吉琳:はい
すると、顔を近付けたルイさんが少しためらうように眉を下げる。
ルイ:キスってどうしたらいいかな…
その言葉に、思わず笑みをこぼしてしまう。
吉琳:目を閉じてください、ルイさん
そうして、私はルイさんの頬に手を添えて、そっと口づけをした。
(こんなに幸せな日がくるなんて…)
(ルイさんと出会えたことが、奇跡みたいに思えるな)
花が咲き誇る式場には、祝福の拍手が大きく鳴り響いていた…―

 

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ジルのストーリーを読む >>>

 

澄みきった空の広がる、午後…―
私はいつも通り、お茶会に来ていた。
帽子をテーブルに置いたジルが、紅茶の準備をする。
吉琳:今日のお茶会は誰も集まりませんでしたね…
(いつもなら、ウサギさんもいるのに…)
2人きりのお茶会になっていた。
ジル:そんなに寂しいのでしたら、
ジル:本日は、貴女の側にいることにしましょう
にこっと微笑んだジルが、私にカップを差し出す。
ジル:どうぞ
吉琳:ありがとうございます
甘いフルーツフレーバーがふわりと香る。
カップを口に付けた瞬間、気持ちが幸せになった。
吉琳:おいしい…
ジル:それは良かったです
ジルも紅茶を口に付けると、思い出したように瞬きをした。
ジル:そういえば、デザートを忘れていましたね
(たしかに……)
テーブルには何もお菓子がなかった。
吉琳:私が用意してくれば良かったですね
私は申し訳なさそうに、ジルを見上げる。
すると、イスから立ち上がったジルが私に近づいた。
ジル:仕方ありません、デザートは……
優雅な手つきで、私の顎をすくいあげる。
ジル:貴女を頂きましょうか
吉琳:えっ……
私の顔が、一瞬にして赤くなる。
ジル:本日のお茶会は2人きりですから、
ジル:誰もいませんよ
ジルが、私の額に軽く口づけを落とす。
吉琳:でも、遅れて誰か来たら……
ジル:元々、誘っていませんから
吉琳:えっ…!
ジル:たまには、貴女と2人のお茶会もしたいですからね
ジルがするりと私の胸元のリボンをとく。
吉琳:ジルっ…
思わず驚きに目を瞬かせると、ジルがふっと笑う。
ジル:ちなみに誰も来ないとはいえ、
ジル:声は我慢してくださいね
ジル:…動物たちに聞こえてしまうかもしれませんので
私の返事も待たず、ジルの口づけが落ちる。
(あっ……)
胸元のリボンが解かれ、ジルの手が差し込まれる。
吉琳:ん……
キスを受け止めるのが精いっぱいで、テーブルクロスに手を置く。
(ジルには…敵わない……)
きゅっと握ったクロスが乱れ、
テーブルからジルの帽子がおちた…―

 

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レオのストーリーを読む >>>

 

きらめくような海の世界…―
人魚だった私は、王子様に恋をして…
声を失う代わりに、人間になった。
そして…記憶を失っていたはずの王子様は、
私を見つけてくれた…―

眉をひそめたレオが、そっと私に触れる。
レオ:もしかして…君が俺を助けてくれたの?
海に溺れていた王子様――レオを助けたのは、私だった。
声を出す事の出来ない私は、小さく頷く。
レオ:名前は…?どうしても思い出せなくて…
レオ:何か伝えてくれたら、思い出せるかもしれない
(伝えたい…でも、私には答えられない)
波が船にぶつかり、弾ける音を立てていく。
(私のことを思い出せないまま…このまま別れてしまうの…?)
愛する人と結ばれなかった人魚は、泡となって消えなくてはならない。
やるせなさに涙が頬を伝った。
その瞬間…―
レオ:…ごめん、記憶とか関係ないか
(え…?)
レオの腕に引き寄せられ、私の身体はふわりと包まれた。
レオ:今、君の涙を見て分かったよ
レオ:君を泣かせたくない…誰よりも大切だって感じる
レオ:君のことばかり考えてた気がするよ
まじかに迫るレオの胸が、トクンと音を立てる。
(私のことを覚えていなくても…)
(レオの心には、私がいたんだ)
ずっと触れたかったレオの胸板に、顔をうずめた。
レオ:顔をあげて
吉琳:え?
私が顔をあげたと同時に、レオが口づけを落とす。
ふっと唇が離れると……
吉琳:王子様…
私の口から、言葉がこぼれた。
(話せた…)
思わず私はレオの頬に触れ、もう一度呼びかける。
吉琳:王子様……
レオは目を見開くと、自分の頬に触れた私の手に手を重ねる。
レオ:王子様だなんて呼ばなくていいよ
レオ:もう君は、俺のプリンセスだから
そう言って、優しく微笑みかけてくれる。
レオ:レオって呼んで
吉琳:レオ…
レオ:ん?
(ずっと、ずっと伝えたかった…)
吉琳:初めて出逢った時から、ずっと愛しています
レオの瞳がはっと揺れる。
そして……
レオ:俺も、愛してるよ
レオ:この先も…ずっと
もう一度顔を傾けたレオの口づけが落ちる。
何度も角度を変え、優しく落とされる口づけに、
私の身体が僅かに傾く。
私はレオにすがると、瞼を閉じた。
(本当に愛してる……)
レオの口づけに、また涙がこぼれた…―

 

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ゼノのストーリーを読む >>>

 

『オオカミ少女』
嘘をついた私は、周りからそう呼ばれた。
それは、愛してしまった人を助けるための嘘だった。
やがて彼は、私の嘘に気がつき…―

街中が静まる、真夜中…―
この国の王であるゼノ様は、私の部屋を訪ねていた。
吉琳:帰ってください
ゼノ:………
ゼノ様は顔色ひとつ変えず、口を開く。
ゼノ:なぜ、城下に戻った
吉琳:それは…
私とゼノ様は、国王と一般庶民…―
恋に落ちた2人は婚約を結んだ。
しかし城内の批判が強まり、ゼノ様にこれ以上迷惑をかけたくなかった。
(それならいっそ、嫌われてしまったほうがいい)
ゼノ:婚約の目的は…王妃の座が欲しかったからか
吉琳:…はい
答えても、ゼノ様が言葉を継ぐ。
ゼノ:…それがお前の本音か
痛む胸を抑えるように、思わずまつ毛を伏せた。
吉琳:はい…
ゼノ:そうか。ならば…
ゼノ様が近づき、私の腰元をぐっと引き寄せる。
そして私の顎をすくいあげた。
ゼノ:目を見て答えろ
私は、はっと瞳を揺らした。
ゼノ様を目の前にすると鼓動が高鳴る。
吉琳:やめてください…ゼノ様…
(見つめられたら……)
蓋をしていた想いが溢れるように、
一筋の涙が頬に伝ってしまった。
吉琳:見ないでくだ……
ゼノ様は僅かに眉を寄せ、私を抱きしめる。
ゼノ:俺を誰だと思っている
ゼノ:俺は…この国の王だ
ゼノ:愛する者を守れなくてどうする
吉琳:ゼノ様……
ゼノ:俺のそばにいろ、吉琳
その瞬間、涙が止まることなく溢れてしまう。
吉琳:…城内の批判も強まり、ゼノ様といるのはこれ以上…
ふっと身体が離れ、ゼノ様の両手が両頬を包み込む。
ゼノ:…愛している
私の言葉を遮るように、優しい口づけが落ちてきた。
吉琳:ん……
壁際に追い込まれながらも、重ねられるぬくもりに、
私の心はどうしようもなくゼノ様を求めていた。
(本当に私は、ゼノ様のことを愛している……だから……)
私はゼノ様の胸に手をつき、唇を離した。
吉琳:ゼノ様…聞いてください
ゼノ:…なんだ
吉琳:どうしようもなく、ゼノ様のことが好きです…
吉琳:…ゼノ様のことを…愛しています
ゼノ様がふっと目を細め、私の頬にかかる髪に触れる。
ゼノ:この先、何があっても
ゼノ:…お前のことを信じよう
お互いの気持ちを確かめるように、少し強引に唇が重ねられる。
吉琳:ん……
(嘘をついてでも守りたいと思った人は)
(ゼノ様が初めて…)
私は口づけに応えるように、唇を重ねた。
やがて2人の混じり合う吐息が、部屋に落ちていった…―

 

69

 

ユーリのストーリーを読む >>>

 

『森にいるオオカミには気を付けなさい』
ずっと、そう聞かされてきたけれど…―

赤いずきんをかぶって、私は森に来ていた。
手に持っていたランプを置き、ずきんを取る。
吉琳:ユーリ…?
そうして、呼びかけると……
???:…待ってた
後ろからふわりと抱きしめられ、私の鼓動が甘く震える。
(この声……)
…――いつしか赤ずきんをかぶった私は、
一人のオオカミと恋に落ちていた。
吉琳:私も逢いたかった
振り返り、ユーリを見上げる。
ユーリは、オオカミには見えない程くったくのない笑みを浮かべた。
ユーリ:そんなこと言って…知らないよ?
いたずらっぽい口調のユーリに、くすっと笑ってしまう。
ユーリは私の手を引き、木に背を持たれた。
ユーリ:でも、俺と逢うなって言われてるんじゃないの?
吉琳:オオカミは危険だから気を付けなさいって言われてたけど…
吉琳:ユーリと出逢って変わったよ
ユーリ:ん?
吉琳:ユーリは優しいから
ユーリ:そっか…でも
ユーリが私の腰を、自分のほうに引き寄せた。
吉琳:あっ……
引き寄せられた私は、思わずユーリの胸に両手をつく。
ユーリ:…俺は本当にオオカミだよ
ユーリ:吉琳のこと、いつも求めちゃう
月の光で艶めくユーリの瞳に、私の鼓動がうるさいほど響いてくる。
目が離せないでいると、ユーリの手が私の髪を片側に寄せた。
そして……
吉琳:あっ……
ユーリの唇が、私の首筋を辿る。
ユーリ:好きだよ、吉琳
ユーリ:食べちゃいたいくらい
吉琳:ん……
首筋から鎖骨へと、ユーリの顔が下がっていく。
(少し強引だけど、優しくて…)
私は、自分の胸元にあるユーリの頭に触れた。
(私だけの…愛しいオオカミ)
乱れる2人の吐息を、夜風がさらっていった…―

 

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ロベールのストーリーを読む >>>

 

女神様が現れるという噂の湖…―

私は近くに住むロベールさんと一緒に薪拾いをしているうちに、
湖の近くへ迷いこみ、大切なブローチを落としてしまった。
水音を立てて、ブローチが湖の底へと沈んでいく。
吉琳:あっ…
湖の底へ手を伸ばそうとすると…
ロベール:吉琳ちゃん…!
ロベールさんが、私を力強く抱きとめる。
ロベール:落ちたら大変だよ
吉琳:すみません…
(でも…あのブローチは……)
それは昔、ロベールさんに貰ったものだった。
(どうしよう…)
すっと胸に悲しい気持ちが押し寄せるのを感じていると、
突然、まぶしいほどの光が湖から溢れる。
吉琳:えっ…!?
ロベール:あれは…
瞳を瞬かせていると、
湖からキラキラと金の髪をなびかせる女性が現れた。
(この人って…まさか……)
吉琳:女神様…?
信じられない気持ちで見つめていると、女性はにこりと微笑む。
女性:あなたが落としたのは、このダイヤの真新しいブローチですか?
女性:それとも、この銀製の古いブローチですか?
そう言った女性は、両手の平に2つのブローチを乗せている。
(どうしたら良いんだろう…)
目の前の光景に戸惑って、次第に速くなる鼓動を聞いていると、
ふと指先が大きな手に包まれた。
(ロベールさんのお陰で、少し落ち着いた…)
ロベール:吉琳ちゃんが正しいと思う方を選べば大丈夫だよ
ロベールさんのその言葉に、胸が温かくなっていく。
私は息をついてから、銀のブローチをそっと示した。
吉琳:私が落としたのは、このブローチです
すると、女性はふわりと微笑んでそのブローチを渡してくれる。
(良かった…)
大切なものを返してもらえて、ほっとしていると…
女性:正直者なあなたに、もう1つ良いことを教えてあげましょう
吉琳:えっ?
女性:あなたはもうすぐ、運命の人と…
その時、女性はロベールさんにちらりと視線を向ける。
女性:いえ…もう出会っているかもしれませんね
(それって…)
けれど聞き返すことはできず、
再びまばゆい光と共に女性は消えてしまった。
(今、あの人が言ったことって…)
いつも通りの静かな湖を見つめていると、
隣に立つロベールさんに、ぽんぽんと頭を優しく撫でられる。
ロベール:返してもらえて良かったね
吉琳:はい
ロベール:そのブローチ、大切にしてくれてありがとう
柔らかく微笑むロベールさんに、鼓動が甘く震えた。
(何でこんなにドキドキしてるんだろう…)
ロベール:そろそろ暗くなりそうだし、帰ろうか
そう言ったロベールさんは、繋いだままだった手を優しく引く。
(あっ…)
ロベール:また大事なものを落としたら大変だから
ロベール:今度は手を繋いでいようか
指先から伝わる温もりに、鼓動が大きくなっていく。
吉琳:…はい
(もしかして、あの人が言っていた運命の人って…)
甘い予感に胸を高鳴らせながら、
私はロベールさんと一緒に、暗くなり始めた森を歩き出した…―

 

69

 

シドのストーリーを読む >>>

 

森にたたずむ、灰色のレンガで出来た高い塔…―
そこに私はずっと住んでいて、
一度も外の世界に出たことはなかった。

しかし、ある日…―
『シド』と名乗った男性が、私の長い髪を登って塔に来て…―
私はシドに手を引かれて、初めて階段を降りて行く。
しかし、足を止めた。
吉琳:やっぱり…外には出られない
シド:…あ?
振り返るシドに、私は不安な眼差しを向けた。
吉琳:怖いところだって聞いてるの
繋いだ手が微かに震えてしまう。
シド:俺がここから連れ出してやるよ
シド:いいから来い
(わっ……)
ふわりと抱きあげられ、階段を掛け降りて行く。
(外の世界なんて見た事がないから)
(…怖い)
シドにしがみつき、ぎゅっと目を閉じると……
シド:着いたぞ。目、開けろ
シドの声に、私は恐る恐る瞼を開けて…―
吉琳:うそ……
一面に、黄色い花々が咲いていた。
真っ白なちょうちょがふわりと舞い、小鳥のさえずりも聞こえる。
(外の世界がこんなに綺麗だなんて……)
そっと、柔らかな草の上に降ろされる。
思わず頬を綻ばせると、ふいに顔を覗かれた。
シド:お前の喜ぶ顔、悪くねえな
吉琳:え…?
シド:これから色んなもの見せてやるから、
シド:いつもそうやって、笑ってろよ
大きな手の平で、くしゃりと頭を撫でられる。
伝わるぬくもりに、私の鼓動が甘く震えた。
(変なの……まだ出逢ったばかりなのに…)
シドを見ていると、私の鼓動はどんどん大きくなっていく。
吉琳:おかしなこと言ってもいい?
シド:あ?
吉琳:これから、シドとずっと一緒にいたい
シド:………
シドが、一瞬驚いたように目を見開く。
その後、大きく笑った。
シド:おかしいこと言うやつだと思ったが、
シド:俺もおかしいかもな
シドが目の前でしゃがみこみ、私の身体をふわりと横抱きにした。
シド:このまま離したくねえ
シド:俺と生きろよ、プリンセス
私たちは自然と笑ってしまう。
吉琳:うん
(本当におかしいかもしれない…でも……)
シドの首に手を回すと、お互いの視線がふっと真剣なものに変わる。
(私は、シドのことが好き…)
鼓動が高鳴ると同時に、甘い口づけが落とされた。
(初めて外に出て、初めてこんな感情を教えてくれて…)
(シドがいれば、どんな世界も楽しそう)
何度も落とされる口づけを受け止めながら、
私は幸せな未来を夢に見た…―

 

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アルバートのストーリーを読む >>>

 

『鏡よ鏡、世界で1番美しいのは誰…?』
『それは白雪姫…つまり吉琳様です』
その言葉に怒った継母に森へと追放された私は、
小人たちとひっそりと暮らしていた…―

そんなある日の夜…―
(優しい方だったな…)
私は森で出会った、ある男性のことを思い出す。

*****
私と男性を乗せた馬は、小人たちと一緒に住んでいる家の前で止まった。
先に馬を降りた男性が、そっと私を降ろしてくれる。
吉琳:送って頂いてありがとうございました
???:いえ、私が提案したことですから
お礼を言うと、男性は眼鏡をくいっと上げてわずかに視線を伏せた。
吉琳:あの…お名前を伺っても宜しいですか?
アルバート:アルバートといいます。あなたは?
吉琳:吉琳です
すると、アルバートさんは真っ直ぐな瞳を向けて口を開いた。
アルバート:吉琳さん…もし良ければ明日、改めて会いに来てもいいでしょうか?
その真剣な表情に胸がトクンと音を立てる。
(不思議だけど…私もまた会えたらいいなって思ってた)
吉琳:はい。いつでもいらして下さい
******

思い返していると、コツンと窓辺に何かが当たる音が聞こえた。
近寄ると真っ赤なリンゴが置いてある。
(何でこんなところに…)
首を傾げながら、手に取ると…
(あれ…普通のリンゴに見えたのに…)
何故かとても美味しそうに見えて、思わずひと口かじってしまった、その時…
吉琳:んっ…
(何これ…)
身体から力が抜け、強い衝撃と共に意識が遠のいていった…―
……
翌日…―
アルバートが再び吉琳の元を訪れると、
小人たちが吉琳を囲んで泣いていた。
アルバート:これは一体…
小人1:吉琳様が毒リンゴを食べてしまって…
急いで駆け寄り吉琳の手を取ると、その冷たさにはっと息をのむ。
小人2:…愛する人の真実のキスがないと、目覚めないそうなんです
アルバートはぐっと眉を寄せ、口を開いた。
アルバート:目覚めてください、吉琳
そうしてアルバートは、吉琳に顔を近付けて…―
……
(…あれ…今……)
唇に温かなものが触れた気がして、揺らぐ意識が徐々にはっきりとしていく。
ゆっくりと瞳を開けると、目の前にほっとした顔のアルバートさんがいた。
(私…何があって…)
起き上がると、周りの小人たちも涙を浮かべて笑顔を見せている。
アルバート:良かった
吉琳:アルバートさん…どうしてここに?
すると、アルバートさんはふっと笑みをこぼした。
アルバート:約束したでしょう…また明日会いにくると
(昨日の約束、守ってくれたんだ…)
すると、アルバートさんが優しく私の頬に触れる。
アルバート:あなたと話していると、今までにない感情が湧いてきます
アルバート:昨日会ったばかりだというのに…
アルバート:私は、どうやらあなたに惹かれているようです
わずかに頬を赤くして、私へそう告げるアルバートさんに、
胸が大きく音を立てて跳ねる。
(もしかしたら…私はずっと…)
(アルバートさんに出会うのを、待っていたのかもしれないな)
吉琳:…私も同じ気持ちです
そうして、そっと唇が重なり、
私の胸には甘いときめきが広がっていった…―

 

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◆4日目 9/25(月)00:00〜23:59
2013年8月に開催していた『キャンペーン「真夏の恋パフェ~ときめきのエッセンス~」』の プロローグ、アラン、ルイ、ジル、レオ、ゼノ、ユーリのシナリオが読めちゃうよ☆

004

キャンペーン『真夏の恋パフェ~ときめきのエッセンス~』

 

69

 

プロローグのストーリーを読む >>>

 

ユーリ:どうぞ
食堂でいつも通り昼食を取っていると、
ユーリが可愛らしくデコレーションされたケーキを運んで来てくれた。
吉琳:かわいい
思わず頬を綻ばせると、ユーリがにっこりと微笑む。
ユーリ:今日のデザートは、コックさんが特別に作ってくれたんだよ
ユーリ:なんでもデコレーションのレシピがあって、今城下で流行っているんだって
吉琳:そうなんだ
私は相槌を打つと、可愛いケーキをじっと見つめた。
(今度開かれるパーティーでこのケーキを出したら、喜ばれるかもしれない)

……
やがて昼食を取り終えると、私は書斎の本棚を見ていた。
吉琳:あった……
ユーリに教えてもらったレシピ本を手に取ると、ページをめくる。
(どのお菓子も可愛いけど、少し難しそうだな)
思っていると、あるページに目が留まる。
吉琳:パフェ…?
そこには、色とりどりに飾られたパフェのレシピが載っていた。
(これだったら、私にも作れるかもしれない)
思った私は、レシピを持つとキッチンへと向かって…―。

 

69

 

アラン前編 >>>

 

私はキッチンに行くとレシピを見ながら、パフェを作った。
(こんな感じでいいのかな?)
するとそこに、アランが顔を出す。
アラン:何してんだ
甘い香りを漂わせるパフェを見ると、私は答えた。
吉琳:パーティーでパフェを出したらどうかと思って
吉琳:試しに作ってみたの
すると近づいてきたアランが覗き込んでくる。
アラン:ふーん。うまそうじゃん
私はパフェを見るアランの横顔を見ると、ふと思い出した。
(そういえば、アランは料理が得意だから)
吉琳:良かったら、味見してくれる?
アラン:ああ
アランは私の隣に来ると、スプーンでパフェを口に運ぶ。
(どうかな……)
緊張に鼓動を跳ねさせて見つめていると、食べ終わったアランが口を開いた。
アラン:いいんじゃねーか
(良かった……)
ほっと胸を撫で下ろすと、アランがすっと私にスプーンを差し出した。
アラン:お前も食べてみろよ
吉琳:え?
(食べさせてくれるってこと…?)
私は少し驚いて見るものの、アランは何でもないようにこちらを見る。
吉琳:…うん
小さく口を開けると、アランが私の口に運んでくれた。
間近に迫るアランの顔に、私の胸がトクンと跳ねる。
吉琳:ありがとう…
鼓動を隠すように、スプーンから口を離すと私はすぐに顔を逸らした。
その様子に気が付いたのかアランは一瞬目を瞬かせる。
アラン:………
やがて微かに眉を寄せると私から視線を逸らし、息をついた。
アラン:それより、早く作った方がいいんじゃねーの
吉琳:え?
アラン:パーティーの人数分、作るんだろ?

 

69

 

アラン後編 >>>

 

アランに手伝ってもらいながら、私はパフェを作っていた。
クリームを泡立てていると、アランが私の顔を覗きこんでくる。
アラン:おい
吉琳:え……?
手を止めて見上げると、アランが私の口の端を親指で拭う。
そして何でもないように、自分の口に含んだ。
吉琳:あっ……
アランの何気ない仕草に、私の胸が僅かに跳ねる。
はっとして見つめていると、アランが眉を寄せた。
アラン:なんだよ
吉琳:だって、アランが……
(まさか私の口に付いたクリームを食べると思わなかった)
思うと、アランの親指に視線を寄せる。
アランは私の言葉の意味が分かると、息をついた。
アラン:じゃあ、どうすれば良かったんだよ
吉琳:それは…
赤く染まる頬を隠そうと俯くと、アランが首を傾げて覗きこんできた。
アラン:もしかしてお前、照れてんの?
吉琳:………
何も言えずに俯くと、アランがふっと笑う。
アラン:お前って分かりやすいよな
そう言うとアランは私が戸惑う間もなく、
私の唇に自分の唇を重ねる。
吉琳:ん……
やがて唇が離れると、アランは口元に笑みを浮かべた。
アラン:これだったら、照れる暇もないだろ
吉琳:アラン……
私はアランの言葉にときめく気持ちを感じながら、
甘い香りの中で、アランの口づけに応えていった…―。

 

69

 

ルイ前編 >>>

 

私はレシピ通りにパフェを作ると、頭を悩ませていた。
(もう少し、飾り付けを可愛くしたいな)
するとその時、ルイの声が聞こえた。
ルイ:何してるの?
吉琳:ルイ
私はグラスに盛られたパフェを見ると、困ったように話した。
吉琳:パフェを作っているんだけど、色々悩んでいて…
その時、ふと思う。
(飾り付けに悩んでいるけど、味も見てもらいたいな)
吉琳:試しに作ってみたんだけど…食べてみてくれる?
近づいてくるルイにそう話すと、ルイが僅かに笑みをこぼす。
ルイ:うん、分かった
そうして私はルイを見上げて微笑むと、そっとスプーンを差し出した。
受け取ったルイはパフェをひとくち、スプーンで自分の口へと運ぶ。
ルイ:………
やがて私を見ると、嬉しそうに目を細めた。
ルイ:うん、おいしい
(良かった……)
私はルイの言葉に胸を躍らせると、思った事を告げた。
吉琳:味は大丈夫みたいだから、あと少し頑張る
すると、ルイが不思議そうに首を傾げる。
ルイ:おいしいのに、他に悩むことがあるの?
吉琳:うん。飾り付けをもう少し考えたいと思って
答えると、ルイがパフェに視線を寄せた。
ルイ:…そう
そして何かを考えるように口をつぐむと、やがてゆっくりと私を見た。
ルイ:そばで見てても…いい?

 

69

 

ルイ後編 >>>

 

私はレシピを見ながら、パフェの飾り付けを続けていた。
クリームを絞ると、ふっと息をつく。
(思ったより難しいな…)
すると腰掛けているルイが、私に声をかけた。
ルイ:吉琳、もう出来た?
私はルイを見ると、小さく答える。
吉琳:もう少し待ってて…
(可愛くしてから、ルイに見てもらいたい)
ルイ:…うん
ルイはそう答えるものの、やがて立ち上がると
私の隣で囁くように告げた。
ルイ:ねえ、吉琳
吉琳:ん?
見上げると、ルイが軽く首を傾けて私の顔を覗きこむ。
そして僅かに眉を寄せると、困ったように口を開いた。
ルイ:もう、待てない
吉琳:え?
(もしかして、早く食べたいのかな)
私はルイの表情にくすっと笑うと、微笑みかけた。
吉琳:でも、まだ出来ていないから…
言いかけると、ルイの指先がそっと私の唇にあてられる。
ルイ:そういう意味じゃないよ
ルイはふっと唇に笑みを浮かべると
指先を私の顎へとあて直し…。
吉琳:…っ……
軽い音を立てて、私の唇に触れるようなキスを落とした。
吉琳:ルイっ……
驚いて思わず目を丸めると、
ルイがじっと私の瞳を見つめる。
ルイ:……だめ?
ルイの透き通った瞳と長いまつ毛に、
私の鼓動がトクンと音を立てる。
(そんな目で見られたら……)
吉琳:だめ…じゃない……
私は小さく答えると、ルイから落とされる口づけに、
甘いときめきを感じていった…―。

 

69

 

ジル前編 >>>

 

私は食堂で、作ったパフェを見ると頬を綻ばせた。
(上手に出来て良かった)
真っ白なクリームにフルーツが可愛く散りばめられている。
スプーンを取って食べようとすると、ジルの声が聞こえた。
ジル:随分と可愛らしいですね
私は近づいてくるジルを見上げると、微笑む。
吉琳:パーティーのデザートで出せないかと思って、作ってみたんです
ジル:そうですか。それは皆さん喜ばれますね
ジルはにっこりと微笑むと、私の隣に腰かけた。
ジル:ところで、味見はしたのですか?
吉琳:いえ、これから…
そう答えると、ジルがそっとスプーンを手に取る。
吉琳:ジル…?
ジルはきょとんとする私に、優しく告げる。
ジル:せっかくですから、食べさせて差し上げますよ
吉琳:え、でも…
(誰かに見られたら、少し恥ずかしい……)
思わず食堂を見渡すと、ジルがすっと私の口元にスプーンを運ぶ。
ジル:どうぞ
私は少し頬を赤らめると、ゆっくりと口を開いた。
吉琳:………
やがて食べ終わると、ジルが尋ねる。
ジル:いかがですか?
私は赤く染まる頬を隠すようにまつ毛を伏せると、小さく答える。
吉琳:おいしいです…
するとジルが私の様子に気が付いたのか、目を細める。
ジル:顔が赤いですが、どうかいたしましたか?
ジル:もしかして…何か、いけないことを考えてしまったとか
吉琳:えっ……
ジル:冗談ですよ
ジルはふっと笑いながら言うと、私に優しく告げた。
ジル:それより、これから作らなければいけないのでしょう?
ジル:私もお手伝い致しますよ

 

69

 

ジル後編 >>>

 

そしてジルに手伝ってもらうことになり、
私はパーティーに出すパフェを作っていた。
(あと少しで、全部出来る)
並べられたグラスのパフェを見ると、頬を綻ばす。
そして最後のパフェを作ろうと、
置いてあるフルーツに手を伸ばした、その時…。
ジル:………
同じ事を考えていたのか、ジルの手がふいに私の手と重なった。
(あっ……)
私はジルの骨ばった手から伝わるぬくもりに鼓動が跳ね、思わず手を引いた。
吉琳:すみません……
そんな私に気が付いたのかジルは一瞬目を瞬かせると、やがてふっと目を細めた。
ジル:そのような反応をされると、いけない事をしたくなりますね
吉琳:え……?
ジル:たとえば、こんな風に
ジルは見上げる私のうなじに手を添えると、
自分の唇を、そっと私の首筋に寄せる。
吉琳:ん…ジル…
くすぐるように首筋を撫でるジルの唇に声をこぼすと、
ジルは唇を離し囁くように告げた。
ジル:まだ出来ていませんよ
吉琳:でも……
戸惑う私の耳元で、ジルが低く告げる。
ジル:そのまま作ってください
(こんなことされたら、出来ない……)
私は戸惑いに心を揺らすものの、
ジルの甘い唇にゆっくりと翻弄されていった…―。

 

69

 

レオ前編 >>>

 

吉琳:出来た…!
私はパフェに最後のトッピングをすると、微笑んだ。
するとドアが叩かれ、レオが顔を出す。
レオ:何が出来たの?
吉琳:レオ
レオは近づいてくると、好奇心に満ちた目でパフェを見る。
レオ:もしかして、吉琳ちゃんが作ったの?
私は頷くと、レオを見上げる。
吉琳:次のパーティーにどうかなと思って、試しに作ったんだ
レオ:そうなんだ
レオは優しく言うと、私の顔を覗きこむ。
レオ:食べてもいい?
吉琳:うん
頷きスプーンを差し出すと、
レオは受け取って、パフェをひとくち食べた。
(どうかな……)
どきどきして見ていると、レオが私の方を見て微笑む。
レオ:うん、おいしい
吉琳:良かった……
嬉しさから思わずそうこぼすと、レオはふっと目を細めた。
そして私の耳元に顔を寄せると、囁くように告げる。
レオ:でも俺が本当に食べたいのは、吉琳ちゃんなんだけど
吉琳:えっ……
レオの言葉に私の顔が真っ赤に染まると、
レオは吹き出すように笑った。
レオ:冗談だよ
吉琳:もうっ……
私が少し困ったようにそう言うと、レオは私の頬にそっと触れた。
レオ:ごめんね、吉琳ちゃん
そしていつものように唇に笑みを浮かべると、私に言う。
レオ:それより、これから作らなきゃいけないんでしょ?
レオ:手伝うよ

 

69

 

レオ後編 >>>

 

私はレオに手伝ってもらいながら、パフェを作っていた。
クリームを泡立てていると、手が止まる。
(ちょっと腕が疲れてきたかも)
思いながらも、また泡立て始めようとすると
気づいたのかレオがそっと私からボールを取った。
レオ:俺がやるよ
私はレオの優しさに気づくと、頬を染めた。
(きっと腕が疲れているのに気づいてくれたんだ)
吉琳:ありがとう、レオ
そうお礼を口にすると、レオがにっこりと微笑む。
レオ:いいえ
レオはキッチンに背をもたれながら、クリームを泡立てていく。
やがて泡立て終わると、レオはボールを置き私の方を向いた。
レオ:ねえ、吉琳ちゃん
吉琳:なに?
見上げると、レオは私の身体を自分の方へと引き寄せる。
レオ:手伝ったお礼をもらってもいいかな?
吉琳:え……
戸惑いに何も言えず見上げたままでいると、
レオのからかうような吐息が私の髪に触れる。
レオ:言ったでしょ?
レオ:俺が本当に食べたいのは、吉琳ちゃんだって
吉琳:レオっ……
私の頬が赤く染まる間もなく、
レオの唇が優しく重ねられる。
吉琳:…っ……
パフェの香りとレオから落とされる口づけに、
私の心は甘くとろけていった…―。

 

69

 

ゼノ前編 >>>

 

パフェを作り終えた私は、そっとレシピの本を閉じた。
(結構、上手に出来たかも)
そう思い出来上がったパフェを手に取ると、
ふいに後ろから足音が聞こえる。
(誰だろう…?)
振り返ると、そこにはゼノ様の姿があった。
ゼノ:………
吉琳:ゼノ様、どうしてここに…?
思いもしなかった出来事に尋ねると、ゼノ様が私に告げる。
ゼノ:城に用事があって来たのだが、
ゼノ:お前がここにいると聞いたからな
吉琳:そうだったんですね…
(ゼノ様にお会いできて、嬉しいな)
答えながらそう思っていると、ゼノ様が私の手元に視線を寄せる。
私は持っていたパフェを見ると、ゼノ様に言った。
吉琳:パーティーのデザートにどうかと思って作ってみたんです
その時、ふと思う。
(せっかく、ゼノ様もいらしているし…)
吉琳:もしよかったら、食べて頂けますか?
ゼノ様はふっと目元を緩めると、低く呟く。
ゼノ:ああ
私はゼノ様の言葉にスプーンを取ると、そっと口元まで運んだ。
すると、ゼノ様が少し驚いたように目を開く。
ゼノ:………
私はゼノ様の顔を見ると、慌てて手を引いた。
吉琳:すみません……
(こんなことしたら、驚いてしまうよね……)
ゼノ:いや、構わない
ゼノ様が告げ、私のほうへ顔を近づける。
間近に迫るゼノ様の端正な顔に、私の胸がトクンと音を響かせる。
吉琳:はい……
私はスプーンを持ち上げると、そっとゼノ様の口へと運んだ。
ゼノ:美味いな
吉琳:…ありがとうございます
跳ねる鼓動を鎮めようと顔を俯かせると、ゼノ様が言う。
ゼノ:忙しい時に済まなかったな
やがて扉のほうへ向かうゼノ様を見ると、私の胸に想いが募った。
(最近ずっとお会い出来ていなかったし…)
吉琳:あの、ゼノ様……
(一緒にいたい)
吉琳:もし、お時間がありましたら…ここにいてくれますか?
すると振り返ったゼノ様が私に優しい眼差しを向ける。
ゼノ:ああ

 

69

 

ゼノ後編 >>>

 

椅子に腰かけるゼノ様と話しながら、私はパフェを作っていた。
(ゼノ様とこうして過ごせるなんて、嬉しい)
小さな幸せを感じていると、
髪を束ねていた髪飾りが、不意に解けてしまった。
吉琳:あっ……
急いで直そうとするものの、私は手を見ると困ったように眉を寄せた。
(クリームが手についてしまっているし、どうしよう……)
するとその時、ゼノ様が立ち上がり私の髪に触れる。
ゼノ:じっとしていろ
吉琳:え?
(もしかして、髪を束ねてくれようとして…)
私はゼノ様の気持ちに気づくと、小さく返事をした。
吉琳:…はい
ゼノ様は私の髪をすくうと、そっと髪飾りを留めてくれる。
ゼノ様の指先が私の髪を優しく揺らす。
吉琳:ありがとうございます…
やがて髪飾りが留められると、私はゼノ様を見上げた
するとゼノ様は私を見つめると告げる。
ゼノ:お前とこうして過ごすのも、いいものだな
吉琳:えっ……
先ほど自分が思っていたことを、ゼノ様の言葉からも聞けて、
私は胸が甘くざわめくのを感じた。
吉琳:私も、同じことを思っていました
ゼノ:そうか
ゼノ様は私の言葉を聞いてふっと唇に笑みを浮かべると、
私のうなじに手を添え、口づけを落とす。
吉琳:…っ……
私はそっと目を閉じると、
同じ想いでいるゼノ様との時間に胸をときめかせた。
(なんて、幸せな時間なんだろう…)

 

69

 

ユーリ前編 >>>

 

私は部屋に戻ると、出来上がったパフェを食べていた。
吉琳:おいしい…!
口いっぱいに広がる甘いクリームに思わずそう言うと、
ドアが叩かれ、声が聞こえる。
ユーリ:何、食べてるの?吉琳様
吉琳:ユーリ
振り返ると、顔を覗かせたユーリが私を見てぱっと目を開く。
ユーリ:あっ吉琳様、少しじっとしてて
吉琳:え?
不思議に思いながらもユーリに言われた通りにそのままでいると…。
吉琳:……!
ユーリが軽い音を立てて私の口の端に口づけた。
吉琳:ユ、ユーリっ……
驚いて見上げると、ユーリがにっこりと笑う。
ユーリ:だって、クリームが付いてたから
ユーリ:もしかして、こういう事されるの嫌いだった?
人懐っこく尋ねてくるユーリに、私は困ったように視線を逸らす。
吉琳:そういう訳じゃないけど…
答えながらも私の頬が赤く染まる。
ユーリ:吉琳様って分かりやすくて、かわいい
ユーリはそんな私を見てくすくす笑った。
ユーリ:ところで、どうしてパフェを作ったの?
吉琳:パーティーのデザートにどうかと思って試しに作ってみたんだけど…
その時、ふと思いつく。
(これから、たくさん作らなくてはいけないし…)
吉琳:ユーリ、手伝ってくれる?
ユーリは私の言葉を聞くと、にっこりと微笑んだ。
ユーリ:もちろん

 

69

 

ユーリ後編 >>>

 

クリームをグラスに絞っていくと、私は小さく息をついた。
(さっきは出来たのに…出なくなっちゃった…)
そう思って絞り口を見ようとすると、
ユーリが後ろから抱きしめるようにして私の手に自分の手を重ねてくる。
ユーリ:手伝うよ、吉琳様
吉琳:う、うん……
戸惑いつつも頷くと、ユーリがクリームを絞る。
すると先ほどまでは出なかったクリームがグラスの中に盛りつけられていく。
(やっぱりユーリって男の人なんだな)
その時、ユーリが出来ていくパフェを見ようと私の背中に身体を寄せた。
(なんだか……)
私は頭に浮かんだ想いに恥ずかしさを覚えると、
少しユーリから身体を離した。
すると不思議に思ったのか、ユーリが尋ねてくる。
ユーリ:どうして離れるの?
吉琳:それはっ……
(抱き締められそうと思ったなんて言えない)
頬を染めながら口をつぐむと、
ユーリはからかうように私の耳元で囁く。
ユーリ:もしかして吉琳様、変な事でも考えた?
吉琳:違っ……
戸惑う間もなくユーリは腕の中で、私を自分のほうへ振り向かせる。
そしてにっこりと笑った。
ユーリ:俺は考えてたよ
吉琳:えっ……
その瞬間、ユーリが私の唇にキスを落とす。
吉琳:…っ……
私は突然のことに驚きつつも、寄せられる唇にそっと目を閉じた。
(ユーリには敵わないな……)

 

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◆5日目 9/26(火)00:00〜23:59
2017年1月に開催していた『キャンペーン「Sweet Touch~バスルームでキスをして~」』の プロローグ、ルイ、ジル、ユーリ、シド、レイヴィスのシナリオが読めちゃうよ☆

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キャンペーン『Sweet Touch~バスルームでキスをして~』

 

69

 

之前收集就拿到了:http://a168119.pixnet.net/blog/post/398531026

 

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